【本】幻獣ムベンベを追え/高野秀行

4087475387幻獣ムベンベを追え (集英社文庫)
集英社 2003-01

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ここのところ、ハマっている高野さんのデビュー作がこれ。
早稲田大学在学中に、探検部から実際にコンゴに渡り、テレ湖に棲むと言われている、幻獣ムベンベを見つけるプロジェクトを立ち上げ、本当に現地に行き、40日近くテレ湖畔でキャンプを貼り実地調査した記録を本にしたもの。
この本の読みどころは大まかに分けて、3点あるかと思います。
その1、ムベンベは本当にいるのか、見つけられるのか。
その2、大学のサークルと言う素人軍団?がどこまでやるか。
その3、ずばり、本として面白いのか。
なんて書いてしまうと、上から目線のようですが、もうとっくに高野サンのファンになっていたので、期待度120%で読みました。もちろん、期待以上の面白さ。こう言う本、大好きです。
個人的なことを言うと、私は、ネス湖のネッシーも、UFOの存在も信じてない(ユーレイも占いも)超現実主義。( しかし、以前鹿児島に住んでいたときに池田湖にイッシーがいると言うのを聞いて、池田湖を眺めると、本当に「イッシーがいたら見たい!!」と言う気分になってしまったのも事実。真剣に湖面を眺めてイッシーの影を探しましたっけ・・・。アレは不思議。まぁ池田湖には巨大なウナギがいるので、あながち巨大生物がいても妙に納得してしまいそうですが。と言うのは置いておいて。)
だから、ムベンベが実際に見つかるかどうかは、実は私の中で、興味の度合いとしては低かったのです。
私が読んでいて面白かったのは、やはりこの一行の行動力です。
たかが大学のサークルと侮るなかれ、前準備などを含め、国交のないコンゴ政府とのやりとりや、現地の専門家の手配や、各企業の提供を仰ぐなどした機材の調達、ともかくプロと言っても過言じゃないその準備周到さであり、体勢の万端さであり、、、現地に行ったら行ったで、キャンプの張り方から見張りや探索など、これまたただの学生とは思えない手際のよさ。問題が勃発してみんなで話し合いをするときの意見交換の内容の高度さ(やはりエリート)などなど、へぇ~ほぉ~とただ唖然。
著者高野さんなどは、現地のリンガラ語まで会得して現地の人たちと現地の言葉で話すという堪能振り。「メモリークエスト」で、リンガラ語にものすごく思い入れのある記述が出てきて、その時はその興奮振りがちょっと分からなかったのですが、これを読んで得心しました。
一番印象に残っているのは、コンゴ人のガイドたちが狩りをする様子です。野ブタやワニはともかく、ニシキヘビ、サル、ゴリラ、チンパンジーまで食べてしまうのは驚き。そのほかにもマラリアの恐怖、各種虫たちの恐怖など、読んでいるだけでも背筋が凍りそうな部分も、なぜか面白く読めてしまいました。隊員たちの必死の姿、やがてやつれまくっていく姿の不憫さに、そんなのいるわけないでしょう・・・と思ってしまっている私でさえ「見つかって!」と、思ってしまいます。
そして、読みどころの3番目。高野さんの書く文章の面白さ。これに尽きます。卒論にアフリカ文学の翻訳をして認められ、その翻訳が一般文芸書として出版されているのも頷けます。妄信的に「ムベンベはいる」と思ってるのじゃなく、冷静に「いないならいないでもいい」というスタンスのようなので、まったく違和感がなく応援すらしてしまうのです。
本書は、ただの「探検のまとめ」としてではないと思います。そこには40日の間ジャングルで文明人が暮らす事の困難さの中に、人間の本質みたいなものが顕われていて、大変興味深かったです。
巻末には、各メンバーの一言コメントもついていて、それも面白く読ませていただきました。
ただ、自分の息子がこんなことをしようと言ったら、、、と思うと、ちょっと「感動」とか「興味深い」ではすみませんね・・・・!





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【本】ワセダ三畳青春記/高野秀行

4087476324ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)
集英社 2003-10

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私は今年に入り、著者のファンになりましたが、それまでというか、最近までこの著者を知らなかったのです。
しかし、知る人ぞ知る辺境作家と言う肩書きを持つ人です。
それは読んできた数冊の著書からも知っていたのですが、その背景には「早稲田大学探検部」というサークルがあり、そのサークルの先輩には、かの船戸与一氏やら西木正明氏やら著名作家も名前を連ねており、タダのサークルではない迫力が伝わります。そのことは、この次に感想文を書く予定の本でも触れる事になりましょうが、ともかく、「その」探検部の高野秀行氏の青春時代の一シーンを切り取ったものが本書です。ともかく面白い。
早稲田大学の正門から徒歩5分なのに、家賃1万2千円。三畳で風呂なし、共同トイレに共同台所だけど、鍵も掛けずに誰でも出入り自由的なのんびりした感じ。都会の真ん中現代で、そんな場所が残っていたのかと言うほのぼのとした嬉しさと、集まってくる奇人変人の可笑しさが群を抜いていて、目が離せないと言うか、一気に読み上げてしまいました。本書のなかにもそういう記述があるけど、「めぞん一刻」みたいでもあり、「ハチクロ」みたいでもあり、貧乏生活が楽しそうにさえ見えてくるから不思議です。でも、一度はこう言う生活をするのも、人生経験として大事な気がする・・。
特に印象的なのは、この大家さんの朗らかさや大らかさですね。大家さんの大きな懐に抱かれるように、心地よく自由で気ままな生活を楽しんだ著者が、やっと「成長」してこの野々宮荘を離れていくまで・・・。
著者を野々宮荘から連れ出したものの正体が分かるとき、そこにほろ苦い別離の寂しさとともに、人と人が結ばれる「機縁」のようなものを見せ付けられ、圧倒されてしまいます。こんなにあけすけに、自分の愛情を世間にさらせるっていうのは、高野さんがすごく大らかで男気がある証拠であるような気がします。なかなか言えないですよ、ここまでは。
最後はもう、なんだか胸が詰まって泣けて泣けて仕方がありませんでした。

個人的には「米騒動」の犯人と言うか真相は?というのが気になります。守銭奴さんのその後も。

14:06 : [本・タイトル]わ行トラックバック(1)  コメント(0)

【本】水神/帚木蓬生

4103314176水神(上)
新潮社 2009-08-28

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水神(下)
水神(下)
新潮社 2009-08-28
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帚木さんの歴史大作、「水神」読み終えました。
感動覚めやらぬうちにさっさと感想を書いてしまいたい!
「国銅」で、後世に残る奈良の大仏という大きなプロジェクトに参加した国人の人生を描いたように、今回は筑後川の堰を作った農民たちの姿を描いた作品です。
江戸初期がこの舞台の時代背景です。島原天草の乱で、父親を亡くした元助が、まずは主人公。
元助の村やその近隣の村々では、近くに筑後川と言う大川がありながらも、土地が高いところにある為に川の水を農耕に使うことができず、たいそう貧相な農作物にしか恵まれず、だから生活もとても苦しかった。ある村では天秤桶で水を運び、そして元助たちの村では元助と伊八と言う二人の百姓によって、堤防の上から綱をつけた桶を下ろし、ふたりで息を合わせて水を救い上げる、「打桶」と言うやりかたで、水を川から一日中、田んぼに流しているのです。伊八などは、40年間休むことなくこの打桶を続けています。気が遠くなりそうです。
そんな風にしても、水の豊富な地方との収穫の差は大きい。この苦労を断ち切るためには、筑後川に堰を作り、田んぼに引水するしかない。と、堰を作らんと立ち上がったのが、元助たちの村の庄屋を含め、5人の庄屋たち。
堰作りに彼らがかけた命運、そして、その事業の困難過酷さ、事業にかける男たちの姿を、帚木さんらしい、「美しい」筆致で描いてあります。
「国銅」と共通して感心したのは、読んでいるときに、まるでその世界が目の前に広がるようなリアルな風景を感じるのです。本当に、17世紀の日本に行ったみたいに。何度も、同じように感心して読んでいた「国銅」を思い出していました。
登場人物たちも、すごく生き生きと描かれていてそこにいるかのよう。特に、元助と伊八のふたりが堤防の上で打桶をしている姿が、シルエットとなって実に見えているようなのです。
朝は暗いうちから働き出し、夜は夜なべをして、粗末な着物や粗末な住まい、粗末な食事。だけど、それを自分の本分と捉え、一生懸命にやるべきことをする。仕事を大事にし、牛を大事にし、生活を大事にしている。つましく苦しく過酷な農民たちの生活。
貧乏ながらも、けっして不満を口にしたりせず、かといって諦観しているわけでもなく、あるがままに受け止めているような百姓たちの姿は、この村の庄屋の助佐衛門が百姓たちのことを思い、自ら百姓たちとともに質素で堅実で誠実な生活をしているからなのだ・・ということが分かってくるのですが。そうした人と人との結びつきや、思いやりがそこかしこにあって心が洗われるようです。
たとえば、あるとき、元助が庄屋助佐衛門の提灯持ちのお供をして、隣の庄屋の家を訪ねます。そこで、庄屋同士の話合いのあいだ、待たされるとき、食事を振舞われます。隣の庄屋は、元助の庄屋よりも身代がよく、振舞われたご飯もご馳走なんです。お代わりは?と訊かれて、元助は美味しくてもっと食べたいと思いながらも、お代わりをすることは、自分の庄屋に恥をかかせることになる、自分の村の恥にもなる・・と、断ります。そんな風に、自分の事よりも庄屋や村の人達の事をさっと思える元助。彼に代表されるように、身分は卑しくても心がとても美しい人物がたくさん登場し、いかにも帚木さんらしい人物描写に心をグッと捕まれました。
もう一人の主人公、庄屋の助左衛門。村の百姓のことを思い、堰渠(えんきょ)を考えます。そして助左衛門と共に今回堰を作る為に立ち上がった4人の庄屋たち、みんなそれぞれに高潔で清廉なのが、帚木さんのヒューマニズムの集大成のように感じられるほど。5人で藩に直々に申請に行ったときの口上は涙なくては読めませんでした。その後も、庄屋たちの気持ちは揺るぐことなく、周囲の庄屋たちに伝播して行くのですが、大きな事業に向かってみんなの気持ちが一つに収束していくのは、本当に感動的でした。
多分、主だった登場人物のほとんどが実在の人物らしく、それを聞いただけでも目頭が熱くなります。会心のオススメです。

そして、実は筑後川の歴史は、これで落着するのではなく、他の地域でもなんとも壮絶なようです。この波乱に満ちた川と闘った他の地の庄屋たちの物語を・・・帚木さん、また書いていただけませんか?・・なんちゃって。
13:45 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】いのちの初夜/北条民雄

いのちの初夜 (角川文庫)
いのちの初夜 (角川文庫)
角川書店 1955-09
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火花―北条民雄の生涯 (角川文庫) ハンセン病重監房の記録 (集英社新書 (0339)) 差別とハンセン病 「柊の垣根」は今も (平凡社新書) ハンセン病問題は終わっていない (岩波ブックレット) 「人生の答」の出し方 (新潮文庫)


以前、高山文彦氏の「火花」を読んだとき(感想はこちら)、是非とも「いのちの初夜」は読まねばと思いました。そのときネットの青空文庫で読めると教えていただき、表題だけはチラチラッと読んでいたのですが、WEBでは読みにくく熟読には至らず。今回ひょんなことから自分の家の本棚にあることを知り、手に取ったのです。(青空文庫はこちら

短編ばかりの薄い一冊の文庫本ですが、とても重量感があります。

収録作品は「いのちの初夜」のほか
「眼帯記」
「癩院受胎」
「癩院記録」
「続癩院記録」
「癩家族」
「望郷歌」
「吹雪の産声」
そして、巻末には川端康成のあとがきと、友人である光岡良二氏の「北條民雄の人と生活」という寄稿文、最後に年譜となっています。
「火花」の感想文にも書いたのだけど、ハンセン病というのは徹底的に差別迫害された病気で、そのことがまずこの病気になってしまう不幸のひとつだろうと思います。それがまず前面に繰るのではないかと思っていましたが、この本を読んで、この病気の過酷さに改めて驚かされました。
特に「癩院記録」と「続癩院記録」は、小説ではなく日々この病院の患者たちがどのように過ごすのかを、淡々と記録したものなのですが、病気の軽いものは全て、重い病状の患者たちの世話をすることになっているようです。それがまた、分刻みですべき事が決められており、包帯の取替えや、食事の世話、下の世話など、とても大変なこと。それをこなしながらも、体の変形、段々と緩慢に変わって行く症状・・・自分の行く末を末期患者の見た目からはっきりと予知するのです。自分もやがてはあのようになるそして「ボロ雑巾のように死んでいく」と、知らされるその絶望の深さはどんなものか。それは想像を超えていると思うのだけど、この本から著者が受けた衝撃や味わった絶望、あるいは諦観が伺えます。身体的不自由や痛みももちろんのこと。
だけど、作品にチラチラと見え隠れする希望の気持ち。生きようとする強い気持ちも確実にあり、両方に揺れる著者の気持ちが伝わり、涙なくしては読めません。本当に内面の描写がすばらしく、思い切り感情移入してしまいました。(と言う言い方はおこがましいと思いますが)
また巻末の、川端康成、光岡良二両人の後書きが泣かせます。特に光岡氏の寄稿文は、真の友人として、真に著者を理解していることが分かり、友情の深さなどに感動です。だれがどうして、こんなに他人を理解し思えるのだろう・・・それが、著者民雄の生涯でも、特筆すべき事の一つなのではないかと思いました。
「火花」同様、心にずっしりと重く残る素晴らしい一冊でした。


10:52 : [本・タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】青嵐の譜/天野純希

4087713113青嵐の譜
集英社 2009-08-05

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蒙古の侵攻により混乱する高麗から、海を渡り嵐をかいくぐって逃げ延びた武官の娘、麗花。流れ着いた壱岐地方の商人の家に引き取られることに。その家の息子である二郎と、そして、唐人街の遊女だった母を持ちながらこの地方に引き取られた宗三郎。元寇と言う歴史上の一大事を背景に成長する3人の姿を描く大型歴史小説。

元寇とは、歴史の授業で一行二行の記述で終わった、鎌倉時代の出来事。襲来した蒙古は、それは酷いやり方で日本を攻めたのだとか、あるいは、神風が吹き蒙古を撃退したのだとか、そんな尾ひれだけは知っていたのだけど、詳しいことは何も知りませんでした。
この物語には、襲来された壱岐地方のことだけじゃなく、中国大陸や朝鮮半島の情勢も触れられていて、元がどれほど強大な軍事国家であり、周囲の国々を怯えさせていたのかなど広い視野で描かれていたのが読み応えある部分の一つだったと思います。
二つの襲来はそれぞれ、突然のことではなく、何度も元の皇帝から使者が来ていたとか、鎌倉はそれを無視していたとか、人身御供とさえいえるようなこの地方の人々の犠牲がいかに甚大だったかなど、当然ながら教科書に載っていない事ばかりで、その辺りが大変面白く読めました。
物語はその元寇に翻弄される3人の若者の姿を描いたものです。波乱万丈の世情の中で、やぱり波乱万丈に生きていく3人の姿は、結末が予想されそうでいてなおかつ先を急がされ、一気に読まされました。
所々文章使いに作者の若さが垣間見られたのも、若い読者には共感を呼び、読み易いのではと思われました。
10:15 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

【ドラマ】のだめカンタービレ

B000HIVIGKのだめカンタービレ DVD-BOX (6枚組)
二ノ宮知子
アミューズソフトエンタテインメント 2007-05-25

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これまた娘がハマってる話。
なんか・・・それでも受験生か?って感じで、先が見えた気がしてます・・・・(-_-;)
しかし、改めてドラマを見てると(私は原作ファン)やっぱり面白い。
そして、玉木宏、この頃が一番かっこいいな~~。輝くばかり。今は言って悪いけどやせすぎと思う。好みの問題だろうけど・・・。
真澄ちゃん、最後のほうはアフロが地毛じゃないですか?今頃気付いた。
パリ編も借りて見たんだけど、パリ編はちょっとのだめと千秋の恋愛色が濃くなっていて、娘には不評なり。のだめのスランプも結構シリアスだし。峰や真澄ちゃんも登場少ないし(笑)。
でも、ウェンツとターニャはいい味出している。面白い!
あれですね、フランス人との会話がヘンテコなのがネックかな。
パリ編にしろ、日本編?にしろ、ドラマのバックがクラシックなのが良いですね。
原作は佳境です。もうすぐ終わってしまうのかなぁ。寂しいなぁ・・・・。

のだめオーケストラ CONCERT! [DVD]
のだめオーケストラ CONCERT! [DVD]のだめオーケストラ

エピックレコードジャパン 2008-02-27
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パリだ!プラハだ!!ぎゃぼー!!!のだめカンタービレ in ヨーロッパ ロケ地マップ [DVD] のだめカンタービレ in ヨーロッパ [DVD] のだめカンタービレ スペシャルBEST! のだめカンタービレ 巴里編 「のだめオーケストラ」LIVE!



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【ゲーム】トモダチコレクション

B001HN6G2Uトモダチコレクション
任天堂 2009-06-18

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娘がハマってます。
面白いらしい。
飽きそうだから買わない・・・と言っていたのに、やっぱり欲しくなり購入。
30人ほどのキャラクターを作り上げ(ヒマだねー)片思いしたり、両思いになりカップルが成立したり、果ては結婚したり。ゲームソフトを持ってない姉と、「誰々が結婚したよ!」などと、報告しては楽しんでます。娘はテニプリが好きなので、そんな感じのキャラを作ってるらしい。
つくづく、イマドキの子は楽しみが(誘惑が)沢山あって、勉強する暇がないわ。やれやれ。
20:53 : [そのほか]ゲームトラックバック(0)  コメント(0)

【映】ファーゴ

B001EI5MC8ファーゴ [DVD]
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2008-10-16

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「ノーカントリー」のコーエン兄弟による、実際の事件を忠実に再現したらしい映画。
こちらのほうが製作は前になるけれど、BGMなどの盛り上げる感じもなく、淡々と、酷い事件が起きていくのが、とても「ノーカントリー」に似た雰囲気。
だけど、断然こちらのほうが面白い。
主人公は、なぜなのか分からないけどお金に困り、自分の妻を狂言誘拐して、義父から身代金をせしめようとします。しかし、頼んだ相手が悪かった。とんでもない男たちに頼んでしまったせいで、どんどんと窮地に追い詰められていく主人公。そして、事態は思わぬ方向に転がっていってしまい、誰にも止めようがない。。。どうしたらいいのか、まさかこんな結末が待っているとは。。。
ノンストップサスペンスコメディ。
・・・・しかし、私にはとても「コメディ」には思えなかった。実際にあった事件で、しかも忠実に再現したと言うのは、映画の冒頭にテロップで出されるので、あまりにもひどい成り行きに驚くほかないのです。これがもし全くのフィクションだったら「ちょっと中途半端」とか、思っていたかもしれないけど、実際にあった事件なのだから(しつこい)恐ろしいやら情けないやら。
そう、主人公のあまりにも浅はかさに、情けないのです。アホか、アンタは。こんな事態を引き起こしてどうするつもりだ。と言う気持ちも沸いてくる。
先日見た「その土曜日、7時58分」という映画にも、事件の持つ雰囲気がとても似ていた。安易にお金を奪おうとしては、どツボにはまってる。情けない。両方の映画とも、男どもがなぜそんなにお金がほしいのか、どうやってそんなに借金をしたのかっていうことは描かれてなかった。きっと同情にも値しない理由で借金をこさえたんだろう。ほんと、バカ。
人間の愚かさを描いたとても面白い作品でした。満足。しかし、実際にあった事件と思うと、「面白い」とは、なくなった方々に失礼だと言う気もしますが・・・。

★★★★☆
14:03 : [映画タイトル]は行トラックバック(0)  コメント(0)

【映】マンデラの名もなき看守

B001PRR8PCマンデラの名もなき看守 [DVD]
ポニーキャニオン 2009-04-24

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ネルソン・マンデラ氏は南アフリカ共和国の、黒人として初の大統領となった人物。
アパルトヘイト政策がなくなるまで、27年もの間、投獄されていたのです。
この映画はマンデラ氏の投獄された監獄の看守となった男が主人公。
男は、幼いころにマンデラの部族の近くに住んでいて、彼と同じ言葉を話す友だちを持っており、彼らの言葉が分かる為に、政府の「スパイ」的な役割を背負って看守となり、その任務を行ううちに出世していきます。
最初は、主人公はアパルトヘイトに対して疑問もなく、黒人は差別されて当然の存在だと思って、自分の昇進が一番の関心で、妻や子どもにいい暮らしをさせたいと思っている。
でも、マンデラの精神に触れ、段々と感化されていく。そんな主人公にマンデラ氏も心を開き、やがて二人の間には友情とも呼べる感情が芽生えていく・・・と言う物語です。
だから、最初のうちはこの主人公、イヤ~な感じのヤツだったのですが、段々と変わっていくところにグッと心を引かれました。それが、急激に変化するのじゃなく、長い年月をかけて・・・というあたりが、リアリティを感じさせます。理想的な行動は、思うよりも難しいに違いない。上司や家族と、マンデラの間で苦しむ主人公にとても同情したし、また好感が持てました。奥さんにも変化が現れるんですね。とても印象的です。静かな感動と余韻を呼ぶ作品でした。

マンデラ氏が日本に来たときのことは、覚えてはいるのですが、それ以前にこんな過酷な投獄生活(27年も!その間に息子を喪ったりもしている)をしていたとは、全然知りませんでした。
映画でも「遠い夜明け」など、アパルトヘイトを扱ったものを多少は見たことはあるけれど、どれほどの差別が行われていたかと言う事はほとんど知らず、これを機に調べてみたくもなりました。
アパルトヘイトがなくなったからと言って簡単に社会が上手く行くわけでもないらしく、今でも難しい政情のようです。
10:59 : [映画タイトル]ま行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】メモリークエスト/高野秀行

4344016556メモリークエスト
幻冬舎 2009-04

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辺境を旅することがすきな、冒険家?の著者が、新しい世界を見たいとの一念で、新境地を開拓すべく、WEBマガジンで一般公募を募り、「これを探してほしい」という依頼を受けつけます。その中で選りすぐりの依頼に答え、タイやセーシェル、アフリカ大陸に乗り込み依頼にそって「探し物」を探し出すまでをまとめたルポエッセイ。

昔タイのバンコクで出会った小学生の男の子が、今どんな青年になっているか・・・というほのぼのした依頼や、セーシェルで出会った胡散臭すぎるおじいさんを探してみてくれと言う依頼やら、くすくすと笑える依頼ももちろん面白いのだけど (結末にもびっくりが待ってたりもする) 後半の南アフリカ共和国での話は壮絶でした。こればかりは高野さん自身の昔出会った人物を探すと言う、依頼からは外れた話になってしまったんだけど、かのルワンダの大虐殺に関係した青年を探すと言うもので、ちょっとでき過ぎのような話になっていて、釣り込まれてしまいました。

こんな体験をこんな風に語れるのは著者の人柄と言うか性分と言うか・・・かなり惹かれてしまうものがあります。アフリカの話は切ない思いもありましたが、全般的に平凡に暮らしている私のような人間には「へぇ~」の連続。とても面白く楽しく読みました。

高野秀行さんの本は、「ビルマ アヘン王国潜入記」を読み、とても面白い本を書く人だなぁと思い、心惹かれて、先日「世界のシワに夢を見ろ!」を読んで、この「メモリークエスト」が3冊目。まだまだ高野初心者ですが、これからどんどん読んで行きたいと思っています。
ちなみに、「世界のシワ・・・」もとても面白かったです!

4094083456世界のシワに夢を見ろ! (小学館文庫)
小学館 2009-01-08

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22:49 : [本・タイトル]ま行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】1Q84/村上春樹

41035342221Q84 BOOK 1
新潮社 2009-05-29

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41035342301Q84 BOOK 2
新潮社 2009-05-29

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ネタバレあり、ご注意願います。

社会現象ともなった村上春樹の「1Q84」BOOK1とBOOK2を読みました。
私の読書歴として村上春樹は、大昔やっぱり社会現象ほどベストセラーになった「ノルウェイの森」を読みましたが、小説はそれを読んだきり。
後に、オウム事件に関連して出された、事件の被害者たちへのインタビューからなる「アンダーグラウンド」を読みました。被害者の人たちの立場や想いが伝わり、胸苦しくなるような読書でしたが、とても重厚ですばらしい本だったと記憶しています。
その後事件を起こした信者側のインタビューをまとめた「約束された場所で」も、読もうとしたのですが、被害者たちの言葉に比べて、信者たちが言っている事がイマイチよく分からず読むのをやめたのでした。
今回、「1Q84」を読んでいて、まったく共感できず、面白くも無く、最終的にはワケがわからないと思ってしまったのだけど、その感触が、「約束された場所で」を読んだときに感じた「ワケのわからなさ」によく似ているのです。

物語は、青豆と天吾という二人の物語を軸にしています。
青豆は女性を苦しめる男を人知れず消していくという特殊な仕事を・・天吾は難読症の少女の物語を小説の形にすると言う仕事をしながら、やがてそれぞれ別々にカルト宗教団体の「さきがけ」や、謎の存在「リトルピープル」などに近付いていく。その中で、青豆や天吾の過去が明らかになり、二人の接点も、互いに思い合っている事も見えてくる・・。
読み終えて思うのは、私には物語のテーマ自体が分からなかったということ。だからナニを軸に読めば良いのか分からず、結局ワケがわからないうちに本を読み終えると言うことになったと思います。今振り返ってみれば、これはひょっとして天吾と青豆の恋愛小説だったのかなぁ・・・・。
そんなとらえかたをせずに読んだので、ずれていたのかも知れません。
とくに、青豆が「さきがけ」のリーダーと出会う場面の事。このリーダーが、私には「いんちき」であるべき存在だったのに、千里眼のような超能力を持つ「ホンモノ」だと分かり、青豆は翻弄されてしまう。いんちきだったらもっと話は分かりやすかったはずなのに、ホンモノであることで「だからナニ?」と混乱してしまいました。天才(作者)の考える事は凡人には分かりません。
あの団体は、どう見てもオウム真理教をモデルにしているし、あのリーダーは麻原をモデルにしている・・・あの事件は、いんちきな男のペテンに、東大とか早稲田とかの理知的な秀才が易々とかかってしまい、挙句人の命さえも奪ったところが特殊だったのでは・・と思うのだけど、そのリーダーをなぜ本当に超能力者として描いたのか・・・モヤモヤさせられました。リーダーがナニを言ってるのか全然理解できなかったし、言っている事と、それまでに少女たちにしてきたことが全然つながらなかったのも、モヤモヤ・・・。
私は、あのリーダーの「いんちき」を「暴き」「糾弾し」「制裁を加える」ことを望んでいたと思います。それが、「アンダーグラウンド」や「約束された場所で」を書いた著者の、義務と言っても過言ではないではないかと思いました。だから、あのくだりには本当にがっかりさせられました。
そのほかにも、そもそもSFなのかファンタジーなのか、もうその世界についていけなかったんですけど。その後の展開も同じくまったく理解できなくて、後はもう読むのが苦痛で目を滑らせて読んだ感じ。リトルピープルとか二つの月とか・・・。そもそも「1984」ではなく「1Q84」だとか。私には理解できない。能力が無い。と感じた読書でした。



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