【本】沼地の記憶/トマス・H. クック

4167705850沼地の記憶 (文春文庫)
トマス・H. クック Thomas H. Cook
文藝春秋 2010-04-09

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夏草の記憶
緋色の記憶
死の記憶
夜の記憶
心の砕ける音
闇に問いかける男

に続いて、7つ目のクック作品。記憶シリーズとしては5作品目。
いや~これが一番面白かった!
あいかわらず、一体何が何なのか、「あの事件以来」とか「あのとき」とか含みを持たせた表現が満載で、一体何があったんだ?と・・・加害者も被害者も分からずに読みすすめるうちに、段々と明らかになっていく事実。やっぱり最後には、ハッとさせられる印象深いものが待っていました。

主人公である「わたし」は自身は「良い血筋(高貴な家柄)」の生まれで、「良い生活」を享受しながら、レークランド高校と言う、あんまり「良くない」高校の教鞭をとっている。
勉強熱心でない生徒たちのために考え出した特別授業「悪について」では、ひとりひとり対象となる「悪人」を取り上げて、レポートを書くという授業だった。
そこで、クラスのなかの一人の生徒、エディ・ミラーが、過去に女子大生を殺した殺人犯の息子だと知った「わたし」は、エディに父親をテーマとして取り上げることを提案する。
エディはすすめられるままに、父親をテーマにレポートを書くために、当時の事件を振り返るうち、ある変化に見舞われるのだった。
そして、そのことが、大きな不幸を呼び込むことになるとは、当時の誰も知らなかったのだった。

中心となるのは、エディと「わたし」の関係で、昔の事件に関わっていくうちに、双方が変化をきたしていくのだけど、それだけではなく、「わたし」と父親にも少しずつ変化が起きていく。
「いったい何があったんだろう?」と言う、それが知りたくて読むというよりも、「レポート」によってどんどん変わっていく人間関係が気になって、物語から目が離せなかった。
「わたし」と恋人のノラ、エディとシーラ、そしてシーラの元恋人のダーク。それぞれの人間関係がどんどん変わって行き、その上に「事件」が彼らにどう関わっているのかを知りたくて。

今まで読んだクック作品は、どちらかと言うとラスト、意外な物語が待っていて「えー!!」と驚かされ、その衝撃が何よりの獲物だったように思うけど、今回はラストよりも物語そのものが面白かったと思う。
教師をしている「わたし」の心理描写がなによりも面白かったですね。
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