【本】下流の宴/林真理子

4620107530下流の宴
林 真理子
毎日新聞社 2010-03-25

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著者の作品は、近年イマイチパッとしないというか、満足させてくれる作品はなかったんだけど、今回はとても面白かったです。

この小説には2組の家族が登場します。
ひとつは「福原家」。その家の主婦由美子は、「下流」と「上流」をはっきり特別(差別)していて、自分は「上流」の人間であり、子どもたちもことさらには言わずとも、そう育ててきた自負がある。
ところが、二人の子どものうち弟の翔ほうが、高校中退でフリーターになり、そのうえ20歳の今、ネットで知り合った22歳の女性珠緒と結婚すると言う。
由美子はひたすら、下流の人々とは違うんだという気概を持った生き方を、その母親の代から強いられてき生きてきた。そして今ある自分の世界に満足していたと言うのに、息子・翔の人生の道を踏み外したような生き方に、途方にくれています。
長女の可奈はと言うと、大学に入ったときからいわゆる「婚活」しているような女子大生で、由美子の上昇志向と同じような・・・それ以上に貪欲に「上流家庭」を目指しているのです。
このように、福原家の女たちには全く共感できないのだけど、よくよく考えるとその思考はとても真っ当な部分もあるので、由美子に嫌悪感を感じつつも、その言い分を全否定は出来ないのです。
方や、翔が結婚しようとしている珠緒の育った「宮城家」が、由美子の言う「下流」の世界の家庭なのです。
沖縄の離島で生まれ育ったのんびりした気質は、都会の競争社会とはまるで違う社会で育てられたからでもあるのですが、ともかく、この2つの家庭を比べることにより、今現代の社会の構造が見えてくると言うか・・。
珠緒には、読者として好感を持ち始めはするものの、このようにバイトで生きている状況には、決して100%賛同できない。もしも、我が子が、生涯アルバイトでいい、そのとき楽しく暮らせるだけのお金があればいい、先のことは考えてない・・などと言う享楽的にも刹那的にも見える生き方を望んでいるとして、親として100%応援できるのかと言うと、決して出来ないです。
そんな二組の家族のバトルの物語と言ってもいいと思いますが、見応えがあるのは何といっても珠緒。
翔の母親とのバトルから、とんでもないことを言い出すのです。
そこからまた別方向に物語が展開して行き、大変面白いです。
いつもながらの林流ドロドロ感と、いつになく爽快な感じとがミックスしていて、とても面白く読むことができました。
林真理子さんの物語に登場する女たちは、いつもイヤな人たちが多いんだけど、心理描写が上手くて読まされます。
「人というのは、誰でも一度だけドラマの主人公になる時がある。そしてその興奮と熱気の最中に一生が決まり、やがて静かに後悔という冷えが始まるのだ。」
なんて・・・・、ニヤリとさせられる表現も多く、上手い作家さんだと思うんですが。
でも、林真理子さんって、言っては悪いけど結構読者を選ぶ感じがします。
読む人はかなり読むけど、読まない人はほとんど読まない、きっぱり分かれている感じがする。
知名度も高く一般的な人気があるんだけど、私の周囲の「本読み」さんたちには何故かあまり人気があると思えない。
とあるポータルサイトの女性作家人気度としては、トップ10に入っています。
こちら
以下順位引用

 ●第1位/『東京タワー』や『冷静と情熱のあいだ Rosso』の著者「江國香織」さん……18.7%
 ○第2位/『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』の著者「宮部みゆき」さん……18.4%
 ●第3位/『めまい』や『肩ごしの恋人』の著者「唯川恵」さん……12.7%
 ○第4位/『キッチン』や『TUGUMI』の著者「よしもとばなな」さん……11.7%
 ●第5位/『博士の愛した数式』や『妊娠カレンダー』の著者「小川洋子」さん……5.7%
 ○第6位/『夜のピクニック』や『ユージニア』の著者「恩田陸」さん……5.1%
 ●第7位/『かもめ食堂』や『鞄に本だけつめこんで』の著者「群ようこ」さん……4.4%
 ○第8位/『恋愛中毒』や『プラナリア』の著者「山本文緒」さん……4.1%
 ●第9位/『不機嫌な果実』や『RURIKO』の著者「林真理子」さん……3.8%
 ○第10位/『風味絶佳』や『ぼくは勉強ができない』の著者「山田詠美」さん……3.5%

私は割りと読む。
今回みたいな面白いの、また書いていただきたいです。
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