【本】もうすぐ/橋本紡

4103007532もうすぐ
新潮社 2009-03

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お初の作家さんです。

主人公はネット新聞の記者由紀子。産婦人科医が、出産事故を起こして妊産婦が死亡した医療事故から三年も経ってからの逮捕という事件になんだか腑に落ちないものを感じながら、その事件を調べようとすると、出産、妊娠に関する様々な問題点や、女性たちの訴えを知ることに。年齢的に他人事ではない立場の由紀子だが・・・。

なかなか重大な社会問題をはらんだ深刻なテーマの小説だけど、読物としてとても面白かったです。出産しようとしても産院が見つからない夫婦、子どもがほしいのに妊娠しない女性、夫が子どもをほしがらない夫婦、いろんな問題がネット新聞での取材や掲示板を通して集まってくるのです。妊婦のたらいまわし、訴訟問題を恐れてと言われている産科医の激減など、実際に社会問題化している産科の問題が分かりやすく描かれていて、とても興味深かったです。

子どもを生む・・・私はもう遠い昔の話になってしまったけど、簡単に妊娠し、簡単に出産しました。そこに奢りがあったような、身のすくむような気持ちで読みました。



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【本】輝ける闇/開高健

410112809X輝ける闇 (新潮文庫)
新潮社 1982-10

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著者の体験をもとにしたらしい、ベトナムに従軍記者として派遣された主人公の「日常」を描く作品。
この小説の中では確かに「日常」なのだけど、それは戦時下の日常であり、こちらから見ればそもそもが非日常の世界。だけど、その場にいてそこで暮らせば、その「非日常」が「日常」になるんだと思う。たとえば、戦闘が繰り広げられる中でも「シエスタ」という習慣は健在で、その時間が来たらのんびり昼寝をすると言う・・・不思議な感じがするけど、それこそが「ベトナム戦争の日常」なのだと思って、ちょっとびっくりしてしまう。そして、常に人が死に、死体をその辺で見たりするのだそうで。
そういう、舞台自体が「ドラマティック」で、ストーリー展開は「非ドラマティック」、淡々と語られる。
圧倒されたのは、その文体です。
湿気と粘り気のある空気、そして独特の臭気まで漂うような描写、表現・・そして主人公の内面を高までえぐるように描いてあるそのことに圧倒されました。これぞ純文学、これこそが文学なのか?と思えるほど一つ一つの表現がものすごく洗練されてすごい。今まで私が読んだ事のある文章はナンだったんだろう?と思えるほどに・・・(って言うと、既読の作家や作品にあまりにも無礼なんだけど)。ひれ伏したい気分になりました。


17:36 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(2)

【映】ファニーゲームU.S.A.

B0026ESMVMファニーゲームU.S.A. [DVD]
アミューズソフトエンタテインメント 2009-06-26

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バカンス先の別荘で、これからワクワクするような楽しい時間を過ごすはずのある家族が、見知らぬ闖入者によって意味も分からないまま恐怖のどん底に落とされていく・・・・。
と言う、オーストリア映画「ファニーゲーム」の監督、ミヒャエル・ハネケ監督による、アメリカ版セルフリメイク作品がこちら。
ともかく気味が悪く気分の悪い映画なんです。有り得ないほどに観客の気持ちを、徹底的に悉く裏切っていく展開には、見ているこちらはストレスがたまる一方。
事実は小説より・・・・というごとく、実際の事件にはそれはそれは残酷で恐ろしく正視に耐えないものがたくさんある。観客を嫌な気分にさせる素材と言うのはいくらでもあるのです。
しかし、この映画は多分、そういう直接的なシーンや描写を使わずに、まったくのフィクションで、どれだけ観客を嫌な気持ちにさせるか・・ということに敢えて挑戦している映画のように見えます。
ともかく、観客をバカにしているのか・・と思う場面もあり、ムカムカの連続なのです。
もちろん、ドキドキハラハラ・・・怖い!と言うのもある。
私が今までに見た映画の中でダントツに怖くて嫌な気分になる映画。
・・・・のリメイク作品なので(しかも同監督のセルフリメイク)見たのですが・・・。
こう言う映画はインパクト第一なので、オリジナルを見たときの、あのえもいわれぬ衝撃や、気味悪さなどはやっぱり前回ほどには感じられませんでした。
忘れっぽい私だけど、オリジナルを観たときのストーリー展開もおおよそ覚えてたし(それだけ印象深い映画だって事です)新鮮味がなかったと言うのは一番大きなマイナス。
なんでリメイク作品を作ったのかな~と思います。でも、説明して欲しくない。映画の中の犯人たちが説明しないのと同じように、監督も寡黙に・・・。

一家の息子にデヴォン・ギアハード(Devon Gearhart)。チェンジリングに出てたそうで。いわれて見れば、あの役の子かな?確かな演技に釣り込まれました。

★★★

2009年、第62回カンヌ国際映画祭ではハネケ監督、最高賞パルムドールを受賞したそうで。。
その作品は『ザ・ホワイト・リボン』で、第1次大戦前夜、ドイツ北部の村で起こるいやーな感じの作作品らしい。やっぱり「見たい!」と思ってしまうのです。
20:05 : [映画タイトル]は行トラックバック(1)  コメント(0)

【映】ワイルド・バレット

B001PP981Qワイルド・バレット DTS スペシャル・エディション [DVD]
Happinet(SB)(D) 2009-03-27

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ポール・ウォーカーっていうと、「ワイルド・スピード」?みたいな感じで、この映画も「ワイルド」がつくし、そんな感じと思って借りた。そしたらグイグイ引っ張られた。面白かったです!単純なアクションではなく、子どもを巻き込んだドキドキハラハラのサスペンス。拾い物でした♪
そもそも、ポール・ウォーカーって結構好みのイケメンで、久しぶりに見たら渋くなってていい感じです。今後ちょっと彼のほかの映画も見ようっと♪

【ストーリー】
イタリアン・マフィアの組織に所属するジョーイの仕事は「殺し」に使用された銃の後始末。今回はボスの息子トミーが、麻薬取引の現場に乱入してきた警察官を射殺した拳銃の始末を任される。しかし始末したはずの拳銃が、ジョーイの隣家の発砲事件で使用されてしまう。発砲したのはジョーイの息子ニッキーの親友オレグ。虐待されていたオレグが養父に銃を向けたのだった。なぜ始末したはずの拳銃が? オレグと共に消えた拳銃を探して、ジョーイは夜の街へと走り出すが…。(Amazon)

ポールの演じるジョーイって、言葉は悪いし素行もがさつで下品だし、いいところがない!!と思って見ていたが、やっぱり段々とカッコよく見えてくるから不思議ですね。拳銃を盗んだ、自分の息子の友だち(これがまた、可愛くない子で、笑わないし無表情・・その理由はちゃんとあるのだが)を、殺すために探しているんだと、こっちは思っていた。だから「こいつ、サイテーやな」と言うのが感想。
それだけで終わっては映画はつまらないから、たった一晩の物語なのに、あれもあり、これもありとてんこ盛りの内容。スリルとサスペンスの一夜です。だけど、「24」シリーズみたいにゲップが出たりはしない。ずっと画面に釘付けになってました。途中、へんてこりんな感じの部分もあったけど・・・(オルグが迷い込んだ夫婦の部分)。
悪くみえて、段々とカッコよくアップしていくと、もともとのカッコよさよりも2割~3割り増しでカッコよく見えるから、見終わったときのポール・ウォーカーのカッコよさと言ったら、ちょっと感動モノ。ちょっとカッコよすぎて、ずるいぐらいかも。
いやいや、見直しました。
オススメ!

★★★★

B0022F6LSQイントゥ・ザ・ブルー [DVD]
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2009-06-03

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B0013LF1WMボビーZ [DVD]
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2008-04-23

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B000FOT8H2ノエル [DVD]
デヴィッド・ハバード
アミューズソフトエンタテインメント 2006-08-25

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16:41 : [映画タイトル]わ行トラックバック(0)  コメント(0)

【映】スノー・バディーズ 小さな5匹の大冒険

B001HZEYKOスノー・バディーズ 小さな5匹の大冒険 [DVD]
ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント 2009-01-21

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別々の家庭で幸せに暮らしていた5匹のきょうだいワンちゃんたち、あるときアラスカに運ばれてしまい、そこで犬ぞりレースに出ることになった・・・・という
だけの話。
何のひねりもなく、ただ、予想の通りに進んでいく。こんな話でいいのか??と思うほどあっけないストーリー展開。
ただ、犬は可愛いです。
それだけ。。。。!

★★★
16:16 : [映画タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

【映】永遠のこどもたち

B001WAAAI4永遠のこどもたち デラックス版 [DVD]
ジェネオン エンタテインメント 2009-05-22

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子どもの頃孤児院で育ったラウラは、結婚し、夫妻に養子を迎えて再び孤児院として使われていた家に戻ってきた。自らも孤児院を立ち上げ、子どもたちと暮らすために。
しかし、その家では不思議な出来事が・・。息子のシモンが空想の友だちを作り、その影がそこかしこにいるようだ。いよいよ、孤児院の歓迎パーティーのとき、シモンが忽然と姿を消してしまう。
どんなに探してもシモンの姿はなく、やがて月日がたち・・・。

パンズ・ラビリンス」のデル・トロ監督製作だけあり、耽美的でどこか物悲しい映像に、どっぷりと浸りました。最初から、なんとなく怖い感じ。子どもにだけ見えて、自分には見えない「友達」がいたりとか古典的な怖さなんだけど、やられてしまう。
子どもがいなくなり、必死に探すうちに夢なのか現なのか分からない感じになって(その辺りが怖い)結局最後まで見ても、それは分からない・・・最後の最後に「ああ、そうだったのか」という驚きと悲しさがあるのが、今まで見たこの監督(この映画では製作ですが)に共通するこだわりというか、オチと言うか。ちょっと打ちのめされてしまいます。
同じ監督の「デビルズ・バックボーン」もそうだけど、「子ども」を使うのがすきなんですね。

グッと心をつかまれる、悲しく美しく愛情深い物語。オススメ。

★★★★☆



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【本】日本最初の盲導犬/葉上太郎

4163713603日本最初の盲導犬
文藝春秋 2009-07-29

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タイトルの通り、日本に盲導犬がどのように導入されたかが、書かれたノンフィクションです。
今でこそテレビなどで、盲導犬の訓練の様子などよく見ます。街頭募金で盲導犬がジッと座ってる事もあります。(まだ、実際に盲導犬を連れた人を見たことはないのですが)
でも、その歴史というか、一番最初にどうやってそれが日本にやってきたか、はっきりとしたことは分からないらしいです。それを取材を重ねて著者の分かる範囲でまとめられています。
知らなかったのですが、そもそも盲導犬は、戦争によって盲目になってしまった軍人の社会復帰の為に、導入を試みたのだそうです。と言っても太平洋戦争の初期までの話で、傷痍軍人への補償や福祉は戦局の悪化と共に手が回らなくなります。
除隊した(せざるを得なかった)傷痍軍人の社会復帰を支えたパートナーとしての犬とその飼い主の物語であると同時に、日本のもうひとつの戦争記でもありました。
戦争で身体を傷つけられた軍人のその後の人生は、体の痛みと共に精神的にもとても苦渋に満ちていて、たった一言で「除隊」とか「帰還兵」などと言っても、その後の生活や体調の不調は凄まじく、想像を超えています。
たとえば、浴びた弾丸や戦車の破片などの「異物」が、直後の処置では除ききれず、退院して何年もたってからでも、皮膚を掻けば小さな破片となり、砂のようにボロボロと表面から「沸いて」くる・・、あるいは後年背中の一部が膿んできて、よく調べると中に残っていた弾が表面に出てきたためで、手術で取り出すなどと、戦争が個人に与える影響の計り知れない事にいまさらながら驚きです。
絶望に陥ったのは、特に目が見えなくなってしまった人たちだそうで、自分の身に置き換えてもさもありなんと思うのだけど、(その想像はとうてい及びはしないのだけど) 彼らが盲導犬とのふれあい、献身的な愛情によって社会復帰を果たしたり、気持ちを持ち直したりする様子が描かれています。

そもそも、一番最初日本にやってきた盲導犬は、1938年に飼い主のゴルドン君というアメリカ人大学生(ハーバード大)と一緒にやってきたオルティというメスのシェパード。日本人には初めて見る「盲導犬」で、それはもう驚きをもって迎えられたようです。ゴルドン君の「布教」に触発されて、軍部の一部軍医たちが日本にも盲導犬を導入する事を考え、理由は明確には分かってないらしいけど、軍では導入できなくて、愛犬家の民間団体の代表者の相馬さんと言うひとの働きかけによって、1939年の5月に、ドイツから4頭の盲導犬がやってきました。
それが並大抵のことじゃなく、ものすごい手間ヒマ金銭をかけての輸入だったようで、初期の盲導犬に関わった人たちのご苦労がしのばれ、感服します。

なによりも、犬と飼い主との結びつきが感動以外のなんでもないのです。
登場する犬のどれもが健気で、とてもとても賢くて優しく、いじらしくて、それだけでも涙モノです。表紙の犬は、山崎さんと言うひどい怪我の末に失明された人に与えられた千歳と言う、ドイツからやってきた犬の二世。この犬の健気な献身も感動で、山崎さんの失明の絶望と共に、涙なしでは読めない物語でしたが、他の犬たち、ドイツから来た犬やその二世たちの活躍やその死もまた涙涙の物語でした。

ただ、本書は犬と人間の涙の感動物語として描かれたものではありません。元来戦争があったからこそ、盲導犬と言う存在が生み出されたのだと言う事、今は人々の純粋な福祉の為に活躍する盲導犬も、元をたどれば戦争が生み出したものだと言う事を、きちんと見つけなければならない。戦争は「終戦」で終わったのではなく、その後の長い終戦を生きた人々にとって盲導犬がどんな役割を果たしてくれたのか、そこにあった数々の物語を忘れるべきではないと、著者は言っています。だから単なる「感動」だけで終わらせてはならないのだと感じたしだいです。






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【映】やわらかい手

B001AX11NQやわらかい手 スペシャル・エディション [DVD]
ビデオメーカー 2008-09-03

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こんなに内容紹介するのに困る作品だとは見る前には思いませんでした。
ともかく、孫の大病でお金が必要な初老のおばさんが、働き口を探すもなかなか見つからず、たどり着いた就職口は、男性を手で満足させると言う風俗業だった、しかし、意外にもその持ち前の「やわらかい手」が業種にマッチし、みるみる顧客の心をつかみ、連日行列が出来るほどの人気ぶりになってしまうという物語。
このオバサンが亭主に先立たれ、「そういうこと」は数年「なし」であるとか、この年代の女性はそういう人が多いのかもしれないけど(宗教の関係もありか)とても初心で、その店のオーナーとの会話がなかなか通じなかったりするシーンとか、いやいや始めた慣れない仕事に、段々と慣れて行き馴染んでいく感じとか、人気が出て給料も上がり、財布が大きくなるところとか、特殊な腱鞘炎とか、行列をなす男たちの姿とか、ブラックながらもほのぼのとした笑いのツボもあって、面白かったです。
孫の為にやってることだけど、そりゃ家族にしたら冷静ではいられないですよね。特に息子は神聖な自分の母親がそんな仕事をしていると言うことは、受け入れられない。自分の息子に売春婦と大声で罵倒される気持ちとは・・・彼の息子のためにしていることなのに(ひいては彼の為にでもある)・・・・「ありがとう」の一言もなく・・・わが身の出来事のようにとても悲しい気持ちになりましたよ。私だったら怒鳴りつけてると思うな~。
この辺の主人公マギーの気持ちは、息子には分からなくてもきっと息子の妻には分かってもらえるのじゃないかと思ってました。そりの合わない息子の妻だけど、このマギーの「覚悟」が分からないようならダメだ・・・・と思いましたね。やっぱり女の気持ちは女にしか分からないのかな。

マギーのおすましの友だちの反応も面白かったです。
マギーの死んだ亭主も、死に際に余計な告白をしていったもんだ・・と思ったんだけど(だって、死んでいくほうはそれで気がラクになるのかもしれないけど、言われたほうは、責める相手はこの世にいないし、一人悶々と苦しまねばならないと思う)この際は、本当のことを知っていたからこそ、おすましの友だちに逆襲できたんだから、結果オーライだった部分はあるのかも。
そのほか仕事の「センパイ」の女性とかも印象的。色んなタイプの女が登場して面白かった。
ニコもね・・・!
よく見てみれば、ジャケット写真がグー!(笑)
とても気に入りました。この映画。

★★★★☆


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【映】彼が二度愛したS

彼が二度愛したS [DVD]
彼が二度愛したS [DVD]
Happinet(SB)(D) 2009-04-24
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star予備知識なしで
star主演の二人が好きなら…
star一目ぼれから始まった大人の恋とサスペンス

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Amazonのレビューアーさんたちはおおむね高評価ですが、私はそれほどでもーな感想。
ある会計士が、一人の弁護士に出会ったときに、それまでひたすら地味だった彼の生活が、すごく刺激的になっていく。極めつけは、弁護士が入っていたらしい謎のクラブに出入りするようになった事。そのクラブとは、セレブな男女が後腐れなく一晩共に過ごす事ができるクラブ。
そのクラブでのアバンチュール(って今言わないですか?)にのめりこんでいくうちに、一人の女性を本気で愛してしまう。ある夜その女性が忽然と姿を消し・・・。
弁護士の正体は?目的は??女性はどこに?
と言うサスペンスなのですが、もう言っちゃ悪いけど、ヒュー・ジャックマンガ最初っから悪いヤツにしか見えない胡散臭さプンプンなのです。会社内での同僚たちと喋ってる場面だって、「みえみえ」なんですよ。ユアンはいかにも「カモ」にされてるぞ、と言うイメージ丸出しだし、白けるぐらい「ありがち」な設定だと思いました。
何から何まで想像の範疇。初めてこう言う作品を観る人なら楽しめると思うけど、ちょっとでも観て来た人にはそんなに目新しくも面白くもないと思います。
つまらん!って言うほどではなく、見てる間はそれなりに面白く感じたんだけど。
ごくごく、フツーって言う感じでした。期待した分、ガッカリしたかも。

★★★


20:53 : [映画タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】差別と日本人/辛淑玉・野中広務

4047101931差別と日本人 (角川oneテーマ21 A 100)
角川グループパブリッシング 2009-06-10

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野中広務さんと、辛淑玉さんとの対談集です。
以前「差別と権力」と言う本は、小難しくて(^_^;)挫折したんだけど、こちらは読みやすかった。薄かったし。
野中さんは被差別部落の出身で、辛さんは在日朝鮮人。
二人の対談や辛さんの解説文から、被差別部落の人や在日朝鮮人の人たちが受けてきた差別がどんなものか、分かります。
とは言っても、この本に書かれているのは、さわりに過ぎないだろうけど。
それでも、近代史の中で順を追って差別がどう変化してきているか、変化してないかが書かれてて分かりやすかった。
書かれていることのすべてに、頭が下がる気持ちです。いっちょまえに知ってるつもりになってても、そんなの何のたしにもならない壮絶な歴史がここには書かれていて、うなだれてしまいます。
特に終盤ふたりが、本当に腹を割って話し合っている部分は、大きな感動でした。
その部分を読みながら「これを口に出すなんて、泣かずにおれなかったのではないか」と思ったけど、後書きによると、やっぱり二人で、嗚咽を堪えたり言葉に詰まりながらの対談だったようです。
野中さんの懐の深さに、辛さんも辛い過去を「こんなに辛かった」と告白しているようだし、またそんな辛さんの本音を聞いて、野中さんも今までは誰にも言わなかった事を言ってしまった、と言う感じで、こういうのをクサいけど「魂のぶつかり合い」と言うのではないかと思いました。とことん、本音で、気持ちをぶつけ合い、受け止めあう姿には感動を覚えました。
対談部分だけでは分からなかったと思うけど、辛さんの解説はとてもわかりやすかったです。すごく冷静でスマートな文章でした。だからこそ後半の「辛かったんですよ」と言う訴えが、胸に沁みました。
オススメです。
18:12 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

覚え違いタイトル集

福井県立図書館が、カウンターで実際にあったという書籍タイトルや筆者名の覚え間違いの例を、Webサイトで公開している。(ITmedia News) ソースはこちら

面白い記事を見つけてさっそく「福井県立図書館」のサイトに飛んできました。
読み間違い、覚え間違い、よくありますあります!気持ちはわかる。
カウンターに「こんな本を探しています」と言ってくるユーザーに、図書館の人、一生懸命考えて求めている本を探してあげるんでしょうね。
しかし、色んな間違いがあっておかしい!と言うよりも、よく分かるなぁ。。図書館のひと。
「もたれないと言う本」で、「倚りかからず」茨木のりこが分かるとか
「『主婦の友』とかでよく見るんだけど、名前が読めない人の本。」で「奥薗壽子(おくぞの としこ)。」が分かっちゃうとか、
「ちおち」で「半落ち」とか・・・
私だって「半落ち」読みましたよ。でも「ちおち」と言われても絶対に「半落ち」を思い出せませんよ。
「斎藤孝の『声に出して読みたい』シリーズ」がどうして「川島隆太の朗読の本」にインプットされちゃうのか。斉藤隆、川島隆太・・一字もかぶってませんってば。
「生の京都」が「いけずの京都」だし・・・たしかにイケズは京都弁だけど。。。
やっぱり一番笑えたのは「「探さない」とかそんな感じのヤツ 」ですね。「そんな感じ」って、それで図書館のカウンターに来るって言うのがチャレンジャー。答えは『求めない』加島祥造・・・って全然違うヤン??
よく分かりますよね。図書館の人。敬服します。
そんな本探しの達人でも、おくだなんとかさんの「さらしもの」って言う本が分からないらしいです。
奥田さんって言うと、奥田英朗さんですが「さらしもの」って言う本はないですよね。
「最悪」とか「サウスバウンド」とかかな?
いや、案外、作家名から記憶違いで、「奥田」ではなく「角田」光代で「さがしもの」じゃないんでしょうか??なんて、考えてるんだけど、真実はいかに。教えて欲しいです。
詳しくはこちらです⇒「福井県立図書館


私の場合、先日、本好きのオフ会で、AさんとBさんと本の話をしていたときのこと。
あるひとの新しい本の話が出て、
私「うーん、中山美穂のだんなさんの人とペアで出版した本で」
Aさんは分かってくれたけど、Bさんは分からず、その本を説明したい。
でも、Aさんも私もお互いタイトルが出てこない。
私「たしか、北側と南側、みたいなタイトル」
Aさん「わかります、わかります。」
Bさん「なんですか、それ」
そして本屋さんに移動。本好き同士のオフ会ですから、本屋さんで盛り上がります。
件の本が平積みに。
Aさん「ありましたよ、shortさん!たしかに北側、南側みたいなタイトルでした!!」
・・・それは、江國香織「右岸」そして、辻仁成「左岸」でした。
まぁそんな話はしょっちゅうですよね。
よくそれをココまでまとめました。親切な福井県立図書館のひとに拍手!

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【本】任天堂 “驚き”を生む方程式/井上理

4532314631任天堂 “驚き”を生む方程式
日本経済新聞出版社 2009-05-12

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ウチの子どもたちはみんなゲーム大好き。だけど、親はそれに対してあんまりいい感じは抱いてないですね。ゲームやる暇に少しでも勉強して欲しいし、本も読んで欲しい。子どもにとって大きな誘惑の一つがゲームだから。。。
しかも、任天堂もSON●も、次から次に子どもにとってとても魅力的なハードを売り出し、たとえばDSなんて、やっとDSを買ったと思ったら次はDSライト。ライトを買ったと思えば今度はDSi でしょう。(ソニーも似たり寄ったり)
任天堂は、不景気知らず・・と言っても、子ども相手にあくどく儲けているんじゃないのか、と思う節が無きにしも非ず・・・でした。でも、そんな気持ちは本書を読んで吹き飛んでしまいました。
ここに書かれているのは、任天堂を支えた技術者や開発者が、どんな風に新しいものを生み出し、どんな風に売り出してきたか・・・。もちろん「売りたい」って言う気持ちはあるし、売れて儲けたい・・って言う気持ちがなくもないのは当然ですが、それ以前にユーザーに楽しんでもらいたい、と言う根っこがものすごく誠実に感じられました。
何が世間に求められているのか、何が必要かしっかりと見極め、時には先端を切り捨てる勇気と判断力を持つ。各ハード誕生秘話や、ソフトに関する裏話など、任天堂ゲーム好きには懐かしくて興味深い話題が満載で、会社が盛況である秘訣なんかと共に読み応えのある一冊でした。



個人的なこと↓

年齢的に言えば私は、インベーダーゲームが世間を席巻したとき高校2年生でした。田舎に住んでいたので(今でも田舎だけど、当時よりはずっと便がいい)近くにゲームが出来るお店があるわけでもなく、滅多にやったことはなかったですね。
友だちとボウリングに行ったとき、その併設のゲームテーブルがあり、そこで友だちが「ドンキーコング」にチャレンジ。なんて面白いんだろう!!と思いました。マリオが・・って、当時マリオと言う名前も知らなかったんですけど、上の段に上がるときの一生懸命さとか、必死な感じがお尻に出てて、爆笑しながらゲームしましたっけ。
そして、結婚したとき、夫の甥10歳が持っていたんです。当時出始めだったと思う、ファミリーコンピューターを。テニスや野球などのソフトを持ってたと思うけど、大人がやっても面白いなと思ったのは、マリオブラザーズ。コインを取るだけの、今思うと他愛のないゲーム。だけど、すごく面白かった。。。
そして、スーパーマリオブラザーズが登場。世の中にこんなにも面白いものがあるのか!!と思いましたね。折りしも甥が、新しい本体を買ってもらい、古いものをウチの長男にくれると言うので、ありがたく頂戴し(笑)、我が家に初の任天堂ゲーム機がやってきたのでした。
息子が5歳の頃、スーパーファミコンが登場。ソフトはもちろん、「スーパーマリオワールド」です。これは本体も中々高価で、幼稚園児の息子に買い与えるにはためらいがありましたけど、友だちが持っていて「一晩、本体とゲームを貸してあげるから遊んでみたら?買うか買わないかはそれから決めたらどう?」と言ってくれまして、一晩だけ、まずはマリオワールドを遊びました。
結果は一目瞭然、あの面白さを知って、買わずになんていられません。即、買いましたよ。子どもにと言うよりも親が欲しかったですね。
それから後は、任天堂なくして我が家の歴史なし。ゲームボーイ(白黒、カラー、ライト)もロクヨンも、アドバンスも、そして今はWiiに、DS、DSライト・・・。ただ、スーファミでいろんなソフトをやりましたが、マリオが基本で頂点。あとは全部マリオの亜流でしかないと思ってました。
ともかく私は任天堂と一緒に、子育てしてきたと言う感じです。特にマリオは長男と一緒にどっぷりハマったシリーズなので、感慨深く愛情を感じるキャラクターなのです。マリオは子育てのパートナーであると同時に、息子の兄のような存在。
それでも、母として、子の成長と共に「ゲームばっかりしていてはいけません」という、常識的なセリフを何度も何度も吐いてきました。これからも吐くと思います。
だけど、本書を読んで、自分の中の任天堂の位置づけがずいぶん変わって、昔の「なんて面白いものがこの世の中にあるんだろう!!」と言う驚きとわくわくの気持ちを思い出し、「ゲームばっかりしててはいけません」と言うセリフにも、ちょっと柔らかさが入るかもしれません(笑)。
15:25 : [本・タイトル]な行トラックバック(1)  コメント(0)

【本】なぜ本屋さんでトイレに行きたくなるのか―人間の行動を支配しているのは「脳」だけではない! /高橋 恭一

4391135949なぜ本屋さんでトイレに行きたくなるのか―人間の行動を支配しているのは「脳」だけではない! (プラチナBOOKS)
主婦と生活社 2008-08

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この本の存在を知ったとき、「これは読まねば!」と痛切に思いました。タイトルどおりのことを、私も常日頃感じていたからです。図書館で・・・・、古本屋さんで・・・・、書店で・・・・、そして、家の本棚の前でも。その場にしばらくいると、この状態になります。
しかし、それは、私だけの症状ではなく、万人に共通する現象・・とまではいかなくても、共感する人がこの世にどれほどいることか、そしてひそかに「他の人はどうなんだろう?自分だけだろうか?」とちょっとした悩みの種となっていることか・・。
この現象を、じつは「青木まり子現象」と呼ぶ・・・れっきとした正式名称があったとは。このたびビックリした発見でした。1985年、「本の雑誌」と言う本に一枚の投稿があり、それを書いた人物が「青木まり子」だったと言うことから、「青木まり子現象」と呼び習わされるようになったとか。
無論、その投稿内容は、「本屋さんでトイレに行きたくなる」というもので、その反響はすごかったらしいです。
で、本書ではそれが「なぜ」なのかを明らかにしようといろんな推論を立ててるんですが・・。下を向いて本を読むと、脳下垂体のなんとかが「OFF」になりなんとかが「ON」になるから・・とか、ちょっとこじつけでは?と思う推論もあり、面白くはあったけど、それほど「原因解明」には至らず、消化不良気味。でも、こう言うのって「なんでだろう?何でだと思う?」と言う、意見交換など含めて、「原因不明」だからこそ、面白いんじゃないかと思います。
しかし、ここで語られる「腸は第二の脳にあらず、第一の脳では」と言う説には、すごくビックリしたし勉強になりました。
なんでも、実験マウスなどの腸を切り取り、腸だけの状態にしておいて、腸の入り口に食べ物を置いてやると、腸はそれをナンなのかという分析をしながら、その物質に対する最適の消化酵素を出しながら、ちゃんと消化しながら、腸の出口まで運ぶらしいですよ。
体って、手でも足でも、絶対に「脳からの指令」で動くと思ってました。内臓もそうかなと。でも、腸に限っては、腸自身が脳みそを持っているかのように、脳と切り離されていても自分のすべき事を成すらしいです。
元来、生物の祖先はもっと単純なつくりをしていて、脳みそが先にできたか、腸が先にできたかと言うと、断然腸が先に出来ていたと。ミミズなどを例に取れば分かるでしょうと。
今は「腸は第二の脳」などと呼ばれているが、実は「第一の脳」なのではないかとの事です。
腸の要求よりも頭の脳の要求で私たちは飲み食いしているけれど、本当はもっと「自然に」つまり「腸の要求」に従わねばならないのでは・・・と言う意見にもはっとさせられました。

他には、「なぜなんとなく人を好きになってしまうのか」「なぜなんとなく行列に並んでしまうのか」など、なんとなく行動してしまうことのなぜを分析しています。


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【本】三人姉妹/大島 真寿美

4103144319三人姉妹
新潮社 2009-04

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お初の作家さん。
個人的なことを言うと、私は三人姉妹の長女。長女気質というのは絶対にあると思う。長女と言うよりも「第一子」気質ですね。「三人姉妹」なんてタイトルを見たとき、期待感が膨らみ、なんとしても読みたい!と思いました。
でも、読んでみたら、三女の水絵の視点で全てが描かれています。視点が3人それぞれに移るタイプの連作短編集か?と思ったんだけど・・・。
Amazonのカスタマーのレビューにもあったのだけど、それは知らずに読んだので、私もレビューアーの人とおなじく、ちょっと拍子抜け。
かといって、長女の視点で描いてあったとしても、この長女はかなり私とタイプが違うと思うし、姉妹間の年齢設定も、うちの姉妹とは違うので、全然印象が違いました。お姉さんの亜矢の気持ちに共感ができなかったので、残念です。
三姉妹の末っ子としての物語より、ごく普通に、将来の夢と現実の間で揺れつつ、友だち以上恋人未満の彼氏との関係にジリジリし、ときには姉の離婚騒動に巻き込まれたりし、免許を取ったり、映画を作ろうとしたり・・・という若者の姿を描いてある作品で、三姉妹という立場はそんなに強調されているとは思えなかったですね。
でも私は、人格形成には、血液型でも星座でもなく、きょうだいの中のどの立場かが強く影響していると思うので、あながちこのタイトルでも悪くはないのかも・・と思うけど、それは穿ち過ぎってものかも。
文体に勢いがあり、サクサク読めたので面白かったんですが。
一番面白かったのは、亜矢の義妹の雪子さん。もっと彼女の事を知りたくなりました。

妹の立場で描かれている、というのなら、氷室冴子さんの「いもうと物語」が面白かったです。姉の立場から読んでも共感できると言うか、妹の苦労が良くわかりました・・と言ってもずいぶん前に読んだので忘れてしまったけど(^^ゞ。

4101301115いもうと物語 (新潮文庫)
新潮社 1994-03

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【本】チョコレートの真実 /キャロル・オフ (著), 北村 陽子 (訳)

4862760155チョコレートの真実 [DIPシリーズ]
北村 陽子
英治出版 2007-08-27

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コロンブスが新大陸を発見し、スペインのコルテスがアステカを滅ぼしたときから、チョコレートはヨーロッパに伝わり、様々な試しを繰り返して、今現在私たちはとても気軽に美味しいチョコレートを、望めば毎日でも食べられます。
しかし、その裏には、チョコレートの何たるかも知らないで、原料のカカオ豆を作っている子どもたちがいる。学校にも行けず、賃金さえもらえず、ひたすらカカオ豆を作っている子どもたちがいるということ、あるいは新大陸発見の後の覇権国による、大陸先住民への暴虐無人な侵略、略奪、搾取、蹂躙などのことが書かれています。

アメリカ大陸原産のカカオ豆は、やがてアフリカで栽培されるようになり(カカオベルトという地帯で作られます)、多国籍企業の食い物として発展していきます。
コートジボアールに代表されるアフリカ西海岸の国々では、世界的な果てない需要を満たすため、幼い子どもたちまでが奴隷としてカカオプランテーションで働かされています。
「奴隷労働」を禁止する国際法があるにも関わらず、奴隷労働はなくならないのです。
するとそこにまた、子どもたちを食い物にした裏のビジネスが横行します。
片方から搾取される為に、反対側から搾取せざるを得ない・・と言う図式。
犠牲になるのは弱者です。
いつの時代にも、弱者を救おうとするヒューマニストが登場するのですが、結局巨大なチカラの前に「消され」「潰され」「駆逐され」結局「悪いヤツラ」は高笑い。
近年では「フェアトレード」という理念が国際的にまかり通ってますが、巨大資本はそれすらも「操作」している、あるいはしようとしているという現実。
問題は資本側だけじゃないのです。無論、消費者側に問題があるのです。
誰でも自分の食べるチョコレートが「幼い子どもが奴隷労働させれられて作られたチョコレート」だとは、思いたくないし、実際、そんなチョコレートなら食べたくない。
だけど、チョコの表に「スレイブフリー」=奴隷は使用していません、と書かれていたら、ホッとして食べるでしょう。その真偽は追及しない人もいるのでは。とりあえず「スレイブフリー」と書かれてるんだからオッケー、となってしまうのでは。
たとえばオーガニック・チョコレートという、農薬を使わないカカオ豆から出来たチョコレートがある、オーガニックと言う「ラベル」を貼るには、大変厳しい審査をくぐりぬけなければならない、でも、そのオーガニック・チョコを発売している会社を「巨大資本」が買収して、「オーガニック」という審査の「規制緩和」に乗り出す・・・ということも。
それでも、チョコの表に「オーガニック・チョコレート」と書かれていたら安心して、少々お高いチョコレートも食べる。それで「満足」できるんです。
知りたくないことは知ろうとしない、臭いものには蓋、これに限ります。
だって、知ったところで自分たちには何も出来ないし、あるいは不買運動をしたところで、それが本当にアフリカの子どもたちの為になるのか?って言ったら、きっとそうでもないような気がします。
あまりにも巨大な力の前には、我々一般人はなす術なし。
せめて、「それ」を知っている・・・ということが大事なのかも知れません。
たとえ自己満足だとしてもね。

「ブラッド・ダイヤモンド」を見たとき初めて「紛争ダイヤモンド」の存在を知りました。
「女工哀歌」を見たとき、自分のはいているジーパンが、あんなふうに作られていると知ってビックリしました。
そしてまた今回、チョコレートです。
世の中、こんな事がいくらでもあるんでしょうね。ごく普通に生きているつもりでも、実際には、こう言う「犠牲」「搾取」「蹂躙」などなどの上で暮らしていると言う事なのでしょうね。



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【本】橋の上の「殺意」―畠山鈴香はどう裁かれたか/鎌田慧

4582824528橋の上の「殺意」―畠山鈴香はどう裁かれたか
平凡社 2009-06

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事件モノ、ノンフィクション。
事件は記憶に新しい、メディアでも大々的に取り上げられた「畠山鈴香」受刑者が、我が子と近所の子どもを続けて殺した事件です。
この畠山鈴香に対して、一般的にみなさんはどう感じているでしょうか?
わたし個人の抱いたイメージを振り返ってみると・・・
「だらしない母親」「すぐにキレる母親」「みだらな母親」が「子どもの世話をするのがイヤで」「虐待のすえに」「子どもを殺し」「近所のこどももついでに殺した」・・・・と言う感じかな~と思います。
言い過ぎのきらいはあるかもしれないけど、一般的にもおおむねこう言うイメージを抱いているのではないでしょうか。
少なくとも、取材のカメラに対して、大声で怒鳴ったりキレたりした映像からは、いいイメージは持ちません。そのうえ、自分の娘を手にかけて「警察は事件なのに事故として処理した」と自ら騒ぎ立て、最終的にはすぐ近所の子どもまで殺してしまうと言う一連の流れの中では、ヒステリックな犯人に同情する余地はない、たとえ「記憶が混濁していた」とか「子どもの頃からイジメにあっていた」とか「父親に虐待を受けていた」と言うことを聞いても、「だからって殺して良いわけはない」と言う結論が出ます。
このノンフィクションの著者は、どちらかと言うと犯人側に寄り過ぎている感じです。
ノンフィクションにしてはずいぶん感情的に犯人を擁護している部分が多いと、感じました。
しかし、その敢えてそういう著書にした著者の文面からは、一般的にメディアから受けたイメージをそのままに受け取ってしまうことの危うさが切々と伝わります。
あまりにもメディアに、感情を操作されてしまっていること、検察側が自分たちの作ったイメージに当てはめて捜査を進めたことによって、真実が置き去りにされたのでは・・と気付かされます。
そして本書は、事件の真実を追究するという司法のあり方をも問う問題作になっています。
おりしも裁判員裁判が幕を開け、たった4日間で量刑を決めてしまうと言うことに対し、とても重大な問題提起をしていると感じました。
事件の背景をきちんと探り、なぜこう言う犯行をしたのか、きちんと検証して原因究明し、同じような犯罪が二度と起こらないようにすることこそが司法のあり方ではないか・・・
「畠山鈴香は私だったかもしれない」と思った母親が何人もいたことを、忘れてはならないのではと思ったのでした。

犯人に同情しても、殺された子どもたちの命は帰らない・・とは言え、子どもの頃のイジメ(そもそも小1のとき担任に「水子の霊がついている、お払いをしなければならない」と言われたらしい。いくらその担任が悪いとは言えクラスメートに与えたダメージは大きく「心霊写真」と言うあだ名を付けられたとか。それ以後いじめられがちな子どもになったようです)や、父親から受けた虐待の数々、そしてその後の恵まれない人生には同情を禁じ得ません。人格障害や発達障害等のことも書かれているけど、この幼児期の体験が根底にあることは、想像に難くないでしょう。
自分の子どもを殺しながら、それを「健忘」してしまい、子どもが死んだことを「事件」ではなく「事故」として処理された事に憤りを感じ、警察に「事件だから調べて欲しい」と談判し、街頭でチラシを配るなどの行動に出る・・この矛盾は、かい離性人格障害の一種だそうだけど、それをマスコミや警察は「演技」と判断。だけど、よく考えてみれば「殺した」のなら「事故」として処理されればホッとするのが本当のところであって、やっぱり鈴香受刑者の行動の矛盾はもっと良く審議されるべきだった。

もしも、娘の彩香ちゃんが死んだときにもっと突き詰めて捜査されていれば、二件目の事件「豪憲くん殺害事件」は起きなかったのです。

結局「健忘」という壁に阻まれ、「橋の上」で何があったのか、母親が娘になにをしたのか、何をしなかったのかということが曖昧でうやむやなままに刑は確定しました。
人が人を裁くということの難しさ、裁判員裁判制度の是非など、色んなことをじっくりと考えさせられる一冊となりました。




10:20 : [本・タイトル]は行トラックバック(0)  コメント(0)

【映】ハリー・ポッターと謎のプリンス

今回は6作目?
ヴォルデモードの魔の手がどんどん近付いてきて、いよいよ最終決戦が近くなっています。
が、そんななかでも、フォグワーツの中では、愛だ恋だ、キスだパーティーだ、と、結構のんき。
私がハリーポッターの一連の中で好きじゃないのは、映画の中で沢山のエピソードが細切れのように詰まっていて、だからと言ってそのエピソードがつながってないというところ。
色んなエピソードの羅列がハリポタの魅力なのだろうけど、私はそれがスマートに感じられず「さっきのアレはナンだったの?」となってしまうのです。
今回も、ヴォルデモードが迫っていると言う割りにのんきな学園生活が繰り広げられ、違和感がありました。
文句言ってる割りに、毎回必ず映画館で見る。
次回も見ますよ。

さんまのからくりTVで、番組がオーディションをして一人の女子高生をレポーターとして送ってましたね。あれは面白かった。彼女、とってもいいキャラでした(^ω^)。
そこで登場した、ロンやハリーはすごくフレンドリーで楽しい感じでした。(レポーターの彼女がハリーに送ったプレゼントが笑えた。なんと「判子」です。「わお、誰の判子?」とハリーに聞かれて「私の」と答えてておかしかった!人選、すごいですね)
ハリー、段々オッサン臭くなってきていやだなぁと思ってたけど、あの「からくりテレビ」で見たハリーは、普通に少年ぽくって爽やかで良かったです。
映画でも前回よりも却って若返ってた感じがしましたね。
ハーマイオニーが健気で泣けました。ロンはバカだな(笑)。
21:35 : [映画タイトル]は行トラックバック(0)  コメント(0)

【映】アストロノーツ・ファーマー/庭から昇ったロケット雲

B001FO0UQYアストロノーツ・ファーマー/庭から昇ったロケット雲 [DVD]
NIKKATSU CORPORATION(NK)(D) 2008-12-12

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ロケットを自分で作り、自分の力で宇宙へ行き、地球の姿を見ると言う夢を持つ男が、その夢をかなえんとする物語。
感動作(?そこまで私は感動しなかったけど)なんだけど、見ている間は面白いんだけど・・・でも、どう考えても民間人が自分だけの財力や技術でロケットを作り、宇宙へ行く事ができるのか?NASAのように最先端のそのまた最先端技術を持ってしても、打ち上げに失敗してしまう事があるというのに・・・、その場合は悲惨なことに乗組員が一挙に全員死んでしまうこともあるというのに・・・。
やろうとすることが無謀だし、ムリがあると思えました。どうやってあんな「小屋」で、あんな精密機械を作るんだろう?????とハテナがいっぱい。
100歩譲って、いや、千歩譲ってそれを「映画だから」「ファンタジーだから」と思って見てみれば、そこそこ楽しめる映画なのかも・・・・・。
ただそれでも、この奥さんのように、こんな無謀なチャレンジを無条件に応援したりサポートしたり出来ない。有り得ないです。生活はどうするんだ。一瞬奥さんも目が覚めるんですけどね、でも、また今度は以前より以上に旦那さんを応援してサポートして、そのうえ「子どものためにも夢をかなえて」って、まったくそんなアホな・・・ですわ。上手い具合に、借金返済の目処まで立ててね・・・。
繰り返すけど、映画としてはそこそこ見られますが、後からよくよく考えてみると、ちょっとバカバカしい感じだったかなぁ・・・。そう感じるのは私が「夢」を理解しない女だからなのかなぁ。


21:24 : [映画タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(0)

【映】その土曜日、7時58分

B0026R9HM2その土曜日、7時58分 コレクターズ・エディション [DVD]
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2009-07-03

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兄弟して親の宝石店に強盗に入って、金品をせしめて借金返済にあてる・・・・。
と言う計画だったけれど、失敗して、家族全員どん底に落ちていくという物語。

時系列が各視点からバラバラに進行するので、不思議な感じだけど、だから一時に見えなかったことが徐々に見えてきてそのつど「そうだったのか」と思いながら見た。その分緊迫感が増したように思う。
内容はあまりにも救いがたい。この兄弟の浅慮なコトと言ったら唖然としてしまう。
その馬鹿さかげんに逆に見入って、ぐいぐいと引っ張られた感じだけど、そのうちに浮かび上がる兄の弟に対するコンプレックスと愛情の入り混じった複雑な感情に、胸が締め付けられました。
感想と言っても、言葉もなくただ虚しい気持ちにさせられたのだけど、見応えがある作品でした。

★★★★


21:13 : [映画タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

【映】向かいの窓

B000SXO95Q向かいの窓 [DVD]
フェルザン・オズペテク
オンリー・ハーツ 2007-10-13

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甲斐性のない夫との生活、パティシエになりたいと言う夢を持ちながらも、食肉工場で漫然と働く主人公。あるとき迷子の老人を拾います。記憶喪失らしいその老人を家に引き取り、老人の身元を探るうちに、それまで口も利いたことがない向かいのアパートに住む若い男と、懇意になっていく主人公・・・。そんな時、老人の身元が判明して・・・・。

つまるところは「不倫もの」なのかもしれませんが、なんだか胸に残る映画でした。
思い描いている理想の生活ではない、毎日をただ、仕事や子どもや夫の世話に追われ過ごす日々。そんな生活から抜け出すきっかけが、もしもあったら・・。
主人公にとって、その「きっかけ」がふたつ、同時に現れたようなものです。
ひとつは、今の家族と一緒にかなえられる夢、そして、もうひとつは今の家族を捨てなければかなえられない夢・・・。揺れる主人公の気持ちにとても共感できました。(そんな経験はないにしろ(笑))
しかし、誰かが自分の知らない所で、自分を想っていてくれる・・・って、半分はとってもロマンティックですよね。(わ、ロマンティックだって、死語?(笑))
半分は、ストーカーか?と、気持ち悪いけどね(笑)。相手によりますよね。この映画ではめっちゃ若くてイケメンだから、よろめく主人公の気持ちは大いに分かる(笑)。
よろめきながらも結局もとのさやに収まるあたりは、ちょっと「マディソン群の橋」を思い出したし、拾ったおじいさんに親切にしたら果報があったとは、昔話のようでした。

★★★☆

21:00 : [映画タイトル]ま行トラックバック(0)  コメント(0)

【映】カッコーの巣の上で

B001525JAIカッコーの巣の上で [DVD]
ワーナー・ホーム・ビデオ 2008-04-11

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アカデミー賞受賞作品で、高名な本作、見たことがなかったので見て見ました。
ジャック・ニコルソン、若いし、怪優なんだけど、なんかカッコイイ。バック・トゥ・ザ・フューチャーのドク・ブラウンのクリストファー・ロイドや、ダニー・デヴィートなんかも出ていて、若かりし頃のその姿に「お♪」と思いました。

内容

物語は、主人公のマクマーフィーが、刑務所の重労働がイヤで逃れる為に精神病を装い、精神病院に入院してきた所から始まります。特に大きな精神障害を持っていない彼は、たちまち院内のリーダーシップを握ります。患者たちには宿敵でもある、婦長の理不尽な拘束や差別を目の当たりにして、マクマーフィーは院内でちょっとした「反乱」を起こします。勝手に外に出て行ったり、仲間を連れ出したり・・、野球(ワールドシリーズ)を見せろといったり、何かと婦長にたてつくのです。
しかし、そうした反抗的な行為は、マクマーフィーにとって「退院」出来なくなることだったので、それを知った彼はこのままでは一生ここにいなければならないと思い、逃げ出す決意をします。
ところが、あまりにもトンマなことに、逃げ出す際に監視の職員をごまかすためにもうけたバカ騒ぎのお酒が過ぎて・・・・。

++++++++

うーん・・・・なんとも悲しい物語でした。
精神病院の人権侵害が、思ったよりも酷く描かれてはおらず、ちょっと拍子抜けしたのと、ニコルソン演じるマクマーフィーが、労役をサボりたいが為にこの病院にやってきたことから全ては始まったので、結局のところは「自分がまいた種では」と思ってしまいます。そもそも、犯罪を犯して刑に服していたんだろうし・・・。
ただ、マックがやってきたことで、院内のほかの患者たちが楽しそうに生き生きとしていたのは、印象的でした。特に、最後に死んでしまう若い患者の彼は、マックを慕っておりそこに芽生えた友情は感動的だったので、マックが逃げると言った時の別れのシーンは胸打たれました。
彼が最後に自殺してしまったときの、マックの怒りなんかも、胸が詰まりました。
今ではロボトミーの手術はないようだし、若い人は知らないのかもしれませんが、実際に行われていた事で、とても恐ろしいです。すごくショッキングでした。
結局、口が利けないと思っていたネイティブ・アメリカンの青年チーフが、マックの代わりに病院を脱出。その前に彼がしたこともまた、かなりショッキングで、逃げたチーフの後姿が開放感と明るい未来を象徴しているにしても、物悲しい虚しさの残る作品でした。


余談だけど、これを見ているとき、夫も途中参加で見ていたのですが、最後まで何の映画か気付きませんでした(^_^;)。夫は当時映画館に見に行ったと言うのに・・・・。「どの場面も全然覚えてない」ですって。覚えていることは「ワケの分からん映画だ」と言うことだけのようでした。

★★★☆
20:46 : [映画タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(2)

【映】いつか読書する日

B000E0VPM8いつか読書する日 [DVD]
青木研次
アミューズソフトエンタテインメント 2006-02-24

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映画は、田中裕子主演。何が面白いんだろう?と、他人から思われているような人生を送っています。早朝は牛乳配達、昼間はスーパーのレジ。贅沢せず慎ましい暮らし、判で押したような日常、恋人はなく趣味もなく、ただ本をたくさん買うには買うけど夜はいつも早々に寝てしまうので読む時間もない。でも、新聞の本の広告欄はチェックして、面白そうな本の広告は切り抜いて取っている。
そんな彼女が、岸辺一徳演じる市役所職員との間に、実は絶ちがたい思いを抱いていると言うのが追々分かってきて、これは大人のラブストーリーなんだと気がつきました。
親の都合で分かれさせられたような二人が、その後も実は長い年月思い合っているというのが、徐々に分かってきてすごく切ないというか、複雑な気分にさせられました。
岸辺いっとくが朝目覚め、田中裕子の部屋の蔵書を見て絶句するシーンが印象的でした。
なんというか、あのラストは・・・。振り返ってみれば色々と伏線があって唸ってしまったんですが、「そんなぁ・・」と思う気持ちと「もういいんだね」と言う気持ちと半々。

この主人公の田中裕子の人生をまさに「何が面白くて生きているんだろう」と憐憫の気持ちを含めて見守ってる女性作家がいます。
映画を見ている人間のおおかたは、この女性作家のような感想を持って、主人公の人生を見てしまうと思うけど、中にはこの主人公の姿に「開放感」を感じる人もいると思うな。
作家のほうは、だんなさんが認知症になってしまって、これからの介護が大変そう。だけど、一人で暮らしている主人公にその苦労はないもん。
不幸とか、幸福とかははたから見て他人が決めるものじゃなく、本人が決めることだと思うし。彼女は満足しているんじゃないだろうか。一度の逢瀬を胸に抱き、一生を思い出と共に送る。老後の人生が寂しそうにも感じるけど、あるいはそこには自由があるようにも感じる。
地味ですが、忘れられない映画になりそうです。
長崎の町の景色が独特でよかったです。
坂が多くて大変そうだけど。
病人が寝ている大きな窓から見える風景や、その部屋、作家たちの住む部屋、主人公の本棚なども見応えありました。

★★★★
20:14 : [映画タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】弟を殺した彼と、僕。/原田正治

やっと東海地方も梅雨明けしたらしく、今日は朝から久しぶりの青空が見えてます。空気もからっとしているので、洗濯物をたくさんたくさん、布団も干しシーツも洗い・・・、乾けばソレを畳んだり片付けたりがまたたくさん・・・・と、主婦の皆さんは今日は忙しいでしょう。明日はまた曇りや雨の予報で、今日だけの青空となるとなおの事仕事が多いです。草も取らなくちゃ。雨がたくさん降って、草が伸び放題に伸びてます。娘の塾は今日は朝昼晩、全部送り迎えです。私の歯医者もあります。ふぅ。
DVD「向かいの窓」「いつか読書する日」「カッコーの巣の上で」「その土曜日、7時58分」なども見ました。
映画館にハリーポッターを見に行きました。感想書かないと忘れてしまう・・・。
でも、今日は家事が最優先ですね。




4591082350弟を殺した彼と、僕。
ポプラ社 2004-08

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仕事中で事故で死んだ男性が、実は会社の社長に保険金をかけられて、そのお金目当てに殺されていた殺人事件の被害者だった・・・という、事件の、被害者の兄の手による手記。
最初は「事故」として処理されて、1年以上経ってから別の殺人事件がきっかけで、「実は弟は殺人事件の被害者だった」と知らされた著者。
最初は犯人が憎いばかりで「死刑に!」と思っていましたが、他人の目から見れば「意外にも」著者は犯人の死刑を望まず、生きて罪を贖って欲しいと考えるようになります。
だけど、特筆すべきは、著者がこの犯人を「長谷川君」と、「君」付けで呼ぶこと。
犯人と文通らしき事をして、そのうえに面会もしていること。
そして、犯人の死刑を望んでいなかったこと。
・・・と、上記の3点を取ってみただけでも、まるでこの著者が犯人を「赦している」ような錯覚を覚えてしまいますが、そうではないのです。
犯人は捕まって、裁判にかけられ、死刑判決を受け、死刑になります。
でも、だからと言って著者の気持ちが「おさまった」ということはなく、相変わらず弟を殺されたと言う悲しみや苦しみや恨みの中で生きているのです。
この本で考えさせられたのは「被害者の遺族の気持ちを慮って」という、判決文の一部分について。
もともと、「それなら、被害者が天涯孤独だったらどうなるんだろう?」と思っていたんだけど、今回この本を読んで「では、被害者の遺族が死刑を望まなかったらどうなるんだろう」と言う疑問も加わりました。

殺人事件は起こしたほうの家族も辛い思いをします。犯行によって、本書の加害者の、まず親代わりの姉が自殺してしまい、そして次には加害者自身の息子が自殺してしまいます。
なんとも辛い結末です。

しかしそれ以上に殺人の被害者側には、本当に理不尽な苦しみばかりが課せられてしまうと言う事も、とても良く伝わってきました。
たとえば、最初、この弟は「事故死」だったから「保険金」が下りたのだけど、その後「実は事故死じゃなく殺人だった」と分かったら、保険会社は下りた保険金の返還を求めてきます。でも、葬儀の費用や、保険会社が勧めた保険にそのまま入ったりして(弟の死亡保険でまた兄も保険に入ることになりました)保険金はそのまま残ってはいない。それでも全額返金を要求されて、保険の解約(買い取り)など、手を尽くしてもやっぱり何百万円かは借金が出来てしまったらしいんです。
犯人である長谷川君は刑務所の中で3度の食事を与えられてヌクヌクと生きているのに、殺されたほうは借金だらけと言う矛盾。
それに著者はこの事件に執着する為に家庭がうまく行かなくなります。
仕事先でも近所の人たちからも、事件の絡みで眺められてしまうと言うつらさなど、被害者なのに・・・・とやりきれないです。
奥さんにしてみれば、もっと家庭に目を向けて欲しかったでしょう。

たしかに犯人が死刑になったからと言って「ジ・エンド」になることではない、しかし、本当の「被害者遺族の感情」は当事者にしかわからないのです。当事者でもないのに死刑制度の是非を論じる事は、やめたほうがいいんじゃないのか・・・。などなど・・・。
色々考えさせられました。
13:50 : [本・タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(0)