2007'06.30

監督 ブレノ・シウヴェイラ
出演 アンジェロ・アントニオ 、ジラ・パエス 、ダブリオ・モレイラ 、マルコス・エンヒケ 、マルシオ・ケーリング 、チアゴ・メンドンサ
評判につられて、遠いほうの映画館(クルマで30分)まで行って見て来ました。やっぱりこれも期待しすぎたのが悪かったのか、そーんなには大感動でもなかった。けど、決してつまらなくはないんですが。風景も綺麗だったし。カントリーミュージックが好きな人ならもっと楽しめたと思うので、そういう方がいらっしゃったらオススメです。
物語をさくっとご紹介すると、フランシスコという男が息子たちには自分と同じ苦労(貧しい小作農)をさせたくないので、音楽への道を与える。その息子たちの半生を、父親フランシスコの視点で描くと言うものです。
実話なんですって。これ。ほぼ全編ドキュメンタリーみたい。ドキュメンタリーを上手く映画にしてあると言う感じで、その点はすごくよかったと思う。
実は最初、この息子、すっごい音痴だったのです。それがいつの間にか歌が上手くなっているところや、先生や教則本もなく、ただ一度演奏家に指導してもらっただけで楽器が弾けるようになるなど、もしも、これがフィクションだったら納得できない場面が多々あったのだけど、実話じゃ文句も言えません(笑)。ありていに言えば、子どもに夢を無理やり押し付けている父親とも言えるので、そこは「紙一重」なんです。(よく似た映画として思い出しのが「北京バイオリン」。でもそれとは、子どもが本当に音楽をやりたいと思っているのかいないのかと言う所で、全然違いました。)
でも、決して息子たちは父親に逆らわないのですね。反発もしない。ただ親の言うなりに音楽をやり、キライな生卵も飲み(笑)巡業に行けと言われれば行くし、行くなと言われれば行かない。
そんな前半の、息子たちが子ども時代の部分は子どもたちも可愛くて、子どもたちの歌声とともに楽しめたのですが、息子が大人になってからはちょっとダレてしまったかな。恋人と出会ったときのシーンはくどかった。。。
さて、サンパウロに出てきてもなかなか夢の実現に至らず、失意のうちに帰郷する息子のためにフランシスコが取った行動は・・・!!
以下ネタバレです↓
それは、息子の歌がラジオで流れるように、電話でリクエストする事。何度も何度も、別人に成りすましそりゃもう何度も何度も。そしてその場にいた人や仕事仲間に頼んだりして、ともかく給料全てを電話代にしてリクエストを続けるのです。
あまりにも滑稽で・・・そして感動的でした。
その甲斐あって、ラジオに流れた二人の曲は、たちまち大人気に。フランシスコのお金が底をついてもトップの位置をキープ。
そしてついに念願のレコード発売になったのです。
フランシスコの息子たちは、いまやブラジルでは不動の人気を誇るカントリーミュージシャンらしいです。それが最後に分かったのでわたしは「あぁよかったね〜!!」と感動した。何もないところからのサクセスストーリーなので、その部分は素直に感動できました。特に最後のコンサートの場面、ホンモノたちが出てきて、その本人たちの使い方が上手いなあと思ったし、ホンモノのフランシスコが息子の歌を聞きながら泣いてて、こっちもつられて泣いてしまった。逆にお母さんは泣いてなくて微笑んでたけど、女は強いなと思った(笑)。またフランシスコ氏が結構華奢だったので意外だった。力仕事ばかりしてきたのでもっと屈強な、この映画の役者さんのような人を想像してたので。
しかし、これで大成功したから良いけど、成功しなかったら・・・??ちょっと考えてしまった。でも、ブラジルと言う土地柄を考えると一概にそんなことも言えないのかもしれませんが・・・。
最後に「エミヴァルにささげる」という文を見たときは流石に胸がつまりました。映画の中に登場する「エ・ア・ロール」と言う歌の詩も、恋人への歌であると同時に、幼くして死んでしまった弟への言葉とも取れます。
もっと大きな問題は、その輸送に使われる飛行機にあります。ナイルパーチの輸出が盛んな事に目をつけたのは武器商人たち。彼らにとっては戦争や内乱ほど「おいしい」ことはないのです。そして、生きるために、より良い暮らしをするために兵士になりたい、だからと言って「戦争」を待ち望んでいる人たちがいるということ。それほどまでに「普通の暮らし」からは遠い暮らしをしている人たちがいると言う事。
何も知らずにアフリカ産の白身の魚を食べる日本人であるわたしたち。見終えたあとには深い虚無感が・・・。
いつも思うけど、あそこで目を潰されながらアンモニアとウジの中で生計を立ててる女の人は、ひょっとしたら自分だったかもしれない。他の子供たちと一握りのゴハンを奪い合いながら、夜はシンナーやタバコをすって何もかも忘れて眠ろうとする子どもは、わたしの子どもだったのかも知れない。
その違いはスレスレだったかも知れない。
そう思うと、この日本で安穏に生きられる幸福をもっと真摯に受け止めないといけないなぁと痛感させられます。自分が恥ずかしい。
★★★☆























