【映】アジョシ

アジョシ


こんなに夢中になれた映画が今まであっただろうか?
こんなにカッコいい主人公を見たことがあっただろうか?
なんといっても主演のウォンビンのすばらしさに尽きる。
どんなハリウッドのスターたちも、この映画のウォンビンのカッコよさにはかなわない。

その彼をここまで、これ以上ないぐらい、最大限にカッコよく表現した製作側の手腕の見事さ。
両者のコラボレーションはまるで奇跡のようだと思う。
ブラヴォー!!!!
なんという作品だろう。
生涯忘れられない名作、歴史に残る作品だと、私は思いました。
これは、ウォンビンだったからこそ、ウォンビン以外の役者では考えられない。
ウォンビンあっての映画です。


テシク(ウォンビン)は小汚いアパートの一室で質屋を営んでいる。
隣に住む小学校2年生のソミは、麻薬中毒であるダンサーの母と二人暮らしで、十分な世話を受けていない。
そんなソミは無愛想で無口なテシクになぜか懐いている。
邪険に扱いながらも、ソミを気にかけているテシク。
でも、素直に可愛がることができず、ソミを傷つけてしまうことも・・・・。
そのとき、ソミの母親が麻薬売買の現場から麻薬を持ち逃げし、マフィアにつかまってしまう。
ソミも一緒に連れ去られてしまう。
ソミの母親は、盗んだ麻薬をテシクの質草の中に隠していたために、テシクも巻き込まれてしまう。
質屋にマフィアが入り込んできたとき、テシクは尋常じゃない強さでやっつけてしまう。
テシクは何者なのか、そして彼は二人を救えるのだろうか。


平たく言えば、男が少女を命がけで救い出そうとする物語だ。

突っ込みどころは随所にある。
あるんだけど、そんなこと関係ない!!と思う・・というか、突っ込んでいる暇もないぐらいに、スピーディーな展開とキレのいいアクションが展開されて魅せられる。そしてなによりも、テシク=ウォンビンのカッコよさに!
テシクの過去が徐々に明らかになり、なぜこんな、血のつながりもない赤の他人の、隣の子というだけのソミのために一生懸命になるのかが分かってくる。そして、なぜこんなに闇い目をしているのか、寡黙なのか、笑わないのか・・・。なぜこんなにも実践に強いのかも。
その背景と孤独感がいっそうテシクのスタイルを際立たせる。
心憎いまでに、テシクがカッコいい。
テシクが着ている黒のスーツ。そのスーツ姿だけでもカッコいい。
じっと立っているだけの姿がすでにカッコいいのだけど、そのジャケットのすそを翻してのアクションは悶絶するほどカッコいい。素手にしろ、ナイフにしろ、拳銃にしろ、闘っている姿は当然ながら、走る姿も飛び降りる姿も何もかも何もかも、どんなときもカッコいい・・・。カッコいいを連発しているけど、本当に「カッコいい!!」としか言えないのだ!
人を殺すシーンでさえ、冷徹で1ミリたりとも動じない表情がたまらない。

強くてカッコいいだけじゃない。
時折見せる切なくて寂しそうな表情が、またなんともたまらない!
たまにしゃべる低目の声がたまらない・・!
そのせりふもたまらない!
苦しみに耐えている悶絶の顔もたまらない・・!!!
ほんの少しの微笑みもたまらない・・!!
あの目・・・なによりもものを言うあの目が・・・たまらない!!


とにもかくにも、最初から最後までカッコいいテシク=ウォンビン。
彼のカッコよさとストーリーの展開の両方に釘付けだった。
単なる麻薬の取引だけじゃなく、臓器売買など、かなりどす黒い裏社会が描かれている。
子どもが犠牲になるなんて、見ていて痛々しくて恐ろしい。
(と言いつつ、痛そうなシーンも平気な私。映画ならね・・・(^_^;))
あまりに一生懸命見たので、最後にはお腹が痛くなってしまった私(比喩じゃなく本当に痛かった!)。


ソミももちろん、印象的なのだけど、ほかにも、悪役のマンソク兄が本当に「ワル」って感じで、私が大好きな「心置きなく憎める悪者」だったし、そのボディガードはまたイケメンだし(タイの人で、モデル上がりだそう。この人も八頭身以上のスタイルのよさ!カッコよかった!)。
そしてマンソク弟もある種のイケメンだったし、刑事のチーム長もカッコいい。イケメンってことはないけど、しぐさや存在感がカッコよかった。
誰もウォンビンにはかなわないんだけど、イケメン祭りみたいな映画で、眼福であった。


眼福だけではなくもちろん、ラストの感動は言葉もない。
強い男同士の一騎打ち、容赦ない制裁・・・そのあとに待つものは・・・・。
泣けて泣けてたまらなかった。
抱きしめてやってよ、テシク・・・手が血だらけだっていいじゃない・・・!!
うんそうだよと言ってやってよ!!
でも、テシクは自分がこの少女にできることをできるだけして、そして抱きしめる。
その顔が、目が・・・・またたまらないんだ。

ほんとうにすばらしい映画だった。
すばらしすぎて言葉もない。





・・・・・・・・・・と、後日書き直してみました。(^_^;)
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【本】緑の毒/桐野夏生

4048742353緑の毒
桐野 夏生
角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-09-01

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川辺康之は開業医。
しかし、患者よりも自分の都合優先で、温かみのまるでない診察をして、同病院の看護師達にも疎まれていた。
そんな川辺にはある秘密があった。
水曜の夜には、あることをするのだ。
ある事とは・・・。


読んでいて、とんでもなこの川辺の所業に、慄いた。なんという下種なんだろう。人間として最低だ。ましてや医者としてこんな人間がいていいのか。。。。
慄き、呆れ、怒りながらも、こんなとんでもなく悪いやつには、きっととんでもなくひどい報いがあるのではないか・・と、どんな結末が待つのかと思いながら読んだ。
被害にあった人たちも「復讐」ということを考えている。
これは被害者達の、川辺に対する復習劇だろうか・・・・と思ったのだけど、被害者達だけではなく、川辺の妻とその浮気相手、川辺のもと共同経営者の野崎や、その家族などなど、それぞれにドラマが語られる。
その根底には「川辺は邪悪だ」という事があるんだけど、特に「弥生先生」っていうのは一体なんだったの?みたいな、横道に逸れすぎな感じも否めない。
何よりも不満なのは、あれほど期待した川辺に対する鉄槌が、消化不良気味だったこと。
期待しような形ではなかった。
ではどんなものを期待したのか・・と言われたら、それも答えに詰まるけど・・・(^_^;)。
思うに、ページ数が全然足りてない。
それぞれの登場人物にドラマを語らせてもらっても大いに結構、むしろ物語に深みが加わる気がして歓迎するけど、それを収めるためにはそれなりのページ数がいるんじゃないかなーと思う。
今回のこの本、分量不足と感じた。
下種男と言えば、前作「ポリティコン」。あの作品で著者は下種男を描くのに快感を覚えたとかじゃないかな?
で、今回もその流れで、もっとひどい下種な男を描こうとしたんじゃないか、と私は感じた。
少なくとも、この素材がたいへん面白そうだっただけに残念だった。
13:31 : [本・タイトル]ま行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】獄に消えた狂気―滋賀・長浜「2園児」刺殺事件/平井美帆

4103308915獄に消えた狂気―滋賀・長浜「2園児」刺殺事件

平井 美帆
新潮社 2011-08

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「精神を病んだ女は法廷で奇声を上げ続け、鉄格子の中に封じ込められた――。

園児の小さな身体を二十数箇所も刺し続けた「中国人妻」。統合失調症に罹患し通常ならば不起訴処分となるはずが、その虚ろな目の前で裁判は強行された――。加速度的に悪化していく症状の中で、女が辿った無期懲役への道程。面会と書簡を重ね垣間見えた、心を覆う漆黒の闇とは? 精神障害者を裁く「司法のタブー」を抉る。(新潮社HP紹介文より)


読み終えて、率直に言うと、結局この事件はなんだったんだろう?と言う印象が残った。
統合失調症という病気の中国人妻が、自分の子どもの同級生(園児)を滅多刺しにして殺してしまった。
問題はどこにあるんだろうか?
本書を読むと、この事件は防げたはずの事件だと感じた。
犯人の鄭永善(てい・えいぜん)は、中国から集団見合いでやってきた。
中国ではエリート中のエリートだったらしい。
いろいろ野心的で夢もあったが、長浜と言う田舎で(長浜のみなさんゴメンなさい)夢破れ、いつしか統合失調症になり、事件を起こすに至る。
この病気はしっかりとした管理が大事なのに、永善の家族はまるで彼女を管理せず、自分たちに都合のいいように投薬をしたりやめたりをくりかえしたらしい。
もっと家族がしっかりと彼女の病気と向き合えば、こんな悲劇は起きなかったのじゃないか・・・つくづく、そう思えてならない。

本としては、なにが言いたいのかあまりよく伝わらない。
事件そのもののせいだと思うけど。
刑法39条によって、犯人が保護される事がおかしいのか?
たとえ、統合失調症によって引き起こされた事件でも、やっぱり犯人は責任を取るべきか?
永善が中国からやってきたから、統合失調症になったのか?
永善が中国人妻だったから事件は起きたのか?

著者がまったく永善と意思の疎通が出来なかったように、読んでいてもこちらに伝わるのは虚脱感のようなものだけ。
怒りをどこに持っていけば良いのかわからないからだ。
被害者家族のようにストレートに永善を憎むのは、本書を読むと、すくなくとも私のような第三者には違うようにも感じる。
だから読んでみて、疲れたし、救いがないというか、どこにも気持ちのやり場がない感じだった。
犯人が中国人であれ日本人であれ、こういった事件は二度と起きないように、なんとかしてもらいたい。
亡くなった二人の園児とそのご家族が気の毒でならない。

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【本】黄昏に眠る秋/ヨハン テオリン

4150018464黄昏に眠る秋 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
ヨハン テオリン Johan Theorin
早川書房 2011-04-08

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スウェーデンのミステリー。

20年前の霧深いある日、忽然と消えてしまった息子のイェンス。
ユリアはずっとその事にとらわれて生きてきて、家族(父親や姉)とも上手く行ってない。
あるとき、離れて暮らす父親から電話があった。
「イェンスがいなくなったときはいていたらしい靴が見つかった」と。
その靴は何ものかが、ユリアの父、イェルロフに送りつけてきたのだった。
それを発端とするかのように、イェルロフの親友が不審な死を遂げた。
20年経て動き出した事件。真相は・・・?


物語は、イェンスの「居場所」を探そうとするユリアの現在と、1940年当時少年だったニルス・カントの生涯をなぞる物語が交互に語られる二部構成。イェンスの行方不明に、このならず者のニルス・カントが関係しているらしいと示唆を含めて進んでいく。
20年も前の事件で、ユリアはもう、子どもが死んでいると思ってる。
思ってるけど、どうにかしてその居場所を探してやりたい・・・という母心に突き動かされている。
それを助けるのが、ギランバレー症候群で歩行もままならない父親のイェルロフ。
ユリアはイェンスがいなくなったときに、イェンスの傍にいなかった父親を責めつつ、自分のことも責めている。
その事で二人はとてもギクシャクしているんだけど、この事件が20年ぶりに動き出した事で、急速に二人の距離が縮まっていくのだ。父親のイェルロフが探偵役、体は不自由だけど頭はさえていて色々と推理を働かせる。決してスマートな感じにサクサクと解いていくわけじゃないけど、慎重に寡黙に真実に近づいていく様が見応えがあった。
イェンスがどこに行ったのかは、この、もうひとつの物語であるニルス・カントの物語を読み進めるしかない。
しかし、イェルロフの推理が真実に近づくのと、ニルス・カントの行動が核心に迫るのとが、次第に近づいていって緊張感がある。
愛するわが子を無くしてしまった母親ユリアの、深い後悔と喪失感が痛々しい。
が、やっとそれも癒されようと言うときに、明かされた真実は・・・・。

でも、最後の最後はホッとできた。辛く苦しく長い旅路にやっと終わりが来て、特に豪華でもないけど暖かいリビングで一息つけた・・そんな感じのユリアの心境だったんじゃないだろうかと思う。




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【本】解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯/ウェンディ・ムーア

4309204767解剖医ジョン・ハンターの数奇な生涯
ウェンディ ムーア Wendy Moore
河出書房新社 2007-04

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皆川博子作「開かせていただき光栄です」が面白かったので、関連本として紹介された(皆川氏も参考文献に挙げていた)本書を読んだ。
「開かせて・・」のダニエル先生のモデルとなった人物の伝記です。

面白い!
偉人である!!ハンター先生、どんだけパワフルなんだ!と驚愕する。
この人がやったことは、私はここではもうご紹介しないけど、外科的分野がすごく低く見られていて、イボを切ったりするのは床屋さんの仕事だったと言う時代に、自ら進んで死体を切って開いてその目で人体(他の動物も)のからくりを臨床研究していった人物だ。

「開かせていただき光栄です」に登場するダニエル先生は、口を開けば「もっと死体を!!(解剖するための)」と言う。
口癖のように。
それが作中とてもユーモラスなのだけど、本物はもっとすごかった。
解剖するのも寝る間を惜しんで。勤勉とか言うレベルじゃない。
それに、死体蒐集にかける意気込みたるや半端じゃない。
ハンター先生の生前も、後年には知識人たちの間では自分を死後解剖してもらうのが「流行」のようにさえなったらしいが、一般人には解剖して切り開かれずたずたにされると言うのは、とんでもない恐怖だったよう。
そんな中で墓を暴き、死体を買いあさる。他の解剖医たちも同じように死体を欲しがり、需要と供給のバランスが崩れて、死体取引はとんでもない様相を呈したとのこと。
イギリスだけの話じゃなく、アメリカにも飛び火した死体争奪戦。
反対派の市民との確執もすごかったらしく、暴動まで引き起こしたとか!!
そう言う細かなエピソードの一つ一つがとても魅力的だった。


この人は「近代外科学の父」と呼ばれているらしい。
ダーヴィンが「種の起源」を書いたときよりも70年も前に、動物の進化論を発見していた。
当時はキリスト教の影響から、万物は神が創ったと信じられていたらしい。
だから、今ある生物はその形のまま、何千年かまえに創られたと言われていて、その意見に異議を唱えると言うことは、神に対する背信行為として、常識では考えられない危険思想だったんだそう。
でも、どんな動物の死体も解剖して骨格から調べては、ハンター先生は自分で、進化論に気づく。
今でもそうなんだけど、「定説」を打ち破るということはとても難しいことだと思う。
まず、そのことに疑問を抱かなければならない。
ハンター先生は子どものころから、何に対してもまず疑問を抱き、自分の目と手で疑問を解いていったそうだ。
本を読むのが嫌いだったから、既成の事実にとらわれず、自分なりに事実を追求することが出来たとのこと。
私などは、なんでもかんでも読んだこと、言われたことをそのまま信じ込んでしまう。
Aは白、Bは黒と言われたらそれを信じるし、今のは間違いでして事実は逆です・・と言われたらまたそれを信じてしまう。
私のような人間とは正反対の人物だ。
特にそれが宗教がらみで「疑問を持つこと」「違う説を唱えること」が異端視されてしまう時代には、もっと困難だったろう。
ハンターの発見はさまざま、とても現代医学に貢献しているらしい。
実はこの本を読んでいるとき、わざとじゃないのだけど、夫が扁桃腺の切除手術をした。
ハンターの頃はまだ、細菌が発見されていなかったので、手術などもすべて滅菌しないで行われたらしい。
さすがのジョンハンターもまだそこまで発見してなかったみたい。
だから手術=感染症で、亡くなる人が多かったんだとか。
今の手術は当時から見たら格段の進歩で、感染症などはよほどのことがなければないだろう。
現代医学は、ジョン・ハンターのような先人達の苦労や努力の末に成り立っていて、我らは大いにその益を享受しているんだなぁとしみじみ実感した。
この人が残した骨格や標本は、今でもロンドンにあるハンテリアン博物館に展示されていて、一般人も見ることが出来るのだそう。240センチ近くの巨人、チャールズ・バーンの骨とか・・・ぜひとも見てみたい!!
近くにはホラーファンにはたまらないんじゃないかと思われるロンドン・ダンジョンなんていうのもある。
この界隈、いつか旅行してみたい!!と、切に思ったしだいです。

ところで、このハンター先生の偉業を陳列してあるハンテリアン博物館は、ハンター先生の最後の弟子ウィリアム・クリフトによって献身的に保存されてきたらしい。
ハンター先生はとっても魅力的な人物で生徒達にとても慕われたらしいけど、反面、気短で激昂しやすく、そのために敵もおおかったようだ。死後、ハンターを裏切ったのが、身内である義弟のエヴァラート・ホームなる人物。
身内にこんな敵がいて、ハンター先生の偉業は下手をしたら今のように残らなかった可能性もあったのではないか。それを残したクリフトはエライ!
彼はハンターの弟子になっていた期間はたった1年半。
にもかかわらず、深くハンターを理解し、手助けした(もちろん勉強も教えてもらい)。
クリフトはハンター先生に出会ったことを良かったと思ってると思うけど、ハンターにとってもこの弟子との出会いは僥倖だったのじゃないだろうか。
最後の弟子がこんな献身的な聡明な人物で、本当によかった。
最後にその救いがホッとさせてくれた。

そして、これだけの偉大な業績を上げた人物の・・しかもずいぶん昔の人なのに、ここまで取材してここまで明らかにしたなんて、この著者のライター魂に敬服、脱帽、ひれ伏すのみです。
ハンター先生、クリフト助手、そしてウェンディ ムーアさん、ブラヴォー!!ハラショー!!です。


16:14 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(2)

【本】花の鎖/湊かなえ

416329970X花の鎖
湊 かなえ
文藝春秋 2011-03-08

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勤め先の英会話教室が経営破綻して金欠の梨花。(花・あたし)
入院中の祖母は手術が必要だった。そのうえ、あるものをオークションで落札して欲しいと祖母から頼まれてしまう。
母の元へいつも届けられていた豪華な花束、それは謎の人物「K」からの贈り物であり、その「K」は両親が一度に交通事故死した3年前に、自分に援助を申し出てくれた。
今はじめてその「K」を頼ってみようと思い立つ梨花。

Kとは一帯誰なのか。

和弥と幸福な新婚生活を送る美雪。(雪・私)
和弥はいとこの陽介と一緒に独立して、デザイン事務所を構えることになる。
そんな和弥はある建物の設計を計画していた。

その計画とは?

絵画教室で絵の講師をしながら、和菓子屋「梅香堂」でアルバイトをしている「さっちゃん」こと紗月。(月・わたし)
「K」から届いた手紙の中には「相談したいことがある」と書かれた、学生時代のルームメイト希美子からの文面があった。
希美子とは学生時代に、付き合いがあったのだけど、あることがきっかけで絶縁してしまっていた。

あることとは?



読み終えて正直言えば、結局のところ人物相関がややこしくて整理するのに少し苦労する。
Kとは誰か・・・・というのが、大筋の謎なのだけど、登場人物が片っ端から「K」なのだ。
読みながら「この人もK、この人もK」と、Kを追うのに一生懸命だったような気がする。
主人公3人のつながりは一体なんなのか・・・ヒントはきんつばの美味しい梅香堂。

物語の雰囲気を味わうと言うよりも、ミステリーとして謎を解くことに気持ちが行ってしまった。
たいした謎ではなかったと言う印象もあるけど、謎解きの後も尚混乱してしまった。

(ネタバレあります ご注意願います)





ともかく、私の夫を栄光を奪った上で死に至らしめたいとこが憎い。
それを花束だとか援助だとか、罪滅ぼしのつもりか知らないが、上から目線だし、梨花が感じたように「そんなことで罪は消えないわよ」みたいな気持ちはこちらも感じてかなり不愉快になった。
それに、Kの代理として現れて、梨花に不愉快な態度を取ったのは、Kの息子なので、いとこたちの孫と言うことになる。
コイツがまた不愉快で忘れられない。終盤にきて全てが明らかになると
「じゃあなんであの時梨花はあそこまで罵倒されなければならなかったんだろう?」
と、ムカついてしまった。
最後はめでたしめでたしでキレイに収まったのかもしれないけど、私にはその不愉快さが最後に来て余計に大きくなった気がした。





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【本】夏草のフーガ/ほしおさなえ

4344020138夏草のフーガ
ほしおさなえ
幻冬舎 2011-07-07

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初読みの作家さんでした。

「夏草は神様はいると思う?」と訊いたおばあちゃん。
夏草の入試にお守りとしておメダイをくれた。そのお陰かどうか、夏草は私立で中高一貫ミッション系の望桜学園に合格、入学することが出来た。おばあちゃんも同じ望桜学園の出身だった。
夏草の入学後、おばあちゃんは倒れてしまう。
気づいたときおばあちゃんは、記憶の混濁を起こして、夏草と同じ年齢の中学1年生に戻っていた。
おばあちゃんをその記憶のまま世話をするのに、あちこち無理なつじつま合わせをしたりごまかしたりと、てんやわんやの夏草とお母さん。
そんな時、夏草は、教室である出来事から「イジメ」にあってしまう。
おばあちゃんの記憶は戻るのか、夏草のイジメは・・おばあちゃんの作る「ヒンメリ」に隠された謎は?


読み終えて、印象に残っているのは「ヒンメリ」だ。
ヒンメリってなんだろう?有名なのかもしれないけど、全然知らない。聞いたこともなかった。
おいおい説明はされるのだけど、どうもイメージがわかなくて困った。
なんとなく想像して読み終えてから画像検索かけてみたら、そこに出てきた物体は、自分の想像とは全然違っていて苦笑した。

テーマはなんだろう?
神様はいるのか、いないのか・・。
おばあちゃんの記憶は元に戻るのか。
おばあちゃんのヒンメリに込められた秘密は・・・。
夏草のイジメと学校の話か・・・。
夏草の、ばらばらだった家族の再生物語なのか。

実はどうも印象が散漫で、よくわからなかった。
個人的には「神はいるのか?」と言う壮大なテーマだと感じた。
その宗教色が濃いと感じられ、イマイチのめり込めなかった。

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【本】小説キャンディ・キャンディ FINALSTORY /名木田恵子

4396460309小説キャンディ・キャンディ FINALSTORY (上)
名木田恵子
祥伝社 2010-11-01

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4396460317小説キャンディ・キャンディ FINALSTORY (下)
名木田恵子
祥伝社 2010-11-01

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「キャンディ・キャンディ」については、いまは「醜聞」のイメージがこびりついてしまっている。
素敵な作品なのに、悲しいことだ。

この「小説」は、従来のストーリーに加え、その後の登場人物たちのありようを、手紙形式でさっと紹介している形になっている。
従来のストーリー部分では、漫画作品を思い出し、時には漫画と同じ部分で泣いたりして、懐かしくもあり、また新たな気持ちで感動もして読むことができて「小説版もなかなかいいな!」と思わされた。絵がなくてもみずみずしく脳内補足される、その文章は素晴らしいと思い、釣り込まれた。
手紙部分では、キャンディの独白形式だけど、登場人物たちのその後がちゃんと分かる展開で、よく出来たつくりだなーと感心。ただ、前半部分に比べて、かなり足早に過ぎた感じはしたけれど。

最後に、この小説は物議をかもす「あの人」と言う人物が登場。
キャンディは一緒に暮らしている「あの人」に「おかえりなさい」と言うシーンで終っている。
著者があえて「あの人」と、ぼかして名指しを避けているために、かなりの論争を呼んでいるようだ。
ちょっと検索したら、某巨大掲示板で、ものすごく熱い論争が展開されていて、正直引いてしまった。

もちろん、あの人というのが、アルバートさんなのかテリィなのかという論争だ。

作者あとがきにも、「名言は避ける。読者の判断に委ねる」と書かれていて、そのために読者達は持論をぶつけ合っているので、ほほえましいと言えば言えそうだけど・・・正直どちらも譲らないので怖い・・・(^_^;)。
あくまで私の個人的な意見ですが、完結した「ャンディ・キャンディ」がなぜこんな形でまた、別のラストともとれる物語として発表されたのか・・・・それは、きっとテリィファンに対するサービスなんじゃないかと思います。
漫画のラストでは、キャンディはアルバートさんとその後の人生を共にする・・と言うイメージだった。
私は、アルバートさんが好きだったし、キャンディの冒頭で登場した丘の上の王子様と、ラストで結ばれると言うストーリーにとてもホッとして、満足したのだった。とてもキレイに収まったと思ったんだけど??

だから正直言って、今回の小説の、著者が「読者に委ねる」という、「あの人」の登場は蛇足に感じた。
だって、私の中ではあのまま終っていてくれて、何の問題もなかったんだもの。

逆に、テリィのファンは、どちらとも取れる「あの人」の登場に「あの人=テリィ」だと、希望を見出すことができる。
その後のストーリーで何があったのか、それも、読者が想像するしかないのだけど・・・。
著者もどうせ出すのなら、まったくの「その後のキャンディキャンディ」を出してくれたらよかったんじゃないかな?
その上で、あの人=テリィだというのなら多分納得出来ただろうと思う。
でも、漫画のほうで何十年も前にきちんとキレイに収まったあのラストを、なぜこんな形で覆さねばならないのか??
覆し方と言う点で、はなはだ疑問だった。
覆してないと言うのなら、なぜそれが誰であるのか明言を避けているのか。


著作権問題など知らなかった当時の自分に戻って、もう一度コミックで「キャンディ・キャンディ」を読み返したくなった。
漫画が発行されたらそれが一番いいのに、出来ない。
だからこういう形でしか、物語を次の世代に残せない。かといって、漫画の完全なノベライズではないところが、難しいところ。。

ファンの心理は複雑ですよ。


とにもかくにも「キャンディ・キャンディ」の世界へ一気にどっぷり浸らせてもらえました。
貸してくださったラムちゃん、ありがとう!(*^_^*)



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【本】マザーズ/金原ひとみ

4103045329マザーズ
金原 ひとみ
新潮社 2011-07

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3人の主婦の子育て中の悩みや苦しみ、喜びを描いた物語・・・。
というと、あっさりしすぎだけど。内容はもっとどろどろでグチャグチャです。
子育ての辛いいやな部分だけを掘り起こしているといっても良いぐらい。
正直言って読んでいて疲れたし、そのしんどさが伝わってきて辛い。
最初はともかく読みづらい。
3人が3人とも理屈っぽいので、人物の見分けが付くまでにかなりかかったし、いまいち共感できなくて。

読んでるこっちは、その時代はとっくの昔に過ぎ去ってしまい、苦労したなぁ・・とか、大変だったなぁ・・というのは、私にとっては「思い出」でしかない。それよりも、今、たった今現在も継続中の子育て(というよりも子どもとの対峙?)のほうが問題も大きいし深刻なので(これもきっと過ぎてみたらただの思い出になるんだろうけど)彼女たちが抱えている閉塞感や孤独感みたいなのは、今の私にはそれほどに共感できなかった。
逆に、今まさに小さい子どもを育てている母親なら、恐ろしいほど共感できるのかもなやみをm

それと、登場人物にあまり好感が持てない。
特に作家のユカ。こういう人は友達にしたくないなーと思う。作家ならではの洞察力で、本人にも気づかないところまで分析されて勝手に納得されて・・・ちょっとご遠慮願いたいなーと思った。もちろん、ドラッグ中毒と言う点でも。
キレるときも尋常じゃないキレ方で、そんな風にキレている人間を見た事ないので、嫌悪感がいっぱい。
爽快な気分にさせてくれるキレ方というのもあると思うが、この人のキレ方にそれはない。ただ不愉快だった。

涼子は3人の中で唯一、ごく普通の主婦だから、彼女に一番共感を覚えた。
子どもが一番幼いせいもあり、子育てに行き詰まりを感じている。他の二人が子育て以外のところでも問題を抱えているのに対して、涼子は子育てが一番の悩みであり苦しみになってしまっている。
本人は自覚がないようだったけど、明らかに育児ノイローゼだと思う。彼女には救いの手が差し伸べられるべきだと思ったし、一般的にもこういう悩みを持つ母親は多いんじゃないかと思う。

モデルの五月は、3人の中で、育児と言う点ではかなり理想的なのだけど(我慢強く子どもに優しい育児で感心した)不倫しているから・・好きじゃない。嫌いでもなかったけど。

次第に物語りに釣り込まれたのは、やっぱりその心理描写の巧さのせい。

そして、最終章が圧巻だった。
これはフィクションなのか。だとしたら、良くぞここまでその当人の気持ちがわかること!と驚いてしまった。
自分は幸いそう言う経験がないので、信憑性は計れないんだけど、同じ体験をしたらきっとこうやって苦しむんだろう・・こうやって過ごしていくんだろう・・と言うのがはっきりと分かる気がした。

読むのに6日もかかりてこずったけど、共感できるとか出来ないとか以前に、最後は本当に「すごい!!」と思った作品だった。


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【映】トゥエルヴ

B004X4U7XOトゥエルヴ [DVD]
スティーブン・フィアーバーグ
ポニーキャニオン 2011-08-05

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ある意味、ものすごく気に入りました!!

マイクは病気で母を亡くした。治療費がかさんだために、進学もあきらめ、ヤクの売人になる。
元同級生たちにヤクを売って生計を立てていたが、「トゥエルブ」という、強力なヤクだけは扱わなかった。
あるとき、大親友がヤクがらみで殺されてしまう。
マイクはどうするのだろうか。


主人公のマイク、めちゃくちゃカッコいい!
本来大学生の年齢にしては、ちょっと老けているのでは?と思わなくもないけど、無精ひげのせいで老けていたかも。
笑わない、寡黙な少年(青年か)。
影があって、ロングコートが似合っていて、彼を見ているだけで、「ご馳走様♪」と思った。
久しぶりにときめいた!

でも、話の内容はまったく面白くない。
過剰な、饒舌すぎるナレーション(キーファー・サザーランドのナレーションだった)はうっとおしいし、サスペンスと銘打っていたけど全然そんなことなくて、ただ、馬鹿騒ぎする少年達、ヤクがほしくて身を持ち崩す少女や、ヤクのために命を捨てる若者たちの姿を追っただけ。
だいたい、お母さんが死んだからといって、なぜヤクの売人に??
唐突にもほどがある。。。まぁ彼なりに理由があり、それはラストに判明するんだけど。
「依頼人」「ヴェロニカ・ゲリン」「オペラ座の怪人」などなどのジョエル・シュマッカー監督作品のサスペンスと思って期待すると、きっとガッカリするんじゃないかと思う。

でも!!
・・・というわけで、私は全編とっても楽しみました。眼福~~(*^_^*)

ただ、最後にカノジョとのやりとりがガッカリしたなー。男の美学がない。。ま、この期に及んでそんなことどうでもいいけど。


で、そのマイクを演じたのは、チェイス・クロフォード(Christopher Chace Crawford)と言う男子。
↓写真は、このDVDのジャケット写真で、この顔に一目ぼれしてこの作品をレンタルしたのです!(笑)

cc1

チェイス・クロフォード2

ある映画で、ザック・エフロンの代役をつとめることになっていたらしい(ウィキペディアより)けど、何となく分かる。似ているのが。
(その映画の情報を見ても、チェイスの名前はなさそうなので、流れたのか?「フットルース」のリメイクです)

チェイス・クロフォード3

うん、カッコいい!!好み!!


ここからちょっと話が変わるのですが・・・・。

彼は現在、テレビドラマの「ゴシップガール」に出演しているらしいけど、その流れで「ゴシップガール」の情報を見て今更ビックリしたのが、「ゴシップガール」の主演は、ブレイク・ライヴリー。

ブレイク・ライヴリー

彼女は私の大好きな映画「トラベリングパンツ 旅するジーンズと16歳の夏」のビーちゃんではないですか。
ドラマのほうはあんまり見ないので、こんな風にブレイクしているの知りませんでした。
しかも、レオちゃまの恋人なんだってね。
いやはや、色々とビックリした次第です。


B003EVW5ZU旅するジーンズと16歳の夏/トラベリング・パンツ 特別版 [DVD]
ワーナー・ホーム・ビデオ 2010-04-21

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【映】デッドクリフ

B004SFUDS2デッドクリフ [DVD]
Happinet(SB)(D) 2011-07-02

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フランス映画。
5人の男女が、エライ軽装でハイキングにでも行くのかと思ったら、とんでもなくハードルの高そうな岩登りをやったり、谷底に落っこちそうな危険なつり橋を渡ったり・・・。
先日見た「フローズン」に共通する「バカな若者たちが、過酷過ぎる試練を受ける」物語。
視覚的にも、ロケーションの恐怖と言うか、見てるだけでも足がすくみそうな恐ろしさがあって、序盤本当にゾクゾクさせられたんだけど・・・・途中から、どうも様相が違ってきて、全然違う方向に行って、ガックシ・・・・・みたいな物語だった。

何でそこに殺人鬼がいますか!!

最初の雰囲気で「自然と仲間が敵」みたいな感じで進んだら面白かったのに。
唐突に登場した殺人鬼にゲンナリさせられた。
そっちの怖さはこの際要らなかった。

★★(序盤はよかったので)
17:06 : [映画タイトル]た行トラックバック(0)  コメント(0)

【映】悪魔を見た

B004WI29ZU悪魔を見た スペシャル・エディション [DVD]
Happinet(SB)(D) 2011-08-02

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「冷たい熱帯魚」に続きこれを見て、いささか食傷・・・にはならないけども(^_^;)
こちらも同じく「人体解体系スプラッター」含む映画。

韓国犯罪映画では「オールドボーイ」に衝撃を受け、「殺人の追憶」で感嘆し「チェイサー」「母なる証明」でひれ伏した(笑)。
他にも見ているけど、この4作品が犯罪映画の中では個人的にテッパン作品。(他の映画は「おばあちゃんの家」「JSA」「オアシス」あたりが好きです)

「悪魔を見た」もかなり期待したけど、ちょっと及ばなかったなぁ~~。

めちゃくちゃ残酷!!と言う部分では視覚的に「眼福」な感じはしたけど、心理的に迫ってくる恐ろしさがなかったんですよね。
物語は、ざっと説明すると、婚約者を殺されたイ・ビョンホンが犯人に復讐するという話。
その復讐方法が、どうにも中途半端だもの。
本人的には、「一発で殺しては復讐にならない。徹底的に怖がらせて殺してやる」と言う趣旨。
でも、決定的に不満なのが、犯人の男が「復讐を怖がってない」と言うこと。
イ・ビョンホンがどんなに、何をやっても、あれをやってもこれをやっても、恐れたりしない。
怯えてもない相手に何をやってもスッキリはしない、溜飲が下がらない。
そもそも、その殺人鬼が、最初から露出しすぎで、そのために却ってリアリティがなくなってしまった。
「こんなヤツいたら怖いよ~~」と、本気で思えないのだ。
イ・ビョンホンの行動にもイライラさせられた。
犯人は追い詰められながらもなお、「与えられた合間」にどんどん殺人を繰り返していく。
「合間」なんか「与える」から、関係ない他人まで犠牲になるんじゃないの?と思うと、イ・ビョンホンのやってることに疑問がわく。挙句の果てにあんな事態に・・・・。

この映画は、でも、ラストにこそ「悪魔」が集約されているんじゃないでしょうか。
それはイカン。それはやめて。それだけは・・・!と言う本当に衝撃のラスト。
あまりにも可哀想なのは、チェ・ミンシクでも、イ・ビョンホンでもない。
それは、なぜ彼らがそんな目に合わねばならないの?と言う、人たちだった。
あまりにも後味の悪い・・だからこそ、心に残る映画になったと思う。
悪魔は誰だったんだろう?

★★★
11:16 : [映画タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(2)

【映】冷たい熱帯魚

B004WI29ZA冷たい熱帯魚 [DVD]
Happinet(SB)(D) 2011-08-02

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「愛犬家連続殺人事件」という、実際の事件をもとにして作られた映画。
私はその事件の当事者(共犯者)が書いた「愛犬家連続殺人」を読んだのだけど、本当に身の毛がよだつ恐ろしい事件で、かなりの衝撃を受けた。私のつたない記憶に残る近代の凶悪犯と言うと、オウムの麻原彰晃の次に位置している。(他に「九州一家殺人」の松永太などもトップレベル。)
当事者が語る事件の全容は、それはそれは恐ろしく、読みながら本を持つ手が震える心地だった。

それが映画になると言うので、かなり期待して見たのだけど(期待すると言うのも語弊がありますが・・・・)、いざ映像にしてみると、何にも怖くない・・恐ろしさが伝わってこない。
映画としての脚色はあるにしても、最初のうちは事件をなぞって、主犯の男が共犯者を丸め込み、自分の手足となるように手向け懐柔していく。それがどうにも少し冗長な気がしたなぁ。
娘の万引きから事件は始まるんだけど、日付がいちいち思わせぶりにカウントされるんだけど、なんか意味があったのかな?よくわからなかった。
そしていよいよ問題のシーン。
もちろん、合言葉は「ボデーは透明」だ。この台詞は一生忘れられない。
映画でも健在だった。これを言わなきゃ、この犯人じゃないよね。
でも、本を読んだときほどの衝撃はない。どうなるかを知っているからかも知れない。
だから、事件と同じ流れの部分は、そう衝撃もなく恐ろしさもなく、たしかに映像的に「うえぇ・・」と思いはしたけれど、それだけのことだったように思う。

でも、後半、この映画ならではのオリジナルな展開が待っている。
そこから、俄然面白くなってきて、恐ろしいと思えるようになった。
主人公はどうしてしまったんだろう?
毒牙にかかって、毒塗れになってしまって、崩壊していったのか・・・。
犯人役の「でんでん」と言う役者さんを、私ははじめて知ったんだけど(へんてこなお名前ですな)実際の関根元も、まさにあんな感じだったんじゃないだろうか。
押しが強く、ぐいぐいと人の懐に入り込み絡み取る・・・あんな男に見込まれてしまったら、人生は全く別物になってしまう。あ~~~怖い怖い。
主人公も、気が弱くって、つけこまれ体質なのが雰囲気出ていて良かった。


っていうか、真面目に「怖がりたい」と思って見る映画ではないので?


でもやっぱり怖さで言うと邦画の比較として「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」のほうが怖かった。つい、いつもこれと比較してしまうんだけどね・・・。


★★★☆

4043553013愛犬家連続殺人 (角川文庫)
志麻 永幸
角川書店 2000-09

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10:35 : [映画タイトル]た行トラックバック(0)  コメント(0)

【映】狼たちの処刑台

B004JPHZ0A狼たちの処刑台 [DVD]
ゲイリー・ヤング
アメイジングD.C. 2011-04-08

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すごく面白かった~!
渋カッコいいんだけど、特別なおじいさんじゃなくて、ゴク普通のおじいさんなんですけど。

妻が病気で入院したきり、同じように高齢の友達と静かにチェスをするのが楽しみな、地味な毎日。
でも、そこは治安の悪い公共団地で、町の不良やチンピラが我が物顔で、極悪行為に励んでいる。
たとえば、夜なんかは、普通に歩いていても不良どもに襲われてリンチされてしまう有様。
そんな不穏な町で、チェス友達のレナードは、過激な嫌がらせを受けており、がまんできなくなって奴らに一矢報いようと、軍時代の短剣を持ち出す。
しかし、レナードは逆に、奴らに殺されてしまうのだった。。。


主人公ハリーとその親友のレナード、お互い年老いて寂しい環境のふたりが、毎日のようにチェスをしてほほえましいと思ったら、なんとも治安の悪いところに住んでいて気が休まることがない。余生を平穏に暮らしてもらいたいのにこんな状況で、気の毒で仕方がない。
イギリスって、私が思うよりも治安が悪いんだろうか。
この前も実際に若者達による暴動があったけど、この映画でも似たような場面があり、先進国のイギリスでどうして・・・と思うけど、案外この映画のような感じなんだろうか?
それに、途中で登場するヤク中の売人が、とんでもなく、すごく、ヤバイ人で・・とても演技とは思えない迫力があって、恐ろしかった!!いくら映画でもあんなの滅多に見ない。すごく印象に残る「悪」さだ・・・。怖い怖い。
主人公は結局病気持ちで、ランボーとかコマンドーみたいなことは出来ないが、地味に復讐を果たそうとする。
軍人上がりと言うところも含めてリアルに感じた。

悲しくて虚しいんだけど、どこかでスカッとする。

★★★★


14:26 : [映画タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(0)

【映】バンク・ジョブ

B001Q2HO2Iバンク・ジョブ デラックス版 [DVD]
ジェネオン エンタテインメント 2009-03-25

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面白いサスペンスだった!!

自分でそうと知らず、英国王室や政府高官のスキャンダラスな写真を銀行強盗してしまう男たちの物語。
事実に基づいた物語らしく、それだけでもビックリ。(実話とは知らずに見た。)
事実は小説よりも奇なりとしみじみ実感。
事件は70年代か・・。だからケータイもないんだ~・・・。トランシーバーで喋っていたもんね。
だから盗聴されたりする。
アクション部分やエロい部分は控えめだしテンポもいいし、最初からグイグイと引き込まれて、息をもつかせぬ勢いで見た。面白かったー。
実際の事件は闇に葬られたらしい?
未解決なのか。
事件が事件だけに、ちゃんとした解決は出来なかったらしい。

スリル満点のサスペンス、おススメ!

★★★★
11:48 : [映画タイトル]は行トラックバック(0)  コメント(0)

【映】カンフーパンダ

カンフーパンダ

すごく面白かった!
実は「1」は、それほど面白いと思わなかったので、スルーするつもりだったけど、どこかで「面白い!」という声を聞いて、それならば・・・と見に行ったんです。
そして、評判どおり面白かった!!


前作は、のんきで食いしん坊のパンダのポウが、伝説の龍の戦士に指名されて特訓して、みごと最強の戦士となり、悪を倒す・・・という物語だった。
今回は、ポウの出生の秘密を絡ませて、新たな敵、孔雀のシェン大老と戦うのだ。
シェンは、カンフーも強いけど、最強の武器を持ってやってきた。
その武器の前に、カンフーは歯が立たない。
カンフーの時代は終り、これからは「武器」を操るものが天下を握るのか・・・。
シェンVSポウ、火器VSカンフーという戦いはどちらが勝利するのか。

序盤で、シェンの放ったオオカミたちとの戦いのシーンがあるが、これがすでに迫力満点で面白い!
ポウのとぼけた感じと裏腹に、その強さに痺れる!
マスターファイブの面々との絆も強硬になり、息もぴったり、そして、なによりもカンフーはその型が美しく、戦いの中にも舞いの美しさがあるのがいい。ピタリピタリと型が決まる様は本当に見応えがある。

敵の孔雀が、またカッコ良いのだ。
私達は吹き替えで観たのだけど、孔雀の声は藤原啓二さん。
さすがの吹き替えで、とっても安心して見られたし、また孔雀の迫力、コメディタッチの部分も言うことなしの面白さだった。
カンフーの強い孔雀、私はちょっと「らんま1/2」のムースを思い出したんだけど(笑)。

今回は、ポウの自分探しとも言える物語が入っている。
自分は一体誰なの?どこから来たの?という疑問に答えるように、記憶の奥深くが刺激される。そして思い出す。自分が何ものかを・・・。

感動的だった!
ラストは涙が止まらなかった。

今までCGアニメはなんと言ってもディズニー&ピクサーと思っていたけど、考えが改まるようだったなぁ。
まだ観ていないけど「ヒックとドラゴン」も見ないとね!!

★★★★☆
11:29 : [映画タイトル]アニメトラックバック(0)  コメント(0)

【本】共同正犯/大門剛明

4048742132共同正犯
大門 剛明
角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-07-30

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姫路市内で居酒屋「利庵」を経営する鳴川は、かつて自分自身も勤めていた町工場、弓岡製鎖工場が経営存続の危機に陥っていることを知る。若くして父のあとを継ぎ、経営者となった翔子が連帯保証人になったために、巨額の借金を背負ってしまったのだ。どうにかして弓岡製鎖工場を救いたいと思う鳴川は、その工場で他殺死体を発見してしまう。
その死体は、翔子の借金の相手だった。殺したのは翔子!?そう思った鳴川が取った行動は・・・。

殺人事件があるんだから、一帯誰が犯人か・・という目線で読み進めるんだけど、なんだか、それはそっちのけで借金問題が一番の大事みたいな感じになってしまった。
しかし、それはそれで面白く読めたのだけど・・・。
登場人物たち・・・とくに、利庵の主人、鳴川と、その従業員の萌が印象的で、好感も持てたので・・。
捜査員の刑事二人も、どことなく人情味が「わかる」刑事たちで、魅力があった。
テーマは「絆」とか「情」と言う感じだろう。
利庵の常連客たちをはじめ、いろーんな人たちが、弓岡製鎖工場と翔子のために、心を砕いていて、ミステリーと言うよりも、下町人情もの・・・というイメージだったか。
それはいいんだけど、そこまで「想われている」翔子の存在感がイマイチ薄い気がした。「なんでみんなこの人のためにそこまでやるの?」と言う感じになってしまった。
ラストのオチも少し唐突・・というか、無理やりな感じがした。(ちゃんと布石は敷いてあるんだけどね)

読んでいるときはかなり面白く読めたし、著者の第一作から順を追って読んできているんだけど、だんだんと読みやすくなって来ている気がする。
ただ、読み終えた後あんまり印象に残らない作品かも。
個人的には前作の「告解者」が一番良かったと思う。
でも、今後も追っかけますので、また次の作品も期待しています。
10:58 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】化合/今野敏

4062169827化合
今野 敏
講談社 2011-07-08

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1990年、バブルがはじけて間もない頃の物語。
とある殺人事件で、本庁に勤める若手刑事の菊川は、地元板橋署のベテラン刑事滝下と組む事になった。
事件には最初から烏山検事が介入して、現場の刑事たちはやりにくい。そして、事件は烏山が誘導するかのように、ひとつの事実を「作り上げて」行こうとしている。
抵抗する菊川に滝下は、検事が描く事件を我々が変える事は出来ないと言い放つ。
そんな滝下を軽蔑しそうな菊川だったが・・・。


事件そのものは何の変哲もない殺人事件で、地味と言えば地味。
だけど、その事件を解明しようとする警察内部の描写が、とてもスリリングでぞくぞくする。
烏山検事と言う敵がいて、反旗を翻したい主人公と、外見的には事なかれ主義の、相棒滝下をはじめ、他の刑事たち。
それがあまりにもリアルで、「冤罪はこうやって作られるんだろう」と、ぞっとした。
日本の刑事事件の有罪率は99%を越えているという。
検事は起訴したら99%有罪にするということらしい。
冤罪は五万とある・・・・警察は信用できない・・・などと、感じてしまう。
が、主人公達は、冤罪を生まないように奔走するし、上司にもたてつく。
事なかれ主義を通して、検事の意向に沿っておけば、自分たちは安泰なのに、あえてそうはしない。
そんな彼らにとても好感を感じたし、また、カッコよく感じてぞくぞくした。
事件自体は地味だけど、とてもドラマティックに盛り上がっていたと思う。

「ST」と言うシリーズものの前日譚らしい。
そのシリーズは未読だけど、また読んでみようと思う。


21:41 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】刑事のまなざし

4062170531刑事のまなざし
薬丸 岳
講談社 2011-07-01

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薬丸岳さんは、「天使のナイフ」以来追いかけている、好きな作家さんです。
と言っても寡作というか、この本でたしか5冊目なんじゃないかな?
「天使のナイフ」「闇の底」「虚夢」「悪党」・・どれも読み応えがあります。
個人的に、特に良かったと思うのは「悪党」と「天使のナイフ」。
そして、今回の「刑事のまなざし」はそれらと同じぐらい好きな作品になりました。

こちらは夏目刑事シリーズと言うべき、連作短編集。

オムライス
黒い履歴
ハートレス
傷痕
プライド
休日
刑事のまなざし

の6編からなる。
特に印象に残るのは「オムライス」。
恵子の再婚相手である内縁の夫が放火による家事で焼死した。
恵子には難しい年頃の息子がいて、内縁の夫とはそりが合わなかった。
火事で内縁の夫を殺したのは誰か・・・・。
読者に初めから手の内を見せず小出しにして事実に近づいていく手法で、とても面白かった。
結末もまたインパクトが大きい。

他の章も面白いのだが、全編通して、夏目刑事の人柄が光る。
東野さんの加賀恭一郎のように、人情味のある暖かな懐の刑事なのだけど、こちら夏目刑事は入院したきりの娘がいて、夏目刑事自身も、以前は少年鑑別所で働く法務技官だったのが、30にして突如警察官に転職したと言う、その背景が特殊だし興味をそそられるのだ。
いったい、夏目刑事とその娘に何が起きたのか?
それは最終章「刑事のまなざし」で明らかになる。
自分だったら耐えられないような事実が夏目に突きつけられる。
それでも、夏目は最後に言う。
「世の中から全ての犯罪がなくならない限り・・・・・・」と。
悲しさを内に秘めた夏目刑事は、間違いなく、ミステリー史に刻まれる名刑事になるんじゃないだろうか。
今後も薬丸さん、そして夏目刑事を追いかけたい。

21:22 : [本・タイトル]か行トラックバック(1)  コメント(0)