【本】甲子園が割れた日/中村計

410305171X甲子園が割れた日―松井秀喜5連続敬遠の真実
中村 計
新潮社 2007-07

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ん~~~特にゴジラ松井のファンではないです。応援はなんとなくしている程度です。
そして、高校野球は、好きなことは好きですが、そこまでマニアじゃないです。
でも、この本を読み、なんとな~~く知ってはいたけど、こんなすごい「事件」であったのか!と、いまさらながら驚いた次第。
ともかく、まず、甲子園の舞台でとある高校の采配が、こんなにも物議をかもして、世間を動かし、選手たちに影響を与えたと言うことに、驚くばかりでした。

著者は、明徳義塾の当時のピッチャー、河野和洋氏にまずは接触し、インタビューを試みます。
「本当は勝負したかったんじゃないの?」
何度も訊かれてきた筈の、一番聞きたい質問をぶつけるために向かい合う河野氏は、しかし、決して著者の思うような反応を見せてくれず、著者には失意が宿るのを禁じえない結果のインタビューです。
当時の選手、監督、コーチ・・・そして松井本人、何人にもインタビューしても、誰もが著者や世間が求めるように「勝負して欲しかった」なんてすっきりとは言わないので、どちらかと言うと肩透かしを食らうような印象はありました。でも、インタビューを重ねるうちにようやく、真実らしきものが見えてきます。いわば、真実なんてあるようでないもの。
インタビュアーにも世間にも、どうしても言わせたい言葉「本当は勝負したかった」と言うこと、それは一般人としての勝手な押し付けであり「夢」なのかも。

それにしても、驚きのエピソードが満載でした。
まず、松井のバケモノのようなエピソード。ファンの方には周知に事実かも知れないけど、中学のときの軟式では、松井が打った軟球が全部破裂してしまうとか!先生に間違えられて、相手チームの監督に頭を下げられるとか、スウィングの速さや飛ぶ球の速さが尋常じゃなかったとか、カットするつもりで当てたらホームランだったとか、練習試合などは観客で一杯になったとか・・・中学高校のときのエピソードがもう、普通じゃなくて、今更ながらに松井と言う選手のすごさに驚かされました。
件の5打席敬遠のときの試合、試合中に野次やメガホン、ゴミの投げ入れ・・・勝った明徳義塾の校歌が歌えないほどに「帰れ」コールが沸いたとか、翌日の抽選会では主将が水を掛けられ罵倒されたとか、いたずら電話や脅迫電話、嫌がらせのオンパレード・・などなど・・・
当時、もしも、自分が甲子園を見ていたら、松井のファンだったら、星陵の応援をしていたら・・・多分、松井の打席を5打席すべて連続で敬遠した、明徳義塾の采配に私も思いっきりブーイングしたかも。
いや、しなかったかもしれませんが、それはその時に体験してないとわかりません。

たかが高校野球
されど高校野球

いろいろと考えさせられ、知らなかったエピソードにうならされっぱなしの一冊でした。



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10:31 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(4)
shortさん、こんにちは!
私はこのこと、すごくよく覚えてます。
松井が阪神ファンだって聞いて、注目してましたから。
この試合の問題点は2つあったと思います。
試合の後、明徳義塾の監督が、「負けたら地元で何といわれるかわからない。だから、とにかく勝ちたかった」というようなことを言われたんですよ。
でも、もひとつ先、「でも、全部敬遠したら、もっと酷いことを言われる」ということまで想像しなければいけなかったと。
学生野球の監督なら、部員のそれからも考えてやらないとね。
そしてもう一つは、星陵の監督が松井でしか勝てないチームを作ってしまったことだと思います。
どちらの部員もその後はいろいろあったんでしょうね・・・。

2010/09/27(月) 12:01:59 | kei │ URL | [編集]

keiさん
コメントありがとうございます!
覚えてらっしゃいますか?さすがです!!
テレビでさんまとかが「エライ事件が起きた」みたいに言って、ともかく世間を騒乱の渦に巻き込んだとか・・←ちと大げさか(笑)
本人たちはそれほどに大きな問題になると思ってなかったそうで、びっくりしたみたいです。
そう、おっしゃるように、明徳義塾の体質ですね。
ともかく、カルトにも似た環境で、選手たちは強化されてきて、勝つのが当然と義務付けられてたみたいで。
これもおっしゃるとおりですが、星陵はそれほど強くなかったとのこと。
(無論甲子園レベルでの話ですが)
もともと北陸の星陵よりも明徳のほうが強かったと言うイメージらしいです。
ピッチャーが、これほどまでにすごい選手だったら一人でも勝てる。
だけど、それがバッターでは勝つことは出来ない・・ってことも書いてあって、そうだよなーと深く納得。
だから、このことは却って松井にはプラスイメージになったのでは、と書かれてます。
監督と言えば、星陵の監督が試合終了後に「勝負して欲しかった」と明徳を責める発言をして
そのあと、高野連の会長も「高校球児らしく、敬遠に逃げずに勝負をすべき」と言うコメントを出したために
高校野球では、「敬遠」がタブー視される傾向になったとか・・・
あるいは、その後の西武の裏金問題なんかでも、より高校野球は清廉潔白さを求められるようになり
逆に、ゆがんだ体質になってしまったとか言う意見も書かれていました。
ともかく、試合後の喧騒がすごくって、選手たちが可哀想です。
明徳の、星陵戦の次の試合なんか、広島工業との試合だったそうですが
そのあたりの成り行きも興味深いですよ。

かわいそうなのは、明徳のピッチャーの河野氏と、星陵の5番バッターの月岩氏で、
まぁ彼らにも色々あったようです。
やっぱり方々で色々言われたりして、イヤになりますよね。
このことは中々語りたくない・・と言う人が多かったようで、取材も難儀したらしいですよ。
アマゾンの評価は高いですが、私はちょっと読みづらかったかな、文章的に。
よかったら読んでみてください。
怪物みたいな松井のエピソードなんかもかなり面白いです。
やっぱりこういう選手がいると盛り上がるんでしょうね!
こういうの読むと、当時に戻って試合観戦したくなり、何で見てなかったんだろう?と
とても悔しい気分です(笑)
だから私は白鵬が負けるまで、リアルタイムで大相撲見るのです←そこ?(笑)


2010/09/28(火) 09:38:50 | short │ URL | [編集]

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2010/10/17(日) 07:25:30 | - │ | [編集]

Rさん!
コメントありがとうございます!
お元気でいらっしゃいますか?

実際に、5打席敬遠を見ていて覚えていらっしゃるとは。
貴重な証言です。ありがとう!(笑)

敬遠してたからこそ、ここまで話が残るので・・・
なんだか皮肉なものですね。

またお越し下さい。
お体お大事に。

2010/10/20(水) 16:47:53 | short │ URL | [編集]

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