【本】マザーズ/金原ひとみ

4103045329マザーズ
金原 ひとみ
新潮社 2011-07

by G-Tools


3人の主婦の子育て中の悩みや苦しみ、喜びを描いた物語・・・。
というと、あっさりしすぎだけど。内容はもっとどろどろでグチャグチャです。
子育ての辛いいやな部分だけを掘り起こしているといっても良いぐらい。
正直言って読んでいて疲れたし、そのしんどさが伝わってきて辛い。
最初はともかく読みづらい。
3人が3人とも理屈っぽいので、人物の見分けが付くまでにかなりかかったし、いまいち共感できなくて。

読んでるこっちは、その時代はとっくの昔に過ぎ去ってしまい、苦労したなぁ・・とか、大変だったなぁ・・というのは、私にとっては「思い出」でしかない。それよりも、今、たった今現在も継続中の子育て(というよりも子どもとの対峙?)のほうが問題も大きいし深刻なので(これもきっと過ぎてみたらただの思い出になるんだろうけど)彼女たちが抱えている閉塞感や孤独感みたいなのは、今の私にはそれほどに共感できなかった。
逆に、今まさに小さい子どもを育てている母親なら、恐ろしいほど共感できるのかもなやみをm

それと、登場人物にあまり好感が持てない。
特に作家のユカ。こういう人は友達にしたくないなーと思う。作家ならではの洞察力で、本人にも気づかないところまで分析されて勝手に納得されて・・・ちょっとご遠慮願いたいなーと思った。もちろん、ドラッグ中毒と言う点でも。
キレるときも尋常じゃないキレ方で、そんな風にキレている人間を見た事ないので、嫌悪感がいっぱい。
爽快な気分にさせてくれるキレ方というのもあると思うが、この人のキレ方にそれはない。ただ不愉快だった。

涼子は3人の中で唯一、ごく普通の主婦だから、彼女に一番共感を覚えた。
子どもが一番幼いせいもあり、子育てに行き詰まりを感じている。他の二人が子育て以外のところでも問題を抱えているのに対して、涼子は子育てが一番の悩みであり苦しみになってしまっている。
本人は自覚がないようだったけど、明らかに育児ノイローゼだと思う。彼女には救いの手が差し伸べられるべきだと思ったし、一般的にもこういう悩みを持つ母親は多いんじゃないかと思う。

モデルの五月は、3人の中で、育児と言う点ではかなり理想的なのだけど(我慢強く子どもに優しい育児で感心した)不倫しているから・・好きじゃない。嫌いでもなかったけど。

次第に物語りに釣り込まれたのは、やっぱりその心理描写の巧さのせい。

そして、最終章が圧巻だった。
これはフィクションなのか。だとしたら、良くぞここまでその当人の気持ちがわかること!と驚いてしまった。
自分は幸いそう言う経験がないので、信憑性は計れないんだけど、同じ体験をしたらきっとこうやって苦しむんだろう・・こうやって過ごしていくんだろう・・と言うのがはっきりと分かる気がした。

読むのに6日もかかりてこずったけど、共感できるとか出来ないとか以前に、最後は本当に「すごい!!」と思った作品だった。


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