森に眠る魚/角田 光代

4575236497森に眠る魚
角田 光代
双葉社 2008-12

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読んでいる最中も読み終えた後も、どんよりとした疲労感と後味の悪さが残る作品で、好みがキッパリと分かれそうです。私はこう言う陰湿な作品は好きだし、心理描写が上手いので一気に読まされるのだけど、それでもどこか辟易してしまった気がする。
物語は、5人の主婦それぞれの目線で進みます。出会いに伴う高揚、充実期を経てその付き合いが「お受験」の登場により微妙な変質を起こし、やがては倦怠、疲労と変化していく様子をリアルに描いてあります。
登場する主婦たちはごく普通の女たち。ちょっと羽目が外れた女もいるが、それぞれがまぁまぁ許容範囲内で、いたって普通。その普通の人の中にある悪い面を、わざと見つける手腕を誇示しているようないやらしさが、作品全体にあった。。。と言ったら言い過ぎだろうか?
主婦たちが変化していくのを眺めながら、こちらもゆるやかに精を抜かれていくような気だるさ。角田作品に感じる一貫したイメージはこの「気だるさ」なのだけど、それが今回特に強かった。
先に書いたように、出会い、高揚、充実、倦怠、疲労、そして別れ・・・となると、女性同士に限らず男女の恋愛にも言えること。人間関係全てに共通するものかもしれません。
ある過去の実在の事件を元にした物語で、私は誰が「その」役割なのだろうと思いながら読みました。誰もが被害者のようだし誰もが加害者のよう。これも、この作品が言いたいことの一つだったのかも。
★★★★
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レボリューショナリー・ロード

副題の「燃え尽きるまで」は書きたくない・・・(笑)。

1950年代、郊外のレボリューショナリーロードという場所に理想の家を見つけ住み着き、周囲の人たちには憧れの存在であった主人公夫婦。何不自由のない生活のはずが、ふと気付けば実はかりそめの幸せであると気付き、その虚しさから逃れるために、妻は突然夫に「フランスに行こう、パリで暮らそう。私が働くからアナタは自分のやりたいことを見つけて」と言う。夫婦はその夢に向かって共に手を取り合い着実に進んで行くのだった。。。。

見終えてから思ったのは、漠然と想像していたストーリーとは違うのでとても意表を衝かれてしまったということ。エンドロールが出てきて、唸ってしまいました。
後味はよくないけれど、でも、見ている間は見応えがあった。
妻は妻なりに夫の事を思い、妻らしく夫を支え愛そうとした結果思いついたのがこの計画だったのだろうと察します。はたから見ると非現実的でナンセンスなんだけど、それを真剣に実現させようとするあまり、段々とエキサイトして行く妻と、同調する事が義務のように思い込んで足並みをそろえる夫。映画の中でも周囲の人間が二人の計画を知り、皆一様に頭に「?」マークを付けていぶかしむ。いぶかしみながらも、どこかでうらやんだり僻んだりする。隣の家の夫婦なんかも振り回されてました。あの夫婦の気持ちのほうがどちらかと言うと共感できそうな気がしました。不動産屋を演じたキャシー・ベイツ(この人も「タイタニック」で共演していますね)のいやらしさと言い、人間の心の煩雑さみたいなのを垣間見た気がします。
ともかく、一番気の毒に感じた妻に振り回される夫フランクを、レオが熱演していました。これでオスカーノミネートもされないなんて、ちょっと不服に感じます。不動産屋の息子を演じたマイケル・シャノンは助演男優賞候補に上がったらしいけど。

★★★★

レボリューショナリーロード
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グアンタナモ、僕達が見た真実

B000PGTEISグアンタナモ、僕達が見た真実 [DVD]
アルファーン・ウスマーン, ファルハド・ハールーン, リズワーン・アフマド, ワカール・スィッディーキー, マイケル・ウィンターボトム
東北新社 2007-06-22

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250人が収容されているグアンタナモ収容所。以前は不法入国者を収容していたらしいけれど、アフガニスタン紛争以後はアルカイダなどと関連のあるテロリストたちを拘束している、、とのことですが、現在250人ほどいる収容者のうち、正当な手続きや捜査を経て拘束した人間は20人ほどだとか。非正規に拘束されたものが殆どらしいです。
この映画(筋立てはノンフィクションのようだけど、映画そのものはフィクションの映像でした。本人たちのインタビューなどもあります。)は、イギリス在住のパキスタンの青年たちが、パキスタンで結婚式をあげようと現地に向かい、急遽ボランティア精神を発揮したがためにイギリス潜伏のテロリストと間違えられて、まるで大波に飲み込まれるように抗う術もなくグアンタナモ収容所に送られてしまう物語。
捕らえるほうは、自分たちが正義であると信じて疑わない。間違った正義感は傲慢で人の命を軽視し真実を見間違う。こう言うのが本当の「恐怖映画」です。

★★★★☆

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映画館で。。

今日はレディスデイだったので予定通り「レボリューショナリーロード」を見てきました。
レオは相変わらずキュートな笑顔、癒されます・・・がしかし、メタボだった~。二重顎だったもん。ベルトの上に脂肪の乗った腹といい・・。こないだの「ワールド・オブ・ライズ」の時には、シェイプしてたのかな?パンフには「レボリューショナリー・・」を撮ってすぐに「ワールド・・・」に入ったと書いてあったし、それで痩せてたのかも。。。
でもいいのです。映画はたいへん面白く満足して帰りました。とても見応えがあり、よかったのでございます。(感想は後ほど)

ところで、映画離れ、深刻なんじゃ??
レディスデイにもかかわらず、場内ガラガラ。混み混みでもいやだけど、こんなに空いてちゃなんかガックリ来ますね。しかも、空いてると気が緩むのかお喋りするカップルがいて。。(>_<)
ここのシネコンが経営難で閉鎖になったら、困る。市内で一つの映画館なので。もっとみんな映画を見ようよと言いたいです。(みんな「マンマ・ミーア!」には足を運びそうな感じはするんですが・・。宣伝が上手いよね?これは。)
Tカードも6月の末で使えなくなると言う事で、せっせと残りのポイントを溜め、せっせと消化しなくては。。。!

ところで「ドラゴンボール」の予告編見たんだけど、結構イケそうでした。見たくなりました(笑)。主役は全然悟空に見えなかったし、どうもアクションが下手そうな感じがしたけど、でも、全体的な雰囲気は結構面白そうだった。見に行くかも・・・・(行かないかも・・!笑)
中学生の娘の同級生に映画好きの男子がいて、よく映画の話をしてるのを、盗み聞き(笑)しては娘が教えてくれるんだけど、「ドラゴンボール、めっちゃ見たいし!!!」と言っていたとか。こう言う世代には受けるのかもしれませんよね。
ところで、チョウ・ユンファがチラッと見えたような気がしたけど気のせい?レッドクリフを蹴って(かどうか知らんけど)ドラゴンボールに出たなんて・・気のせい?

月曜日は夫と007を観てきたんですが(これも感想は後ほど)、そのとき予告編でアドレナリンが湧いたのが「ターミネーター4」です。
なぜか記憶から3が欠落してるんですが(なかった事にしたい?)4こそ期待してしまいます。。と思っていたのに、なんかこの映像でちょっと「????」と思う映像が一箇所。ちょっとテンションが下がった。
でも、期待しすぎると3みたいになるから。テンション下げ気味で出掛けたほうがいいかも、です。
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イースタン・プロミス

B001EI5LLUイースタン・プロミス [DVD]
ヴィゴ・モーテンセン, ナオミ・ワッツ, ヴァンサン・カッセル, デヴィッド・クローネンバーグ
Happinet(SB)(D) 2008-11-14

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デヴィッド・クローネンバグ監督
ヴィゴ・モーテンセン  ナオミ・ワッツ主演

ロンドンで暗躍するロシアン・マフィアの一家のボスの息子に雇われたヴィゴ演じるニコライ。かたや素性の分からない赤ん坊を取り上げた(母体は死亡)看護婦のナオミ・ワッツ演じるロシア系のアンナは死んだ赤ん坊の母親が残した日記を調べるうちに、ロシアン・マフィアに近付いてしまう。そんなアンナにニコライは「近付くな」と警告を発するが・・・。

このふたりのコンビの前作、ヒストリー・オブ・バイオレンスがちょっとイマイチだったので、どうなのだろうと思ってみたが・・・・。
ものすっごく見応えのある素晴らしいドラマだった!めちゃくちゃ面白かった。暴力シーンも凄く怖い映画なんだけど過剰な盛り上げ方はなくどちらかと言うと淡々としているのに、ドラマに釣り込まれてしまった。
メッキがはげると言う言葉があるが、この作品のヴィゴはその逆で、最初のうちはとんでもない男に見えるんだけど、段々とそのメッキがはげて逆に「地金」が覗くと言う感じだった。ともかく渋くてカッコイイ!スーツ姿も決まっているし、裸になってもカッコイイ(笑)。最初の『メッキ』の時も冷静な顔で死体の指を切ったりと、ひとつひとつがクールで素敵!ゾクゾクさせられた。ヴィゴの一世一代の代表作品になるのではないか?ロードのアラゴルンよりも印象的かもしれない。
ナオミ・ワッツから見たストーリー展開も充分面白い(素性不明の妊婦が出産して死に、残された日記書かれた事を探ろうとして危ない目にあう・・・その途中でヴィゴのような正体不明だけどとてもクールでカッコイイ男に出会う)のだけど、もう、ドラマ性から見てもヴィゴのニコライの物語が最高に素晴らしい。クールで野心を覗かせていても、時おり見せる優しい表情などに胸がきゅんきゅん鳴りまくった。アンナに見せる表情もだけど、ファミリー長男に見せる優しさなど、萌えてしまった。
ブラヴォー!ヴィゴ!そしてクローネンバーグ監督!
★★★★★

一言言うなら、アンナの故障したバイクをニコライが届けるシーンがある。勤務先の病院から外に出たアンナがそのバイクに寄りかかって自分を待つニコライに驚くという一場面。これがもう、最高に私のツボ!!予期せぬ時に予期しない形であんな風に誰かが(渋いイケメンが)私を待っていたら・・・と思うと思っただけで興奮して死にそう。(笑)
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マッチポイント

マッチポイント(通常版) [DVD]マッチポイント(通常版) [DVD]
ウディ・アレン レミ・アデファラシン

アスミック 2007-02-02
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ウッディ・アレン監督
ジョナサン・リース・マイヤース、スカーレット・ヨハンソン主演

落ちぶれたプロテニスプレイヤーがある金持ちの一家に巧みに入り込み富と地位を築き上げていく・・という、どうと言うことのない話なのだけど、なんかグイグイ見入ってしまった。
アマゾンのレビューにもあったけど「太陽がいっぱい」の現代版か?と思ったりしたけど、主人公の持つ野心というのが違う。こちらの主人公クリスは見た目ほどは野心家ではなく、ただその場の流れに乗っかっていくうちに、あれよあれよと「うまいこと」になってしまうのだ。目的地を知らずにふと乗った列車が、豪華で夢のような駅に連れて行ってくれた感じ。
その中で唯一線路を乱す存在がスカーレット・ヨハンソンの演じるノラ、義理の姉になる立場の女性だけど、飛び切りセクシーで小悪魔的な雰囲気で、クリスはいちころ。彼女もまた、クリスの人生を狂わせようなどとは思ってないんだけど、2人が出会った事で線路の分岐点が変更になってしまうのだ。
ふたりとも、見た目ほど、予想ほどには悪人ではなく、ちょっと拍子抜けしてしまったがそれでも、運命に翻弄される男女ということで面白く見た。
★★★☆

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ギャング・オブ・ニューヨーク

B00006RYMZギャング・オブ・ニューヨーク [DVD]
レオナルド・ディカプリオ, キャメロン・ディアス, ダニエル・デイ=ルイス, リーアム・ニーソン, マーティン・スコセッシ
松竹 2003-08-08

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マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演。
南北戦争直後辺り?のアメリカ、ニューヨークはアイルランドからの移民が毎日何百人と詰めかけ、雑多に混沌としていた。タイトルの通りギャングが支配する町、ニューヨーク。警察も消防も政治家も私欲に走るのみ。一番強い「ネイティブズ」のボス、ブッチャーにこびへつらっている状態。
そんな中、アイルランド移民の牧師の息子であるアムステルダムが、幼いころ自分の父親を殺したブッチャーに、素性を隠して近寄る。


今まで敬遠していたのだけど、なぜ見なかったんだろう?と思うぐらい面白かった。「アビエイター」もスコセッシ監督、レオ主演。どちらも面白いが「ギャング・オブ・ニューヨーク」はギャング同士の構想のシーンなど血なまぐさいのだけど、その分男っぽく骨太な感じがして特に面白い。
ディカプリオの恋人役にキャメロン・ディアスですが、どちらかと言うとダニエル・デイ・ルイスに、憎しみと親しみと心中に複雑な気持ちを抱えた感じがよかった。
同性愛って言うんじゃないんだけど、どうも女優さんとの絡みより年上の男との絡みの方が萌えますなぁ・・レオって人は(笑)。
★★★★☆

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アビエイター

B0007D3NJKアビエイター プレミアム・エディション [DVD]
ジョン・ローガン
松竹 2005-08-27

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レオナルド・ディカプリオ主演による実在の富豪、ハワード・ヒューズの人物伝。
突拍子もないほどの大富豪ぶりに最初のけぞる。
でも彼がすきなのはお金じゃなく「飛行機」だったんだと分かる。
長い映画だけど、彼の成功転落の山あり谷あり人生に面白く釣り込まれた。
見所はいくつかあるが、特にすきなのは公聴会での主人公の堂々とした態度。そして試運転の失敗による事故。心臓が左から右に動いたと・・・瀕死とはこう言うこと?それでも蘇ってくるなんて、不死鳥とはこう言うこと?と思う。凄いバイタリティーだと感心しきり。
一言で言えば「懲りない人」。
レオの熱演は言うに及ばず。面白かった。すっごい端役でジュード・ロウなど登場。カメオ?
★★★★
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シッピング・ニュース

B000068P82シッピング・ニュース 特別版 [DVD]
E・アニー・プルー
アスミック 2002-08-02

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ジュディ・デンチ祭り開催中です・・・(笑)

父親との関係が悪かったため、長じてからも対人関係や精神的に問題を抱える男が、曲がりなりにも結婚し子どもをもうけるが、その結婚生活の破綻と共にまたまた傷つき、しかし、祖先の土地に移り住み回復していくと言う物語。
気が弱く人がいいばかりの主人公クオイルをケビン・スペイシー、その結婚相手のあばずれ風女をケイト・ブランシェットが演じているけど、まずこのケイトブランシェットにビックリ。この人は本当に変幻自在で凄いです。クオイルをふるさとに連れて行く役割が、叔母と言う立場のジュディ・デンチ。地味な役どころだけどやっぱり光ってる。
面白かったのは、ふるさとの町で勤めることになった地元新聞社の面々。彼らとのやり取りは全然飽きなかった。
面白く見られるんだけど、ちょっと物足りなかったかな。ちょっと前に見た「アンフィニッシュライフ」と比べたら・・・。そして「ギルバート・グレイプ」を髣髴とさせるシーンがあって、それはとてもある種の開放感を得られるんだけど、前例があるとインパクトが弱まるので。
★★★☆
11:35 : [映画タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(2)

アイリス

B00009AUV9アイリス [DVD]
リチャード・エア ジョン・ベイリー ジェームズ・ホーナー
松竹 2003-06-25

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イギリスでとても高名な作家であり知識人であるアイリス・マードック(私はこの人を知りませんが)が晩年アルツハイマーに侵されていく様を夫のジョンの立場から見守った作品。
若い頃のエピソードが交互に挿入され、老いていく(アルツハイマーに侵されて行く)現在との対比で切なさが倍増する設定です。若い頃があったのに、元気でハツラツとして、怖いものがなくて・・・でも時間は容赦なく流れ、人は変化してしまう。ときにはこうして「壊れて」行くのだと言う恐ろしさや悲しさ切なさ。自分がそうなっていくと言う恐ろしさと、最愛の伴侶がそうなっていくのを目の当たりにしなければならないのと、どっちが辛いのか。あまりにも聡明だったからこそ、ボケてしまったときとのギャップが辛い。
ジョンが「書け、書け、書くんだ、アイリス!!」となんとかの一つ覚えみたいに繰り返していたけど、分かる気がする。この物語で胸を打つのはジョンの献身的な愛情だ。誰もが自分たち自身に置き換え、思いを馳せるのじゃないだろうか?
若いときと現在と、アイリスとジョン、それぞれを4人で演じているのだけど、特にジョンを演じた二人はそっくりで最初は一人の役者さんが演じているのかと思うほど。アイリスはケイト・ウィンスレットとジュディ・デンチが演じているが、これも不思議なぐらい似ているのに驚く。
★★★★
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ラヴェンダーの咲く庭で

B000CEVWV0ラヴェンダーの咲く庭で 特別版 (初回限定生産スペシャルアロマパッケージ) [DVD]
チャールズ・ダンス ウィリアム・J・ロック
角川エンタテインメント 2006-01-27

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イギリスの港町のはずれで、静かに暮らす二人の老姉妹。
あるとき嵐が来てその翌日、二人は浜辺に打ち上げられた青年を助ける。
青年は骨折しており老姉妹の家で養生させる事になるが、言葉を理解しない。
彼はかろうじてドイツ語を理解するポーランド人だった。
青年の登場で、静かな二人の生活にさざなみが・・・・。

姉妹を演じるのは妹アーシュラ役をジュディ・デンチ、姉ジャネットをマギー・スミス(マクゴナガル先生が定番に)。青年に次第に弾かれていく・・というか一目惚れをしてしまうアーシュラの姿に、熟女の年齢に達した自分も痛く感情移入してしまい(笑)大変共感を持ちながら見ました。
そして妹の、危なっかしさをちょっとイライラしながら見守る姉の姿にも、姉の立場として・・(笑)。
青年は結局このひなびた港町に打ち上げられて、ものすごくラッキーだったのです。彼がバイオリニストになると言う足がかりがここにあったのだから。
だけど、老姉妹の干渉にウンザリして開放感を求める気持ちなど、「わかるわかる」と。束縛したい立場と解放されたい(感謝もしてるけど)立場の両方の気持ちがよくわかって切なかったし、面白かった。笑うと言うほどでもないんだけどほのかなユーモアがあるのがいい。
いつもながらイギリスの郊外の風景は本当にきれいで、田園風景もいいけど海が見える風景もキレイだなぁと・・それだけでも必見です。

この映画に登場するテーマ曲「ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジア」が流れてくる時、涙が流れて止まりません。終わり方も良かった。寂しいけど、清々しい。
いいラストでした。ジュディ・デンチがともかく切なく可愛い。老いらくの恋、しかも孫のような青年に対するとなれば余計に、一つ間違えば「気持ち悪い」となりそうだけど、全然気持ち悪くない。ジュディ・デンチの持つ雰囲気のたまものか。

★★★★☆

そしてこのテーマ曲は、2008年のシーズン、浅田真央ちゃんがSPに使っていた曲です。本当にいい曲で、真央ちゃんの演技を思い浮かべる事も出来て真央ちゃんファンには二重の嬉しさがありました。
ラヴェンダーの咲く庭で
ラヴェンダーの咲く庭でサントラ

ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル 2005-05-25
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ロマンス・オブ・ザ・ヴァイオリン ラヴェンダーの咲く庭で 特別版 (初回限定生産スペシャルアロマパッケージ) [DVD] レッド・バイオリン ヴォイス・オブ・ザ・ヴァイオリン ベスト・オブ・ジョシュア・ベル


11:06 : [映画タイトル]ら行トラックバック(0)  コメント(0)

カンフーパンダ

B001G90OVYカンフー・パンダ スペシャル・エディション [DVD]
ジャック・ブラック, ダスティン・ホフマン, アンジェリーナ・ジョリー, イアン・マクシェーン, ジョン・スティーズンソン;マーク・オズボーン
角川エンタテインメント 2008-12-05

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超メタボなしがないラーメン屋の息子(ラーメンの味は一流)のパンダが、ひょんな間違い?偶然?必然?で、憧れのカンフーマスターに選ばれてしまい、やがては人々の期待に沿うツワモノになり・・・。

カンフーマスターに選ばれたパンダが、とてもじゃないけどカンフーなど習得出来そうになく、諦めそうになるんだけど、実はある気持ちが極限に達した時類稀なる才能を発揮できると言う設定が面白かった。ただのメタボだと思っていたが、その実それがすごい「武器」であると言う設定も。だって普通ならこう言うタイプの主人公はロッキーのようにトレーニングを積み上げて筋肉粒々にシェイプしていくと思ってるので、そうじゃないところが意表をついていて面白かった。

絵もきれいだしアクションも良く出来ていて、ストーリーも面白い。見てソンはないという作品。でも、それほど心に迫るものはなかった。見る側も求めるもののラインが上がっていると思う。個人的には可もなく不可もなく。★★★
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赤めだか/立川談春

赤めだか
赤めだか立川 談春

扶桑社 2008-04-11
売り上げランキング : 240

おすすめ平均 star
star「伝承する世界」に流れるエッセンス
star「ボク」から「オレ」への成長
star落語元年

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落語は全然知らなくて、笑点とかたまに見る程度。立川談志と言う人のことも、どうやら落語界の異端児のようだと言う事だけしか知らず。そんな私でしたが、このエッセイは面白かったです。
話術に長けている人は、エッセイを書いても面白いんでしょうか。テンポもよくスピード感のある文体に釣り込まれて、面白くおかしくそしてたまにホロリとして、グイグイ読みました。
落語を聞いて見たいと思うようになりました。
17:19 : [本・タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(4)

贖罪/Ian McEwan 小山 太一

4105431013贖罪
Ian McEwan 小山 太一
新潮社 2003-04

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映画「つぐない」の原作です。
映画も良かったけど原作も良かった。海外作品の独特のしつこさ、緻密な描写に戸惑いもあるけれど慣れて来ると釣り込まれました。
映画を先に見るか、原作を先に読むか意見が分かれるところかもしれませんが(原作が先のほうが良いと言う意見が多いように思う)でも、映画を見ているからこそこの文体に入って行きやすいと思った。
とても原作に忠実に映画は出来ていたと思うけど、細かな心理描写や最後の設定が原作ならではと言う部分があるので、原作もオススメ、映画もオススメ。どっちもオススメです。


贖罪〈上〉 (新潮文庫)
贖罪〈上〉 (新潮文庫)Ian McEwan 小山 太一

新潮社 2008-02
売り上げランキング : 13162

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贖罪 下巻 (2) (新潮文庫 マ 28-4) アムステルダム (新潮文庫) 夢みるピーターの七つの冒険 (中公文庫) 土曜日 (新潮クレスト・ブックス) First Love, Last Rites

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完全恋愛/牧薩次

完全恋愛
完全恋愛牧 薩次

マガジンハウス 2008-01-31
売り上げランキング : 29019

おすすめ平均 star
star快作です。
star恋愛小説とミステリの融合
starせつない恋。驚天動地の謎。

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2008年 このミス3位に入った作品。
タイトルにあるように「恋愛」が主なストーリーの軸になって展開していく、その実本格ミステリー。

本格ミステリーって言うのがどうにも苦手で・・・かといって恋愛モノも好きじゃなく・・・と言う私でしたが、読んでる最中はかなり釣り込まれて一気読みしました。

なんといってもラストに瞠目。ご一読あれ。
12:56 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(2)

ベイジン/真山仁

4492061479ベイジン〈上〉
真山 仁
東洋経済新報社 2008-07-18

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4492061487ベイジン〈下〉
真山 仁
東洋経済新報社 2008-07-18

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北京五輪開幕式に照準を合わせて、中国では原子力発電所「紅陽核電」の建設が始まった。日本から原発建設のエキスパートとして送り込まれた田嶋だったが、現地での作業は困難を極める。反日、汚職、賄賂、手抜き、怠慢、などなど、どんなに慎重になっても慎重すぎることはないはずの原発建設で、優先させるべき事項があまりにも違う中国の国民性。はたして安全に、原発は「運開」できるのか。
また中国共産党幹部の(ドン)は、汚職の取り締まりを密命として持ちながら原発運開を見守る立場として赴任。田嶋とは悉く衝突する。しかし、衝突する中にもいつしか連帯感や理解、相手を尊重する気持ちが芽生えていく。
ひたすら誠実に原発の安全を第一に考える田嶋と、屈折した野望を持つという、二人の主人公が「原発運開」に向けて次第にひとつになっていく過程が、そのスリリングな背景の中に描かれていてとても面白く読みすすめる。二人の男はそれぞれとても魅力的。
特に私が好きなのは。一見冷徹で非情なのだけど、黄という良い友達や打算的な結婚をした妻など人間関係を見ているうちにわたしはが好きになった。
隣の国でありながらよく実態のつかめない中国と言う国の内部の描写は、この本によるととんでもない国のようだ。実際の北京五輪の前に大きな地震があり(四川大地震)学校が倒壊し大きな被害を出したが、本書にもリアルさを与えている。
以前「朽ちていった命―被曝治療83日間の記録」を読んだ。「核エネルギーというのは怖い」と言うのが正直な感想。長男が生まれてまもなくチェリノブイリの原発事故もあり、これから子どもを育てようとする身にとって、とても衝撃を受けたこともある。
本の中にも書いてある「人間のやることに『絶対』はない」と。それでもそれを承知で原発に頼らねばならないのが現状だとすれば、この本のなかの中国のような姿勢で原発を建設すると言う事は、どんなに恐ろしい事かと、思ってしまう。勤勉でマジメがとりえの日本人でも事故を起こしてしまうのだし。
田嶋の真摯な姿勢が救いだった。

ともかく、下巻は一気読み!面白かった!!(怖かった)
★★★★★



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オオカミ少女はいなかった/鈴木 光太郎

478851124Xオオカミ少女はいなかった 心理学の神話をめぐる冒険
鈴木 光太郎
新曜社 2008-10-03

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タイトルは「オオカミに育てられた少女、アマラとカマラ」=「オオカミ少女」は「実は本当の話ではない」と言うことです。
幼児期や児童期の環境や教育が「ヒト」に与える影響が重要だと言う事で、保育科だった私も教材を与えられ勉強した覚えがある。
がしかし、この話は嘘だった。生物学的にも現実的にも、オオカミが人間を育てるわけがないと言うのだ。専門家の中には最初から疑問視していた人もいたという。なのに、なぜ「実話」のようになってしまったのか。(かの手塚治虫の「ブラック・ジャック」にも山猫に育てられた少年の話があったではないか。まぁ少年は後天性の脳障害ではあったけれど)
著者はそれを丁寧に、「事件(少女たちの発見)」発生から順を追って紐解いている。仲介に有名な心理学者がいたりジャーナリストがいたり、様々な過程を含めてこの話は世界的に有名になっていき、いつしか「真実」となっていく。それが一般的な読者にもとても分かりやすく、それが真実として流布されたことの問題点と共に読みやすく解説されていて、とても釣り込まれた。


ほかにも「サブリミナル効果の真偽」に関する章、「母親は赤ちゃんを左胸に抱く」と言う通説の検証、ヒトの言葉を理解する賢い馬「クレバー・ハンス」の章など、それぞれ「そんな通説があったなんて知らなかった」と言う程度の私が読んでも、充分興味深い。心理学から見た「謎解き」でしたが、心理学って「主観」が入ると言うこともあり、とても曖昧な部分があると分かった。
白状すれば、良く分かってない部分も多いと思うけど、読書中はとても面白く、ぐいぐい読みました。
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ウォーリー

ウォーリー

今年最初の劇場鑑賞、「ウォーリー」です。
期待しすぎたからか、寝不足だったからか、実は最初眠くなってしまった。
なぜだろう?と考えたら、どうもセリフもなくただウォーリーの動きだけを見てるだけで、要するに「飽きる」と言うことだったと思う。たしかに冒頭からウォーリーの仕草や動く時の音などが可愛くて面白かったんだけど、セリフがない場面が長いと飽きてしまうのでした。これが正直な感想。
ずっと地球での場面なのかと思ったら、ウォーリーは宇宙に行きます。そこからは面白い。
私が気に入ったのは、後半に登場する「ちょっと壊れたロボットたち」。彼らとのいつの間にか芽生えてくる連帯感とか連係プレーとかがツボでした。
肝心の「イブ」との「ラブロマンス」は、いじらしく可愛いんだけど・・。
ウォーリーって、E・Tに似てる。そう思ったからか知らん色々比べてしまって、せっかく面白い映画だったのに、自分からちょっと損してしまった感じもしました。
地球の環境破壊とか、宇宙ゴミとかも、うーん、って言う感じ。
多分、DVDリリースされたらそれを見て、その時はもっと面白く感じると思う。
私の中では「カーズ」「モンスターズインク」「トイストーリー」には届かなかった。

★★★★

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2008年 マイベスト:映画

劇場で見たのが約20本、家で見たのは約80本でした。
劇場、レンタル、テレビ取り混ぜてのマイベスト2008は・・。

1:アメリカン・ギャングスター
B0019R0XIMアメリカン・ギャングスター コレクターズBOX (初回限定生産) [DVD]
デンゼル・ワシントン, ラッセル・クロウ, キウェテル・イジョフォー, キューバ・グッディングJr, リドリー・スコット
ジェネオン エンタテインメント 2008-08-27

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男同士の対決にしびれた。リドリースコットを好きになりました。(劇場鑑賞)



2:ワールド・オブ・ライズ
reo

レオの魅力全開!おばちゃんに「ときめき」を蘇らせてくれたリドリー監督にあっぱれ!(劇場鑑賞)



3:アンフィニッシュライフ
B000QUCZPWアンフィニッシュ・ライフ [DVD]
ロバート・レッドフォード モーガン・フリーマン ジェニファー・ロペス, ラッセ・ハルストレム
ジェネオン エンタテインメント 2007-07-25

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なんちゅうか・・。見てない人は是非見て欲しい。レッドフォードも、モーガン・フリーマンもジェニファーロペスもその娘も、みんな愛しい。大好き!


4:あるスキャンダルの覚え書き
B001CT6M6Yあるスキャンダルの覚え書き [DVD]
ジュディ・デンチ, ケイト・ブランシェット, アンドリュー・シンプソン, ビル・ナイ, リチャード・エアー
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン 2008-09-17

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素晴らしい。二人の女優の演技、特にジュディ・デンチの演技に目が釘付け。


5:つぐない
B001CPPU4Sつぐない [DVD]
キーラ・ナイトレイ, ジェームズ・マカヴォイ, シーアシャ・ローナン, ロモーラ・ガライ, ジョー・ライト
ジェネオン エンタテインメント 2008-09-26

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打ちのめされるような感動に、しばし身動きが出来ないほど。静かに余韻に浸りたい。


6:魔法にかけられて
B0019BE320魔法にかけられて 2-Disc・スペシャル・エディション [DVD]
エイミー・アダムス, パトリック・デンプシー, ジェームズ・マースデン, ティモシー・スポール, ケヴィン・リマ
ウォルトディズニースタジオホームエンターテイメント 2008-07-18

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楽しい映画!ディズニーならではの高いテンションを保って、見ていて楽しく気持ちがいい映画。



7:テラビシアにかける橋
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ジョシュ・ハッチャーソン, アナソフィア・ロブ, ズーイー・デシャネル, ロバート・パトリック, ガボア・クスポ
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ファンタジーはこう言うのがすき。そして、ヒロインのアンナソフィアちゃんの魅力にやられてしまいました。この先どんな女の子になっていくんだろう?輝いて欲しい!(劇場鑑賞)



8:ブラックサイト
B001C4YBYOブラックサイト [DVD]
ダイアン・レイン, ビリー・バーク, コリン・ハンクス, グレゴリー・ホブリット
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2008-09-24

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凄くドキドキハラハラさせてくれた。こう言うのは大変好みです。



9:パトリオット
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パトリオット [DVD]ヒース・レジャー, メル・ギブソン, ジョエリー・リチャードソン, ローランド・エメリッヒ

ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2008-11-26
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メル・ギブソンを見直した!めっちゃカッコよかった。ヒース・レジャーも出ていて感無量です。



10:グリース
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ジョン・トラヴォルタ, オリヴィア・ニュートン=ジョン, ジェフ・コナウェイ, ストッカード・チャニング, ランダル・クレイザー
パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン 2006-09-08

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2008年中に見たトラボルタの作品の中で一番!面白かった。今見ても全然色あせない興奮。



以上、マイベスト2008見た映画編でした。







11:55 : [そのほか]年間ベストトラックバック(0)  コメント(4)

2008年 マイベスト:本

今年は全部で70冊から75冊ほどしか読めなかった・・。(^^ゞ
小説とノンフィクションは約半分半分。
小説はあんまり面白く感じられなくなってきました。
その中でも面白かったのをリストアップしましたが、6冊ぐらいしか・・。
「百夜行」「晩鐘」氷室冴子さんの本などの再読も多かった。

逆にノンフィクションはどれも面白かった。
その中で自信を持ってオススメできるものをアップしました。
順位はあんまり関係ないかな。
2009年はもっと読みたいと思います。

タイトルクリックで感想に飛びます。



2008年 年間ベスト6:フィクション部門

1: ダーク/桐野夏生

桐野さんを見直した作品。めっちゃすごい吸引力!!桐野作品、マイベスト!と思った。(後に「メタボラ」こそ、マイベストof桐野となります)

2 :告白/湊 かなえ

2008年一番注目を浴びた作品と作家さん。めくるめく「陰」の世界へ連れて行ってくれる凄い作品。面白くって一気読み。


3:茶々と家康/秋山香乃

「茶々と信長」「茶々と家康」に続く三部作の完結編。「信長」から読んでみて下さい!


4:歳月の梯子/アン・タイラー

お初の作家さん。 同じ著者の「結婚のアマチュア」も面白かったです。


5 石の猿:ジェフリー・デイーバー

今年はディーバー祭りで「コフィン・ダンサー」「エンプティー・チェア」「魔術師」も読んだけど、一番は「石の猿」。世間的には不評だけど・・・。きっと読む順番が大事と思う。読みすぎて最後はおなかいっぱいになり、「12番目のカード」や「ウォッチメイカー」は、ほとぼりが冷めてから読みます


エンブリオ:帚木蓬生

新作「インターセックス」と二部作ですが、インパクトがあるのは断然「エンブリオ」。久坂部羊の「廃用身」を読んだ時の衝撃に近いものがありました。


2008年 年間ベスト10:ノンフィクション部門


1 :そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生/横石知二

元気に暮らそう。それは「気持ち」から。 見習うべき点がたくさん。


2 :自閉症ボーイズ ジョージ&サム/シャーロット・ムーア(相原 真理子訳)

これも 親として見習うべき所が山盛り。子どもへの愛情と冷静な視点がすごい。


3 :ピンポンさん/城島充

凄い人がいたものです。この人の功績はもっと世に知られてもいい。


4: 明日もまた生きていこう 十八歳でがん宣告を受けた私/横山友美佳

悲しいだけじゃなく、彼女の生きかたに力を与えられる。 ひたすら頭が下がる


5: 誘拐/本田靖春

名著!昭和39年の誘拐事件の顛末ですが、古さを感じない。緊迫感が凄い。


6: シズコさん/佐野洋子

母と子の確執は一言では言い表せず 。


7 :あの戦争から遠く離れて 私につながる歴史をたどる旅/城戸久枝

戦争を知らない世代は読むべき一冊 。ここまで調べ上げた著者の粘りが素晴らしい。


8 :性犯罪被害にあうということ/小林美佳

実名写真付きで発表した この本の意義。


9 :なぜ君は絶望と闘えたのか/門田 隆将

死刑は是か非か・・・・深く考えさせられる。絶望のどん底から這い上がった本村氏の強さと支える周囲の人々のつながりにも感動


10 :氷上の光と影 知られざるフィギュアスケート/田村 明子

選手だけじゃなく、コーチ、振付師、ジャッジなどの影で支える人たちにも目を向けられ、知らなかった事がたくさんで面白かった

11:エレクトラ/高山文彦

小説家中上健次の生涯を力強く書く。


12:ヒトラーの贋札/アドルフ・ブルガー

同名映画の原作。本のほうがよりリアルに生々しい恐ろしさがあった。


11:27 : [そのほか]年間ベストトラックバック(0)  コメント(4)

オリンピックの身代金/奥田 英朗

4048738992オリンピックの身代金
奥田 英朗
角川グループパブリッシング 2008-11-28

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昭和39年、東京でオリンピックが開催された。戦後の復興をわずか20年でとげ、華々しく蘇った東京を全国民が見守り、期待し、誇りに思っていた。だけど、その繁栄の影には使い捨てられたコマのような命が幾つもあった。また、東京が栄華を独占している一方で、地方の寒村では人々はまだまだ電気さえ充分に使えない貧しい暮らしを強いられている現状があった。
そんな中で主人公は「東京オリンピック」を「人質」に、「身代金」を奪おうとした。国家から。

+++++++++++++

主人公の国男は東大の院生です。行く末は明るい未来が待っていたでしょう。なのに、なせわざわざ人生の坂を転げ落ちようとするのか、ちょっと不可解でした。国男が感じる疑問、国への不信感、オリンピックに対する反感など、それぞれはとても説得力があるんだけど、だからと言って「そこまで」するか?と思ってしまう。
でも、読み進めるうちに段々と説得されてしまうのです。国男がこうしなければならないと言うその気持ちが、こちらにも届いてくるのです。
主人公の国男、そして同級生でテレビ業界の須賀忠、警察、それぞれの視点から、ほんの数日ずらして、交互に事件が語られていく、その手法が面白く釣り込まれていきました。そのズレが段々と狭まり、やがては一つに・・・。
国男の二面性にはこちらも、好感度を上げたり下げたりさせられながら読んだけど、途中で一緒に行動するようになるスリの村田が大変、いい味でした。この二人の間にある「相手を思う」気持ちがとても好きです。あわやオリンピック妨害がなしうるのか?・・とさえ思わせられる緊迫感のなかで、いつのまにか「成功するといい」とさえ思い、国男たちの行動を応援していました。ふたりが警察を翻弄し、煙に巻く様子には爽快感さえ感じました。
最初のほうのくどいまでの時代背景、風俗の描写は正直辟易するけれど(今現在描かれている小説にここまで詳しく流行や風俗は書かれないでしょう)東京オリンピックに対する日本人の思いの深さや、日本中が熱狂したイメージが伝わり、戦争を知らない私は先人に頭が下がる気持ちがしました。
表向きだけではなく、その裏で何があったか、誰が犠牲になったのか、国家の繁栄は、影に大きな犠牲がつきものなのでしょうか。気付かなかったそんな部分に気付かされ、ミステリーとしてだけじゃなく面白い作品でした。


++++++++++++++

奥田さんの作品は「邪魔」「最悪」から入り好きになったファンには待望のサスペンス。私もそうです。しばらくは逆のイメージの伊良部シリーズは食わず嫌い。でも読んでみたら面白く、「マドンナ」「ガール」も大好きな作品に。
しかし、やっぱりこう言うサスペンスタッチの作品ももっと書いてほしい。

★★★★★

12:11 : [本・タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(2)

メタボラ/桐野夏生

4022502797メタボラ
桐野 夏生
朝日新聞社 2007-05-08

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年明け一冊目の読書は、この「メタボラ」でした。
とても面白かった。桐野さんの文章の吸引力にグイグイと引っ張られ、あっという間に読み終えました。(とは言っても正月の雑事に追われつつ・・・なので3日ほどもかかったけど)

記憶喪失の主人公は、見知らぬ土地でパニックに襲われつつ道に迷っていたが、昭光と言う少年に出会い、そこが沖縄だと知らされる。昭光から「ギンジ」と言う名前をもらい、昭光自身、ジェイクと名乗り、しばらくは二人で他人の家に転がり込んだりして過ごすがやがて別れ、それぞれの生活をしようとする。
「ギンジ」と「ジェイク」の「今」。そして「ギンジ」の次第に取り戻されていく「過去」、「ジェイク」の「昭光」としての過去」など、4つの物語が二人の男たちのなかにあり、やがてはひとつの物語として終りを迎える。

+++++++++++

4つの物語とは言え、本筋は「ギンジ」が沖縄をさすらいながら「過去」を取り戻し、「自分」を取り戻していく物語なんだろうと思う。沖縄には行った事がないし、よく知らない土地なのだけど(ニュースで見るぐらいしか)沖縄の抱える複雑な問題の一端が垣間見えたような気がします。その辺りの事を、安楽ハウスの釜田VSパラダイス・マニア・ロッジのイズムと言う構造で描かれていたのは面白く、読み応えがあった。そうして次第に思いだす「過去」。
この本が描かれたのは主に2006年のこと。だけど、この問題は今こそより現実的で身につまされることになっています。特にこの2009年明けの年末年始には、多くの派遣労働者たちが行き場を失い、ボランティアの炊き出しなどの世話になっているのをニュースで見かけました。小説と言うにはあまりにリアルな内容で、目が離せなかった。
何よりも好きだったのは、ギンジのジェイクへの気持ち。ギンジの「嗜好」は、記憶喪失と共に失われていて、徐々にあらわになってくるのも面白く、ギンジと一緒に読者としても翻弄されて、そして切なく感じました。
なので、あのラストは涙無しに読めず、感動で泣けた。
この後はどうするのか・・と言う問いかけはいらない。美しさと悲しさだけが心に残るラストシーンなのでした。

++++++

実は新聞連載で途中、肝心なところを読んでいて、ギンジの正体は最初から分かってました。
それでも、充分、面白かったんです。箱根駅伝中に読み終えて泣いてました。
★★★★★

11:44 : [本・タイトル]ま行トラックバック(0)  コメント(0)