【映】THE WAVE

B0039LFHKATHE WAVE ウェイヴ [DVD]
デニス・ガンゼル
アット エンタテインメント 2010-04-28

by G-Tools


ドイツ映画。
実際にあった事件をもとにして作られた映画らしいです。
どこまでが事実かはちょっとわからないんだけど・・・
高校で、1週間「独裁」と言うテーマの授業を行うことになった。
体育教師で、水球部のコーチをつとめるのベンガーは、「独裁」のシミュレーションを実験する。
生徒たちは次第にハマっていき、ベンガーも授業がうまくいくことに陶酔を覚えていくが、生徒たちの行動がエスカレートしていくのだった。

と言う感じで・・。
服装を統一してみたり、ロゴを作ってみたり・・・たかだか一週間の授業とは思えない白熱振りが描かれていますね。でも、その中でどうしても意に沿わない生徒も出てくるんです。「白は着たくない」とか・・。
すると、そう言う生徒を「異端」扱いして「排除」していく生徒たち。
この授業の始まるとき、「独裁」についてクラスで話し合ったとき、ドイツのことなのでやっぱりナチズムということがみんなの頭に浮かぶのです。
でも、みんなそれを否定する。そして「独裁」はもう、今ではありえないのだ・・・というのです。
そう言っていた生徒たちが、自分たちでも知らない間に、ベンガーのカリスマ性に惹かれて従うようになり、常軌を逸していく・・・ああ、こうやって人々は洗脳されていくんだなと実感しました。
集団の狂気って言うのも垣間見えるし、なかなかシビアで怖い作品です。

しかし、もうひとつ印象深いことがありまして。
この授業の中の高校生たちの発言です。
独裁とは・・・というディスカッションのなかで
「独裁は(もう今後は)ありえない」
「歴史的責任問題があり、全国民が責任を感じている」
「ドイツ人は自国に誇りを持たなければ、世界中からたたかれる」
と言ってるのです。
これはもちろん、第二次世界大戦のナチズムにたいする批判、そして責任を感じているからこその発言。
日本もドイツと同盟を結んだファシズム国家だったのに、高校生たちがそれを【責任】と感じているか?
高校生に限らず・・・ですが。
戦後教育の違いが現れているのでしょうね。
そのあたりもかなり印象に残りました。

スポンサーサイト
00:20 : [映画タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

【映】ワカラナイ

B0036LXPCAワカラナイ [DVD]
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D) 2010-05-21

by G-Tools



私は月に4本のプランで、TSUTAYAオンラインレンタル「DISCUS」でDVDをレンタルしています。
月たった4本なんだけど、今んトコどうにも見る時間がない。。。。(^_^;)
そうかと言えば、月8本のプランでも足りずに、近所のレンタル店に借りに行くときもあるし・・。
まぁ夏休みって言うこともあるかな~・・。

と、それは置いておいて・・・

この「ワカラナイ」っていうDVD、全然知らなかったんだけど、オンラインレンタルのページでふと目に付いたので借りたんですよ。
そしたら、今話題の「春との旅」の監督さんの映画だったんですね。だから目立ってたのか!と納得。
「春との旅」は、まだ見てないけど(近場のシネコンに来ないようなので)レンタルリリースしたら借りるつもりです。

さて、「ワカラナイ」と言う映画。
詳しい説明は一切なくて、どうやら高校生の男子がどうやら独り暮らしをしているらしい。
どうやら、コンビニでバイトをして得ている収入だけが唯一の糧のようです。
そのうちに、母親が入院しているとか、父親には捨てられたようだとか、色々と分かってくるんです。
ともかく、この男子の生活が悲惨極まりないんですよ。
ガス、水道、電気など、ライフラインが全て止められているらしいです。ケータイも持ってない、当然。
ガスはかろうじてカセットコンロ。
水道は公園の水をペットボトルに詰めて。
電気はなんとこの時代にランプを使ってる!(どこで手に入れたんだろう?)
自転車もなくて、いつも歩いているか走ってる。
生活保護は?福祉は?分かりません・・。
そのうちに、コンビニをくびになります。商品をちょろまかして、おにぎりやサンドウィッチをくすねてるのが店長にばれてしまうから。。。
わずかな給料の残りをもらって、途方にくれている男子にとどめの一撃、母親の死。
病院側は滞納している入院費を払えと言う・・40万円。
葬儀社は最低料金でも用意しておかねば母親を動かすこともできないと言う・・20万円。
自分の食費さえもない少年にむごい請求です。
だれも、少年を助けないのですね。
少年は困りながらも、最後の所持金を葬儀会社の男に払おうとする。
でも、葬儀社の男はそれを「ち、しょーがないなぁ、こんな子からこの金は受け取れねーよ」と言う感じで、突き返すんですが・・・それが、唯一、この映画の中で私が見た、少年に対して「大人」が施す「優しさ」だったように思います。
どうすればよかったんですか・・と、問う少年にマトモな答えは返ってこない。
無責任で、冷たくて、親身のかけらもない大人の対応に、見ているこっちは気分が悪くなるというか、そりゃないでしょうよ!腹立たしいとしか言えません。
が、もしも自分がこの少年と関わりを持ったら、親切に出来るのかなぁ・・・。
麒麟田村さんの「ホームレス中学生」を思い出します。
あれは著者の苦労も同情を誘ったけど、著者を無言で引き受けることが出来た、著者の友達の親御さんの太っ腹というか、大きさというか・・・そこに感動を覚える人が多かったはず。
だけど、自分に出来るのか?と言われたら・・・・きっとそれは出来ないこと。
要するに、「ワカラナイ」の少年を生み出しているのは、我らだ(というか、私のような)っていうことか。
父親も登場しますが、それはもう、ご興味をもたれたらご自分でごらん下さい。


ちょっと「誰も知らない」を思い出しましたね。。。
かなり落ち込む映画でしたが、印象に残る映画といえましょう。

22:17 : [映画タイトル]わ行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】神の手/久坂部羊

4140055839神の手(上)
久坂部 羊
日本放送出版協会 2010-05-25

by G-Tools

4140055847神の手(下)
久坂部 羊
日本放送出版協会 2010-05-25

by G-Tools


市立京洛病院の外科部長白川が担当する21歳の患者、古川は末期の肛門ガン。
そのあまりの苦しみぶりを見かねて白川は、本人と古川の実質的保護者の伯母晶子に同意を得て、安楽死を選択する。しかし、古川の母親でありながら病院にも滅多に顔も見せなかった(息子の看病や介護を放棄していた)ジャーナリストの康子が、マスコミで白川の行為を「殺人」と糾弾した。
それは警察沙汰にもなり、大きな事件となっていく。
おりしも、国家による「安楽死法」が成立する動きがあり、推進派と反対派による激しい攻防が繰り広げられていた。
白川はその動きに巻き込まれてしまい身動きが取れなくなっていく。
そんな中で殺人事件が起こり・・・・。

久坂部さんの小説を読むのは5作品目。
「廃用身」「破裂」「無痛」「まず石を投げよ」と、これまでどの小説とも同じで、医療に関わる問題をセンセーショナルな形で問題提起するという姿勢は今回も健在。
「医療に関わる人材や時間や能力」といったものは「限りある資源」というのが著作から一貫して見らる柱の一つでしょう。なんせ「廃用身」では、「寝たきり老人の手足は【ムダ】だから切ってしまえ。切ることで介護をする人たちをラクにして介護の未来を手助けしよう」と言う主張。のけぞるほどにビックリしました。
「破裂」でも、安楽死に近いものを取り上げていて「国家による【望ましい死】」を実現させようとするテーマがありました。今回、この2作品をさらにじっくりと練ってきたと言う、集大成にも近いものを感じました。
安楽死と言うと、私の簡単なイメージでは「無駄な延命治療をやめて積極的に死を待つ」ぐらいしかなかったのですが、この本の中でとても具体的に書かれています。感じたのは「安楽死もラクじゃない」ということ。
苦しみから逃れ、簡単に、安らかに、眠るように死ぬことは・・なかなか難しいようなのです。
なによりも「もしも安楽死が法律で許可されたら」と言うときに起こり得る問題点がしっかりと提起されていて考えさせられます。どんな法律もそうだけど、いったん成立した場合、転がる石のようなものだと。
安楽死を望む人間だって、それが本当の本当に本心かどうかわからないし、家族も、治療に関わる医師さえも知らずに安楽死によって「ラク」になろうとしたりと言うことはないのか・・潜在的な気持ちなどは、その後にどう噴出するかわからない、と言う点。
あるいはナチスの「優生思想」に通じるものがあり、難病で余命の少ない人たちには暗黙のうちに「安楽死」を求めるようにプレッシャーが掛けられるのではないかとか・・・かなり突っ込んだところまで書き込んでありました。
それからここでは安楽死のための新薬が開発されるのですが、新薬開発に関わる政治がらみの利権抗争や、動物実験しかできないための新薬の「効果」の不透明さなど、実際にこういう問題が起きるだろうというのが、リアルに描かれていて説得力がありました。
死ぬほどの苦しみから逃れられず、治癒の当てもない、遅かれ早かれ死ぬことが分かっているのに、今この苦しみからすぐに解放されたいと思うのは間違いなのか?と言われたら、自分の身に置き換えてみたら、やっぱりそのときは「死にたい」と思うかもしれない・・だけど、私は安楽死法に反対の主張がまっとうだと感じました。
ただ、それを主張するのが作中かなり胡散臭いジャーナリストであり、主張の方法が正当ではなく好感が持てないので・・・このあたりは、作品のテーマと、それをエンタメ作品に仕上げようとする著者の意図に乖離を感じてしまいました。ムリやりにミステリー作品になっていてやたら人が殺されたりするのも、それがちゃんと解決されていないのも中途半端な気がしたんですよね。
現代の医療体制への批判もしっかりと描かれていて、JAMAという架空の団体が提起する新しい医療体制なんかは、これまたセンセーショナルなんですが、いま破綻しつつある医療制度を見ていると、凄く考えさせられてしまいます。
このように、「安楽死法」と言う、ひとつの問題に対してとても多方面からアプローチしてあって、それはそれでとてもリアルなのですが、反面話があちこちに広がりすぎて、私なんかは読むのが面倒になってしまいました(^_^;)
著者の今まで読んだ本は、すべてがそうなんだけど、テーマが凄く難しいけれど実際問題として考えていかなければならないことで興味深いのに、ミステリー風にしてあったりエンタメを意識しすぎて、テーマがぼけてしまうような気がするんですよね。
思い切りガチガチで良いから、重厚にテーマに向かってストレートに挑んだ作品を読みたいと思ってしまうのです。でも、とにかく、無視できない考えさせられる作品でした。

追記
「まず石を投げよ」は感想を書いてないので、読んだことを忘れてましたが、評判よりは私は楽しめた覚えがあります。きっと、医療への問題提起というよりも、ミステリーの部分が面白かったんじゃなかったかなぁ?さくさくっと読めた記憶がありましたが・・・内容はあんまり覚えてないのです。これは作品がどうこうというよりも、ひとえに私の記憶力のせい。最近、ほんと~~~~~~~に、覚えが悪いんですよねぇ・・。
とほほな毎日です。
09:36 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】白砂/鏑木蓮

4575236985白砂
鏑木 蓮
双葉社 2010-07-21

by G-Tools


20歳の一人暮らしの女性が殺されるという事件が起きた。
いまどきの若い女性にしてはとても堅実で質素で地味な暮らしぶりをしていたようだ。
殺害現場には「遺骨」をペンダントにしたものが捨てられていた。
浮かび上がった中年男性との関わりは?
二人の女性の、「遺骨」との関わりを通して事件の背景に迫るミステリー小説。

なんとなく二人の刑事の人物像が好きじゃない。殺人事件を目の前にして軽口たたいたりとか・・。
本当の現場はそんなものかもしれないけど、読んでいて一気に高感度が下がってしまった。
軽妙さを出したかったのかもしれないけど。
それに、年長刑事の家庭内の部分などは下手なファミリードラマみたい。
美人の奥さんと奥さんに似た美少女の娘。ウソくさすぎてしらけてしまいました。
と、本編に関係ないことで散々けなしてしまいましたが、設定は悪くないと思いました。
真実が分かったときは「なるほど」と、得心する気持ち。
でも、この設定ならもっとドラマティックな物語になり得た気がしてちょっと残念ですかね。
今後に期待したいです。
23:19 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】プラチナデータ/東野圭吾

4344018478プラチナデータ
東野 圭吾
幻冬舎 2010-07

by G-Tools


内容(「BOOK」データベースより)
犯罪防止を目的としたDNA法案が国会で可決し、検挙率が飛躍的に上がるなか、科学捜査を嘲笑うかのような連続殺人事件が発生した。警察の捜査は難航を極め、警察庁特殊解析研究所の神楽龍平が操るDNA捜査システムの検索結果は「NOT FOUND」。犯人はこの世に存在しないのか?時を同じくして、システムの開発者までが殺害される。現場に残された毛髪から解析された結果は… 「RYUHEI KAGURA 適合率99.99%」。犯人は、神楽自身であることを示していた―。確信は疑念に、追う者は追われる者に。すべての謎は、DNAが解決する。数々の名作を生み出してきた著者が、究極の謎「人間の心」に迫る。

個人的には「カッコウの卵は誰のもの」よりもすんなりと読めました。
近未来の話で、国民の誰もが国に管理されてしまうと言う設定は、ちょっと伊坂さんの「ゴールデンスランバー」のセキュリティポッドを思い出したりして。しかもそれがあながち全くの妄想じゃないと思えます。ひょっとしたら、形はどうあれ、国民が全て国家に管理されると言うのは、ありうる話で、それだけにリアルに感じることが出来ました。
設定がものすごくリアルで面白いんだけど、物語はそれほど・・・
いかんせん、東野さんの物語では、感情移入する登場人物がないことが多いのです。今回も誰といって、その立場に立って同調して読むという人物がおらず・・・それがいつも東野さんの作品を読んで不満に感じること。
ただ、それであっても物語がとても面白いので、ぐっとのめりこんでしまうのですが。

次の作品も期待しています。よろしく、東野さん!(^^)
23:01 : [本・タイトル]は行トラックバック(0)  コメント(2)

【映】オアシス

B00068X5HQオアシス [DVD]
イ・チャンドン
バンダイビジュアル 2004-12-23

by G-Tools




ずいぶん前に見た映画ですが・・・・
韓国映画です。いろんな賞を取ってるらしい。
さもありなん、素晴らしい映画でした。

↓ネタバレ少々あり








脳性まひの女性と、前科3犯のロクデナシ男との風変わりなラブストーリー・・・・と、大まかに言えばそんな感じ。
だけど、日本ではこんな映画、作れないだろうなぁ。
凄まじいですよ。
ビックリしました。

人間は(私は)、少しの情報と第一印象と思い込みで、他人のひととなりとか物事を、全て何もかも判断している、ということをど真ん中に突きつけられた気がしました。
映画の中で主人公たちを取り巻く人たちは、こちらから見ると「わからずや」みたいなのばっかりなんですけど、自分もあの中にいたら間違いなくその「わからずや」になるはず。

「こんな子を相手にそんなことをするなんて、けだもの!」
みたいなせりふがあったけど、その発想自体が差別だということが、本人たちには全然分からないのですね。
自分の理解の範疇、自分なりの物差しでしか、物事を判断できないということが、結果的にどれほど傲慢なのか。
そして自分もその傲慢さを持ってるんだと、言われてるような・・。



主演二人の演技がとにかく素晴らしくて、というかリアルで、圧倒させられました。


男はバカです。イライラさせられるほど。
映画の冒頭からバカで、最後もやっぱりバカだったけど、でもその「バカ」が、最初と最後では全然違っているのです。
見終えて自分が、恥じ入って頭が下がってしまうような、それでいて清清しく感じられるような、希望が見えるような素敵なラストもよかった。
ちょっと「潜水服は蝶の夢を見る」みたいな部分があったかな?私はこちらの映画のほうが100倍くらい好きです。
「シークレット・サンシャイン」の監督と同じだそうです。


さらにネタばれで・・・・


冒頭、服役を終えて出所する主人公の様子は、あまりにも情けなく、好感のかけらも持てません。
家族にもつまはじきで、兄の奥さんからは「アンタがいないうちは心安らかに暮らせた」みたいなことを言われてしまうんだけど、前科3犯ともなれば家族がそう思うのは当然だ・・と、共感してしまう。
最初に、自分が死なせてしまった人の家族に会いに行くなんて、無神経だなーとまず思うし、結局その娘である障害者に暴行しようとしてしまうところでは、完全に主人公に対して「悪人だ」とレッテルが貼られ大嫌いになってしまうんですが・・・
だんだんと、この人が本当にその障害のある娘に対して、真心がこもった世話をしているのを見て、観客の心に「?」が生まれます。「あれ?結構イイやつなの?」・・・。
合間合間に見せられる主人公のだらしなさや、生活能力のなさ、情けない姿にやっぱりガッカリしながらも、どこかで「いいヤツかもしれない」と思えてくる。
主人公側のパーティーでは、家族に彼女を疎んじられながらも、堂々と連れて行く。
そのとき、ひとつの真実が観客に知らされます。
なんと、じゃあ、主人公は前科3犯じゃないじゃないか・・。
ラストにも結局彼は、彼女への暴行と言う罪を着せられて服役する。。これで、世間的には前科4犯です。。だけど、観客はその4のうち2は「違う」と知っている。
じゃぁひょっとして、2のうち1つはまた違うかも・・。2のうち、2も違うかも?
どこまでが本当に彼が犯した罪なのか?
どこまでが彼の本当の姿なのか?
一見、どうしようもない悪人に見えた主人公への、印象って言うのが、実は思い込んでしまった先入観によるものだと段々分かってくるんですよね。
ふたりが純粋に愛し合っていても、世間はそれを認められない。
なぜなら「自分だったら・・・」と思うからです。
そこに傲慢な思い込みがあるということに気付かないのです。
観客である私にも「傲慢」があるだろう、と、思い切り指摘されてしまうような作品でした。

また、彼女の心の中の「自由」を求める心にもはっとさせられました。
彼女の気持ちを想像すると(想像は及ばないだろうけど)いろんなことを考えさせられました。
バカだなー、主人公。なんでちゃんと説明しない?その辺あまりにも口下手でイライラさせてくれる・・・・
でも、それが彼の一種の「よさ」なんですよね。

彼が自分に出来ることで、彼女への愛情を表現している部分や
最後の手紙には胸が熱くなりました。


オアシス

オアシス

価格:3,591円(税込、送料別)


16:05 : [映画タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】緋色の記憶/トマス・H. クック

4167218402緋色の記憶 (文春文庫)
トマス・H. クック Thomas H. Cook
文藝春秋 1998-03

by G-Tools


「夏草の記憶」に続き、同じ著者の記憶シリーズ「緋色の記憶」を読みました。
チャタム高校で起きた恐ろしくも悲しい事件に関わった、今は老いた弁護士である主人公ヘンリーの記憶。
あるときチャタム高校に美しい美術教師チャニングが転任してきた。当時学校長の息子であり同校に通う生徒だったヘンリーはその立場上からも、美術の好きな少年と言う立場からも、ミス・チャニングには近しい存在になっていく。
やがて、ミス・チャニングは同僚の教師リードと恋に落ちる。リードには妻子があるにも関わらず。
それが大きな悲劇になっていくのだった。

と言う話ですが、この人の書く「記憶シリーズ」と言うのは全部そうなのか(「夏草の記憶」もそんな感じだったけど)1・事件がある  2・事件の真実に迫る・・と言う流れではなくて、読者には何が起きたのか、誰が何をしたのか・・と言うのは最初は全然、皆目分からないのです。
せめて「何があったのか」と言うのが分かれば読みやすいかもしれませんが・・。
読みすすめていくうちに「この人が何かに巻き込まれたらしい」「この人が被害者らしい」「この人が加害者らしい」と見当が付いていくんだけど、ぼんやりと輪郭が見えてきて、徐々に実態が明らかになると言う感じで、それも実態が見えても中身がまだ見えてこないという、周到な隠し様で、ともかくじれったいです。
真実が明らかになるまでなかなかの辛抱が必要です。
それが逆にたまらないというか・・魅力なんでしょうかね。
実際「何があったの?誰がしたの?結果、どうなったの?」と言う興味にグイグイと釣られる読書でもあります。
ヘンリー少年(老人)の思い出の中にある色んな思いというのも印象に残るところです。
チャタムという何もない平凡な田舎町を嫌い、いつかここを出て行くんだと言う思春期の気負い、そんなつまらない町になじんでしまっている父親への軽蔑・・・
何もかも投げ出して、どこかに行きたいという思い、だけど、それをするだけの決意もなく・・
というとても中途半端な少年時のジレンマと言うか、鬱屈が全編に見られるのですが、自分にも覚えがあるようなないような・・・共感できるところです。
そしてたとえば「人生とはままならぬものだ」と諭そうとする父親の言葉とか「心の飢えは人の定めであり、人はそのむごい苦しみを、信じることで癒すのだ」と言う一節や、全てを捨てたいのだけど捨てきれないのは、「自分以外のものに対する不可解な真心だ」などという一節が、ものすごく心に残っています。
ひとつを求めて、それが手に入っても、また次が欲しくなって現状に不満を抱く・・人は常に「飢えて」しまうものなのですよね。その飢えを癒すのは、結局は人の心、思いやりや真心だということ。
ヘンリーはそれを教えてくれようとした父親の気持ちが、その当時ではなく、年老いた今になって分かるのです。
人生とはまさにそうしたものかもしれません。大事なことは後からじわじわ分かってくるのかも。
皮肉にも、あんなにも離れたがっていたこの町に、老弁護士となったヘンリーは、い続けます。
ヘンリーがこの町にい続けるのには、それも独身を通すのにも理由があり、その理由がわかるラストは衝撃。
こういう衝撃を味わいたくて、また別の「記憶シリーズ」を読むと思います。





↓こちら、楽天ブックスのリンクです。こちら送料無料、ポイントもたまりお得です。
緋色の記憶

緋色の記憶

価格:650円(税込、送料別)


14:56 : [本・タイトル]は行トラックバック(0)  コメント(0)

【食】大矢知の冷麦


うちはだんなさんがうちで昼ごはん食べる人なので、昼ごはんは普段から3~4人分作るのですが、夏は毎日冷麦。
毎日毎日飽きもせず冷麦。
作るほうとしては、ソーメンのほうが早く茹で上がるので好ましいけど、たまにはソーメンするけど、大抵冷麦です。
夫も父も冷麦が好きなのね。
茹でてるとき火のそばにいると灼熱地獄・・・。

夏の最初は、生姜のほかに、青じそとかみょうがとかも薬味としてつけてたんだけど、もう段々面倒になってきて、近頃は生姜だけ。
ちなみに夫はねぎが嫌いで食べられないのでねぎは薬味にしません。

毎日だと飽きるだろうと思うでしょうが、銘柄によって味と言うかコシと言うか、喉越しというか、なんか違うので
「今日の冷麦はどこの?美味しいね」
とか言うのもあるわけです。
こちらの地方ではなんと言っても大矢知の金魚印です。


しかし、夫の妹が富山にいるのですが、富山の「氷見うどん」も美味しいです。
細麺なので、冷やしうどんとして食べても最高!
世間的には讃岐うどんが王道ですが、時には違うおうどんもいかがでしょうね?



ちなみに、冷麦風冷麺風に食べるのではないけど、ついでにご紹介するのは、歌行燈というお店のだし。
うどんも美味しいですがだしも美味しいです。パックになってるのを煮出すタイプ。
セットもあります。

みなさん、まだまだ残暑厳しいですが、しっかり食べて夏を乗り切りましょう!




13:30 : [そのほか]未分類トラックバック(0)  コメント(0)

【本】夏草の記憶/トマス・H. クック

4167218585夏草の記憶 (文春文庫)
トマス・H. クック Thomas H. Cook
文藝春秋 1999-09

by G-Tools



「これは私の記憶にあるなかでも、もっとも暗い話である。また、このことについては、誰にも語るまいと固く心に決めていた話でもある」
こう語りだすのは、主人公のベン・ウェイド。「事件」からは三十余年経っているけれど、その「記憶」に苦しめられている。時々、親友のルークからも事件について意見を問われては戸惑っている。
その記憶とは、同級生の女の子、ケリー・トロイが巻き込まれた惨たらしい事件だった。
いったい、その事件とは・・・。

というだけの話・・・と、言ってしまえば身もふたもないけど、それが解き明かされるまでが延々と、ベンの思い出話の中で語られる。青春の一こま、ひと夏の記憶がとても鮮明にみずみずしく語られる。
真実になかなか近づかず、とてもじれったい気持ちで読み進めたが、衝撃のラストにはうなってしまった。
人が人を愛するときの感情、一瞬で愛が憎しみに変わるとき、そして後悔の念とともに残りの人生を生きる辛さなどが克明に書かれていて、ラストの衝撃に拍車をかけていた。
ちょっと私には想像がつかないラストだった。


いま、「沼地の記憶」と言う本の感想をあちこちでちょこちょこ見かけ、興味を持ったが、図書館に蔵書がなくて、同じ著者のこの本を借りたのでした。
記憶シリーズ、というものがあるらしく。
読んでみたい・・・・かも・・・・。
翻訳は苦手だけど、ドロドロ感が好みなんですよねぇ~~(^_^;)

4167218402緋色の記憶 (文春文庫)
トマス・H. クック Thomas H. Cook
文藝春秋 1998-03

by G-Tools

4167254425死の記憶 (文春文庫)
トマス・H. クック Thomas H. Cook
文藝春秋 1999-03

by G-Tools

4167218658夜の記憶 (文春文庫)
トマス・H. クック Thomas H. Cook
文藝春秋 2000-05

by G-Tools

4167705850沼地の記憶 (文春文庫)
トマス・H. クック Thomas H. Cook
文藝春秋 2010-04-09

by G-Tools



21:41 : [本・タイトル]な行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】昭和十七年の夏 幻の甲子園 戦時下の球児たち

4163727809昭和十七年の夏 幻の甲子園―戦時下の球児たち
早坂 隆
文藝春秋 2010-07

by G-Tools



朝日新聞社主催の夏の全国高校野球選手権大会、いわゆる「夏の高校野球」は、今年で92回目ですが、戦争中は中断されていました。昭和16年~20年までの4年間は大会は開かれませんでした。
がしかし、実は昭和17年には、甲子園大会が開催されています。
朝日新聞主催ではなく、国(文部省)の主催だったため、92回の中にはカウントされていません。幻の甲子園と呼ばれるのはそのためです。

本書はその「幻の甲子園」の当時選手だった人たちからのインタビューにより、当時の選手たちの姿や世情とともに、「幻の甲子園」大会を再現しているのです。


とにかく、冒頭の「序章」から泣けてくるようなエピソード満載でして・・。

物資も不足気味、練習時のボールはつくろったり糸を巻き巻きしては使っていたとか・・17年の大会は朝日新聞主催ではないので、宿泊費などの金銭的援助もなく、旅費の捻出に苦労したとか何とか、もう聞くも涙みたいな話が続くんですけど、ともかく球児たちは野球がやりたい一心。
どこが主催でも関係なかったといいます。
野球が出来る、甲子園が開催される、その喜びが・・・今の時代からは想像もつかない大きな喜びであり希望であったろうと言うことが、伝わってきます。

でも、この年は国が「戦意高揚」を目的として開催されたため、おかしなルールがたくさんありました。
選手のことは、選手ではなく「選士」と呼んだ・・・とか、打者はデッドボールを恐れて、投手の球をよけてはダメだったらしいです。突撃精神に反することはNG。
同じ意味で、よほどの大怪我でなければ、控えの選手との交替も許されなかったそうです。選手は最後まで死力を尽くして闘えということで・・。
そのため、交替したくても出来ず泣きながら投げていた投手もいたという・・。
変な年齢制限もあったそうで(旧制中学なので、13歳から19歳までの幅広い年齢差があったようです)そのため出場できなかった選手もいて、そういうエピソードのひとつひとつに胸を打たれました。

戦争中は誰もが当然のように、「学校を出たら戦争に行く」「戦争で鬼畜米英をたおす」と思っていたそうです。だからこそ、大好きな野球を「今しか出来ない」のだから、「懸命に」やった。。
そして、昭和16年の甲子園の中止は残念なことだった。
そしてなお、昭和17年の甲子園の開催は喜ばしかった。
その選手たちの気持ち。
後の学徒動員の覚悟、「これが最後」っていう気持ちにも泣かされましたが、徴兵されてる間にも「野球がやりたいなぁ」と思ったとか言う話とか、実際に戦死してしまった球児たちの話などはもう、涙なくして読めなかったです。
戦争と野球が同居する時代・・私には想像も付かないけれど、確かにこういう時代があって、それでも人は野球をして恋もして生きたと思うと、言葉がありませんでした。

世間的にも「この非常時に野球なんかやって!」と悪く言われることもあったけれど、大抵の人たちには野球は人気だったらしいです。
何もかも制限され、統制された不自由な世の中で、野球が人々にもたらした活気と言うか、元気と言うか、希望みたいなのが・・・今とはまた別の感動と言うか、みんなに野球は「何か」を与えたんだろうな~と思うと、胸が詰まります。
収容所から来た遺書」を読んだときも、人が生きていくうえで「娯楽」がどんなに大切かということを感じたけど、今回も思いました。


平和な時代に生きて、野球でも何でも、思う存分やろうと思ってできると言うのはとても幸せなことだな~と、改めて思いました。陳腐な言い方かもしれませんが・・。
そして、この人たちのこと、この時代のことは語り継がれて行かねばならないのだとも・・。



日本における野球の歴史や、高校野球の歴史、甲子園の土を詰め帰る習慣の始まりとか、まぁ多分野球ファンのひとなら知ってる話かもしれないけど、そう言うのも色々書かれていて興味深いです。
後年プロで活躍した有名選手や監督の名前もあり、私はそこまで知らないんですけどそれでも感慨深いです。
島清一って選手をご存知ですか?
この17年の大会には出場してないけど、昭和14年の大会で5試合で完封勝利、その中でも準決勝と決勝の2試合連続でノーヒットノーランという偉業を達成した人物だそうです。江川卓や松坂大輔なんか目じゃない大人気だったそうです。(そんな書き方はしてないけど)
そういう逸話も感動しながら読んでいます。
本書の中で印象的なのは、平安中学の富樫淳。。。。なんとも言葉がありません。あとは、台北中学の菊池兄弟。広島商業の澤村さん、年齢制限に引っかかり出場できなかった選手たちなどなど・・・。

戦争中は学生の体育大会みたいなのも戦争運動っていうのがあって「手榴弾投擲突撃」とか「土嚢運搬縦走」とか・・・そう言う話も興味深かったです。
実際に甲子園の開催中に時代を超えて過去の甲子園を観たようで、とても感慨深かったです。
読んでよかった。おススメです。
20:55 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

【映】インセプション

ともかく映像が面白かった。
人の「思考」に入り込み、アイディアを盗むと言う設定は、下手したら最初から「夢オチ」みたいになるのでは・・と思ってました。現に私は「マトリックス」みたいなのは面白く感じなくて・・。
でも、この「インセプション」は面白かったなぁ。
最近、映画を見てて睡魔に襲われることが以前よりも頻繁になってきてて、今回はわけがわからなそうだから余計に寝ちゃうかも・・・と、必死で予防したのが良かったのか・・。
ちゃんと寝ずに全編見ました。
人の意識に、夢を通して入り込むって言うのが、イマイチ良く分からないんですが・・あんまり真剣に考えてもアレなので、その辺はスルー。
意識の中ではどんな映像も可能だと言うことを、映画館で思い切り楽しみました。
と言っても、夢であることを標的に悟られてはいけないので、常の世界とはほとんど同じなので、そんなには異常な世界観ではないのですが・・。
ラストの、現実世界と夢世界のリンクがとてもスリルがあって、はらはらさせられて面白かったな。
繰り返し妻の「夢」を見ている主人公のコブ(レオ)の切なさが良かったです。
でも、渡辺謙演じるサイトーは、それほどの財力があれば、こんなことをしなくても別の簡単な方法で思っていることを達成できそうな気がしたけど・・。

トム・ベレンジャー・・・最近見なかったのか・・変貌振りにビックリした。
でも、すぐに分かった。「新・明日に向かって撃て」良かったです。
16:40 : [映画タイトル]あ行トラックバック(1)  コメント(2)

【映】ソルト

ちょっと「ジェイソン・ボーン」を思い出したけど、あれの女版っていう部分もあったのでは。
ともかく、最初から凄い迫力で、その迫力の波に乗り一気にラストまで!
結局「やっぱり、そんなことだと思った」みたいな感じだけど、それでも満足満足。
面白かったんだもん、なんか文句ある?・・・みたいな・・・。
有無を言わさぬ・・とは、アンジェリーナ・ジョリーのことでしょう(笑)。
16:26 : [映画タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】ラスト・チャイルド/ジョン・ハート

4150018367ラスト・チャイルド (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1836)
ジョン・ハート 東野さやか
早川書房 2010-04-09

by G-Tools


翻訳モノは割りと苦手なので、この本も実は文体的に読みづらかったんですが、読んでいくうちに物語に釣り込まれていきました。読みにくい~~でも続きが気になる、読みづらいけど読まずにいられない・・という。

主人公のジョニー少年13歳は、一年前に双子の妹が誰かに連れ去られ、行方不明になったのを発端に、両親の不仲、父親の疾走、母親のドラッグ中毒育児放棄、土地の実力者による母親の恋人気取りとDV・・という辛酸を舐めた生活を余儀なくされています。
そんなジョニーの親子を心配し、何かと世話を焼いてくれるハント刑事は、実はジョニーの母親に気があるらしく、ジョニーは妹が見つからないのも影響してすっかり大人不信に・・・。
ジョニーは自分ひとりで妹を見つけようと、非力ながらも孤独に闘っているのですが・・・。

まず、このジョニー少年。とても健気で母性本能をくすぐられます。
妹はどこかで生きていると信じて、自分だけで危険な捜査を繰り返していて、それが結局意外な真実を明らかにしていくのですが、その過程が意外性に富んでいて面白く、ジョニーの健気な姿に応援しないではいられず。
子どもだから非力だし、すぐに大人たちの介入にあってしまうのだけど、めげずに自分の信念を貫き通しては妹の捜索に没頭します。その姿は頼もしくもあり、カッコよくもあり。見応えがありました。

捜査の結果真相はとても意外なものだったのだけど、アメリカのネイティブの人々の歴史にも触れられていて、運命の連鎖というものをとてもうまく描いてあり、うならされました。
読み終えてみればものすごい感慨と達成感が・・。
読んでよかったな~と思わせられる一冊。

ハヤカワミステリは本当に苦手なのが多いんですが、読んでよかったです(^^)。

16:24 : [本・タイトル]ら行トラックバック(0)  コメント(0)