【映】終着駅 トルストイ最後の旅

終着駅 トルストイ最後の旅 [DVD]
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ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2011-02-23
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DVDも発売直前ですが、近くの劇場にて短期間上映だったので観てきました。
ものすごく面白い物語で、感動させられて泣きました。
トルストイの作品の著作権をめぐって、その妻のソフィヤとトルストイ主義者の筆頭チェルトコフの確執。
妻を愛してはいるが、主義は捨てられないトルストイ。家庭の中もトルストイ主義者と反トルストイ主義が入り乱れて、凄まじいバトルが繰り広げられます。やがて疲れ果てた文豪は最後の旅(家出)に出るのです。
その一連の物語を若き真面目青年秘書、ワレンチンの目を通して描きます。
このワレンチンにもやっぱりドラマがありまして・・・。生真面目でストイックを貫こうとしているワレンチンですが、トルストイのコミューンの中で初めて人を愛するのです。
トルストイとソフィア、そしてワレンチンとマーシャ、二組のカップルが繰り広げる愛憎劇としても見応えがありました。
しかし、とにもかくにも、妻ソフィヤです。
自分が一家の主婦であることからも、悪妻と言われる妻ソフィアに感情移入。
映画の初めっから、トルストイが好きで好きでたまりませんオーラ全開のソフィヤ。ヒステリックにさえ感じるほど夫を愛しているようなのです。
もうおばあさんと言ってもいいトシなんだけど、夫に向かって「愛している」「私のこと愛してる?」などと繰り返したり、なんとか自分のほうを向かせようとするところなどは、なんとも可愛く見えてしまいました。
でも、崇高な理念を持つ夫に対してあまりの俗っぽさは、滑稽ですらあります。
その結果、深く愛し合っているのに、主義のために引き裂かれる二人。愛し合いつつ憎み合ってしまう。どんどん溝が深まるばかり。切な過ぎます。
妻が夫に生活の保障や安定を求めるのは普通のことじゃないか?と思いましたが、あまりにも偉大な夫には「ごく普通」「平凡」であることすらも罪なのかも知れません。

トルストイの作品も読んだことがないし、その人生も知らずに見てしまったけれど、トルストイについて少なからず前知識を入れていたらもっと映画も楽しめたと思います。
でも、知らないからこそトルストイの圧倒的なカリスマ性や、文豪としてだけではなく思想家として人々をひきつけ、おおきな影響力を持っていたことがおいおいに分かってくる前半部分も、なるほど!という驚きがあったので、何も知らないことが却って良かったかも知れません。
知らなくても充分楽しめる映画に仕上がっていたことも明記します。
つねに世間に注目されている彼は、新聞でもトップ記事になるし、行く先には取材陣が押し寄せているんです。(だから映像としても結構残っていて、エンドロールのときに見られます。)今とそれほど変わりない光景も、面白かったです。

魅力的な人物だったんだろうな、トルストイという人は・・。だからこそ、人もたくさん集まってきたんだろう。そこにやっぱり軋轢や混乱が生まれてしまうのは仕方がないのかも。
秘書となったワレンチンが、初めてトルストイと対話するシーンでは、ワレンチンの感動が伝わりジーンとしたし、トルストイが妻との馴れ初めをワレンチンに語るシーンも胸が熱くなりました。
それがラストシーンの感動にも繋がりました。

偉大な文豪(世界で一番高名な作家だとのこと)として、その末路は驚くものですが、孤独を求めても結局あんなふうに人に囲まれて亡くなってしまった事は、皮肉なのか、ほっとするべきことなのか。孤独な人間は人とのつながりを求め、人に囲まれている人は孤独を求める・・そんなものかもしれません。


ワレンチンが死んだのが1966年とのことですが、私と数年、人生が重なっている!
トルストイのフィルム映像が残ってることからも、大昔の話ではなく、近い時代の人だったんだなぁとしみじみしました。

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16:55 : [映画タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

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