【映】許されざる者

B003GQSXKE許されざる者 [Blu-ray]
ワーナー・ホーム・ビデオ 2010-04-20

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テレビ録画。アカデミー作品賞も受賞したらしいけど、なぜかスルーしていた作品。
1992年作の西部劇は内容的に複雑で、単純な勧善懲悪ではなかったので、私にはちと難しかったです(^_^;)




主人公ウィリアム・マーニー、悪辣非道なアウトローだった彼は、妻となる女性との出会いで改心し、その妻が死んだ今も、赤貧ながらも子どもたちと堅気に暮らしている。
そんな彼の元へ若いガンマンが賞金稼ぎの話を持ち込む。
賞金をかけられているのは、牧童たち2人で、酔った勢いで娼婦の顔を切り刻んだのだった。
保安官は馬6頭という賠償金で牧童たちを罰したのだが、娼婦たちは納得できず、自分たちでお金を出し合い、牧童たちに懸賞金をかけたのだった。
自分はもう、過去の自分とは違う・・・と、いったんは話を断るマーニーだが、結局お金のために引き受けることにしてしまう。昔の相棒ネッド(モーガン・フリーマン)を誘い、若いガンマンのあとを追い、ついに街へとはいるのだった。
(マーニー・・・せっかく人殺しを止めたのに、またやるの?やめてよ~。。。と思う。)
しかしそこにいたのは冷酷非道な保安官。この街に入るものは武器を持ってはならない。
武器を持っているものには容赦ないリンチ!!そのリンチは凄まじく非人道的だ。
(おいおい、保安官でしょうが。そこまでやるのか?街のみんなも眼を背けるほど非道だよ)
立場的には、保安官が「善」で、賞金稼ぎが「悪」だけど、誰が「善」とか、誰が「悪」とかに、囚われることができない。
たしかに、娼婦の顔を傷つけた牧童たちは酷いことをした。
でも、馬を連れてきて、酒屋の亭主に「支払い」をしたあとに、彼女に馬を差し出そうとする若い方の牧童が、どうも悪人には見えず、憎めない。心から改悛しているようだったし、また、傷つけられた当の娼婦も牧童を許したそうな顔で見つめていた。でも、娼婦たちのリーダーアリスの燃え上がった心は収まらない。
(でも、命を奪っていいということにはならないんじゃ・・)
もちろん、娼婦を人間扱いしないで、ただの「もの」のように、お金で責任をやり取りする保安官や店の主のやり方にも反感を覚える。

さて、いったい誰に共感して見ればいいのか?
誰にも共感できないし、また、そういう映画ではないんだろう。
だから、私には難しかった。

いったん足を洗って「善人」になったアウトローが、また悪の道に入るとは・・。
自分がしてきたことを悔いている様子が分かるだけに。
そして、対象の牧童が憎めない若い命だけに。

保安官の非道ぶりも、保安官がたったひとりで家を建てているのも、物書き相手に誇らしげに過去を教えているのも・・(ちなみにこの物書きソウル・ルビネック、「トゥルー・ロマンス」では、映画監督の役。雰囲気が全然違う。役者ってすごいな!と、こういうときに感じる)

物語は最初からずっともやもや感が付きまとう。
そういえば「ミスティック・リバー」も、私にとってはもやもや映画なのだった。
イーストウッド作品は「グラン・トリノ」みたいな分かりやすい映画のほうが、少ないのかもしれない。


さて、この作品はしかし、そのもやもや感が吹っ飛ぶ瞬間がある。
終盤のマーニーの大爆発だ。
ネッドの非業の死(これまた辛い・・!!)を知り、それまでかたくなに何度も断ってきた酒をあおる、その瞬間から、酒場で拳銃をぶっ放す所・・そして、街の住人を怒鳴りつけながら去っていくところまで、ハンパないカッコよさだ。
それまでのよぼよぼはわざとかと思う。豚に振り回され泥の中をはいずり、馬にバカにされて振り落とされて尻餅をつき、拳銃を撃っては外してばかり・・・そんな「ため」があったせいでギャップが大きくて、痺れるほどにカッコよくて萌えた。もやもや感が吹っ飛んでしまった。
副保安官もマーニーの背中にさえ銃口を向けられない希薄と殺気。。あ~~カッコいい!!!
無事に街を出られるか、ともかくハラハラしたけれど・・・。


ただ、最後のナレーションはいらなかったと思う。
ネッドも死なせてしまい、自分にはなんら関係ない牧童を殺したお金で幸せになったなんて、知りたくなかった。
妻の母親が訪ねたとき、その家は誰もいなかった・・・で終わったらよかった・・と思うのは私だけかな。



しかし西部劇は何にも考えずに、良いやつが悪いやつをやっつける・・ほうが、性に合ってるのかもしれない。こんな複雑なストーリーは理解できなくて・・・少々残念だった。
残念だったけど、カッコいい。カッコいいけど残念。という、どうして良いかわからない映画。。。

★★★☆



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【映】やさしい嘘と贈り物

B003CN5W1Oやさしい嘘と贈り物 [DVD]
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン 2010-10-08

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途中から「ひょっとしてそうかな?」と思ったけど、意表をつく展開だった。
面白かった。そして切なかった。★★★★

一人暮らしの老人、ロバート。もうすぐクリスマスだが、プレゼントを贈る相手は自分しかない。「ロバートからロバートへ」という贈り物をツリーの下においている。
仕事はスーパーマーケットの支配人。でもそれは名ばかりで絵を描いて時間を潰している。共同経営者のマイクが実質の店長で、ロバートに手を焼いているようにも見える。
孤独をもてあますような毎日だったが、あるときロバートが家の戸を開けて出かけたために、向かいに住む女性が心配して入り込んでいた。それに驚き、怒りながらも最後は「心配してくれてありがとう」と、礼を言うロバート。
その女性メアリーは、いきなりロバートを食事に誘う。
戸惑いながらも応じたロバート。二人は急速に接近し、仲良くなっていくのだったが・・・・・。


孤独な老人の心を溶かしていくメアリー。
ずいぶん積極的だなーと思ったけど、老い先の時間を思うと、ためらったり悩んだりする時間も惜しいのかもしれない。
トシを取っても恋愛したっていいじゃないか!と思い、温かい目で見守った。
また、共同経営者のマイクがいい味!
一見ロバートに手を焼いているのかな?と思ったけど、辛抱強く付き合っていて、イイヤツだなーと思った。

以下ネタバレを含みますので、これから見る人は読まないで!!


















何もかも分かってから思い返せば、符号の合うことがたくさん。
ドアを開けっ放しで外出するなんて・・!
車庫にクルマを突っ込んでしまったこと。
メアリーがやけに積極的なのも、マイクがロバートに優しいのも。
「明日は休むんだろう?」と言いながら、メアリーの娘が来たときクルマを出さずにそばにいたこと。
ロバートの車庫やクルマをマイクが直しておいたこと。
そして、薬・・・。
てっきり、問題があるのはメアリーのほうだと思ったのに。
年をとるということは、切なく哀しいことだと思う。
でも、振り返ればそこに幸せな人生があったとしたら、それでいいのじゃないだろうか?
哀しくも温かい・・でもやっぱり切なくて哀しい物語だった。

17:19 : [映画タイトル]や行トラックバック(0)  コメント(2)

【映】八日目の蝉

原作を読んだのが4年も前なので、(ドラマは見ていない)内容をあんまり覚えてなくて、ところどころ「原作はどうだったかな」と気にしつつ、観ました。
永作博美演じる喜和子が、不倫相手の子どもを誘拐して、自分の子のように育てようとする。カルト教団の「エンジェルホーム」にかくまわれるなどして4歳まで育てるが、結局逮捕され、子どもは保護される。
一方現代、大人になった、誘拐された子どもエリナ(井上真央)。家族の実感を得られないまま大人になった彼女は空疎な存在で、生きる喜びも感じられないでいる。あるとき、事件のことを訊ねてフリーライターがやってきた。親身な彼女と行動をともにするうちに、エリナにとっては意外な真実が明らかになる。

各役者陣が大健闘・・と言う感じです。
特に、主演3人(永作博美、井上真央、小池栄子)はよかった。小池栄子、なんか「ウザい」し「胡散臭い」感じがよく出てた。私だったらああいう人、相手にしないと思う(多分)。図々しすぎるし。でも、エリナは自分を守ろうと言う気持ちが人よりも希薄なんだろうな。だから、劇団ひとりみたいな、明らかに「やらしい」男も受け入れるし、小池栄子みたいな胡散臭い自称ライターなんかも拒否しないんだろう。どこか冷静で投げやりな感じ、伝わりました。
二人の母親は好対照で、「実の母親」と「育ての母親」、どちらのほうが「母親らしい」と言ったら、断然「育ての母親」。
期間限定の母子ということは、犯人にはわかっていて、だからこそ子どもを充分すぎるほど愛せたんだと思うのだけど、そうすると、やっぱり実の親子だと、期間限定とか思わなくて、あって当然の確たる親子関係と思えば、そこに胡坐をかいて、関わり方がおざなりになってしまう部分が多々あるなぁ・・(私の場合ですが)と反省してしまいました。
映画の間中ずっと、自分の子どもとの、親子関係のことを考えてしまいました。
瀬戸内の風景は綺麗だった。特に棚田に、儀式の灯がともされる風景。映像ならでは・・だった。



10:53 : [映画タイトル]や行トラックバック(1)  コメント(2)

【映】やわらかい手

B001AX11NQやわらかい手 スペシャル・エディション [DVD]
ビデオメーカー 2008-09-03

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こんなに内容紹介するのに困る作品だとは見る前には思いませんでした。
ともかく、孫の大病でお金が必要な初老のおばさんが、働き口を探すもなかなか見つからず、たどり着いた就職口は、男性を手で満足させると言う風俗業だった、しかし、意外にもその持ち前の「やわらかい手」が業種にマッチし、みるみる顧客の心をつかみ、連日行列が出来るほどの人気ぶりになってしまうという物語。
このオバサンが亭主に先立たれ、「そういうこと」は数年「なし」であるとか、この年代の女性はそういう人が多いのかもしれないけど(宗教の関係もありか)とても初心で、その店のオーナーとの会話がなかなか通じなかったりするシーンとか、いやいや始めた慣れない仕事に、段々と慣れて行き馴染んでいく感じとか、人気が出て給料も上がり、財布が大きくなるところとか、特殊な腱鞘炎とか、行列をなす男たちの姿とか、ブラックながらもほのぼのとした笑いのツボもあって、面白かったです。
孫の為にやってることだけど、そりゃ家族にしたら冷静ではいられないですよね。特に息子は神聖な自分の母親がそんな仕事をしていると言うことは、受け入れられない。自分の息子に売春婦と大声で罵倒される気持ちとは・・・彼の息子のためにしていることなのに(ひいては彼の為にでもある)・・・・「ありがとう」の一言もなく・・・わが身の出来事のようにとても悲しい気持ちになりましたよ。私だったら怒鳴りつけてると思うな~。
この辺の主人公マギーの気持ちは、息子には分からなくてもきっと息子の妻には分かってもらえるのじゃないかと思ってました。そりの合わない息子の妻だけど、このマギーの「覚悟」が分からないようならダメだ・・・・と思いましたね。やっぱり女の気持ちは女にしか分からないのかな。

マギーのおすましの友だちの反応も面白かったです。
マギーの死んだ亭主も、死に際に余計な告白をしていったもんだ・・と思ったんだけど(だって、死んでいくほうはそれで気がラクになるのかもしれないけど、言われたほうは、責める相手はこの世にいないし、一人悶々と苦しまねばならないと思う)この際は、本当のことを知っていたからこそ、おすましの友だちに逆襲できたんだから、結果オーライだった部分はあるのかも。
そのほか仕事の「センパイ」の女性とかも印象的。色んなタイプの女が登場して面白かった。
ニコもね・・・!
よく見てみれば、ジャケット写真がグー!(笑)
とても気に入りました。この映画。

★★★★☆


21:18 : [映画タイトル]や行トラックバック(0)  コメント(2)

【映】ヤング@ハート

B001U65T2Wヤング@ハート [DVD]
スティーヴン・ウォーカー, スティーヴン・ウォーカー
ポニーキャニオン 2009-05-20

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平均年齢80歳のお年寄りたちのコーラス隊を追ったドキュメンタリー。
「おじいちゃん、おばあちゃんになってもこう言う趣味を持って楽しむのは、とってもいいことだ。歳を取ってなお頑張る姿には感動を覚える」と言う、そんな感想を抱くのではないかと・・我知らず予想していたような気がしますが、映画を見て打ちのめされました。
平均80と言っても、その歌唱力たるや、とてもとても歌の下手な私なんぞとは比較にならず、力強い発声、しっかりとした音程、リズム感、どこをとっても「ちゃんとした」コーラスなのです。
コーチもなかなか厳しく、妥協をしない。
「おじいちゃんだから、この辺で仕方がない」とか、そんなことは(全然ない、とは言えないと思いますが)ほとんどなさそうです。
そして、92歳のお嬢さんを筆頭に、みなさんお元気なこと。やっぱり歌を歌うことで色んな部分が刺激されたり鍛えられたりしてるのが、目に見えて分かる!
しかし、病気で具合が悪くなる人も中にはいて、亡くなってしまう仲間もいます。
仲間を失うって、どんな年齢でも同じように悲しいと思うけど、高齢になればなるほど「次は自分か」と言う気持ちが大きくなったり、付き合いが長い分切なさが増したりするんだろうと思います。
でも、歌うことで悲しみを乗り越えていくんですね。
その姿を見てまた、こちらが元気をもらう・・・ありきたりだけど、そんな感じ。
こんな老後なら楽しいぞ、自分もこんな風に歳を取りたい、と思わせられます。
映画の取り方と言うか見せ方もスタイリッシュでカッコよくって、色んな曲が挿入されてて(もちろん、ヤング@ハートのナンバー)「ステイン・アライブ」のときなんて、そこに込められたユーモアにノックアウトです(笑)。
胸を打たれるって、こう言う映画ですよね。
20:56 : [映画タイトル]や行トラックバック(1)  コメント(0)

屋敷女

B001FLUIQO屋敷女 アンレイテッド版 [DVD]
ベアトリス・ダル, アリソン・パラディ, ナタリー・ルーセル, ジュリアン・モーリー;アレクサンドル・バスティロ
キングレコード 2009-01-07

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もうホラーはいいわ、一生分見てしまいました・・・・と思っていたはずなのに、評価の高いホラーを見つけるとつい手が伸びてしまう・・・サガでしょうか。
今回のこの「屋敷女」は、フランス発不条理ホラーです。精神的にも怖く、スプラッター要素の血がドバドバと言う視覚的にも怖く、ホラー好きとしては満足のいく作品だったのでは。
冒頭、交通事故の場面。身ごもっていた主人公の、おなかの赤ちゃんが事故の衝撃を受けているシーンがとても印象的です。そして、その後。事故で夫を亡くして出産間際の主人公はひとりでクリスマスを過ごすのですが、その夜見知らぬ女が訪ねてきていきなり主人公を恐怖のどん底に突き落とす、恐怖の一夜が始まるのです。
なぜ主人公がそんな目に合わねばならないのか、一体それは誰なのか。ひゃー、きゃーと、テレビの前で騒ぎながら見てました。不条理にも思えるその理由が判明するとき、見ているものはキャッチコピーを思い出し愕然とするのです。
心臓の弱い方、妊娠中の方はご鑑賞をおやめ下さい、という注意書きの通り、見た目がかなり痛いです。ホラーの苦手な娘と一緒に見たのですが、娘は泣きそうになってました。慣れてるわたしも途中「ぅげー!」と思うシーンがあって、結構キます。
ホラーが好きな人は一度見てみて下さい。
★★★☆

先に見た「P2」なんかは「もう一度見よう」と言う気になるタイプのホラーですが(ホラーって言うよりもサスペンスですね)こっちはもう、見るのも思い出すのもキツい。けど、人には「見てみ~」と勧めたい。。。。そんなタイプの作品。
13:34 : [映画タイトル]や行トラックバック(0)  コメント(0)

善き人のためのソナタ

B000PWQS3G善き人のためのソナタ スタンダード・エディション
ウルリッヒ・ミューエ フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク セバスチャン・コッホ
ビデオメーカー 2007-08-03

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監督 フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演 ウルリッヒ・ミューエ 、マルティナ・ゲデック 、セバスチャン・コッホ 、ウルリッヒ・トゥクール 、トマス・ティーマ 、ハンス=ウーヴェ・バウアー


素晴らしい映画を見ました。
アカデミーの外国語映画賞など受賞しています。前から評判を聞いてて、どうしても劇場で見たくて上映最後の今日、近くのシネコンではない隣の市の映画館に、わざわざ40分クルマを走らせて行きました。意気込みのほど感じてください(笑)。なんせヤフーの映画で今、★の数の多い映画ランク1位なのです。(2位は「ロッキー ザ ファイナル」だ!やったー!)

さて、1984年、東西ドイツが統合する前の東ドイツが舞台。
ある男の事情聴取というか尋問の場面から物語がスタート。その模様を録音したテープを学生たちに聞かせながら国家保安省(シュタージ)の局員ヴィースラー大尉は「反体制の人間が国家に背く罪を犯した場合」の落とし方を諄々と説いています。40時間眠らせないで尋問する、と言う方法を得々と披露したりして。「それはあまりにも非人道的では?」と異議を唱える学生がいようものなら、席次表にチェック入れているという徹底的な国家人間。
この、ドップリ東側人間の主人公が、自由思想の舞台監督のドライマンから、反体制思想の持ち主である証拠を掴もうと、24時間体勢で盗聴つきで監視する事になります。そして主人公が盗聴から知ってゆくドライマンの生活とは…。

思想統制の中で自由を求める事の困難さを舞台作家ドライマンを通じて、まざまざと見せ付けられます。このドライマンの体制に反してゆこうとする態度が、男っぽくて魅力的です。その中で誰が裏切るのか、誰が守ってくれるのか…、皮肉な成り行きや意外な展開が続きます。タイトルの「善き人のためのソナタ」はベートーベンの曲のタイトル。これはスターリンに「この曲を真剣に聞いたものは、悪人になれない」と言わしめた名曲。その曲がもたらしたものはなんだったのか、最後には大きな感動があります。是非ともご覧下さい。(ここから先はネタバレになりますので、映画を見たい人は読まないで!)


やっぱり一番印象に残るのは壁の崩壊後のものがたり。自由が手に入ったと言うのに、それまで迫害され続けてきたドライマンが、そこから作品を一つも上梓できないという皮肉。恋人の裏切りと死がもたらしたショックが大きかったのだろうと思うけれど、大きな「敵」がなくなり放心してしまったと言うのもあるだろう。それが再び書けるようになったいきさつが感動モノなんです。
また自由を手に入れたドライマンとは逆に、不遇に耐える主人公の姿が涙を誘います。報われないのがあまりにも哀れで切ない。
ドライマンが彼を見つけて、でも声をかけないのがいい。結局ドライマンの感謝の気持ちを伝える手段は…。

是非ともご覧になっていただきたい名作です。

もっと大きな問題は、その輸送に使われる飛行機にあります。ナイルパーチの輸出が盛んな事に目をつけたのは武器商人たち。彼らにとっては戦争や内乱ほど「おいしい」ことはないのです。そして、生きるために、より良い暮らしをするために兵士になりたい、だからと言って「戦争」を待ち望んでいる人たちがいるということ。それほどまでに「普通の暮らし」からは遠い暮らしをしている人たちがいると言う事。
何も知らずにアフリカ産の白身の魚を食べる日本人であるわたしたち。見終えたあとには深い虚無感が・・・。

いつも思うけど、あそこで目を潰されながらアンモニアとウジの中で生計を立ててる女の人は、ひょっとしたら自分だったかもしれない。他の子供たちと一握りのゴハンを奪い合いながら、夜はシンナーやタバコをすって何もかも忘れて眠ろうとする子どもは、わたしの子どもだったのかも知れない。
その違いはスレスレだったかも知れない。
そう思うと、この日本で安穏に生きられる幸福をもっと真摯に受け止めないといけないなぁと痛感させられます。自分が恥ずかしい。

★★★★★
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18:34 : [映画タイトル]や行トラックバック(0)  コメント(0)

ユナイテッド93

B000H1QZWYユナイテッド93
コリー・ジョンソン ポール・グリーングラス タラ・ヒューゴ
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン 2006-11-30

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9.11テロのとき、一機だけ離れた所に落ちた飛行機があったけど、それはこういうことだったんだと改めて分かった。
映画と言う感じではなく、本当にその場にいるような臨場感。
最後の最後まであきらめないで戦う乗客たちを見ていて、結末は分かってるのに事実と違う結末を強く願ってしまった。
作品中に、そこにいた人々の「存在」をリアルに感じて、見終えた後はひたすら哀しかった。
真っ黒になった画面。
それが「最後」だったのだと思うと、ただやり切れない。


★★★★
14:00 : [映画タイトル]や行トラックバック(0)  コメント(2)

夢駆ける馬ドリーマー

夢駆ける馬 ドリーマー
試写会にて


監督脚本
ジョン・ゲイティンズ

キャスト
ダコタ・ファニング
カート・ラッセル
エリザベス・シュー
クリス・クリストファーソン
ルイス・ガスマン
フレディ・ロドリゲス
オデット・フェール

+++++++++++

落ちぶれた牧場主が、再起不能となった牝馬を引き取り、娘と一緒にリハビリ調教して、大きなレースに挑戦する。
実話を元にした話だそうだけど、ストレートで素直に感動できる作品です。あまりにストレートすぎてるけど、それでも見ていて気持ち良い映画でした。

馬はかわいく美しい、レースの場面は緊張感がいっぱい、家のテレビ画面で見たらどうって言うことのない話かもしれないけど、劇場で見たためか感動がダイレクトに伝わり、なかなかに満足です。

映画は、怪我をして再起不能と思われた馬のサクセスストーリーが軸ですがそこに、家族の中の人間関係の再生を織り込んでます。
夫婦も上手く行ってはいなかった。親子関係も…。でも馬(ソーニャドール)を引き取ったときから、改善されていくのだけどその様子が馬とダコタ演じるケールとを中心に、無理なく自然に描かれててよかった。
いったん離れた気持ちが再び寄り添うと、長年連れ添った夫婦にも恥じらいや照れが生じて、新鮮なトキメキがあるんだーと…。それがさらっと描かれてたと思う。

わたしはこれ、娘(11歳)と見に行ったので、夫婦が寝室で語らう場面に「ひゃー。どうしよう~!!!ひょっとしてこの後??」と焦ったのですが、そう言うシーンは一切影も形もなく…。ある意味ほっとしました(笑)同じくダコタが出てる映画を、ダコタファンの娘と見てて困ったことがあったので(「コール」での一場面)
しかし、カート・ラッセル、結構ふけましたね。中年というよりもどっちかというと熟年って感じ。それよりも、ビックリしたのがクリス・クリシトファーソンと親子を演じているのだけど、これがまたそ・・・っくり!!二人並んだ横顔とか骨格とか…。どうして今まで気付かなかったのか、この親子関係に。実の親子のようでした。
ダコタちゃんは今年12歳のはず。うちの娘と同じ年のはずです。欧米の女子は発達が良いと思っていたけど彼女に限ってはうちの娘よりも幼く見えます。
いつか彼女もKISSシーンなどがありーのラブロマンスなんかにも出演するのだろうか?ちょっと想像できませんね今のところ。

★★★★☆
16:19 : [映画タイトル]や行トラックバック(0)  コメント(2)