【本】リアル・シンデレラ/姫野コオルコ

4334927025リアル・シンデレラ
姫野 カオルコ
光文社 2010-03-19

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アマゾンの書評見たら、6人中6人が★5個・・つまり満点で、びっくりしました。
現代に蘇る聖人・・なんて言葉も見られ、たしかにうんうん、と納得です。
シンデレラを元にして、ある一人の女性の生涯を描く中で、本当の幸せとは何かに「はっ!」と気付かされるようなものがたりです。
主人公は家族や周辺のひとたちから見たら、愛らしく誰からも好かれる美人の妹と事あるごとに比較されてしまいます。そのため、幸薄く可哀想な「泉」と言う女性。
だけど、泉は本当にみんなが思うような「可哀想」な人だったのか?
じっくりとその生涯が描かれ、読者に泉の本当の姿・・本当の気持ちが見えてきます。
それは可哀想ではなく、とても豊かな生き方であり、気持ちであること。
でも、人は誰しも、自分の物差しでしか人を計ることが出来ない。
自分の価値観の中でしか、その人の幸せを願ったり感じたりすることが出来ない。
そうした、手前勝手な物差しや価値観によって、泉の本当のすがたは、隠れてしまうのです。
本当には、他人を理解しようとしないエゴイズムによって、泉の真実の姿はゆがめられてしまうのです。
ひとはみな自分に理解出来ない生き方をする人物にはイライラさせられるし、納得できない、しようとしないのでしょうね。物語の中でなら、私もきっと「継母」や「姉」の立場で、エゴイズムによって、ゆがんだ真実を見てしまうのでしょうが、物語を「読む」ことで全体を俯瞰できたのが幸い・・と言う感じがしました。
泉の生き方は、本来、誰にとっても本当に幸せである生き方なのではないか、と思います。

ただ、世間的には圧倒的な高評価ですが、個人的にはまぁまぁかな・・って感じです(^_^;)。
好みだろうけど、あんまりそこまで好きではない。
俯瞰しているつもりだったけど、結局は「継母」「意地悪な姉」の立場だから理解できないのかもね。
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【本】こんな夜更けにバナナかよ/渡辺一史

4894532476こんな夜更けにバナナかよ
渡辺 一史
北海道新聞社 2003-03

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筋ジストロフィーの鹿野さんが、ボランティアとともに生きる姿を追ったノンフィクション。
第25回大宅荘一、第35回講談社、両ノンフィクション賞受賞。

人工呼吸器をつけているので、廃痰や体位変更など24時間のケアが必要。
ボランティアたちとの温かい心の交流・・かと思いきや、そうではなくて、どちらかと言うとけんか腰になってしまって、ある意味闘い?と言う感じも多々ある壮絶な介護日記。

たとえば、私が「あ、バナナが食べたい」と思ってバナナを食べる。それはわがままでもなんでもない。ダイエット中とすれば意思が弱いぐらいのもので、誰にも文句など言われないでしょう。たとえ続けて2本食べたって、呆れられこそすれ、だいたい怒られもせず終わっていくでしょう。
体の向きを変えるにしても、「よし、体の向きを変えるぞ」なんて思いもせずにやってます。寝返りなんかも無意識です。
息も普通にして、普通に喋る、歩く、動く、つかむ・・・テレビが見たければ見るし(無論家族とのチャンネル争いなんかはあるにせよ)それを、わがままと感じたことは一度もありません。
だけど、鹿野さんのような、全身性の重度しょう害者になると、私たちがごく普通に、意識もせずにやっていることをやろうとするだけでも、人の手を借りねば出来ません。
たびたび重なれば「わがままだなぁ」となってしまう。
だけど、本当にわがままなの?
鹿野さんにとっては、わがままと思われてしまうことをしてもらわないと、生きていかれないと言うことです。
生きることがすなわち、わがまま・・になってしまっている。
我らはよく「ひとに迷惑をかけてはいけない」と言われます。
あるいは「社会に貢献しなければならない」なんてことも、聞くことがあります。
じゃあ、社会に貢献も出来ず、人に迷惑をかけることでしか生きていかれない、鹿野さんのような人は生きていてはいけないの?
いやいや、そんなことはない。生きている人たちには絶対に生きる権利があるのです。
そもそも、迷惑を掛けるって言うけど、完全に人様に迷惑を掛けずに生きている人間がいるのか。
いませんとも。誰だって誰かの世話になってるんだから。
それを自覚するかしないか。
そして、迷惑を掛けているという自覚のある人は、迷惑を掛けられてもいいんだという許容の気持ちが持てるはず。
誰にだって「夜更けのバナナ」はあると思う。
それをお互いに尊重して、助け合いながら生きていかれる世の中を目指すべきだと言うことかな?
と、本書を読んで思いました。



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【本】台湾人生/酒井充子

416372530X台湾人生
酒井 充子
文藝春秋 2010-04

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これは、同名のDVDがありまして、それの書籍版ということらしいです。

台湾のお年寄りたちは流暢に日本語を話す、というのを聞いたことがある人が多いと思う。その台湾の“日本語世代”に、子どもの頃から現在に至るまでの話を聞いた。
本書は、通訳をいっさい介さず、すべて日本語によるインタビューの中で彼らが語った言葉をもとに構成している。(「はじめに」より抜粋)


ちょっとミーハーなことを言いますと、台湾のジェイ・チョウが大好きです。
だから台湾のことを少しは知りたいと思ってました。
ちらちらっとネットなんかで見ると、台湾の人たちって親日家が多いとのこと。どっちかって言うと、今の日本人よりも右より??なかんじ??で、日本は台湾を植民地支配していたはずなのに?と不思議に思ってました。
この本を読んでやっとその理由が分かりました。
というか、恥ずかしいことですけど、本当に台湾のこと、何も知らなかったなぁ・・・。日本とは国交断絶しているとかすらも・・。すみません、ほんとに・・。大恥??(^_^;) だって、観光のCMしてるじゃないですか?国交断絶しているなんて・・。
ましてや二二八事件や白色テロなんていうのも・・。霧舎事件っていうのはかろうじて聞いたことがあったけど、だから、いったい台湾で日本と言うのはどう評価されているんだろうと思ってました。

日本が台湾の人たちに(と言っても、日本の教育を受けてきたひとたち、世代に)人気があるのは、「犬が去って豚が来た」っていうことで、植民地支配が終わった!といったんはやっぱり喜んだようだけど、その後に来た中国国民党があまりにもひどかったので、まだ日本の方がましだったということなんだろうとは思います。
植民地支配とは、やっぱり負の歴史だと思う。したほうもされたほうも。
台湾のその世代の方々は、日本人よりも日本人らしい教育を受け、女性なんかは生け花や茶道、行儀作法まで完璧に覚えたそうです。
もちろん、そんなことだけじゃなく、戦争に借り出された男子たち。
日本だったら、戦争に行って戦死したら、恩給とか遺族年金とかもらってるでしょ。でも、台湾の人たちは、そうやって教育を受け、日本人となんら変わらない「軍国少年」たちだったのに、「お国のために」と戦争に行って、そのお国って言うのが日本なのに、それでも、遺族年金ももらえず・・・。
かけていた一般の生命保険だって、払い戻しがされてないそうですよ。
そう言うことは、一般的にはあんまり知らされてないと思うんですよね。
知らないことが多すぎる・・・というか、知っていることが少なすぎる・・と感じました。
それなのに、日本語を話す世代が語る日本人像はすばらしい。
いいことしか書いてないんじゃないか?と思うぐらいです。
台湾の人たちのなかの日本は、とても複雑みたい。
「愛憎」が複雑に入り混じってるのが良く分かりました。
台湾の人々は、独立したい。台湾の人たちによる「国」をつくりたい。
切実な思いが伝わってきました。

映画「台湾人生」公式サイトはこちら
13:54 : [本・タイトル]た行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】巡礼/橋本治

4104061115巡礼
橋本 治
新潮社 2009-08-28

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ごみ屋敷の住人の人生を丹念に描いた作品です。
ワイドショーなんかでよく話題になるゴミ屋敷。
結構日本全国に点在しているんじゃないでしょうか。
テレビで見ていると、「すごい!」「こんなになるまで放っておいたんだなぁ」「近所のひとはたまらんだろうな」などなど、まぁ人事~・・・みたいなコメントを思い浮かべてそれで終わり。
でも、この本では、その人の人生に何があって、どこがどうなって、ゴミ屋敷になってしまったのか・・・というのが、人生をなぞりながら、昭和の歴史を背景に描かれています。
ゴミ屋敷を取り巻く周囲の反応と絡めて、人々の心理描写がリアルに感じられ、もしも自分だったらどういう風に書かれるのだろうな、などと考えながら読まされました。
前回読んだ「橋」も、同じく実在の事件を昭和史とともに描いてあったので、これらは一連のシリーズと言えるのでしょうね。
でも、「橋」が、フィクションとノンフィクションの間で途半端な感じがしたのに対して、こちらは、ノンフィクションではこうは描けない、フィクションならではの迫力みたいなのを感じることができました。フィクションだからこそ書けると言うか・・・。これはモデルがいたのでしょうか?「橋」の設定と同じように、ほとんど良く似たモデルがあったのかもしれませんが、私はそれを知らないので、まったくの創作と受け取りましたけど。
誰が悪いというのでもなく、何が決定的に悪いというのでもなく、全てのことが絡み合ってこういう結果になってしまった。
防ぎようがなかった・・・と言うこともないだろうけれど、もっと頑張ってナントカしようと思えば出来たかもしれないけど、外野からそう言って主人公を責めるにはあまりにも気の毒な人生です。
一歩違えば、誰にもこういう可能性はある、人事と思っていたけれど、いつの間にか自分が当事者になってるかもしれないですね。
家族や地域のつながりが弱まり、限界集落があふれてくると、まさに人事じゃない。
そんな怖さも含みながら・・・でも悲しくて切なかったです。
ラストはちょっとだけ、ほっとしましたが→ネタバレ(断絶していた弟が駆けつけ問題解決の後、四国八十八番札所を巡礼する・・・兄弟のつながりが復活し、ようやく希望を見出したのだけど・・・)でも、この男の人生はなんだったんだろうな・・と思うと泣かされました。
なんて・・・、人の人生を「なんだったんだろう」と思うとは、それこそ不遜な考えだと気付く。
まぁともかく、人の一生とか人生とかについて、しみじみと考えさせられる部分は大いにありました。
・・・しかし、読みづらい文章でしたわ・・・(^_^;)。
なかなか進まなかったんだけど、読んでよかったです。
11:33 : [本・タイトル]さ行トラックバック(1)  コメント(0)

【映】告白

話題の映画、観てきました!
レディスデイだったせいもあったと思うけど、観客は95%女性でした。
私は原作を読んでるので、どうかなーと思いながら観ました。
先に見に行って「面白かったよ、アンタも見ておいでよ」と言ってくれた友達に
「私、原作読んでるから。オチも分かってるし、それでも面白いやろか?」
とかなんとか、エラソーに言った割に、実は内容を(オチも!)覚えてないと言う・・・(^_^;)
でもまぁ観ているうちに段々と、というか、次々に
「ああ、そうだった、原作もそうだったそうだった」と思い出しておりました。
まぁそんなこんなで、ズバッと感想は、まぁまぁ面白かった!と言う感じですかね。
見終えた後の衝撃で言えば、去年ビデオレンタルで見た「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)」とかのほうが、インパクトあったと思うし、見応えがあった。個人的には。
ジャンルが違うので比べるなと言う話かもしれませんけどね・・・。
なんで比べるって言うと、やっぱり「邦画」だからね。
原作読んでいても、リアリティーがないとは思ってました。それでも面白い、とも。
後味の良くない話なんだけど、がしっとつかまれて一気読みさせられたもんね。
映画は映画で面白かったし、映像も綺麗だったし、何よりも教室の雰囲気なんか、原作よりもリアルだったように思いました。中学生って、右へ倣えで良いことも悪いこともしてしまうって言うイメージがあります。人と違ったことが、それが正しくても出来ない。はみ出すのが怖い・・・だからみんなが騒げば自分も騒ぎ、みんながいじめれば自分もいじめる・・みたいな。教室の喧騒とか、ああいう空気みたいなのは原作よりももっと確かにリアルだったと思いました。
でも、やっぱり原作を読んだときの「あ~~!面白かった~~!!」って言う感じは、そこまでのものは、なかったかな。忘れていたと言っても、やっぱり原作を読んで、内容を覚えていた(思い出していた)から。
まっさらで観たらもっと面白かったと思います。
最後がそれと長すぎたかも・・。


★★★☆



20:25 : [映画タイトル]か行トラックバック(1)  コメント(2)

【映】アウトレイジ

邦画の難しいところ(私としては)だけど、いつもテレビやCMで見ている見慣れた人々が、今回その筋の人たちの話なのでね、その筋の人たちのようなもの言い振る舞いをするんだけど、似あわね~!とか思ってしまって違和感。。ってほどでもないんだろうけど、なんか違う~みたいな。
「うぉらうぉら~~!!」とかすごんでも、イマイチ怖くなかったりして。
ああた、理想の夫婦、理想のだんな様の代表格の三浦友和さんがですよ?
そんなことをやってもね、ワルそうな振りしてもね、なんか違和感がありますよ~。
それで話に入り込むのに若干時間が掛かったな。
(加瀬 亮ぐらい変貌が大きいと誰だかわかず、却って良かった。エンドロールで分かったぐらいだ笑
いっそ、あんまり知らない俳優さんばっかりでやってもらいたかったと思う。はっきり言って。)
あ、タイトルは良かった。
黒塗りのそれ専用の車が迫ってきて、真上から車体を捕らえて、そこでストップ、「OUTRAGE」。
カッコよかったです。
半分ぐらいからは、俳優がどうというのはなくなって来て、ぐいぐい見られましたけどね。
しかし、もう、その筋の物語100%で、ほんと、こんな人たちとは間違っても
お近づきになりたくないわー・・って感じでした。
ともかく、そればっかり。
そして時々痛い!!
痛ーーーーーっ、イタタターーーやめてーーーー!!みたいな。
もう、歯医者にいけない!!みたいな。
どうやってその筋の人々の姿を描くか、って言うことにのみ重点置いたのかなってかんじ。
面白かったけど、深みとかは感じられなかったなぁ。
任侠ってかんじも全然ないし。
むなしさだけが残った。
可哀想な人たち・・でも自業自得・・あんたもいつかは・・・みたいな、同じことが繰り返される虚しさ
と言うものをかんじました。
ちなみに、タケシの映画って、これで二回目。監督作品は初めて見ました。
以前見たのは、「戦場のメリークリスマス」だ、なつかしー!!(笑)
今でもよく覚えてるのは一緒に見に行った友達(女の子)映画の途中でタバコすってたなぁということ。
誰も注意しなかった・・・と思う。
喫煙に対して、いまより100倍ぐらい自由だったんだなぁ・・・。
結構観客も一杯で、前のほうで見たような気がするんだけど・・・。
「俺の映画、人が入んないの」
って、タケシ氏テレビで言っていたけど、今回私たちが見に行ったときは結構入ってたよ。
よかったねー。
それにしても椎名キッペイが、若い!!それが一番印象的だったりして。
17:38 : [映画タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(0)

近況

しばらく前に、夫と「アイアンマン2」見てきました。
前作を見てないのに、勢いで2だけ見に行くと言う無謀?
だからなの?ほとんど面白くなかった・・・。
ヒーローモノの常識を破ってるよね、あれって。
良く分からなかったけど、結局、地球やアメリカや日本?を危機に陥れている「敵」がいない。
と思いましたけど、いたの?
ミッキー・ローク?
なんか、そんな大それた悪いことをしているって言う感じじゃなくて・・・そんなめっちゃ強い悪人って感じもなく
だから、危機感がなくて、そんなにはらはらしなかった。
あと、戦うシーンが割りに少なかったような気がしますね。
それもイマイチの原因。
まぁ良く分からなくて途中寝たわ。
私としてはイマイチ・・・だったなー。

それから、「アウトレイジ」も見に行きました。
タケシがあまりにもテレビに出て宣伝しているので、その様子がもう必死で健気なほどで
だから、だんなさん、邦画は好きじゃないんだけど、こればっかりは行くって。
内容的には、アイアンマン2よりはずっと面白かったですね。
これは別枠にアップします。

後は今週でも「告白」を見に行きたいです。これは一人で行く予定。明日にでも。


本は「巡礼」橋本治を読みました。
これが、他ごとをしてたせいもあり、やたら時間が掛かった。
けど、前回読んだ「橋」よりもずっと良かったです。
文が・・なんだろ、硬い?一ページに文字だらけ?(笑)なので、なかなか読みづらかったなぁ。
あの人の文体がどうこうって言うには「橋」はもっと読みやすかったから、本によってこんな風に文体が違う作家なのかもしれませんね。そういえばウチには「僕たちの現代史」って言うこの著者の本があるけど、気が向いたら読んでみよう・・・。
ちなみに、「巡礼」って言うのは、ごみ屋敷の住人の生涯を描いた作品で、なんだかフィクションとは思えない迫力がありました。かといってノンフィクションの迫力とも違う。こういうのが「橋」にもあれば・・と思いました。
また、感想は別枠で(多分)。

レンタルのほうは、ツタヤのオンライン、月4枚コースにしているんだけどそれでもなかなか見ておれない・・。
先日アップした「こころの湯」と一緒に「THIS IS ENGLAND」も借りているのです。
早く見なくっちゃ4枚すら消化しないよ。
何がそんなに忙しいってね、ともかく、眠いのです(笑)
17:32 : [そのほか]もろもろトラックバック(0)  コメント(0)

【映】】こころの湯

B00018GY2Yこころの湯 [DVD]
ポニーキャニオン 2004-03-03

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今回は中国映画のご紹介です。
中国映画で父親と息子の愛情を描いた作品・・というと、「山の郵便配達」「北京バイオリン」などが思い出されます。この映画もとても心に残る作品でした。

地域の開発で、やがて取り壊しとなる古い町の、古い銭湯が舞台です。
その銭湯は、主人公であるおじいさん(父親)が、知的障害のある息子とふたりで切り盛りしています。地域の人たちには人気があり、銭湯、マッサージ、髭剃り、などなどこなしつつ、社交の場であり、いわゆる「憩いの場」でもあるのです。
あるとき、独立して都会で生活している長男が、ひょっこり帰ってきます。
どこかぎくしゃくしている長男とお父さん。
すぐに帰るつもりの長男が、ちょっとしたきっかけからずるずると帰るのを延期して・・・。


この主人公の父親は、「變臉(へんめん)/この櫂に手をそえて」の、主役だった人です。
日本では数年前のNHKのドラマ「大地の子」の、中国での養父役・・(見てないのでわかりませんが)として、出演されているそうです。日本で人間国宝として認定されているようです。


ほのぼのした笑いあり、切なさあり、そして涙あり。
かなり泣けました。
特に子どもを思う親の気持ちが、あのおじいさん俳優がやると、すっごく良いです。なんとも子どもを思っているのが全面に感じられて。息子の二人もいいのですが、次男も好演。泣かされました。
押し付けがましいのは嫌いですが、そういうのがないですね。
長男との軋轢みたいなのは、原因とかははっきりとは描かれてないのですが、田舎暮らしがイヤで都会に行ったんでしょう。そのときのこと、いろいろあったんだろうなと、想像してました。

私は自分が長子なので、どうしても長子と言う存在にこだわってしまいます。色々思いながら見ました。
長男に対しての態度と、次男への態度の違い過ぎることが気がかりでした。
家を捨てて出て行った長男に対して、父親として愛情を示せなくなったのか・・。
もともと、次男への愛情が大きすぎて、長男は父親や家を見限ったから、出て行ったのか。
どちらにせよ、次男への父親の深い愛情を目の当たりにして、長男は複雑な気持ちだったでしょうね。
(でも、一人っ子政策は?)
そして、父と息子の物語は個人的にとてもツボにハマりやすいので、余計にぐっと来ました。


あと、主人公は銭湯を経営していますが、中国では高地の地方で雨のほとんど降らない乾燥帯があり、お風呂どころか水の確保に大変な苦労をしているようです。
その地方で、ある家庭でのこと。娘さんの入浴シーンがあり、水を自分たちの乏しいであろうと思われる穀物と等価で交換しているシーンがあります。お茶碗一杯の穀物と、お茶碗一杯の水を交換してもらい、樽にためて持って帰る・・そのようにお風呂一杯の水を手に入れるのに、ものすごく苦労しているんです。
主人公は、その話を次男に言い伝えていたようなのですが、そのシーンがとても印象的です。
銭湯・・水を思い切り贅沢に使う場所・・・それなのに、というか、だからこそなのか、水の大切さを忘れないように、自分にも息子にも言い聞かせていたのかと思いました。
水浴びが年に一度、それも遠方の湖まで何ヶ月も掛かって巡礼のように歩いていくと言うシーン・・なんだか胸に迫って泣けてきました。
夜、私自身お風呂に入るとき、いつも当たり前のようにお風呂に入っているけど、本当にありがたいことだな~と、思いました。
こういう気持ちは、時が経てば忘れてしまうんですけどね・・なるべく忘れないようにしなくては!(^^ゞ

しみじみとした感動のある作品です。機会があったらみてみてください。

★★★★☆


17:13 : [映画タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(0)

【映】殺人の追憶

B000FHIVYA殺人の追憶 [DVD]
アミューズソフトエンタテインメント 2006-06-23

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しつこく、ソン・ガンホ祭り中。
「殺人の追憶」は一度見た事があり、とても面白かった(良い映画だった)のは覚えているけど、例によって細かいところは当然忘れてました。
今見ても、大変に面白くって、食い入るように見てしまった。
実際に1980年代に韓国の、地方で起きた連続猟奇殺人事件を題材にしています。
ソン・ガンホは刑事だけど、やたら強引で、容疑者をぼこぼこに殴ったりもするし(おおむね殴っているのは相方の刑事だけど、ペアなのでソン・ガンホもそう言うことです)証拠なんかも平気で捏造してしまう。
まじめに捜査する気があるのか?と、最初はかなり苛立ちを感じてしまうのですね。
ソウルからやってきた敏腕刑事が聡明な捜査をして差がついてふてくされたり・・・。
なんとも、刑事としては失格!ッて言う感じ。
だけど、その刑事が、事件が続々と続くうちに、その事件によって、刑事としてまじめに真摯に成長していくのです。皮肉と言えば皮肉・・・。
同僚の相方刑事にも、不幸が訪れますが、そのとき相方に対する思いやりというか、特に言葉も行動もないのですが、同僚の靴を見つめるまなざしなどに、気持ちの全てがこもっている様な気がして、こちらもジーンとしてしまいます。
だんだんと、そうして素晴らしい刑事になっていくと言うか、そう言う面を見せてもらいながら、結局最後にも犯人は検挙されない。(と言う説明が冒頭であるのです)
やりきれないし、納得いかない、後味が悪いです。
が、その後味の悪さがやっぱりこの映画の魅力と言うか・・。
真の犯人は普通の顔をして、普通にその辺で生活しているのかも。。。。
それに対する無力感みたいなものが、ソン・ガンホとソウルからの刑事両方からすごく伝わってきて圧倒されます。
あと、音楽がとてもいい!!
と思ったら日本の方じゃないですか。
岩代太郎さんと言う方です。
すばらしいですね。

今回の発見は、前回ではあんまり思わなかったけど、工場萌えです。
町にある大きな古い工場が、すごく良いんですよ。
工場萌えの方は、きっと喜ぶ映像だと思います!



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【本】鼠、闇に跳ぶ

4048740458鼠、闇に跳ぶ
角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-03-27

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赤川次郎さんの初の時代小説だそうで。。
と言っても、こちら「鼠、闇に跳ぶ」はシリーズの2作品目で、1作目は「鼠、江戸を疾る」だそうです。私はこちらは未読で、シリーズものって知らなかったので、第2弾の「闇に飛ぶ」から借りてしまいました。
まぁ、読んでいないので比較は出来ませんが、こちらも充分楽しめました。
タイトルのとおり、鼠小僧次郎吉の話です。
江戸の街中で普通に暮らす町人たちに、侍や殿様たちは無理難題を押し付けたり「切り捨てごめん」で一刀両断したり、あるいは気に入った女の子を見ると、イイナヅケがいようがいまいが関係なく「召し」たりと。
町人たちが翻弄されたり困らされたりするのを、助けるのが鼠です。
義賊として名高い鼠小僧、もうそれだけで充分キャラ立ちしているって言うか、それを赤川さんが軽快でテンポ良く、そしてカッコよく描いてあるから、気分爽快な(時には理不尽なまま、哀しい終わりを遂げる話もありますが)時代劇になっていて、私はそれほど時代小説を読まないから余計にそう思うのかもしれませんが、とても楽しめました。
鼠小僧には妹がいて、これがまた気風が良くて腕が立つ、面白くて高感度高い女の子なんですよ。
むかし何冊も赤川作品を読みました。登場する女の子たち結構こういうタイプが多かったなと思い出しました。
まぁともかく鼠がカッコ良いったら!
そんな鼠だから、恋人をパートナーにするよりも、妹にしてくれたほうが女性読者は安心ですよ(何が?)。
さくさくっと一気に読めました。面白かった!



4048735829鼠、江戸を疾る
角川書店 2004-12

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【映】プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂

prince

主人公ダスタンは、子どもの頃町で友達が兵士に仕置きを受けるのを助けた。その様子を見た王様は、ダスタンの勇気を見込み、養子に迎えた。その10年後、ダスタンたちは敵国へ武器の密輸をしたとして、アラムートの制圧に赴く。ダスタンは先陣を切り自軍におおきく貢献するのだが、アラムートの女王はダスタンが奪った短剣に執心する。
短剣には、とある秘密の力があるのだった。

一言で言うと、面白かった!!
まず、古代ペルシャの荘厳で幻想的な町が見事に再現されてて見ごたえがありました。映画が始まってすぐに、それでぐっと映画に釣り込まれていきました。アクションに関しても、冒頭、子ども時代の主人公が、大人の兵士を相手に街中を逃げ回るシーンから面白くて見入りました。基本的にパルクールが取り入れられてて迫力があるし、ワクワクするような面白さです。子ども時代もそうですが、主人公は大人になっても壁を伝い、屋根から屋根に飛び回り、すごく魅力的でした。強い男はいいもんです!
ストーリー的にも、主人公が短剣の秘密に迫りつつ、身の潔白を証明しようとする物語で、難しすぎず単調ではなくメリハリがあり、スピーディーでテンポ良く飽きさせませんでした。アラムートの女王様とつかず離れず道行きを共にするのですが、女王のほうも強気でしたたか、(女王様の割りに駆け引きもうまく人を騙すことも)主人公とのやり取りが面白かったです。簡単に恋愛関係に落ちないのもグッド。
最初から最後までまったく飽きずに・・始まる前は「130分、長いな~」と思ったんですが、終わってみればまったく長く感じませんでした。
特に最後の迫力はなかなかの優れもの。久しぶりに血沸き、肉踊るって言う感じのアクション映画で気分爽快に楽しめました。

それにしても、→ネタバレ「王様の弟って言うポジションは・・・・「ライオンキング」なんかもそうですけどね。スカーを思い出しましたよ。」。


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【本】サンザシの丘

4334927092サンザシの丘
光文社 2010-05-20

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若い一人暮らしの女性の殺人事件から、犯人と思しき男の背景が浮かびあがるが、そこには日本が戦後に抱えた大きな問題があった。「自分は何者でもない」と言った、男の言葉は何を表しているのか。

「小さな夢を持ち、つつましく生きる若い女性が殺された。義憤を胸に秘めたひとりの刑事が辿り着いたのは、帰る場所も何もない男の背中だった。社会に翻弄される名もなき人間たちの悲劇を哀感を込めて描く。」

↑カッコ内は、借りた図書館のWEBページに書かれた紹介文。これに惹かれて借りたのですが、可もなく不可もなくというところでしょうか。
ちょっと昔の森村誠一さんあたりの社会派推理小説を読んでいるような感覚でした。
刑事たちの視点で物語が進んでいくのですが、捜査の核心に近づくのがどうももたついているようで、中盤かなりだれてしまいました。あんまり捜査がサクサク進んでも、物語としてうそ臭くなるだろうし、あるいは短編になってしまうだろうし、その辺は引っ張らねばならないだろうとは思うけど、、、などと、余計なことを考えさせられながらの読書、ちょっと一気読みって言うわけには行きませんでしたね。
ラスト、何もかも分かったときはそれなりに納得できたし、社会派ミステリーとして書きたいことも分かったし、考えさせられることが多くてよかったんですけど、やっぱりもたついた感じが残念でした。
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【映】大統領の理髪師

B0009V1D60大統領の理髪師 [DVD]
イム・チャンサン
アルバトロス 2005-08-05

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しつこく、ソン・ガンホ祭り中。

韓国の近代史のなかで、首相官邸のある街で理髪店を営む主人公が、時代や権力に翻弄されるさまや、息子に対する愛情深い父親像を、ユーモア混じりに描く。
見ていて思ったのは、お隣の国韓国のこと、何も知らないなぁということでしょうか。
あまりにも知らないので、「こんなこと本当にあったのか?」と思ってしまいます。たとえば、映画の中には、マルクス病という流行病が登場するんですが、ゲリラと接触がありスパイ容疑があると、誰もが「マルクス病」ということで、逮捕されてしまい、拷問を受ける。これは実際にあったことでしょうか、それとも何かの風刺か暗喩なのでしょうか。
下痢になれば逮捕されると言うのが、可笑しいやら不条理すぎるやらで、なんとも・・・。
おまけに子どもも逮捕、拷問って・・。辛いものがありましたね。
そこで見せられる父親の、子どもに対する愛情が、胸を打ちますね。
特にすきなのは、招かれた首相官邸での夕食会。息子のナガンは父親を、大統領の息子にバカにされ、思わず大統領の息子を突き飛ばしてしまう。そのことで、当然のごとく主人公は、他の高官から大叱責を受けます。
それを自分のせいとしてしょげるナガンは、「僕のせいでお父さんが蹴られたんだから、お父さんは僕を蹴っても良いよ」と言うのですが、子供心に責任を感じているのだなぁと言うことや、それをお父さんは全然叱らずに、おんぶしてやったりして・・・あの場面が一番好きです。
終盤にも、お父さんが息子を負ぶうシーンがあるんですけど、韓国のゴタゴタの怖さもさることながら、こういう父と子の思い会う姿が胸を打ちました。
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【映】復讐者に憐れみを

B0009PIVPC復讐者に憐れみを デラックス版 [DVD]
ジェネオン エンタテインメント 2005-07-22

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パク・ヌチャク監督の「復讐三部作」と呼ばれるシリーズの第一弾です。
ソン・ガンホ祭り開催中なので、以前見たのですが、もう一度。
以前見たときは、それほど、ガンホさんが好きでも何でもなかったからか、印象に薄い映画でした。
なんと言っても、三部作の中で一番最初に見た「オールド・ボーイ」が怖すぎて(面白すぎて)「親切なクムジャさん」も、この「復讐者に憐れみを」も、イマイチ、インパクトに欠けた気がしたのです。

内容は・・・・・
耳の聴こえない青年リュウが、難病の姉の、腎臓移植手術が出来るとだまされてしまい、お金をなくしてしまう。移植手術のために、誘拐を企てるが、子どものことを傷つけるつもりはなかった・・だけど・・・・。

主人公のリュウ、恋人のユンミ、そして、ソン・ガンホの演じるドンジン・・どの人物も「悪人」ではないのですが、まるで渦に巻き込まれるように、残酷な加害者になり、そして被害者になる。救いもなにもない、陰惨な恐ろしくて悲しい物語です。

「復讐3部作」と名がつき、「オールド・ボーイ」の流れと来たら、ノンストップでハンパなく残酷なものを想像していたのですが、前半はそれほどでもなく、ちょっとマッタリした感じがあったかな。しかし後半の怒涛の展開は期待を裏切りません。子どもを失って打ちひしがれるソン・ガンホの姿がいいのです!・・しかし、解剖に立ち会ったりとかするんですかね。実際にその場面はないけど、恐ろしいシーンです。
その後、予想外に復讐の連鎖がつながって行き、前半のじれったさを一気に解消してくれます。
(「オールド・ボーイ」はそれどころじゃなく、これでもか!!これでもか!!という凄まじさがあって、あんな映画は他に類を見ないと思えるほどでしたからね・・)

今回、ソン・ガンホを中心にじっくりと観ました。私は今までソン・ガンホのセクシーな所は見た事がなかったけど、この映画では、ユンミの耳たぶをなめるシーンがあって、かなりゾクゾクしました!
そんな色気を含むシーンじゃなくて、どっちかというと恐ろしい拷問のシーンなのですが、それでもガンホの色気を感じましたよ(笑)。
ジャケット写真の、恐ろしい暴力的な姿もかなり似合っていて、カッコ良いですよね!
萌え萌えです〜(^^)

ちなみに、ソン・ガンホ、リュウ役のシン・ハギュンは「JSA」の北コンビですね(^^)

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【本】モンスター

4344018079モンスター
幻冬舎 2010-03-25

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モンスターと呼ばれるほどに醜い顔で生まれた主人公が、美しくなっていく。
一言で言えばそんな物語かもしれません。
個人的には美容整形には興味が無い・・・といえばウソになるかも。
簡単に美しく変身できるのなら、試してみたいことも無くも無いような・・・そんなに真剣に考えたこともありませんが。どっちかっていうと、本書にも登場するように「親からもらった大事な体にメスを入れてまで美しくなろうとするのは間違い」という「常識」にとらわれてきたような気がします。
(実際、ピアスさえしていません)
だから、この主人公に共感はできないんだけど、読んでいくうちになんだか応援したくなるというか、この人の気持ちも解らんでもない・・と思えてきました。
そして、この人の目を通して、世間は美人に対してどう思ってどう行動するか、ブスと美人の違いは何か・・ということが解った気がします。正しいかどうかはもちろん、解らないはずだけど、本書を読む限り「そうだな!」と納得させられました。
たとえば、光背について。美人に対しては知的なイメージを抱き、いい印象しか持たない場合が多い・・美人であるというだけで、他の要素についても勝手に「いいイメージ」を抱いてしまうというあたりとか、あるいは「化粧しても整形しても、ごまかしていることには変わりない」と言う辺りの見識とか。
主人公の人生は、一言で言うと「可哀想な」人生でしょう。
しかし、これだけ執念を持って一つのことに突き進むのは、ある意味幸せだと思えたりもするのですが。
読み物としては、大変面白く一気に読まされました。
読み終えてからも、主人公の人生に感慨を覚え、ジンとしました。
物語が終わった後の、英介の気持ちも聞いてみたいです。
12:25 : [本・タイトル]ま行トラックバック(0)  コメント(4)