2007'07.30
![]() | 氷の華 天野 節子 幻冬舎 2007-03 by G-Tools |
ものすごくオーソドックスなミステリーです。
わたしはこの手の推理小説が昔から大好きで読み漁りました。
久しぶりに好みの面白いミステリーを読んだ感じ。
主人公は、なに不自由なく暮らしている良家の若奥様。子どもはなくてイケメンで洒落者の夫はそこそこの収入を得るサラリーマン。経済的にも社会的にも恵まれ容姿端麗、時間をもてあますように色んなサークルに入り毎日のようにお出かけ。わたしなんかから見たら、ため息が出るようなセレブな暮らしです。
しかし、そんな奥様の所にあるとき一本の電話が。その電話は夫の不倫相手だったのです。青天の霹靂に怒り心頭の主人公、恭子が取った行動は・・・。
恭子の「その後」と、事件を追う警察の一騎打ちが息をつかせぬ展開で逸らさせないうえに、その「一騎打ち」が単純なものではなく。事件に隠れたもう一つの真相が明らかになるにつれ、全然好きでもない主人公の思考と行動に釘付けになってしまった。
まぁともかく、主人公の恭子がイケ好かないやつなんですよ。セレブな人種なので、今時の若い主婦とは全然違う雰囲気って言うのが納得できるからその点の設定が上手いなと思います。
物語の進み方は、最初に事件があり、読者はその事件の全貌を見ているんです。叙述はないので安心です(笑)
で、その後は警察との心理合戦や駆け引きなどが描かれていて、いやなヤツなんだけどこの恭子の警察やそのほかの人に対する対応が見事で、なんか一目置いてしまう迫力があるんです。
追われているのに余裕しゃくしゃくの感じの恭子、そしてじっくり丁寧に事件を追っていく刑事の地道な努力。その好対照に見事にハマりました。最後はどっちの事も応援したくなると言う矛盾。
好きになる登場人物がいないのに(刑事も良かったんだけど、好きになるというには人物描写が物足りなかったかな)ハマるというタイプのストーリー。
最後までどうなるのか見えなくて、一気に読んでしまったのだけど、これが著者の60歳にして処女作と言うのが驚き!
なるほど若い人にはない落ち着いた雰囲気があるミステリーだし、かと言って古臭い感じもしなくて非常に良かったです。
天野さんには是非ともまた面白い推理小説を書いて欲しいです。
頑張って!!




