配達あかずきん/大崎梢

4488017266配達あかずきん
大崎 梢
東京創元社 2006-05-20

by G-Tools


「威風堂」という本屋さんで繰り広げられる、日常の何気ない出来事に潜んだミステリーを絡めた人間模様。
こんな本屋さんがあったら、ぜひとも行って見たい、そして出来ればわたしもこんな本屋さんで働いてみたい、と思わせられる作品。
ミステリーも決して血生臭くないし、それほどははらはらさせられるものでもないのだけど、自分にも分かるかもしれないと思わせる作りになってて、いつもなら推理モノを読んでいても推理もしないナマクラ読者のわたしも、思わず謎解きに参加してしまっていました。
だいたい、冒頭からお客さんがとんでもない乏しいヒントで「こういう本を探している」と言うのを、「何の本だろう?」と、登場人物たちと一緒になって考えてしまう。しかも、自分が読んだ本なら当たっていても外れていても、そこにそのタイトルを見つけるだけで嬉しい。
マンガもあってそれがまた、漫画好きにはたまらん嬉しさ。
「あさきゆめみし」が出てくる「標野にて 君が袖振る」なんてかなり気に入りました。こう言うタイトルのチョイスが作者の幅広い本好き魂を見せてくれて、語り合いたい!とさえ思わせられたり。
巻末に書店員の対談があり、これまた興味しんしんで読ませていただきました。


21:18 : [本・タイトル]は行トラックバック(0)  コメント(0)

わらの人/山本甲士

4163254803わらの人
山本 甲士
文藝春秋 2006-11

by G-Tools


気が弱く、言いたいことも言えず不正の片棒さえも、不本意ながら担いでしまう主人公のOLが、ふっと気まぐれで入った「理容店」。そこで自分が知らないうちに眉毛を整えられていた。すると、ああらびっくりなんだか自分の性格が変わったみたい。この眉毛に似合うようなメイクをしてみれば、今まで似合わないと思ってたスーツもビシッと決まる気がする。はたして意気地なしのOLは、生まれ変われるのだろうか?

この不思議な理容店に入った人々は、女主人の手技にうっとりと眠気を誘われ、夢うつつのうちに女主人の言うがままに「変身」してしまう。
その「客」となる人々が、理容店への入店前と入店後にどう変わるかを描いた連作短編集。

山本さんの作品と言えばなんと言っても「どろ」「かび」「とげ」が面白かったし、こういうカラーの作品を書く人だと思っていたら「ぱちもん」みたいな、泥臭いけどどこか爽やかな物語りもよかった。
それに比べたらちょっとパンチに欠けた気がしたけど、人間なにかほんのちょっとしたきっかけがあれば、今までの自分と違う自分に変われるかも知れない、そして人生前向きに生きる事が出来るかも、というメッセージが心地よかった。

特に好きだったのが上司と一緒のハイキングの途中でプチ遭難してしまう会社員の話。いつも頼りない彼がやけに頼もしく見えるのは、いわずと知れた「髪形」の変化のせい・・・だけでは、決してないところがミソですね。



ぱちもん
ぱちもん山本甲士

小学館 2005-07-06
売り上げランキング : 225933

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
どろ あかん 三丁目の夕日 かび とげ

21:07 : [本・タイトル]わ行トラックバック(0)  コメント(0)