【本】幻影のペルセポネ/黒田研二

4163233008幻影のペルセポネ
黒田 研二
文藝春秋 2004-09

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というわけで、引き続きクロケンさんの著書を手に取りました。
こちらも面白かったです。
とはいえ、この方はメフィスト系の本格派の作家さん。
私は本格派は苦手・・・。
人物の内面描写よりも、どうやって読者を欺くかに重点が置かれているように感じるからです。
実際、叙述トリックなんかで騙されてしまうと、心地よい敗北感を感じて、読んでよかったなぁと思うこともしばしばあるのですが、やっぱり大体は、殺人や泥棒をするなら、もっと直接的に、もっと端的にやればいい!と思ってしまいます。回りくどいことをしなくてもいいでのは?と思ってしまうのです。
先日読んだ「結婚なんてしたくない」も、本格の片鱗が垣間見えましたが、満足できました。
今回の「幻影のペルセポネ」は、そう言う意味では、「まわりくどい」と感じました。
それらをあわせても、面白かったと思いました。

バーチャルリアリティの仮想空間で、殺人事件がおき、その死んだアバターのマスターも現実世界で殺されると言う不可思議な事件が続けて起こります。
最初の被害者となった「ヒデ兄ちゃん」を慕っていた栗栖は、犯人の手がかりを追うために、仮想空間ペルセポネに入り込む。しかし、そこで知り合ったメグというアバターに急激に惹かれていくのだった・・・。

仮想空間で起きた事件が現実社会にも影響を及ぼすなんて・・・と思っていたんですが、読んでるとかなり本当にありそうな気がしてきました。
聞いた話では、仮想空間で貯めた大金(その中でしかもちろん使えないお金)を、盗まれたとして、現実の警察に被害届を出す人間もいるのだとか。
そう言う人は、かなり仮想空間の生活が自分にとって大きな位置を占めています。
のめり込んだ人間には良く分かるだろうけど、そこまでのめりこんでないと「そんなばかな」と思えてしまうのですが、主人公栗栖の目を通して、実際にそう言う世界に足を踏み入れ、その世界の楽しさを感じ、自分の中のウェイトの割合がどんどん膨らんでいく過程が、よくよく分かります。
笑ってばかりもいられないなぁと、かなり引きつけられました。

ただ、殺人事件の真相、動機などは、本格派の小説なので、冒頭に書いたように、私には「遠回りしている」としか感じられず、謎解き部分はかなり説明的に感じてしまいました。
ただ、読後感も悪くないし、かなりサクサクと一気読みさせられたので、またクロケンさんの本は読んでみたいです。
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