【本】母子寮前/小谷野敦

4163298304母子寮前
小谷野 敦
文藝春秋 2010-12

by G-Tools



私小説なのか?それとも自伝なのか?
著者の母親が癌にかかり、最愛の母が不治の病を得た自身の絶望、父親との確執、医療関係への不信感など織り交ぜながら、母への思いを綴ってある。
ともかくとにかく、陰気な物語だった。
母が癌になったのだから、陽気であるわけはないけれど、その時々の気持ちの揺れや絶望感、悲しみややりきれなさが、これでもかっ!と言うぐらいに細かく細かくリアルに描写してあるので、まったく我が事のように錯覚してしまうほどだった。読んでいる間は陰気が伝染してかなり落ち込んでしまった。
しかし、著者のお母さんはまだ70にもなっておらず、若いうちの別れとなり、本当に気の毒。著者は当時高齢の人を見ると、八つ当たり的に「ウチの母だけなぜ若いうちに死なねばならないんだ」と、怒りが沸いたと言うが、なんだか分かる気がした。
医療機関とのやり取りの中で、医師が高圧的な場面が出てくる。昔の医師はそう言うイメージだったけど、今はそうでもないのかと思っていたら、いまだにそう言うことがあるんだなーとか、セカンドオピニオンが保険適応外なんて知らなかったりとか、人事と思えないことがたくさんあって、印象に残った。
そして、父親との確執がテーマのうちのひとつだと思うが、自分の親をこんな風に公然と嫌って責める。なんとも哀しい親子関係だと思う。母と娘の関係が割りと難しく軋轢がある場合が多いのはよく聞くのだけど、父と息子もやっぱり難しいものだなぁと感じた。でも、このお父さん、他人が言うのは申し訳ないけど、やっぱり困ったお人ですよね。
それと、お母さんにべったりだった著者、それでも「母は欠点の多い人間だったが、50を過ぎてから良くなった」と言うようなことが書かれていて、すごく印象深い。私も自分が欠点だらけで、かなり自己嫌悪を感じているのだけど、このトシではもう直らないだろうと諦めてた。でも、50過ぎてからでもマシになれるものかしら。だとしたら嬉しい。

この著者はかなり著名で幅広い活躍をされている人のようです。作品を読むのも初めてなら、実は著者をまるで知らなかった。お恥かしいことです。
本書を読んで思ったけど、著者はかなりマメな日記・・・それこそ微に入り細を穿つような日記を書いておられるに違いないと。そうじゃなかったら書けないのではないだろうか・・。
スポンサーサイト
11:50 : [本・タイトル]は行トラックバック(0)  コメント(2)
shortさん、こんにちは!
この方、有名な方なんですか。
『悲望』の方ですよね。
『悲望』はなかなか面白かったですよ。すんごく引きますけど(^^;
機会があれば読んでみてください。怖いもの見たさで(笑。

2011/07/06(水) 13:27:43 | kei │ URL | [編集]

keiさん、いらっしゃいませ!!
小谷野敦さん、ご存知でしたか!
いや、ウィキペディア見たらずらずらーっと色んなことが書かれてて。
アカデミックな方?
経歴なんかがすごいなーと思って、ビックリしたんです。
「非望」図書館になかったけど、隣の市から借りられそう。
読んでみます!
ご紹介ありがとうございます。
怖いもの見たさ・・・そう言うの好き・・・・(笑)。

それから、keiさんの手作り、参考にさせていただきましたよ。
文中にリンクさせていただきました。
事後報告ですみません。
あとでサイトに伺います~(*^_^*)

2011/07/06(水) 16:36:36 | short │ URL | [編集]

コメントの投稿











 管理者にだけ表示を許可

トラックバック

この記事のトラックバックURL