【本】妻の超然/絲山秋子

4104669040妻の超然
絲山 秋子
新潮社 2010-09

by G-Tools



「妻の超然」

浮気性な夫を持つ妻は、超然と夫の素行を観察し、俯瞰し、ほくそ笑んでいる・・・・
つもりなのだけど、結局は「超然とあろう」と言う心情が描かれているのだと思った。
夫は妻に隠しているつもりでも、一緒に暮らしている妻にはバレバレ。
同じ事を繰り返す・・・男はなんてバカなんだろうか。
そのバカを、何もかも承知の上であえて「させている」妻の視点でユーモラスに綴っていて、にんまりと笑えてしまう。
結局は夫への愛情から、執着がある。それゆえに、だんなをよく観察ししっかりと「理解」しているということか。
でも、私だったら、やっぱりこんな夫は許せないと思うし、一緒にいたくないと思うのだけどなぁ。
ちょっとスッキリと言うかスカッとできない物語だった。
奥さん、可愛い人なのかもしれないけど、やっぱり「超然」って言うよりも「毅然」としたほうが個人的には好み。


「下戸の超然」

自分のことを「俺」ではなくて「僕」と呼ぶ広生は、下戸。出身は九州だが今はつくば市で家電メーカーに勤めている。九州では、「僕」で「下戸」だと、女々しい奴と言われてしまうが、つくば市では「マイペースで理系な男」と思われている。でも、合コンは飲めないこともあり体質に合わず参加しなくなった。
そんな広生が同じ会社の美咲と知り合い懇意になっていくのだが、美咲はお酒をよく飲む女性だった。
タイトルが示すとおり、下戸としての生き方が生き難さも含めて、これもユーモアたっぷりに描かれていた。
だけど当事者にしたら大きな問題なんだろう。
「下戸」がテーマだろうけれど、それはひとつの象徴で、一組の男女の出会いから別れまでが、順を追って描かれていてすごく説得力があった。広生が下戸じゃなかったら、この二人はもっと上手く行ったのか?というと、けしてそうは見えないし。
赤の他人が出合って惹かれ合い、だけど、本当にお互いを理解しあうと言うのは、難しいものなのだな・・と、改めて思ったしだい。この「下戸の超然」が3編の中で一番面白かった。


以上2編と首に出来た腫瘍を取るための手術をすることになった作家の物語「作家の超然」の短編集。

「作家の超然」は、視点が天界とか神とか?「おまえは・・・」という二人称の物語なので、読みにくかった。
内容もなんだか哲学的で難しかった。




スポンサーサイト
22:00 : [本・タイトル]た行トラックバック(0)  コメント(0)

コメントの投稿











 管理者にだけ表示を許可

トラックバック

この記事のトラックバックURL