【本】七人の敵がいる/加納朋子

4087713563七人の敵がいる
加納 朋子
集英社 2010-06-25

by G-Tools


最近読んだ小説の中で、一番面白かった。
とても良く出来た物語だと思った。感心してしまいました。

バリバリのキャリアウーマンの陽子は、息子の陽太の就学で、はじめてPTAや学童保育と関わりを持つことになる。
しかし、仕事が順調で忙しくもあり、子どもとの時間を大切にこそすれ、PTAや学童保育に役員として時間を割かれるのは本意ではない。「働いている自分には、PTA役員なんてやっていられない」と本音をふりかざしたがために、陽子の周囲は「敵」だらけになってしまう。そんな陽子の「奮闘記」。

主人公、陽子は下手をしたら読者から総スカンを食らうんじゃないかというぐらい、攻撃的な女性です。
言っている事は確かに正しい。正論だと思うけど、正論過ぎて怖い。
そして、陽子は専業主婦を明らかに見下している。専業主婦の能力が低いと、決め付けている感じ。自分はそんな専業主婦のあなたたちとは違うのよ・・と、高慢な感じがするんです。思わず反感を覚えたのは私だけでもないと思います。実際仕事関係者から「ブルドーザー」などというあだ名をつけられたりして。こういう考えの人は多いと思うけど、陽子のように率直に言動に出す人はそうはいないでしょう。
わざとこういうキャラクターにしてあるんでしょうけどね・・・。

そんな主人公ですが、彼女も人の子であり人の親、完璧ではないということがおいおい判ってきます。
なぜなら自ら敵を作るようなことを無意識にスパッと言ってしまったり・・・しかもそれを、反省しつつも何度も繰り返したりして・・・「ひょっとしてこのひと、頭悪いのか?」と思えてくるほどです。
自分には確固たる揺らぎない信念があるんだけれど、息子のためならその信念もグラグラと揺らします。
鼻持ちならない女だったけど(笑)だんだんと、好感がわいてきました。
クチだけ偉そうにするんじゃなくて、やっぱりどんな仕事でもちゃんとできる責任感と能力があるから、見ていると胸がすくような部分もあるのです。

そして、息子陽太の学年が上がるごとに、少しずつその問題点は変化して行き、PTAの関係者だけではなく、夫や義家族や、先生や・・・はては息子さえも、自分にとって「敵」になりうるということが、コミカルながらも読者に深く納得させる形で展開して行きます。
スマートで仕事も出来る陽子ですから、物事の本質を見抜く力が大きい。その陽子の目を通して読者は、PTAや地域の関わり、あるいはスポ少、学校などのさまざまな問題点を見せられます。そこからそう言う組織などの長所短所が見えたりします。陽子と一緒に疑問に感じたり納得したりするのです。

そうしていつしか完全に、陽子の「味方」になってしまっていました。
陽子の家族のほろりとさせられるエピソードも大きな要因です。
そう言う部分をバランスよく組み入れて、1話1話いろんな「敵」の話をしながら、6年間を上手く流れよくまとめてあり、とても読み応えがありました。
結局、PTAのあり方に大きな一石を投じる陽子の姿を、後半は応援すらしていました。
清清しい読後感。

物語として、とても面白かったです。おススメ。












追記


私も子どもを3人育て、PTAに関わってきましたので、若干個人的な感想を。。。。

最初に「役員」と言うものになったのは、長男が幼稚園だったときのこと。
その幼稚園では、先生方にお歳暮を贈る慣わしがありました。
最初は個々に贈っていたらしいけれど、それでは、贈るほうも受けるほうも大変だとかなんとか言うことで、全員まとめて一括して、贈りましょうということになっていました。
それで季節が来ると、役員さんたちが幼稚園の門扉の前で、集金されるのです。
年中の頃、私はお歳暮を贈りたいと思わなかったので、集金の役員さんにお断りしました。
そのときは「任意ですから」と言うことで、特にいやな態度をされるとか、個人的に責められるとか全然そんなことはなかったです。
が、翌年、自分が役員になってしまいまして。少人数の幼稚園だったので、なり手も無く、私は第2子がまだすごく小さかったので断りたかったけど、仲の良くしていた人が(その人も同じく小さい第二子がいた)いっしょにやろうよと声かけしてくれたので、やることにしました。
そんな私なので、申し訳ないことに積極的には役員をやってなかった記憶があります。
大した仕事は無かったけど、問題は「お歳暮」。
(ひょっとしてお中元もあったかもしれませんが、覚えてません)
私は、自分が贈らないのに、役員だからと人のお金を預かり、歳暮を選び贈るのはとても抵抗がありました。
一緒に役員をした人たちもどちらかと言うと、歳暮制度に反感を持っている人が多かったので、そのときは「今年は歳暮をやめよう」ってことになってしまった。
今思うと、そんな昔からある習慣を、一時の役員たちの意見で取りやめるなんて、無謀だったなーと思う。
けど、私も若かったし・・・・。
案の定、それでひと悶着ありました。
昔からその土地で暮らしている人たちにとっては、先生に中元歳暮は当然のことで、役員が集めるのは当然だと。でも我ら役員が頑なに拒んだものですから、かなり険悪になった記憶があります。
で、別の人が音頭を取って、集金して、先生には例年のように贈ったみたいです。
今でもやっぱり、その慣わしには納得できないけど、私たちのやり方も「若かった」なぁ・・・。

そんなことがあって、長男が小学校に入学。
ちょうど転勤があり、まるで知らない新しい土地での就学になりました。
そんな見知らぬ土地で慣れない人たちの中で、また学級委員とか何とか、もうやりたくないと思ったし、出来るだけ避けることにしました。
幸い小学校は人数も多く、ひとり一度は役員を・・・と言われていたはずですが、ならずとも過ぎていきました。
特に学校から声も掛からなかったですし。
でも、子ども会はあったので、息子が6年生になったときに子ども会の役員はやりました。

そしてまた転勤。
次のところでは、長女が4年生からの転校だったので、役員は回ってきませんでした。
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2013/02/05(火) 16:31:09 | 粋な提案