【本】初恋/中原みすず

4898150640初恋
中原 みすず
リトルモア 2002-02-15

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先日、永瀬隼介著「閃光」を読んだとき、これはかなり「三億円事件」の真相に迫る作品ではないかと思わせるリアリティがありましたが、その感想を書いたときに、ある方面の知り合いの方からこの作品を教えていただきました。
この「初恋」は、宮崎あおいさん主演で映画化されていて、宮崎さんが著者にインタビューしたところ、三億円事件の真犯人はこの人だ・・・と確信できるほど、迫真に満ちたものがあったそうです。

物語は、母親に捨てられ、父親に先立たれ、親戚の家でのけ者にされ、居場所がない幸薄い少女の物語です。
いつしか自分の居場所を、新宿のある喫茶店の、とある若者たちのグループの中に見出した彼女(主人公すなわち著者なのです)は、そのグループのひとりに惹かれて行きます。
そして、その彼が「みすず」を相手に企画した犯行は・・・・。

最初は、何が「三億円事件」に繋がるのか、タイトルの「初恋」とは何か・・・あまりはっきりと伝わってこなくて、じりじりとした感じで読んでいました。
が、事件に結びついてからの、迫真の緊迫感もさることながら、主人公みすずの岸への思慕が、とても切なくて・・これは事件小説というよりは恋愛小説なのだと思い知らされました。
私がもう少し若かったら、こういう小説には心底ほれ込んでいたのではないかな?
とても切ない余韻が後を引き、しばし浸りこんでしまいました。

著者が真犯人かどうか・・については、この小説が伏線の張り方やその回収の仕方など、小説としてよく出来ているために、却って「事件の真相」とは違う、フィクションの匂いがしてしまう感じがします。
だけど、三億円事件の真相は、こんな感じなのだ、と言われても、それはそれで違和感なく納得できるような気がします。
三億円事件そのものが、あまりにも謎に満ちたロマンあふれる事件なので、その真相の影にはこんなロマンスがあったかのかもと言われても、肯定できてしまうのかもしれません。

さて、三億円事件の真相は・・・それがとても知りたいのですが、知らないほうがロマン掻き立てられていいのかな?



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