【本】東京難民/福澤徹三

4334927521東京難民
福澤 徹三
光文社 2011-05-19

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ごくごく平凡な、、大学生の若者が、あるときを境にどんどんと転落していくと言う物語。
タイトルのとおり、難民になってしまった青年の悲劇を描いている。

あるとき、親が謎の失踪。
授業料が振り込まれておらず、自分の知らない間に、大学を除籍になっていた。
それまでは授業に出るなんて「かったるい」と、サボってばかりだったのだけど、いざ、除籍になると話が違う。
焦ったり嘆いたりするぐらいなら、ちゃんと大学へ行け!高い授業料を払ってくれる親に感謝しながら!
と思うのだけど、自分だって在学中はそれが当然とばかりに通ったし、サボったりはあんまりしなかったと記憶しているが(短大だったし、先生も厳しかった)授業も聞かず、おしゃべりに興じたこともあった。(反省!!)
親が失踪したのだから、生活費の仕送りもなくなって、家賃さえ払えない。
そして主人公が入っているのが、悪名高き(?)敷金礼金なしという、保証のない安くて?怖い賃貸マンション。
こういうところは、家賃の振込みが遅れると即座に契約を解除されてしまうんだと聞いている。
主人公もご多分に漏れず。
住む家がなくなればあとは押して知る生活が待っている。
その辺が、ノンストップで描かれていて一気読み!
リアルな恐ろしさがあった。
友達や彼女ともそれで溝が出来てゆくのだけど(ところで、主人公の友達が2人いて、一人は気のイイヤツなんだけど、もう一人は本当に友達?と思わせられるヤツだった。一切がっさい友達甲斐が感じられなかった)あまりにもいい加減で、どこまでも世間を舐めている主人公の言動に、とってもイライラさせられた。
でも、大学生なんてまだまだ子どもなのかな。
今の私がこの本を読んで、「そこはこうだろう」とか「そうなって当然じゃないか」と思うのは、やっぱり年の功が大きく、年食った分だけ世間に長けた(この大学生よりは)部分があるんだろう。自分だって学生の頃は何にも知らなかったんだから、主人公を責めるわけにも行かないのだけど・・・。

半分ごろまでは、かなりの臨場感でこの転落劇を見ていたんだけど、半分からはちょっと突飛な感じになってきた。
展開が、緩急の急ばかりで同じような状態が続き、飽きてきた感じもした。

ネタバレになるが、主人公はホストになる。
ホストって言うと、なんと言っても新堂冬樹作品を思い出す。
そして、私の大好きな「メタボラ」(桐野夏生著)。
こんなにもホストになってはいけないよ・・・と言う著作があるのに、なぜ若者はホストになるんだろうか。
ホストで稼ぐなんて、懸賞に当たるよりも確率が低いはずだ。

そんなこんなで結局、難民生活を送りながら転落してゆきながらも逞しく成長する主人公の姿を描くのだが・・・最後の最後までイライラさせられたのだった。
最後まで読んで、私が気づいた3つの未解決事項。それが気になって仕方がない。
1.クレジットカードのキャッシング15万円。今頃途方もない金額に膨れているのではないだろうか。
2、賃貸マンションの管理人に預かってもらってる自分の荷物。いくら要らないといっても相手はやっぱり保管料を計上しているのじゃないだろうか。これもとんでもない金額に膨れているんじゃないだろうか。
3.ホスト仲間の順矢のこと。そのままでいいのか。どうにも仕様がないのはわかるが、忘れてるようなので気になる。

ともかく、この本は、こういうことは自分にも起こり得ると注意を促すためにも、若者に読んでもらったら良いと思う。
私世代が読むと、暗澹として陰気になるし、自分の子どもに思いを馳せて胃が痛んでしまう。
恐ろしかった・・・・。

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17:19 : [本・タイトル]た行トラックバック(0)  コメント(0)

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