【本】灰色の虹/貫井徳郎

4103038721灰色の虹
貫井 徳郎
新潮社 2010-10

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伊佐山は昔かたぎの頑固一徹な刑事。
「これ」と狙った容疑者はとことん追い詰め自白を取る・・・という、信念のようなものに突き動かされて事件を追う。
ある呉服屋勤務の独身女性が、自室で殺された。それを調べる伊佐山は、携帯電話のやりとりから、交際相手の男性に目をつけ、事件は解決にぐっと近づくのだった。
そんな伊佐山の命をひそかに狙う男がいた。はたしてその男の正体は・・・。


冒頭からものすごい吸引力が強く、ぐぐっと引き込まれて一気読みしました。
山本周五郎賞を受賞した「後悔と真実の色」よりは、物語に入りやすかったです。
ある事件に関わった人々の「その後」の物語でもあるのですが、昔も今も、この伊佐山刑事の憎たらしいこと。読んでいてともかく、ムカムカしてきました。
冒頭に書かれている、呉服屋勤務の女性殺害事件などは「それは間違いなく冤罪だろう」と読む側は思わされます。状況証拠しかなくても、自白が取れたらそれでいいという、伊佐山の姿勢。現実にも、昔のことだけではなく、今現在もよくあることなのじゃないでしょうか?先日起きた文書改ざんの件だって・・・。ああ、こんな風に冤罪は作られていくんだなと、ものすごい説得力がありました。
伊佐山刑事だけではなく、やる気のない弁護士、自分の思ったとおりに決め付けてしまう検事、そして裁判官。。。本書の中には「それが冤罪だとしても、関わった人々はそれぞれの職務に忠実であっただけで、誰が悪いわけでもない」と言う言葉があったけど、私はそうは思えませんでした。最初に事件に関わった警察が一番悪いだろう・・と。伊佐山が一番悪いだろう・・と思いました。まぁ他の弁護しはじめ、検事裁判官にもともかく腹が立つのですが・・・。
読み終えて、そのあたりのことが曖昧なままになっているのが、釈然としませんでしたが、それはもう「釈然とできないものなのだ」と言うのが著者の言いたいことでもあるのかもしれないとも思います。
でも、私はスッキリさせて欲しかったな・・。
物語としては文句なく面白く、グイグイと引っ張られますが・・・私は冒頭の事件を含め「真実はどうだったのか」なんてことが気になってしまいました。これは物語全体を見れば、些細なことなんでしょうかね?

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17:31 : [本・タイトル]は行トラックバック(1)  コメント(2)
一気に読んでしまいますよね、気になって気になって。
分厚い上に、ページぎっしりぎりぎりまで行があって。(爆)
強引な取調べをした伊佐山といい加減な証言をした雨宮は当然の報いだと思います。

弁護士の綾部も自業自得だけど、ある意味不運だったかな~と。
この男は、どのみちヤクザに食い物にされる日も近かったと思われるので、江木が復讐するのもいいけど、ヤクザに食い物にされて身を滅ぼすのも見たかったな~と。

検事と裁判官は、自分の中の正義を貫いただけなので、とばっちりといえばとばっちり?

一番腹が立った雨宮が助かったのでちょっと残念でしたよ。(爆)

でも私も、司殺害事件も、最初の絶対これって冤罪だよね~の呉服屋勤務の女性の事件の真犯人気になりますよね。
あと、江木のお姉さんどこ行っちゃったのかな、とか、裁判官の浮気してた妻のその後とか、いろいろと気になりますよね。
気になることばっかり。(笑)

2011/05/29(日) 23:46:01 | じゃじゃまま │ URL | [編集]

じゃじゃままさん、いらっしゃいませ~~(*^_^*)
この本読まれたんですね。
ちらっと拝見したら、じゃじゃままさん、貫井さんもたくさん読んでいらっしゃいますね!
私は14冊でした。
一番好きなのは、「乱反射」で、「愚行録」「空白の叫び」となります。
この本は、あまりにももやっとした感じで終った記憶が・・・。
じゃじゃままさんがおっしゃるように、気になることがちゃんと解決されてないでしょう。
そこんところが、不満でした。
でも、冤罪の作られ方・・みたいなの、真に迫ってましたよね!
やってる本人(刑事)が、まったく自分の正義を信じて疑わないって言うのが
一番怖かったりして・・!
こういうの、貫井さん、上手ですよね!
次はどんな作品を見せてくれるのかな。
楽しみに待ってる作家の一人です~~(*^_^*)

2011/05/30(月) 22:07:31 | short │ URL | [編集]

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≪★★★★☆≫ 冤罪によって人生を滅茶苦茶に狂わされた男には、復讐は権利か。当たり前の行為で神さえも背中を押してくれるのか。 江木雅史は、たまたまその日上司と口論になったせいで、たまたま上司が何者かに殺されたせいで、疑われ、そのまま有罪になってしまった。…

2011/05/29(日) 23:38:03 | じゃじゃままブックレビュー