【本】OUT/桐野夏生

4062734478OUT 上 講談社文庫 き 32-3
桐野 夏生
講談社 2002-06-14

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4062734486OUT 下 講談社文庫 き 32-4
桐野 夏生
講談社 2002-06-14

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自分の読書記録を見てみると、1997年に読んでいますが、唐突にもう一度読みたくなって借りてきました。
(桐野さんの本を読んだのは、これが初めてだったか、乱歩賞受賞の「顔に降りかかる雨」が最初だったか・・記憶にも記録にもないけども。)
それからドラマや映画になっていて、私はドラマはあんまり見ない生活なので、ドラマはスルー、映画をレンタルで見ています。
それでも、実は内容をあんまり覚えていない・・。
前半の女4人の関わりとか、それぞれの私生活なんかは印象深かったけど、結局最後はどうなったんだっけ?
と、言う感じで・・。

以下、内容に触れまくりです。未読の方はご注意下さい。







再読して思ったのは、人物の心理描写がたくみだなぁっていうこと。いつも思うんだけどね。
だいたい、夫を殺したからと言って、人に始末を頼むのか?
頼まれたからと言ってそれを引き受けるか?
信用できない相手をその仕事に引き込むか?
たまたまうまくいったからと言って(いや、行ってないけど)その筋の人間がそんな仕事を持ち込むか?
などなど、常識で考えればありえないことだらけの物語・・。
それが、桐野さんに掛かるとさもリアルに感じられるのが不思議です。
雅子がほとんどためらいもなく、引き受けて死体を解体する。
バラバラ殺人と言うのは、女性がやることが多い。なぜならばバラバラにすれば重い死体も持ち運びや処分が手軽に出来るようになるから・・・という統計と言うか、資料みたいなのがあるんでしょう。
桐野さんはきっとそこから4人の女たちの物語を作ったと思われます。
現実的に考えれば、絶対に自分ならやらない。
でも、雅子たちはやった。
読んでいて「わーーー、ようやるよ!」と嫌悪感を持ちますか?
いや、多分どこかで爽快感を味わう人も多いのじゃないかな~なんて、勝手に想像します。
自分のありきたりの枠にはまった極普通の生活から、物語の中では、抜け出すんですもんね。
枠を破って、自己を破壊しても、身の破滅が待っていようとも、思い切ったことがやりたいっていう願望みたいなのが、誰にでも少しはあるのでは。
それが「読むこと」で「実現」されると言う感じ?
邦子って言う禁治産者が登場します。この人がへまをして、みんなは窮地に立たされて行くんだけど(いやいや、大本は弥生が亭主を殺したから悪いんですが)、この人の目線にしても、すごくいやらしさがリアルなんですよ。貧乏の師匠がアクセサリーをつけているのを目ざとく目にするとか・・。そういう細かいことなんだけど、書き込みが優れているので、物語にのめりこんでしまうんですよね。
後半はもう、なにがなんやら・・って言う感じがなきにしもあらずで、この辺りが「印象に残らない」ゆえんじゃないかと思いますけど・・。
前半のぶっ飛ぶくらいの面白さに比べて、後半のだらだらとどうでも良いような展開は・・ちょっとねぇと、今再読しても思いますが、だからこそ、それを忘れさせるくらいの前半の面白さが印象に残るのですね。多分。
それと、同じ工場で働くブラジルからの就労者の宮森カズオっていう若いイケメンが、雅子に一途な思いを寄せますが、これは中年女が読んで見ると、いかにもいい感じ!(笑)
なんでなびかないで、あっちの男に行っちゃうのかなぁ雅子は・・・。
破滅に向かって突き進む爽快感、桐野さんの小説の魅力のひとつです。
再読してもなお、やっぱり面白かったです。



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2010/10/11(月) 09:56:57 | 観・読・聴・験 備忘録