【本】フクロウからのプロポーズ/ステイシー・オブライエン

4863131011フクロウからのプロポーズ 彼とともに生きた奇跡の19年
ステイシー・オブライエン 野の水生
日経ナショナルジオグラフィック社 2011-02-21

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スタジオミュージシャンとして子どもの頃から活躍していた著者ステイシーは、父親の影響で科学が大好き、そうして生物学を専攻して、カリフォルニア工科大学でフクロウの研究に専念していました。
あるとき、教授から、羽に異常があるために決して野生に戻すことの出来ない、メンフクロウのヒナを、自分の養子として迎え一生の面倒を見ることをすすめられます。
本書は、ステイシーがメンフクロウのウェズリーと暮らした19年間にも及ぶ、奇跡のように濃密で愛情深い日々の記録です。

トリ頭・・・なんて、バカの代名詞みたいに使われているけれど、カラスやオウムが賢いことなどは周知の事実で、ウチに飼っている2羽のインコも、ちゃんと人を見て懐いたり(懐かないのもいるけれど・・)しています。
ボタンインコのほうは、特にウチの夫が大好きで・・・・などと書き始めると違う方向に行くので止めておいて(^_^;)。

ウェズリーはものすごく賢くて繊細です。
読み進むほどに、驚きの連続。写真も載っているのですがその姿のかわいらしさ(著者もかなりの美人さんです)と、生態や性質の特異なことに驚いたり、愛しく感じたり・・・まるで目の前にステイシーとウェズリーがいるかのように、ワクワクドキドキしながら読みました。
まず大変なのがエサの確保でしょうか。
メンフクロウなどフクロウたちはとにかく健啖家(というのか?)。すごい勢いでネズミを食べるのです。
(余談ですが、森林の伐採によって、フクロウの住処である洞を持つ木がなくなり、フクロウがいなくなるとネズミが大繁殖してしまうのです。)
ペットショップでマウスを買ってきて、殺して(!!)冷凍庫で冷凍(!!)。
食べるときにレンジで(!!!)解凍・・・という、まぁ常人であればちょっと考えられない生活です。
鉤爪やくちばしの鋭さも、人間には大きな危険を伴います。洋服なんかもぼろぼろになったよう。
でも、学者として動物を何より愛するステイシーには、そんなことはなんでもないことのようでした。
また、メンフクロウは耳からの情報(物音)で世界を把握するとか。目で見たもの(視覚)で世界を構築している人間にはどんなものか想像もつきませんが、描写に寄るととてつもない聴力のよう、などなど、驚かされることが満載。
特に興味深かったのは、メンフクロウが群れない生物だそうです。いわゆる「しつけ」というのは、群れる性質を持つ動物にしか出来ないことなのだそうです。ステイシーもウェズリーをしつけようとか、(都合の)悪い行動をいさめたりしようとせず、じっと付き合うのです。いったん、声を荒げたりきつく接したりしてしまうと、もう二度とヒトに懐かなくなるのだそうです。
また、メンフクロウは雌雄で番うと、一生をそのパートナーとともにすごし、添い遂げるのだそう。相手が先に死んでしまうと、自殺とも思えるような、【自ら生きることを捨てる】とも取れる行動で、本当に死んでしまうことすらあるのだそうです。
それは、ウェズリーも同じで、ステイシーをパートナーと認め、それはもう献身的に尽くします。
驚いたのは、寝ているステイシーの口にネズミを入れてくるなど、聞けば身の毛もよだつのですが、ウェズリーはいたって真面目。ステイシーの身を案じて、どうしてもネズミを食べさせないと気がすまないらしいのです。
また、ステイシーの髪形が変わってしまうと、とても大きな反応・・それは、たとえば結い上げた髪がステイシーの頭部を襲っていると勘違いするため・・・・・など
こんな風に、はたから見ればコミカルですらある二人の同居生活。
一体誰がこんなに、一人の女性を心から一心に愛する事が出来るんだろうか?と思うような、愛情深いウェズリー。
そしてみごとな献身でその愛情にこたえて、ウェズリーを大切にするステイシー。
耳の良いステイシーはウェズリーの鳴き声を聞き分けて、また、ウェズリーはステイシーの声と行動をインプットして、二人の間には「会話」も成り立つなど・・・二人の出会いと生活は、まさに奇跡のような19年間なのです。とてもとても胸を打たれました。
また、ステイシーが動物の研究者でもあるために、生態が実に科学的にも解説されていて、その点もとても読み応えがありました。
さて、19年というタイトルのとおり、ウェズリーは19年でステイシーの元を去っていきます。
そのときの描写は、ステイシー自身の難病のこととも重なり、涙なくて読めません。
でも、幸せだったよね、ウェズリー。
たいへん感動の一冊でした。








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