【本】ふがいない僕は空を見た/窪 美澄

ふがいない僕は空を見た
ふがいない僕は空を見た窪 美澄

新潮社 2010-07
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R18文学賞を取ったとのことで、それも納得の濃い描写に最初はちょっと驚くが、勢いのある文体と若いパワーを感じて、グイグイと釣り込まれてさくさくさくっと読んでしまった。
コスプレ好きのいわゆる腐女子(「主腐」)のあんずと、不倫関係を続ける高校男子、斉藤卓巳。コトをいたすときもあんずの言うとおり、コスプレをして、あんずの望む役柄になりきっている。ただれた関係に決着をつけようとした主人公だったが・・・。
という、第一章から始まり、第二章ではあんずの目線で、その次は、斉藤卓巳のガールフレンドの目線で・・と言う風に、人間関係の中で各々が主人公として成る連作短編集。
こういう物語の面白いところは、目線が違うだけで、登場人物の印象ががらっと変わってしまうこと。
たとえば、第一章「ミクマリ」で、コスプレ主婦が高校男子を連れ込んでよからぬコトをしているというだけでは、まったくその「あんず」に共感も好感も持てず、嫌悪感を持ってしまうしかないのだが、第二章の「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」では、なぜ彼女がそう言う行為をしているのか、また、少年への気持ちはどうなのか・・など分かってくる。
すると、簡単に印象が変わってしまうのだ。
私が一番好きなのは、斉藤卓巳の友達が主人公になる「セイタカアワダチソウの空」。
これはどちらかと言うと、この物語の全体から外れた感じがする。友達の人生や生活があまりにも過酷でインパクトが強烈。登場人物たちも曲者ぞろい。これひとつだけでも充分物語として成立できそうなストーリーだった。屈折した人間の内部の「善」を感じることができ、苦々しい気持ちもあったが、爽やかな読後感がよかった。
R18とは言え、エロいだけではなく、描かれている人間関係が切実で胸に迫るものがあった。

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「ふがいない僕は空を見た」★★★★ 窪 美澄 著 , 新潮社、2011/5/2、13版 ( 232ページ , 1,470円)                     →  ★映画のブログ★                      どんなブログが人気なのか知りたい← 2011年...

2011/05/18(水) 00:03:35 | soramove