【本】逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録/市橋達也

4344019415逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録
市橋 達也
幻冬舎 2011-01-26

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センセーショナルな本である。
読んでいいもんかどうか・・・悩むところでもある。
私の場合、大好きな高野秀行さんがブログに感想を書いておられて、それを読んで「読む!」と思った。

本としては、正直、微妙な部分もある。文章は、たとえ素人以上だとしても、やはりプロ以下。
読者が知りたい英会話教師殺害の詳細などには触れず、タイトルどおり「逮捕されるまで」の逃避行にのみ焦点が当たっている。

しかし、あえて言うなら、つまらないと言うわけではない。
「読み物」としては、けっこう面白く読める。(かなり不謹慎な言い方だけど)
高野秀行さんも、市橋の逃亡劇に、日本における辺境めぐりを垣間見て「萌える」気持ちがあったみたいで、それも頷ける気がしたし、これがノンフィクションであれば「逃げて!逃げて!」と願いながら読んだのかもしれない。
逮捕のところなどは、角田光代さんの「八日目の蝉」のようでもあり、小説のようだった。

本書から伝わってきたのは、市橋の、ひたすら「逃げたい」と言う思い。
異常なほど強い気持ちだと思ったが、死刑になるかもしれないと思ったら、こんな心境になるのかもしれない。理解は出来ないけれど。

凄まじいまでの「逃げる」事への執念。
まず、逃げてまもなく、コンビニで裁縫道具を買う。
何をするかと思ったら、普通の針と、普通の木綿糸で、鼻を縫ったのだ!
針を刺したまましばらく、いたらしい。
それで顔の雰囲気を変えるのが目的だったらしいけど、結局マスクをしていたらしいから、意味がないと思った。
目立つほくろもカッターで切り取ったらしい。
そして、唇をハサミで切る決意。痛くて途中で断念するも、片側の唇は実際に切り取ったらしい。
そこまで自分でやるという気持ちは、どう考えても共感できない。想像つかない。

逃げるとき、彼女に電話をして「一緒に逃げてくれ」というつもりだったという記述にも、身勝手さが出ていた。
が、これも本人としたら、一人でいることが怖くてたまらなかったんだろうか、となんとなく思う。

亡くなった英会話教師リンゼイさんは、その何百倍も怖かったと思う。

それから、市橋はあまり、自分の家族に触れておらず、親密さのない家族関係なのかと感じた。


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