【本】音もなく少女は

4167705877音もなく少女は (文春文庫)
ボストン テラン Boston Teran
文藝春秋 2010-08-04

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冒頭にある、手紙の内容では「殺人事件の真実に関する告白」のようなものがいきなり書かれていて、次のページには「54歳のブロンクスの女店主、麻薬の売人を射殺」という、新聞記事が載せられている。
だから、私はこの本をミステリーだと思って読んでいました。
でもこれはミステリーとは違うと思います。
耳が聞こえないというハンディを背負って生まれてきた、主人公のイブ。
父親には愛されず、その上悪事に利用され、そして母親も父親に酷い虐待を受けている・・。
私はイブが父親に復讐するタイプのミステリーか・・と思ったのですけど、そうではなくて、女たちの間に受け継がれていく愛情の物語だと思います。
イブと母親クラリッサが、ある日偶然出合ったドイツ女性のフラン。
過去、ナチスの迫害に逢い、悲惨な体験をして身心に大きな傷を持つフランは、イブ親子の真の理解者として、そして家族のように寄り添って生きていくことになります。
イブは耳の聞こえないハンディをものともせずに、やがて写真に興味を持ち、自己表現の手段としていきます。
自分たち親子がフランに助けられたように、イブもまたある少女の人生を助けることに・・・。
イブの成長を通して、登場する女性たちの静かな強さと、お互いを思う深い愛情が胸を打つ作品でした。
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12:14 : [本・タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(0)

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