【本】アンダスタンド・メイビー/島本理生

4120041670アンダスタンド・メイビー〈上〉
島本 理生
中央公論新社 2010-12

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4120041689アンダスタンド・メイビー〈下〉
島本 理生
中央公論新社 2010-12

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仕事一途な育児放棄気味の母親と二人暮らしの黒江は中学3年生。
あるとき、東京から転校生がやってきた。
東京なのに垢抜けてなくて、もっさりした印象の弥生(本では旧漢字)に、黒江は惹かれていく。
しかし、はかない恋は思わぬ別れを呼び、黒江は町の不良たちとつるむようになる。
一方、写真家の浦賀とファンレターのやり取りを通じ、カメラに興味がある黒江。
カメラマンを目指して・・・・。どこへ行くのか、黒江。



序盤、正直言えば一体どこが面白いのか分からず、まるで興味が持てなくて、挫折しそうになった。
弥生が「見える人」という設定も好みではないので、好感が持てず。
最初は我慢の読書だった・・・。
中盤から乗り始めて、下巻に入ったら加速して一気読みした。


特に中盤、弥生と別れて不良っぽい年上の人たちと付き合う辺りの描写は、ふた昔も前の少女マンガ、紡木たくの「ホットロード」を思い出した。そっくり!エピソードも「ホットロード」的だった。きっと島本さんもホットロードを読んでいたんだろうと思う。

弥生のことが本当に好きなのに、上手く伝わらず(弥生もなんだか若者らしくないので、性急な部分が一切なくて、二人の仲が進展せずじれったい)成長して伝わったと思ったら、今度はそれが黒江にとって辛くなったりと、すれ違うふたりが切なく感じた。しかし、肝心の黒江にはいらいらさせられた。恋愛体質と言うか、男にだらしがないというか、「男がいないと生きていけない」タイプの女で、本人的に無自覚なのが余計にこちらの嫌悪感を誘うのだ。
そして、また、母親が好きになれない。
根底には、黒江の、あるトラウマがある。本人は記憶から削除していて覚えてないのだけど、結果的に黒江を支配しているのが、その幼児体験なのだ。母親にとってもそれはどうにも動かしようがない出来事。
黒江は、その体験の「根本」と対峙しようとする。
強いなー・・。
私だったら・・・などとは、なかなか想像できないし、想像してみたところで白々しいだけだ。
以前読んだ「あなたの呼吸が止まるまで」も、同じテーマだった。
そこから立ち直り、成長していく主人公の姿にホッとしたいところだけど、こういうトラウマはちょっとやそっとじゃ直らないに違いなく、黒江も、まだまだ不安を残したままのラストになる。
読み終えたときには、今後の黒江をそっと応援したいし、黒江の撮った写真を見てみたいと思った。


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【本】遠海事件/詠坂雄二

4334926223遠海事件
詠坂雄二
光文社 2008-07-18

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初めての作家さん。
評判が良さそうなので借りてみた。
でも、ちょっと趣味じゃなかった。

内容(「BOOK」データベースより)
佐藤誠。八十六件の殺人を自供した殺人鬼。その犯罪は、いつも完璧に計画的で、死体を含めた証拠隠滅も徹底していた。ただひとつの、例外を除いては。有能な書店員だった彼は、なぜ遺体の首を切断するに至ったのか。

ごく普通の書店員が、殺人事件の第一発見者に。
・・と思っていたら、実はその書店員が殺害した犯人だった。
・・・そのうえ、彼は他にも大量に殺人を犯した猟奇連続殺人犯人だった。

ということを、ノンフィクション風に描いた作品。
でも、ノンフィクションとは思えなかった。
とにもかくにも、リアリティがない感じがした。
もっと若い頃に読んでいたら、スキになったような気がする。


20:57 : [本・タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】ツリーハウス/角田光代

416328950Xツリーハウス
角田 光代
文藝春秋 2010-10-15

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一家で中華料理店「翡翠飯店」を経営している藤代家。
祖父の死をきっかけに一家のルーツを探すかのように、祖母のお供で中国へ旅立つ良嗣と、叔父の太二郎。

描かれているのは、戦中戦後の家族の歴史であり、昭和の歩みであり、それを生きた個人の生き様であろうか。
3世代にわたって、この一家を描くことで、家族とは、生きるとは・・・ということを考えさせられる。

今まで読んできた角田作品とは一風毛色が違う感じがした。
先ごろ読んだ乃南アサ「地のはてから」にも通じるところがあるように思った。

家族を作るものは「根っこ」ではなく「希望」・・・そう結論付けた主人公の気持ちに爽やかな余韻を感じる。
どんな家族にも歴史があり、生きて越し方がある。
じっくり掘り下げてみれば、我が家にもこんな「なにか」があるんだろうか。
などとふと思った。


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【本】東京難民/福澤徹三

4334927521東京難民
福澤 徹三
光文社 2011-05-19

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ごくごく平凡な、、大学生の若者が、あるときを境にどんどんと転落していくと言う物語。
タイトルのとおり、難民になってしまった青年の悲劇を描いている。

あるとき、親が謎の失踪。
授業料が振り込まれておらず、自分の知らない間に、大学を除籍になっていた。
それまでは授業に出るなんて「かったるい」と、サボってばかりだったのだけど、いざ、除籍になると話が違う。
焦ったり嘆いたりするぐらいなら、ちゃんと大学へ行け!高い授業料を払ってくれる親に感謝しながら!
と思うのだけど、自分だって在学中はそれが当然とばかりに通ったし、サボったりはあんまりしなかったと記憶しているが(短大だったし、先生も厳しかった)授業も聞かず、おしゃべりに興じたこともあった。(反省!!)
親が失踪したのだから、生活費の仕送りもなくなって、家賃さえ払えない。
そして主人公が入っているのが、悪名高き(?)敷金礼金なしという、保証のない安くて?怖い賃貸マンション。
こういうところは、家賃の振込みが遅れると即座に契約を解除されてしまうんだと聞いている。
主人公もご多分に漏れず。
住む家がなくなればあとは押して知る生活が待っている。
その辺が、ノンストップで描かれていて一気読み!
リアルな恐ろしさがあった。
友達や彼女ともそれで溝が出来てゆくのだけど(ところで、主人公の友達が2人いて、一人は気のイイヤツなんだけど、もう一人は本当に友達?と思わせられるヤツだった。一切がっさい友達甲斐が感じられなかった)あまりにもいい加減で、どこまでも世間を舐めている主人公の言動に、とってもイライラさせられた。
でも、大学生なんてまだまだ子どもなのかな。
今の私がこの本を読んで、「そこはこうだろう」とか「そうなって当然じゃないか」と思うのは、やっぱり年の功が大きく、年食った分だけ世間に長けた(この大学生よりは)部分があるんだろう。自分だって学生の頃は何にも知らなかったんだから、主人公を責めるわけにも行かないのだけど・・・。

半分ごろまでは、かなりの臨場感でこの転落劇を見ていたんだけど、半分からはちょっと突飛な感じになってきた。
展開が、緩急の急ばかりで同じような状態が続き、飽きてきた感じもした。

ネタバレになるが、主人公はホストになる。
ホストって言うと、なんと言っても新堂冬樹作品を思い出す。
そして、私の大好きな「メタボラ」(桐野夏生著)。
こんなにもホストになってはいけないよ・・・と言う著作があるのに、なぜ若者はホストになるんだろうか。
ホストで稼ぐなんて、懸賞に当たるよりも確率が低いはずだ。

そんなこんなで結局、難民生活を送りながら転落してゆきながらも逞しく成長する主人公の姿を描くのだが・・・最後の最後までイライラさせられたのだった。
最後まで読んで、私が気づいた3つの未解決事項。それが気になって仕方がない。
1.クレジットカードのキャッシング15万円。今頃途方もない金額に膨れているのではないだろうか。
2、賃貸マンションの管理人に預かってもらってる自分の荷物。いくら要らないといっても相手はやっぱり保管料を計上しているのじゃないだろうか。これもとんでもない金額に膨れているんじゃないだろうか。
3.ホスト仲間の順矢のこと。そのままでいいのか。どうにも仕様がないのはわかるが、忘れてるようなので気になる。

ともかく、この本は、こういうことは自分にも起こり得ると注意を促すためにも、若者に読んでもらったら良いと思う。
私世代が読むと、暗澹として陰気になるし、自分の子どもに思いを馳せて胃が痛んでしまう。
恐ろしかった・・・・。

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【本】ユリゴコロ/沼田まほかる

4575237191ユリゴコロ
沼田 まほかる
双葉社 2011-04-02

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少々前に読んだ本。図書館へはすでに返却済み。
読んだときは面白くて一気に読んだんだけど、今内容を思い出しても、あまり良く思いだせない。
「ユリゴコロ」の語源とか、登場する手記の最初のほうは、江戸川乱歩の「赤い部屋」を思い出したとか、そう言うことは覚えているんだけど。
不気味な手記を発見した主人公は、その手記の書き手が自分の母親ではないか、と思い始める。
物語は、手記が語る書き手の人生と、それを読む主人公の生活の二段構え。
全体的に、リアリティがなかったので、面白くて一気読みはしたものの、心に残るものはあまりない。
オチも見えてしまった。
主人公と、その弟とのやりとりが物語りに良い印象を残したと思う。
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【本】我が家の問題/奥田英朗

4087714128我が家の問題
奥田 英朗
集英社 2011-07-05

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どこの家庭にもある、ささやかな「問題」を描いた、家族シリーズ「家日和」第2弾。

甘い生活?
ハズバンド
絵里のエイプリル
夫とUFO
里帰り
妻とマラソン

それぞれの家庭にそれぞれの問題がある。
夫が新婚なのに帰宅拒否症になったり(甘い生活?)
デキると思っていた夫が、実は出来ない「窓際族(今時使わない?)」だったとか(ハズバンド)
仲のよい家庭だと思っていたら、両親に離婚の危機が訪れていたり(絵里のエイプリル)
夫がUFOと通信していたり(夫とUFO)
里帰りの苦労があったり、妻がマラソンにハマったり・・・。
奥田さんだからつまらなくはない。
そのささやかな問題を、自分の家庭も比較しつつ、楽しく読めた。
でも、期待しすぎたか「家日和」ほどのインパクトはなく、さらっと読んでしまった。
この本の中の、どの家庭の奥さんも専業主婦で(いまどき、専業主婦ってそうは多くないと思うのだけど)
問題が起きたら周囲にリサーチ・・など、パターンが似ていて、「またこのパターンか!」と言う気持ちがした。
気持ちのよい話ばかりなんだけど、それも却って不満。
奥田さんだけに、もうすこし、ブラックな笑いがあったらよかったのにな。
長年家庭で生活していると、気持ちいい笑いばかりでは、収まらない。
少しきれいごと過ぎたような気がしたのは、私がひねくれているからかもしれないけど。


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【本】逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録/市橋達也

4344019415逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録
市橋 達也
幻冬舎 2011-01-26

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センセーショナルな本である。
読んでいいもんかどうか・・・悩むところでもある。
私の場合、大好きな高野秀行さんがブログに感想を書いておられて、それを読んで「読む!」と思った。

本としては、正直、微妙な部分もある。文章は、たとえ素人以上だとしても、やはりプロ以下。
読者が知りたい英会話教師殺害の詳細などには触れず、タイトルどおり「逮捕されるまで」の逃避行にのみ焦点が当たっている。

しかし、あえて言うなら、つまらないと言うわけではない。
「読み物」としては、けっこう面白く読める。(かなり不謹慎な言い方だけど)
高野秀行さんも、市橋の逃亡劇に、日本における辺境めぐりを垣間見て「萌える」気持ちがあったみたいで、それも頷ける気がしたし、これがノンフィクションであれば「逃げて!逃げて!」と願いながら読んだのかもしれない。
逮捕のところなどは、角田光代さんの「八日目の蝉」のようでもあり、小説のようだった。

本書から伝わってきたのは、市橋の、ひたすら「逃げたい」と言う思い。
異常なほど強い気持ちだと思ったが、死刑になるかもしれないと思ったら、こんな心境になるのかもしれない。理解は出来ないけれど。

凄まじいまでの「逃げる」事への執念。
まず、逃げてまもなく、コンビニで裁縫道具を買う。
何をするかと思ったら、普通の針と、普通の木綿糸で、鼻を縫ったのだ!
針を刺したまましばらく、いたらしい。
それで顔の雰囲気を変えるのが目的だったらしいけど、結局マスクをしていたらしいから、意味がないと思った。
目立つほくろもカッターで切り取ったらしい。
そして、唇をハサミで切る決意。痛くて途中で断念するも、片側の唇は実際に切り取ったらしい。
そこまで自分でやるという気持ちは、どう考えても共感できない。想像つかない。

逃げるとき、彼女に電話をして「一緒に逃げてくれ」というつもりだったという記述にも、身勝手さが出ていた。
が、これも本人としたら、一人でいることが怖くてたまらなかったんだろうか、となんとなく思う。

亡くなった英会話教師リンゼイさんは、その何百倍も怖かったと思う。

それから、市橋はあまり、自分の家族に触れておらず、親密さのない家族関係なのかと感じた。


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【本】闇のダイヤモンド/キャロライン・B. クーニー

4566024288闇のダイヤモンド (海外ミステリーBOX)
キャロライン・B. クーニー Caroline B. Cooney
評論社 2011-03

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この本もすごく面白かったんです!
海外のYA作品とのことで、海外小説が苦手でも、とても読みやすかったです。
「紛争ダイヤモンド」とか最近は呼ばれていますが、シエラレオネのダイヤモンドは「血のダイヤモンド」というべき、忌まわしいもので、レオナルド・ディカプリオ主演の映画「ブラッドダイヤモンド」にも登場しました。
この本は、舞台をアメリカに。そこで「血のダイヤモンド」をめぐって起きる騒動を描いています。
アメリカの一般家庭を舞台にしているので、映画よりも身近に現実的に感じられる気もしました。
読み終えたときの感動は・・・。
ぜひともおススメしたい。




17歳のジャレッドの家、フィンチ家では、アフリカから来た難民一家を受け入れることになった。
教会の熱心な会員である両親が(というか母親が)決めたのだ。
難民の両親は一部屋に住んでもらうけれど、難民の長男はジャレッドの部屋に、妹のほうはジャレッドの妹モプシーの部屋に居候することになった。
お気楽なモプシーと違いジャレッドは難民一家を快く受け入れることが出来ない。
やってきた難民のアマボ家は、どこか不自然だった。
そして、不必要にびくついているように見える。
その原因は・・・・。


アマボ家の父親アンドレには両手がない。内戦で敵の兵士に両腕を切り落とされたのだ。
マトゥ(アマボの長男)は鉈で切られた傷があるし、妹のアレイクは何らかのショックでものが言えない。
平和に暮らすことが当然のアメリカの子どもたちは、アフリカからやってきた一家の抱えているものの重さに驚く。
逆に、アフリカからやってきたマトゥはアメリカのいわゆる平和ボケのような生活に驚く。
モプシーが、「宿題はサイテー」というようなことを言うが、マトゥには「宿題が最低の日常とはなんと素晴らしいのか」と思う。
両者の隔たりが興味深いし、痛々しいと思う。

この物語はやっぱり、口が利けなくなったアマボ家の妹アレイクの物語かもしれない。
彼女がどんなひどい目に合ってきたか。
そして、いまの家族からどれだけ孤立しているのか。
涙も出ないほどの辛い思いが切ないのだ。
結果、口が利けないだけではなくまるで「生ける屍」のようになってしまっているのだ。
そんなアレイクの心を溶かしていくのはモプシーの天真爛漫さ。
妹のモプシーが、ジャレッドはうっとおしくて仕方がないのだけれど、読んでいくうちに、私はモプシーが大好きになって行った。明るくて思いやりがあって親身になれる女の子。
アレイクの心に届かないわけはない。

実は、この一家はダイヤモンドを持ち込んだ。
そのダイヤモンドは「血のダイヤモンド」だ。今は「紛争ダイヤモンド」と別名を取ることで、表現を和らげているらしい。
紛争ダイヤモンドとはシエラレオネなど内戦地域で産出されるダイヤモンドをはじめとした宝石類のうち、紛争当事者の資金源となっているもののこと。
そのダイヤモンドをめぐって、アマボ家に追跡者が登場する。
それがとんでもなく恐ろしい人物だ。アメリカの平和な家庭に育ったジャレッドやモプシーには想像も及ばないのだ。
そのためアマボ一家だけではなく、フィンチ一家にも魔の手が迫る
そのサスペンスもドキドキで息をつかせない。
ここで最後まで言わないけれど、最後は泣けた。

これがYAで、中高生対象で大人の目にとまりにくいとしたらもったいない。
中高生ももちろん、大人も充分読み応えある作品と思う。
おススメ。


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【本】開かせていただき光栄です/皆川博子

4152092270開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド)
皆川 博子 佳嶋
早川書房 2011-07-15

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最近、本はたくさん読んでいます。
感想を書いてないので、書く時間の分余計に読めているのかな?
そう思うと、読書の勢いが衰えないうちに、もっとじゃんじゃか読んでいこう!!
と思っているうちに、感想未アップは7冊になろうとしています。
(映画のほうも6作品ぐらい溜まっています)
しかし、この本「開かせていただき光栄です」が、すっごく面白い本だったので、とりあえず感想を書きたくなりました。
前置き終り!(^^ゞ




時は18世紀、所はロンドン。
兄の経営する聖ジョージ病院の外科医を勤める、ダニエル・バートンは私設の解剖教室を開いている。
あるとき、解剖教室に見知らぬ遺体が紛れ込んできた。
時を前後して田舎町からロンドンにやってきた詩人志望の少年ネイサン・カレン。
秀でた語学力を買われて、憧れの準男爵令嬢に物語の音読をさせられたり、ゴシップ新聞に寄稿させられたり。
解剖教室と詩人志望の少年。この両者のつながりは・・・。
数々の事件や不審な出来事に、盲目の治安判事、サー・ジョン・フィールディングの推理が冴える。



まず冒頭、解剖教室の様子が興味深く、一気に話に入り込んだ。
死体を解剖しているのだからその描写はグロいけど、師であるダニエルと5人の弟子達とのやり取りが面白くて、とてもユーモラスに書かれていて釣り込まれた。
医学の進歩した現代とはまるで違う当時の医療事情。解剖学は最先端科学であり、それまでの通説や常識を覆し新たな真実を医学に提供すると同時に、相変わらず人々から忌み嫌われる行為であり、イギリスでは非常識な行いだったようだ。
そんな中で、ともかく解剖がしたくてたまらないダニエルの口癖が「もっと屍体を!」なのだ。
科学者の立場で、なるべく多くの屍体を臨床解剖したいとの切実な願いがこもっている。
そんな解剖教室にいつの間にか忽然と出現した2体の屍体。
両方とも損傷の激しい屍体だ。
一体どこから来たんだろう・・・と、読み手も先が気になって一気に読まされる。


事件を解決していくのは、盲目の治安判事、サー・ジョン。
賄賂が横行して汚れきった法曹界において、希少な清廉、そのうえ聡明な判事だ。
判事には目の代わりを務める助手がいて、それが当時には珍しく女性であり、判事の姪であるアン=シャーリー・モア。彼女がまた「使える」助手なのだ。判事の目となり足となって事件解決の手がかりをつかんでいく。
この二人の関係は、ふっとリンカーン・ライムとアメリア・サックスを連想したのだけど・・。

目が見えないけれど、判事はその分聴覚がすぐれている。
物音にも敏感だし、人の声もすぐに覚え判別し、そして声色から相手が真実を語るのか嘘を言っているのか分かるという。
そんな判事と、目に見えない(わからない)「敵」との推理合戦がとても面白い。
物音や声だけで事件の真実に迫っていく様子は、とてもスリリングで読み応えがあった。
聡明な人格者のサー・ジョンは好感が持てた。

この、サー・ジョンを相手に、ダニエル先生はとにもかくにも「もっと屍体を下さい」の一点張りなのが可笑しくて。
「妊婦の標本を作りたい」「妊娠月に沿って何体も必要だ」「胎児の標本も欲しい」・・・などなど。
それを大真面目に主張するものだから、サー・ジョンも呆れるやらひるむやら・・という描写が、内容の壮絶さと裏腹なユーモアに溢れていて、本当に可笑しかった。

本筋であるミステリーの内容も、かなり面白い上に読みやすい。
本格ミステリなので、しばしば事件の全貌をおさらいしたいところを、サー・ジョンの解説付きでその時点での疑問と一緒に教えてもらえる。本格ものが苦手な私にも読みやすかった理由だと思う。


また当時のロンドンの様子もとても興味深かった。
不衛生で喧騒まみれで悪徳警官やら賄賂の横行。
暴動を起こしたら投獄されるニューゲイト監獄の様子の凄まじさ。解剖よりもよほど凄惨だった。
また、エレイン嬢が、読書すきなのだけど、本に関して言えば、翻訳から装丁まで、自分の望むままのオーダーメイドだということが驚き!
自分だったら、つまらない小説じゃなく、素晴らしい物語を本にしたいと思う。

というわけで、最初から最後までとっても面白く読んだ。
出来たら、「サー・ジョンと聖ジョージ病院解剖教室シリーズ」にしてもらいたいとさえ思ったのだけど・・・・・・・・・。残念というか、寂しいです。





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【本】真夏の方程式/東野圭吾

416380580X真夏の方程式
東野 圭吾
文藝春秋 2011-06-06

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内容(「BOOK」データベースより)
夏休みを伯母一家が経営する旅館で過ごすことになった少年・恭平。仕事で訪れた湯川も、その宿に滞在することを決めた。翌朝、もう一人の宿泊客が変死体で見つかった。その男は定年退職した元警視庁の刑事だという。彼はなぜ、この美しい海を誇る町にやって来たのか…。これは事故か、殺人か。湯川が気づいてしまった真相とは―。

今回はまぁまぁ楽しめました。
まず、湯川と恭平少年とのやりとりが面白い。
まずこんな理屈っぽい少年はそうそういないとは思うけど、湯川に臆せず立ち向かう恭平少年を応援してしまったし、またそんな恭平を可愛く思っている湯川の気持ちにも、ほっこりさせられて、二人のやり取りは楽しかった。
勉強の部分も、こちらも勉強させてもらったし。。
舞台となった玻璃ヶ浦はかつては観光で栄えた美しい海。今は観光客も激減し衰退してしまっている。そこにわいて出た地下資源。自然を守るか、地下資源をとるか、そのへんの社会問題的な部分も興味深く読めた。
相変わらず何を考えているのか、何が分かっているのか分からない・・けど、何かつかんでいそうな湯川の言動も気になって、興味をグイグイと引かれ、久しぶりにじっくりと丁寧に読む気にさせてくれた、読んでいる間も「楽しい」作品だった。

ただ、着地点はどうだったろう?それはアリなのか??
もやっとしたものが残る。

しかし、近頃の人情に傾いている作品よりも、こちらのほうが面白かったし好み。

ラムちゃんにお借りしました。ありがとうございました(*^_^*)
13:21 : [本・タイトル]ま行トラックバック(2)  コメント(6)

【本】結婚相手は抽選で/垣谷美雨

4575236977結婚相手は抽選で
垣谷 美雨
双葉社 2010-07-14

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垣谷作品、これで3作品目。これも面白かった。

タイトルのとおり、結婚相手を抽選で決めると言う設定。
晩婚化が顕著になり、打開策として国がそう言う法律を作った。名づけて「抽選見合い結婚法」。
国が無作為に選んだ相手と見合いをして結婚相手を決めると言うもの。
断るのは2回まで、3回断ったら「テロ撲滅部隊」に入らなくてはならない。(詳細は省く)

看護師の好美は、母親と二人暮らし。母親のきつい束縛に辟易しており、そこから逃れるために、この法案をきっかけに東京に出て独立することを画策。
ラジオ局ではがき整理をしている藤村奈々は「抽選見合い」をする前に恋人の嵐望と結婚しようとするが、母親とべったりの関係を敬遠され、振られてしまう。
宮坂龍彦はコンピューターソフト会社でSEをしている。モテない。彼女いない歴27年。結婚したいが彼女が出来ない龍彦にとって、この「抽選見合い結婚法」はどんな効果をもたらすのか。

実際にこんな法案が通るわけがない・・・と思うのだけど、晩婚化、未婚化は深刻な問題かも知れず、不思議なリアリティがある。。。とは言え、やっぱりこんなプライバシーに干渉し過ぎるような法律が出来るわけはない。
だからこそ、小説らしい小説と感じた。フィクションの世界で遊ぶ感覚。

とは言え、主人公達がこの法案に振り回される姿は、かなりリアル。
この「抽選見合い」でデートを重ねるうちに、かすかな変化が起きる人物もいて、それがなんだか清清しかった。
「リセット」でも、母親との関係になんらかの問題を抱える登場人物がいたが、今回も二人の女性の「母親」がキモになっている。これをものすごく掘り下げてしまうと、ドロドロしたり深刻になりすぎたりするのかもしれない。物足りない気がしなくもないけど、軽く読めるのでこれでいいのだろう。

「リセット」「夫の彼女」に続き、すごく気持ちのいい結末。
ちょっと上手く行きすぎじゃないの?と思うときもあるけど、ハッピーエンドに拘る気持ちがひょっとして、著者にあるのかもしれないな~と思う。ハッピーエンド、いいですよね。フィクションだもの。気持ちよく本を閉じることが出来るのは何よりだ。




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【本】リセット/垣谷美雨

4575236071リセット
垣谷 美雨
双葉社 2008-02-13

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4575513997リセット (双葉文庫)
垣谷 美雨
双葉社 2010-12-15

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3人の女たちがそれぞれ「高校時代に戻りたい」と思うところから物語が始まる。
香山知子は専業主婦。暇をもてあます生活に嫌気が差し、「高校時代に戻り、女優を目指したい」と思う。
黒川薫はキャリアを積みながらも、独身であることで母親に「一人前」と認められず寂しい思いをしている。高校時代に戻ったら、短大に進学して地元で結婚て、子どもを生みたいと思う。
赤坂晴美は男に引っ掛けられ妊娠して、高校を中途退学したことを悔やんでいる。高校時代に戻ったらちゃんと卒業して平凡な生活を手に入れたいと思う。

そんな3人は中学、高校の同窓生なのだが決して仲良くもなかったし、接点もなかった。
その3人がなぜか一緒に「高校時代にタイムスリップ」する物語。

SFと言うよりもファンタジーと思うのだけど、誰でも一度は「若い頃に戻りたい」と思うことがあるのではないだろうか。
「もしも、高校時代に戻ったら、もっと勉強してもっといい大学に行って・・・」などと妄想を逞しくしたことがあるのではないだろうか?
かくいう私もそう言う妄想はしょっちゅうしているのだけど(^_^;)最後は結局「戻らなくてもいいや」となってしまう。
戻ったところで着地点は同じだ・・・・というのがあるし、せっかく今まで生きてきたのに、またその人生をやり直すなんてしんどすぎる。学校に毎日毎朝、暑いときも寒いときも雨の日も風の日もきっちり通い、一日何時間も授業を受け、トイレも我慢しないといけないし、テストがあると勉強しないといけないし、先生の中には横暴なのもいたし、家に帰れば親に口やかましくされあれもこれも禁止され、・・・そうして祖父や祖母がなくなり皆で嘆き・・・などと考えると、あれをもう一度やるなんて、考えただけで挫けてしまう。
もちろん、もしも本当に高校時代に戻ったら、部活をもっと頑張るぞ!!とか、友達ともっと上手く付き合うぞ!とか、もっと本を読んだり映画を見たり漫画を買ったりしておくぞ・・!!なんてことも思うんだけど・・・。

彼女達は、最初こそ多少のパニックになるけれど、わりとすんなり「タイムスリップした事実」を受け入れて、高校時代をやり直していく。「夫の彼女」でもそうだったけど、「違う視点から物事を見る。その人を見る」というのがあって、タイムスリップしたことにより、彼女達にも「別の視点」が出来る。
本当に高校生だった当時は分からなかった親のありがたみが分かるとか・・・。
3人が理想どおりの人生を歩けたのかというと、その辺は微妙。
結局、どんな人生も100%完璧っていうのはありえないし、憧れていたものも手に入れてみれば大したことないなと気づいたりする。そういうことが結構リアルに描かれていて、とても面白く読んだ。

タイトルの「リセット」というのは、結局、人生って「気づいたとき」いつでも「やり直せる」と言うことじゃないかなと思った。
むろん、やり直しが利かない、取り返しが付かないこともあるだろうけど、心の持ちようで、ひとはいつでもそこから再出発できるのだと。何も高校時代に戻らなくても今からでも・・と言うことじゃないかな?

物語としては、ずいぶん上手く行きすぎだと思うけど、あくまでハッピーエンドに拘りたいと言うのが著者の気持ちじゃないかな?と思った。私はとても気に入りました。

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【本】非望/小谷野敦

4344013670悲望
小谷野 敦
幻冬舎 2007-08

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どうやら自分の体験を元にして書かれた小説らしいですが、自分自身のストーカー体験(するほう)を、これだけ冷静に詳細に書くなんて、とてもイタい事だと思うんだけど、突き抜けてるな~~と、ビックリするような一冊でした。
そのときは、ともかく夢中で、後から考えるとすごく恥かしくなってしまったり、なかったことにしたくなったり、記憶を削除したいと思ったり・・・そんな出来事は、人生の中で一度ぐらいはあると思うけど、それをこんな風に著作にしてしまうと言うのは、やっぱり作家と言う生業の「業」なのかな~なんて、思いながら読みました。
しかし、本人は決して人間的に人格が破綻しているわけではない証拠に、元来気難しい人物だろうとは思うけど、仲良くしている相手もいるようで、この特定の相手に対してだけ、破綻した人格になってしまうようで・・・それが「恋」って言うものかな~~なんて思ったり。

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【映】チャットルーム

B004XNPZMSチャットルーム [DVD]
マーク・フォリーニョ
アット エンタテインメント 2011-06-03

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タイトルと予告編からして、チャットにハマりすぎた青年によるパニックホラー、心理サスペンスだと思っていたのだけど、パニックは起きないし、ホラー要素もないし、心理サスペンス風でもないし、どうも予想とは違う物語だった。
主人公は「自殺」に強い憧れを持つらしい。リストカット癖もあるし、ネットで自殺の動画を見てはにやけている。
そんな彼がチャットルームを開設して、そこに4人の男女が集まってきた。
最初は悩みを打ち明けあったり、自己の開放を目指したり・・と明るく前向きな感じだったけど、
次第に、主人公はそのうちの一人の少年に目をつけて、彼を追い詰めていくのだ。
・・が、あとで、あらすじを書いてみようと思っても、どういうあらすじなんだろう?と思うぐらい、よくわからない。
主人公の髪型が、リアルの世界ではパーマ、ネットの中だとストレート・・みたいな違いはあれど。

もうちょっと「怖い~~~」って思える映画を期待したなぁ・・・。
たとえば、チャットにハマりすぎている娘が見て
「怖い~~。もうチャットはやめよう。チャットの相手にアドレス教えるのもやめよう・・怖いよう!」
と、思えるぐらいの怖さを見せてほしかったわ。
残念!!!

特筆すべきは、主演のアーロンジョンソン。
イケメンですなぁ。
「キックアス」のときも、ダサい振りしていても、イケメンは隠せてなかったが、今回もまぁオタクっていうかそう言う役だけど、やっぱりカッコよかったわ。正統派の美形なので、今後ブレイクするんじゃないだろうか?
と言いつつ、そこまでブレイクしなかった人たちが何人もいたけど・・。
23歳も年上の人と結婚していると言うのがネックにならないといいですが。(多少引いてしまうが・・)
「ノーウェアボーイ」も観たいな!と思っています。
アーロンくんに免じて、おまけの → ★★☆

監督
中田秀夫


脚本
エンダ・ウォルシュ


出演

アーロン・ジョンソン(ウィリアム)
イモージェン・プーツ(エヴァ)
マシュー・ビアード(ジム)
ハンナ・マリー(エミリー)
ダニエル・カルーヤ(モー)
12:49 : [映画タイトル]た行トラックバック(0)  コメント(0)

【映】白いリボン

B004YEI67M白いリボン [DVD]
ミヒャエル・ハネケ
紀伊國屋書店 2011-06-25

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平和そうに見えるのどかな農村で、謎の事件が次々に起きる。
まずは、医者が何ものかの作った「わな」で、走る馬から落馬。大怪我を負ってしまう。
その後、領主の息子が虐待されたり、使用人が事故で死んだり、不穏な事件が起きるが犯人は杳として知れないのだった。

最初に大怪我をした医者・・!
医者と言うから、温厚で人が良くてふくふくした感じのおじさんかなーと思っていたら、これがまぁ全然違うイヤなやつでビックリした。顔がまずイヤらしい。怖いし。
全編通してこいつが一番「悪者」だと思ったなぁ。「口がくさい」って、曲がりなりにも「彼女」に、それはないよね。対して彼女のほうも「胃潰瘍だし」だって。なんじゃこの会話・・。苦笑するしかないじゃない?
領主も立場的にどうしてもそうなるんだろうけど、尊大でイヤ。その奥方も言うに及ばず。
牧師も子どもたちのしつけと言うか教育が厳しくて、ここで「白いリボン」が登場。自分の行いの正しさを確認するために白いリボンをつけて、間違わないように行動する目印にするとかナントカ。(違ったかな?)

最初に「平和そうな農村」って書いたけど、実は私はそんなこと感じなかった。
白黒映画だし、平和なかんじものどかな感じも全然なかった。
犯人は・・・・見ていればそれと分かるのだけど、相変わらずハネケ監督は「すっきり」とは終らせない。
しかも、あのラストは・・・なにがどうなのか。
うーん、よくわからなかった。
しかし、まだ見ていない「ピアニスト」なんかは見たいな~と思ってしまう。

★★★




11:58 : [映画タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

【映】マイブラザー

B00475CIY0マイ・ブラザー [DVD]
ポニーキャニオン 2011-02-02

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ジェイク・ギレンホールとトビー・マクガイアが兄弟を演じた作品。
個人的に、この二人は似ていると思っていたので、兄弟役と聞いたときは「やっぱり!」と思ったものです(笑)。

ナタリー・ポートマン演じる美人妻と二人の幼い娘を家に残し、アフガニスタンに赴く軍人の夫(トビー)。
弟(ジェイク)はチンピラで刑務所から出所したばかり。
一家にとって弟は鼻つまみ者。久しぶりの一族の団欒も台無しにするヤサグレ男なのだ。
しかし、兄が戦死したという報告がはいり、悲嘆にくれる家族の中で、子どもたち(姪)に慕われた弟は自分の居場所を見つけ、家族にとって頼りがいのあるなくてはならない存在になっていく。
しかし、戦死したと思っていた兄は、実は捕虜として生きていた・・・。

と言う話。

正直言って、もうちょっと感動的な物語なのかと思ったけど、ちとビミョーだったなぁ。
物語はすごく面白い。釣り込まれた。
家族の中で浮いていた弟が、兄が死んだときから兄の代わりになるように、しっかりしていく。
大きな勘違いだよ!と思わされたキッチンのリフォームだって、結果的に素晴らしいキッチンになったし。
子どもたちはもともと、「叔父さん」が好きだ。父親に似て、父親よりも若くておにいちゃんみたいな存在。
受け入れられることで、弟が変わって行くのが見て取れた。
美人の妻も、だんだんと弟に惹かれて行く。
本当は兄よりも、弟のほうがタイプだったんじゃないの?みたいな。
そこへ心に深い傷を負った夫が帰還して、波乱は必至。
物語としては、ほんとうに面白かったけど、でも、ラスト・・え?そこでおわり?みたいな。
そこからどうなるの?それが見たいのに・・。
そこからが本当の地獄ですよ。
妻もそれを背負うことになるんですよ。
考えると、あまりにも暗澹としてしまった。
それと、やっぱり仕方がないとは思うけど、一方的にアフガニスタンの軍人を「悪」に仕立ててあるのがヤラシイ感じがする。この映画を見たら、アメリカ人は「アフガニスタンゆるすまじ」と思うだろうよ。(戦争映画ってそんなもんか)

★★★☆

↓ 脚本はデビット・ベニオフなんですね!!「卵をめぐる祖父の戦争」良かった。

監督
ジム・シェリダン

製作総指揮
タッカー・トゥーリー 、ザック・シフ=エイブラムズ

脚本
デヴィッド・ベニオフ

出演
トビー・マグワイア(サム・ケイヒル)
ジェイク・ギレンホール(トミー・ケイヒル)
ナタリー・ポートマン(グレース・ケイヒル)
サム・シェパード(ハンク・ケイヒル)
クリフトン・コリンズ・Jr(カヴァゾス少佐)
メア・ウィニンガム(エルシー・ケイヒル)
テイラー・ギア(マギー・ケイヒル)
ベイリー・マディソン(イザベル・ケイヒル)
キャリー・マリガン(キャシー・ウィリス)
11:26 : [映画タイトル]ま行トラックバック(0)  コメント(0)

【映】小さな命が呼ぶとき

B0052ZD8DO小さな命が呼ぶとき [DVD]
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2011-07-22

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ポンペ病という難病で、長く生きられない幼い我がこのために、今までの生活を全て捨てて子どもたちのために奔走する父親と、ポンペ病の研究者として父親に協力する学者が、力を合わせて新薬開発にかける姿を描く。

子どもが不治の難病・・・と言うだけでも涙腺が緩んでしまう。
事実を元にしてあるとのことで、それだけでもすごい説得力と感動があったし、物語としてもとても面白く(興味を持って)見ることが出来た。
新薬の開発と言うのは、ある意味大博打だろうと思う。研究費をどぶに捨てたと言いたくなる結果の場合もあるかもしれないし・・・。主人公は、子どもたちのために、治療薬に一番近いところまで研究をしている偏屈な学者と手を組み、自分の社会的立場や仕事も捨て、まさに裸一貫となってその難事業に打ち込む。
ひたすら、我が子たちを助けたいために。
時には恩人であるはずの、その学者に手痛い仕打ちまでしてしまう。(学者も偏屈すぎるのが困りモノ)
学者はそんな父親に腹を立て、絶交寸前まで行きながらも、結局、その子どもたちのために折れる。
そんな二人の「思い」が大きな感動を与えてくれる。
わが子を愛する気持ち、病気の子どもとその家族を助けたいと言う気持ち・・・紆余曲折を乗り越えて新薬開発に向ける熱意と愛情。とても感動的な映画だった。
おススメ!★★★★☆




冒頭、車椅子で人工呼吸器をつけている少女が登場。元気でこましゃくれていて、同情を誘う弱々しさはないものの、余命があといくらもないだろうと言う絶望の中で、できる限り明るく楽しく生活しようという親の努力が見て取れて、胸が熱くなる。
一家の中で3人中2人の子どもがポンペ病と言うのは・・・気の毒としか言えない(・・が、後にこれが逆転のチャンスを生むのだけど)。この家は裕福でよかったなぁ・・貧乏人ならここまでのことはしてやれないはず・・などなど、考えながら引き込まれてしまった。

ハリソン・フォードがこの偏屈学者を演じているのだけど、ほんとうに偏屈で・・・周囲の研究者達と折り合いが悪くなったりしてはらはらさせられた。ハリソンフォードは人格者の役柄が多いし(先日見た「正義の行方」などもほんとうに良かった)、こんなにわがままで嫌われ者の役も珍しいのかな?と思ったけど、さすがに違和感もなく・・(笑)
偏屈と言っても結局子どもたちのために滅私奉公するだけの「優しさ」があるんだから、結果的には「いいひと」なのだ。





監督 トム・ヴォーン
製作総指揮 ハリソン・フォード 、ナン・モラレス
原作 ジータ・アナンド
出演
ブレンダン・フレイザー(ジョン・クラウリー)
ハリソン・フォード(ロバート・ストーンヒル博士)
ケリー・ラッセル(アイリーン・クラウリー)
メレディス・ドローガー(メーガン・クラウリー)
ディエゴ・ベラスケス(パトリック・クラウリー)
サム・H・ホール(ジョン・クラウリー・Jr.)

11:04 : [映画タイトル]た行トラックバック(0)  コメント(2)