【本】刑事のまなざし

4062170531刑事のまなざし
薬丸 岳
講談社 2011-07-01

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薬丸岳さんは、「天使のナイフ」以来追いかけている、好きな作家さんです。
と言っても寡作というか、この本でたしか5冊目なんじゃないかな?
「天使のナイフ」「闇の底」「虚夢」「悪党」・・どれも読み応えがあります。
個人的に、特に良かったと思うのは「悪党」と「天使のナイフ」。
そして、今回の「刑事のまなざし」はそれらと同じぐらい好きな作品になりました。

こちらは夏目刑事シリーズと言うべき、連作短編集。

オムライス
黒い履歴
ハートレス
傷痕
プライド
休日
刑事のまなざし

の6編からなる。
特に印象に残るのは「オムライス」。
恵子の再婚相手である内縁の夫が放火による家事で焼死した。
恵子には難しい年頃の息子がいて、内縁の夫とはそりが合わなかった。
火事で内縁の夫を殺したのは誰か・・・・。
読者に初めから手の内を見せず小出しにして事実に近づいていく手法で、とても面白かった。
結末もまたインパクトが大きい。

他の章も面白いのだが、全編通して、夏目刑事の人柄が光る。
東野さんの加賀恭一郎のように、人情味のある暖かな懐の刑事なのだけど、こちら夏目刑事は入院したきりの娘がいて、夏目刑事自身も、以前は少年鑑別所で働く法務技官だったのが、30にして突如警察官に転職したと言う、その背景が特殊だし興味をそそられるのだ。
いったい、夏目刑事とその娘に何が起きたのか?
それは最終章「刑事のまなざし」で明らかになる。
自分だったら耐えられないような事実が夏目に突きつけられる。
それでも、夏目は最後に言う。
「世の中から全ての犯罪がなくならない限り・・・・・・」と。
悲しさを内に秘めた夏目刑事は、間違いなく、ミステリー史に刻まれる名刑事になるんじゃないだろうか。
今後も薬丸さん、そして夏目刑事を追いかけたい。

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