【本】小さいおうち/中島京子

4163292306小さいおうち
中島 京子
文藝春秋 2010-05

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今回の直木賞受賞作品。
ちょうど、受賞の直後図書館の順番が回ってきて、早速読みました。ラッキーです(^^)
その後、図書館でもどんどん予約者が増えていますからね。
で、早速読んで早々に返してしまったので、手元には本がないのですが・・・。

戦争中の中流家庭で働いていた女中さんであるタキという女性が、当時を振り返る物語です。
大学ノートに書いていく思い出話を、若い甥が読んでは批判めいたことを言うという、過去と現代の二重構造になっていて、物語に厚みを加えています。
タキが書いたことを、歴史オタク気味の甥が「このときはもう戦局はこうなっていたんだから、こんなのんきに生活していたわけがないだろう」とか「おばさんの記憶違いだろう」とか突っ込みを入れています。
私の父親は昭和8年生まれで、戦争当時は少年でしたが、父に語らせるとやっぱり
「戦争中は、戦争が当たり前であって、そういう生活が『普通』だった。
 当然のように自分も、年齢が来たら兵隊になって戦争に行くと思っていたし
 鬼畜米英をやっつけなければならないと思い込んでいた。
 平和と言う言葉は、平和と言う状況を実感するからこそわかるのであって
 当時の生活には『平和』という言葉も概念もなかった。
 ともかく、当時はそれが『普通』だった」
と言いました。
タキが語る当時の生活感は、今現代の私たちが読むとタキの甥のように「こんな能天気な感じだっただろうか」と、ちょっと疑念もわきますが、私の父の言葉を聞いても、当時はそれが「日常」だったんだろうなーと納得できるのです。
タキが語った、赤い屋根の小さいおうちでの数年間の幸せな暮らし。
なぜタキが何十年も経った今、その家でのたった数年間のことが思い出されるのか、読んでいくうちに明らかになるのですが、タキの本心を最後に知り、はっとさせられ・・そして胸が熱くなりました。

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