【本】リセット/垣谷美雨

4575236071リセット
垣谷 美雨
双葉社 2008-02-13

by G-Tools

4575513997リセット (双葉文庫)
垣谷 美雨
双葉社 2010-12-15

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3人の女たちがそれぞれ「高校時代に戻りたい」と思うところから物語が始まる。
香山知子は専業主婦。暇をもてあます生活に嫌気が差し、「高校時代に戻り、女優を目指したい」と思う。
黒川薫はキャリアを積みながらも、独身であることで母親に「一人前」と認められず寂しい思いをしている。高校時代に戻ったら、短大に進学して地元で結婚て、子どもを生みたいと思う。
赤坂晴美は男に引っ掛けられ妊娠して、高校を中途退学したことを悔やんでいる。高校時代に戻ったらちゃんと卒業して平凡な生活を手に入れたいと思う。

そんな3人は中学、高校の同窓生なのだが決して仲良くもなかったし、接点もなかった。
その3人がなぜか一緒に「高校時代にタイムスリップ」する物語。

SFと言うよりもファンタジーと思うのだけど、誰でも一度は「若い頃に戻りたい」と思うことがあるのではないだろうか。
「もしも、高校時代に戻ったら、もっと勉強してもっといい大学に行って・・・」などと妄想を逞しくしたことがあるのではないだろうか?
かくいう私もそう言う妄想はしょっちゅうしているのだけど(^_^;)最後は結局「戻らなくてもいいや」となってしまう。
戻ったところで着地点は同じだ・・・・というのがあるし、せっかく今まで生きてきたのに、またその人生をやり直すなんてしんどすぎる。学校に毎日毎朝、暑いときも寒いときも雨の日も風の日もきっちり通い、一日何時間も授業を受け、トイレも我慢しないといけないし、テストがあると勉強しないといけないし、先生の中には横暴なのもいたし、家に帰れば親に口やかましくされあれもこれも禁止され、・・・そうして祖父や祖母がなくなり皆で嘆き・・・などと考えると、あれをもう一度やるなんて、考えただけで挫けてしまう。
もちろん、もしも本当に高校時代に戻ったら、部活をもっと頑張るぞ!!とか、友達ともっと上手く付き合うぞ!とか、もっと本を読んだり映画を見たり漫画を買ったりしておくぞ・・!!なんてことも思うんだけど・・・。

彼女達は、最初こそ多少のパニックになるけれど、わりとすんなり「タイムスリップした事実」を受け入れて、高校時代をやり直していく。「夫の彼女」でもそうだったけど、「違う視点から物事を見る。その人を見る」というのがあって、タイムスリップしたことにより、彼女達にも「別の視点」が出来る。
本当に高校生だった当時は分からなかった親のありがたみが分かるとか・・・。
3人が理想どおりの人生を歩けたのかというと、その辺は微妙。
結局、どんな人生も100%完璧っていうのはありえないし、憧れていたものも手に入れてみれば大したことないなと気づいたりする。そういうことが結構リアルに描かれていて、とても面白く読んだ。

タイトルの「リセット」というのは、結局、人生って「気づいたとき」いつでも「やり直せる」と言うことじゃないかなと思った。
むろん、やり直しが利かない、取り返しが付かないこともあるだろうけど、心の持ちようで、ひとはいつでもそこから再出発できるのだと。何も高校時代に戻らなくても今からでも・・と言うことじゃないかな?

物語としては、ずいぶん上手く行きすぎだと思うけど、あくまでハッピーエンドに拘りたいと言うのが著者の気持ちじゃないかな?と思った。私はとても気に入りました。

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20:33 : [本・タイトル]ら行トラックバック(0)  コメント(0)

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