【本】巡礼/橋本治

4104061115巡礼
橋本 治
新潮社 2009-08-28

by G-Tools


ごみ屋敷の住人の人生を丹念に描いた作品です。
ワイドショーなんかでよく話題になるゴミ屋敷。
結構日本全国に点在しているんじゃないでしょうか。
テレビで見ていると、「すごい!」「こんなになるまで放っておいたんだなぁ」「近所のひとはたまらんだろうな」などなど、まぁ人事~・・・みたいなコメントを思い浮かべてそれで終わり。
でも、この本では、その人の人生に何があって、どこがどうなって、ゴミ屋敷になってしまったのか・・・というのが、人生をなぞりながら、昭和の歴史を背景に描かれています。
ゴミ屋敷を取り巻く周囲の反応と絡めて、人々の心理描写がリアルに感じられ、もしも自分だったらどういう風に書かれるのだろうな、などと考えながら読まされました。
前回読んだ「橋」も、同じく実在の事件を昭和史とともに描いてあったので、これらは一連のシリーズと言えるのでしょうね。
でも、「橋」が、フィクションとノンフィクションの間で途半端な感じがしたのに対して、こちらは、ノンフィクションではこうは描けない、フィクションならではの迫力みたいなのを感じることができました。フィクションだからこそ書けると言うか・・・。これはモデルがいたのでしょうか?「橋」の設定と同じように、ほとんど良く似たモデルがあったのかもしれませんが、私はそれを知らないので、まったくの創作と受け取りましたけど。
誰が悪いというのでもなく、何が決定的に悪いというのでもなく、全てのことが絡み合ってこういう結果になってしまった。
防ぎようがなかった・・・と言うこともないだろうけれど、もっと頑張ってナントカしようと思えば出来たかもしれないけど、外野からそう言って主人公を責めるにはあまりにも気の毒な人生です。
一歩違えば、誰にもこういう可能性はある、人事と思っていたけれど、いつの間にか自分が当事者になってるかもしれないですね。
家族や地域のつながりが弱まり、限界集落があふれてくると、まさに人事じゃない。
そんな怖さも含みながら・・・でも悲しくて切なかったです。
ラストはちょっとだけ、ほっとしましたが→ネタバレ(断絶していた弟が駆けつけ問題解決の後、四国八十八番札所を巡礼する・・・兄弟のつながりが復活し、ようやく希望を見出したのだけど・・・)でも、この男の人生はなんだったんだろうな・・と思うと泣かされました。
なんて・・・、人の人生を「なんだったんだろう」と思うとは、それこそ不遜な考えだと気付く。
まぁともかく、人の一生とか人生とかについて、しみじみと考えさせられる部分は大いにありました。
・・・しかし、読みづらい文章でしたわ・・・(^_^;)。
なかなか進まなかったんだけど、読んでよかったです。
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11:33 : [本・タイトル]さ行トラックバック(1)  コメント(0)

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2010/06/29(火) 12:53:03 | 日記風雑読書きなぐり