【本】私でない私/サンドラ・ブラウン

私でない私 (新潮文庫)
私でない私 (新潮文庫)サンドラ ブラウン Sandra Brown

新潮社 1994-03
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ひさーーーーーしぶりに本を読みましたよ、やれやれ(^-^;
読書管理ツールの「読書メーター」によれば(ここも、近頃まるきり覗いてない)今年は何と、なんとここまでたった8冊しか読んでないというのです。もう12月だというのに、ひとケタ???驚愕。。。

さて、記念すべき?今年8冊目になる読破本は、これもまた韓ドラ絡みで見つけた「私でない私」と言う本で、存在も知らなかったし、作家の名前すら知らなかったのです。
韓ドラの感想を見て回っていた時、どこのどなたが書かれていたかさっぱり覚えてないけれど、この本を紹介されていたのです。ふと思いついて手に入れて、読んでみたのでした。
そしたら、あらら、のっけから釣り込まれて一気読み。
文体も翻訳ものにしてはとっつきやすく、なんだかシドニー・シェルダンみたいに読みやすかったです。
ミステリーなのかと思って読んでたら、そのうちになんとなく「あれ?これってひょっとしてハーレクインロマンスか?」と、思えてきました。ハーレクイン小説って読んだことないんだけども(^-^;

主人公のエイブリーはTVレポーター。
凄惨な飛行機事故にあい、数少ない生き残りである彼女は、それは酷いけがを負います。
目覚めた彼女を取り囲む人たちは、口もきけず、身動きも一切できない包帯だらけの彼女に対して「キャロル」と呼びかけます。
事故の時、エイブリーはキャロルと座席を交換していたために、間違われてしまったのでした。
自分がキャロルではないことを伝えたくても、声が出ない、ペンも持てないエイブリーにはそのすべがありません。
かくして、エイブリーはそのままキャロルとして顔面の再生手術を受け、キャロルに生まれ変わってしまいます。
キャロルは、上院議員を目指して選挙活動中のテート・ラトレッジの妻でした。
エイブリーが事故直後、意識も朦朧としているときに、誰かがテートの暗殺計画を耳打ちしました。
それは、テートにとって家族か身近な誰かが、妻キャロルと結託してテートの命を奪おうとしているということでした。
それを知ったエイブリーは自分がキャロルに成りすますことで、事の真相を掴み、TVレポーターとしての業績を上げたいと考えます。
そのうえ自分の身を守り、そしてテートの命を守ろうとするのです。
入院中にテートと接触するうちに、エイブリーはテートに惹かれて行ったのでした。
ところが、キャロルと言う女性は、実にとんでもない女性だということが分かってきて、エイブリーは途方に暮れてしまいます。
いったい誰がテートの命を奪おうとしているのか、キャロルは一体どんな女性だったのか、エイブリーは自分の素性をテートに打ち明けられるのか・・・そしてテートの家族たちの人間模様。

韓ドラファンの人が話題にするのが分かるような設定と展開でした。
他人に成りすますということは、現実的に無理だと思うんですけどね。。。
この物語でも、エイブリーとキャロルは人物像が180度違うし、そうなると表現やしぐさも違うわけです。
なによりも、キャロルとなったエイブリーの前にキャロルの知り合いが出てきたら・・それが一番。エイブリーが入院中に把握した家族や近親者をなんとかごまかせたとしても、やっぱり騙せない人がいるわけだから・・・

などなど、真剣に考えたらやっぱり無理があるなと思ってしまいますが。
そこは物語の面白さに押されて、読んでる間はスルー出来ました。
ときどき「何でこの人たち気づかないのかな」とは思いましたが(^-^;

エイブリーがテートに惹かれ、でも、テートはキャロルを憎んでいるのです。
ごまんとある理由から。。徐々にその理由や、キャロルがどれだけ酷い女性だったかわかってくる。
エイブリーはテートが好きなのに、テートは自分をキャロルとして憎んでいる。
そして、自分がキャロルでないと知ってもまた、テートは自分を憎むであろう。
エイブリーは八方塞がりな状態で、テートの妻を演じています。
綱渡り状態の緊張感がスリリングです。
エイブリーの不屈の精神と言うかパワフルな性格がとても魅力的です。
だからテートは事故後のキャロルにだんだんと惹かれて行くのです。
自分で矛盾に思いつつ、気持ちを抑えられない。
このロマンス路線もまたスリリングでした。
上院議員候補としてのテートの生活には、いろんな人物が絡んでくるし、一体誰がテートの命を狙うのかと言うことも、おおいに気になりながら、ものすごく一気に読み上げてしまいました。
家族模様もうまく絡んで描かれていて、それぞれのキャラもたっていて読みごたえがありました。

誰が命を狙っているにしろ、どうしてさっさと殺さないのか。
身近な存在であるなら、そのチャンスはいくらでもあるはずだし・・と思っていたら、ラストに判明した犯人像には驚きました。予想外でしたので(^-^;
しかし伏線は張られていました。
なるほどね。。。

面白い本でした。ドラマ化したらいいのに(笑)
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【本】1月の読書

2014年1月の読書メーター
読んだ本の数:1冊
読んだページ数:294ページ
ナイス数:44ナイス

私のなかの彼女私のなかの彼女感想
ちょうど半分ぐらいまでは、余り面白く感じられなかった。まるで興味がわかなかった。でも、主人公が作家を目指してからはいつもどおりハマッて読んだ。ちょうど今NHKで「紙の月」のドラマを放送中。自覚ナシに相手をすごく不快な気持ちにさせる言葉を放つ、夫や恋人。根底は同じと思った。主人公の成長する物語と言うよりも、ひとつの別れを丹念に何年もかけて描いた物語のように感じられ、寂しかった。最後はまぁ良かったけど・・・。
読了日:1月14日 著者:角田光代

読書メーター


たった1冊!!(爆)
13:28 : [本・タイトル]わ行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】わが妄想/モハメド・オマル・アブディン

4591134571わが盲想 (一般書)
モハメド・オマル・アブディン
ポプラ社 2013-05-16

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こちら、盲目のアブディン氏(以降勝手にアブさんと呼ぶ)が、遠きアフリカはスーダンから単身日本へやってきて、東京→福井の盲学校で鍼灸と日本語の勉強をして、その後つくばへ、やがては東京へと渡りながら、日本で暮らした15年間の波乱に満ちた日々を綴ったエッセイです。
アブさんの存在は、友人であり、この本のプロデューサーである高野秀行さんの文章にちょくちょく登場するので、以前から知っていた。
だから初めてアブさんの本を読んでも「はじめまして」と言う気がしない。親近感があった。
もともと高野さんとは、盲人サッカーと言う競技が縁で知り合ったのだとか。
本書にも高野さんはもちろん登場します。

さて、しかし本書の内容は、驚きの連続。
アブさんの人となりから、経歴から、スーダンの人々の生活・家族関係から、想像を絶することと、感心することばかり。
文章の上手さや、散りばめられたユーモア、前向きで闊達であり、ちっとも「身体障害者」と言う「哀れみ」(この辺は語弊があると思うので不適切だとしたら申し訳ないです)を感じさせない明るさ・・などなどのおかげで、最初から最後までとても楽しく読むことが出来た。

だいたい、もしも自分の目が見えなかったら、海外へ・・しかも全然知らない遠い遠い国へ一人で留学しようと思うだろうか。それも、在学中の大学をやめてまで、鍼灸というまったく未知の分野の勉強をしに?
その時点ですでに「すごい勇気だ」と感心するんだけど、日本へ来てからもチャレンジの連続で、その能動的な積極性には、本当に感心させられてしまった。
とにかく、日本語は初心者ということで、日本語を覚えていくくだりが描かれている。まず、アブさんの見る見る日本語が上達していく吸収力にも驚かされる。目が普通に見えていても、まるで知らない言語(しかも、非漢字圏の国のひと)をマスターするということは、かなり難しいことだと思う。なのに、目が見えない人が、日本語と漢字をきちんとマスターするとは??想像もできない。粘土に文字を書き、指でなぞり、漢字を覚えたみたいで、教えるほうも覚えるほうも並大抵のことじゃないと、ただただ感心するばかりだった。
そして、日本人として普通に使っていると気づかないことを、アブさんが感じた疑問などにより、「日本語って面白いな」と、逆に発見させられた。
たとえば「留学」と言う言葉。漢字を覚えるときに、アブさんは「流学」だと思ったんだとか。「流れて学ぶ」と「留まって学ぶ」では真逆の意味になるが、アブさんが言うとおり、遠方へ「流れて」学ぶのだから、たしかに「流学」と書いてもおかしくない!
何も考えずにただ、そこにある漢字を覚えてきただけの私には、とても新鮮な発見だった。ダジャレ(というか、オヤジギャグ)によって日本語を吸収していくあたりは、おかしくもあり、感心もする。オヤジギャグも役にたつんだな・・と(笑)。
そんな風に、日本と言う国を、スーダンからの「流学生」アブディンの視点で見て、様々な疑問や矛盾を突きつけられた。日本語の面白さのほかにも、学生の就職活動や社会人になると言うことの意味のなど、いつもと違う視点で自国を見ることが出来たように思う。
そしてまた、私にとって未知の国、スーダン(痛ましいことに、今ちょうど水害で大変なことになっていると言うニュースが流れている)が、少しなりとも身近に感じられる。
スーダンは内戦や紛争があって、アブさんの身近な人たちも、おおぜい犠牲になっている。だからアブさんはスーダンの障害者の人たちのためにNPOを立ち上げたり(HPがあったので貼り付けておきます→CAPEDS http://capeds.org/)大学で研究したりしているそうだ。
本書の終わりには、これまたすごいエピソードで綴られる結婚への道のりや、悲しい東日本大震災での顛末などが描かれている。
いろいろと、とても興味深かった。
ぜひとも家族で廻し読みしたい一冊だと思う。
13:23 : [本・タイトル]わ行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】忘れられた花園/ケイト・モートン

4488013317忘れられた花園 上
ケイト・モートン 青木 純子
東京創元社 2011-02-18

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4488013325忘れられた花園 下
ケイト・モートン 青木 純子
東京創元社 2011-02-18

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内容(「BOOK」データベースより)
1913年オーストラリアの港に着いたロンドンからの船。すべての乗客が去った後、小さなトランクとともにたったひとり取り残されていた少女。トランクの中には、お伽噺の本が一冊。名前すら語らぬ身元不明のこの少女をオーストラリア人夫婦が引き取り、ネルと名付けて育て上げる。そして21歳の誕生日に、彼女にその事実を告げた。ネルは、その日から過去の虜となった…。時は移り、2005年、オーストラリア、ブリスベンで年老いたネルを看取った孫娘、カサンドラは、ネルが自分にイギリス、コーンウォールにあるコテージを遺してくれたという思いも寄らぬ事実を知らされる。なぜそのコテージはカサンドラに遺されたのか?ネルとはいったい誰だったのか?茨の迷路の先に封印され忘れられた花園のあるコテージはカサンドラに何を語るのか?サンデー・タイムズ・ベストセラー第1位。Amazon.comベストブック。オーストラリアABIA年間最優秀小説賞受賞。


とても面白かった。
ネルはいったいなぜ一人きりで舟に乗っていたのか・・という問題に端を発し、それを解き明かすためにネル本人が行動を起こし、また孫娘のカワンドラはネルの死後、ネルの遺志を引き継ぐようにその問題に対峙し、謎は謎を呼び、探究心を刺激される。
しかし読者は二人が知らない、ネルの母親世代の物語も見ることができる。
カサンドラが徐々に真実に近づくのと同時に、読者も真実が見えてくる。
それがじれったくもあり、ハラハラもし、どんどんと読み進める羽目になってしまう。
また、作中作として挿入されるイライザの「物語」がとても面白くて、本読みとしては二度美味しい。

ここからネタバレ





ネルが「誰か」ということに関しては、「やっぱり」と思った。
でも、ローズとイライザの友情があんな形で終わってしまったのが哀しかった。
そういう点では「荊の城」のほうが好みだったなぁ。
なんともあっけなさすぎた。寂しくなってしまったもの。
それから、ネル。。
結局育ての親に、最後まで感謝を言及する部分がなかった。
いや、少しあったけど、でも、個人的にはもっと深く描いて欲しかった。
あんなに大事に育ててくれたのに…と思ってしまう。
ネルとその娘(カサンドラの母親)との関係も、なんだかなぁ…である。


という不満な部分は感じてしまったんだけど、でもそのほかは本当に面白く夢中で読んだ。

11:58 : [本・タイトル]わ行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】歪笑小説/東野圭吾

4087467848歪笑小説 (集英社文庫)
東野 圭吾
集英社 2012-01-20

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すごくすごく面白かった!
東野さんのユーモア小説は、他作家のとは一味違う面白さがある。やっぱり追いかけててよかったぁ~~!と心から満足できた。大好き~!!(ほめすぎか?なんせ最近の作品がいまひとつ・・以下自粛)

灸英社・書籍出版部を中心にして繰り広げられる、作家と編集者との紆余曲折、悲喜こもごも、多事多難をユーモラスに描いた作品で、数年前に書かれた「黒笑小説」の中に登場した編集部が再登場しているらしく(私も読んだのですが、そこまで覚えてなくて・・・)形的に、続編になっている。(らしい)
「黒笑小説」では、13の短編中3編が、この「歪笑小説」と同じネタで、直本賞の受賞に関する物語だった。(と、自分の当時の感想に書いてあった)

売れる本を作るには売れてる作家の原稿がいる。その原稿を取るためには何でもやる編集長の獅子取の必死加減。それを見て感心するのを通り越して唖然とする新人社員の青山。良い内容でも売れなければ、出版社にとっては意味がない。売れる作家は相撲部屋における横綱のようなもので、無給の力士たちを含め部屋の経済を潤すように、売れる作家は売れない作家の分まで稼いでくれている。。。なるほど。
青山が小説雑誌について、中学生たちに突っ込まれる章は圧巻だった。
小説雑誌に連載されている小説なんて、誰も読んでいない。本となって出版されるときは大幅加筆修正がなされている。ということは、連載中のものは単行本の「下書き」に過ぎないのでは?原稿料を稼ぐために読者に、金を払わせて「下書き」を読ませているのか・・・という突っ込みはあまりにも鋭くて、東野さん、こんなこと書いちゃってもいいのーー??と、心配になるほどだった(笑)でもね、私は読んでいますよ。毎月4冊の小説雑誌が回ってきて、その中で読む連載小説はたしかにごくわずかだけど、全然読んでないって言うことはないですよ。
でも、確かに、連載が終了したのに一向に単行本にならない、あの小説やこの小説。大幅に加筆修正しているのか、それとも単行本にはなりそうにないのか?など、ハッと考えさせられる部分が多かった。
あと、登場する作家たちがいかにも実在の作家を連想させて、楽しかった。
東野さん、チャレンジャーだなぁと思う。こんなこと書いてもいいの?きっと東の正横綱東野圭吾だからこそ、書けるんですよね。。。
出版業界と編集者と作家をとことんおちょくっているんだけど、出版業界と書籍に対する深い愛情が感じられて、特に最後の2章などは胸が熱くなるような物語になっていて、本当に大好きな一冊になった。
東野さん、今後も追いかけますです!!

23:26 : [本・タイトル]わ行トラックバック(2)  コメント(2)

【本】藁にもすがる獣たち/曽根圭介

4062171341藁にもすがる獣たち
曽根 圭介
講談社 2011-08-05

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【STORY】

赤松は自分が経営していた床屋を、不景気のためにたたみ、今はサウナで嫌な店長にこき使われる屈辱の毎日を送っている。あるとき、不審な男が大金の入ったバッグを預けた。が、その客はそのまま帰らなかった。
バッグの中身を確かめると、そこには大金が・・・!
娘にお金の無心をされて困っていた赤松は、思わずその大金に手を付けようとする・・・。
かたや暴力団に2000万円もの借金をして、返済に窮する悪徳刑事の江波戸。
暴力団の組長の取立てはどんどん厳しくなる一方で、ごまかしも効かなくなって来た。
が、なんとか、返済の手立てを見つけたのだったが・・・・。
そして、美奈は主婦だが、FXで失敗した借金を返すために、夫に内緒でデリヘルで働いている。
あるとき、美奈を指名してくる若い男が、美奈の夫から受けたDVの痕跡を見て、夫殺しをほのめかす・・・。

金の誘惑におぼれ、犯罪に手を染めていく、獣たちの運命は―。

【感想】

奥田英朗っぽいなーと言うのが率直な感想。
でも最初からノンストップでぐいぐいと読まされた。
3人のキャラが立っていて、面白かった。
いろんな事情があるにせよ、どの登場人物の生活もきわどいところをスレスレで生きていると言う感じ。
あまり感情移入できる登場人物がいなかったのだけど、もと床屋の赤松はちょっと気の毒な感じがしたな・・・。
たしかに、いい生活は送ってなかったけど、破滅の危機があるほどではないから・・。いわゆる巻き込まれてしまったタイプだったかも。あんなボストンバッグが店に舞い込まなければ・・・。
そのボストンバッグの持ち主は?・・・・
と思っていたら、結構意外な展開だった。
3人それぞれの行く末が気になって、先を急がされた。
なるほど、この3人は「藁にもすがる」ような切羽詰った人たちだった。
この群像劇、ラスト「なるほど!!」と思わされた・・・。好きなタイプの作品。面白かったです。
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【本】我が家の問題/奥田英朗

4087714128我が家の問題
奥田 英朗
集英社 2011-07-05

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どこの家庭にもある、ささやかな「問題」を描いた、家族シリーズ「家日和」第2弾。

甘い生活?
ハズバンド
絵里のエイプリル
夫とUFO
里帰り
妻とマラソン

それぞれの家庭にそれぞれの問題がある。
夫が新婚なのに帰宅拒否症になったり(甘い生活?)
デキると思っていた夫が、実は出来ない「窓際族(今時使わない?)」だったとか(ハズバンド)
仲のよい家庭だと思っていたら、両親に離婚の危機が訪れていたり(絵里のエイプリル)
夫がUFOと通信していたり(夫とUFO)
里帰りの苦労があったり、妻がマラソンにハマったり・・・。
奥田さんだからつまらなくはない。
そのささやかな問題を、自分の家庭も比較しつつ、楽しく読めた。
でも、期待しすぎたか「家日和」ほどのインパクトはなく、さらっと読んでしまった。
この本の中の、どの家庭の奥さんも専業主婦で(いまどき、専業主婦ってそうは多くないと思うのだけど)
問題が起きたら周囲にリサーチ・・など、パターンが似ていて、「またこのパターンか!」と言う気持ちがした。
気持ちのよい話ばかりなんだけど、それも却って不満。
奥田さんだけに、もうすこし、ブラックな笑いがあったらよかったのにな。
長年家庭で生活していると、気持ちいい笑いばかりでは、収まらない。
少しきれいごと過ぎたような気がしたのは、私がひねくれているからかもしれないけど。


13:43 : [本・タイトル]わ行トラックバック(0)  コメント(2)

【本】我思うゆえに我あり 死刑囚・山地悠紀夫の二度の殺人

4093897220我思うゆえに我あり 死刑囚・山地悠紀夫の二度の殺人
小学館 2009-10-16

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「我思うゆえに我あり 死刑囚・山地悠紀夫の二度の殺人」小川 善照 (著)

自分の母親を惨殺して少年院矯正施設に入り、出所後またなんの関係もない姉妹二人を惨殺して死刑になった、山路悠紀夫の短い生涯を描く。本作は、小学館ノンフィクション大賞の優秀賞を獲得したもので、本になるのを待っていました。作者の思うところあって、小説仕立てになっていますが、ノンフィクションとしてとても読み応えがありました。

最初に、山路が母親を殺害した頃、愛知豊川市で17歳の少年が「人を殺してみたかった」と言って何の関係もない主婦を殺害したり、佐賀ではやはり17歳の少年がバスジャックをして乗客を殺害したりと、少年たちの犯罪が多発していて、この事件もその流れで言えば同じように心に残している人もいることと思います。
アスペルガー症候群と言う言葉が一般に知れ渡るようになったのも、これらの事件を介してだったようです。
この少年たちが総じて「アスペルガー症候群の疑いあり」という診断を受けているようなのです。

アスペルガーと言う発達障害が、事件と結び付けられて考えられがちですが、本書を読み、山路悠紀夫の生涯を見るとその発達生涯よりも深刻なのは、生い立ちの影響だと断じられるのでは。

実の所本心を、ありていに言わせてもらえば、こんな人間がもしも身近なところに住んでいたら、怖くてたまりません。
自分の知り合いがこう言う被害にでも合おうものならきっと「死刑に!」と思うでしょう。
3人の命を奪ったこの山路悠紀夫ですから、その生い立ちがどうであれ、同情するなどもってのほか、被害者の命に対して冒涜するようなものです。
・・・そうは思っても、同情せずにいられないほどかわいそうな人生なんですね、これが。
父親が酒乱で暴力、母親との不和、それでも酒気のないときには良い父親であったから大好きだった、でも酒がたたり早死にしてしまう、その後、母親にも見捨てられたような生活になり、お金の苦労もあり、学校ではいじめられ不登校になり・・・と・・・。惨憺たる子ども時代。
同じような境遇で育ったからと言って、即ち犯罪者に誰もがなるのかと言うと、決してそうではないのだから、生い立ちを言い訳にしてはいけないだろうけど、それでも、何とかならなかったのか?と思わずにいられません。
先日読んだ『橋の上の殺意』のときも同じように、小学校時代の担任の心無い仕打ちに絶句しましたが、山路が家庭の調理実習で「君は教材費を支払ってないから食べることは出来ません」などとクラス全員の前で言うなど、今回もそういったものが育つ上で心の傷になったんじゃないかと察せられます。
それだけが原因ではないだろうにしても、いろんなマイナスが相乗して、まずは自分の母に圧倒的な憎しみを抱き惨殺し、少年院に送致され、出院の後、ゴト師という裏の家業に身を落とすが、それでもなんとか「まともに」生きようとするも、何がきっかけか二人の姉妹を惨殺、と結果3人の命を奪ってしまう。
どこかで、なんとかなったかもしれない。姉妹が被害にあわずにすむような、そんな道が山路にあったかもしれない。それが本書を読んでいるときに切ないまで感じられて、辛いほどなのです。
なによりも悲しかったのは、彼のことをちゃんと理解しようとしている人々(弁護士など)に対しても、決して心を開くことなく、そして、自分の犯した罪や手にかけた人たちに対して何の罪の意識も呵責もなく「自分は生まれるべきではなかった。死刑でいいんです」と言い放った山路の絶望の深さ。いや、絶望し徒労感に浸ったのは数少ない支援者だったかもしれません。その人たちの悲しみが伝わってくるようです。自分の命を愛せない人間は、他人の命をも尊重できないのか・・・・。

でも、裁判で言った事が本心だとは誰にも分からない。山路は罪を受け止め、罪の意識を感じていたのかもしれません。表面にださなかっただけで。そう思わないとやりきれない。本当に救いがない辛すぎる事件でした。
22:02 : [本・タイトル]わ行トラックバック(0)  コメント(3)

【本】ワセダ三畳青春記/高野秀行

4087476324ワセダ三畳青春記 (集英社文庫)
集英社 2003-10

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私は今年に入り、著者のファンになりましたが、それまでというか、最近までこの著者を知らなかったのです。
しかし、知る人ぞ知る辺境作家と言う肩書きを持つ人です。
それは読んできた数冊の著書からも知っていたのですが、その背景には「早稲田大学探検部」というサークルがあり、そのサークルの先輩には、かの船戸与一氏やら西木正明氏やら著名作家も名前を連ねており、タダのサークルではない迫力が伝わります。そのことは、この次に感想文を書く予定の本でも触れる事になりましょうが、ともかく、「その」探検部の高野秀行氏の青春時代の一シーンを切り取ったものが本書です。ともかく面白い。
早稲田大学の正門から徒歩5分なのに、家賃1万2千円。三畳で風呂なし、共同トイレに共同台所だけど、鍵も掛けずに誰でも出入り自由的なのんびりした感じ。都会の真ん中現代で、そんな場所が残っていたのかと言うほのぼのとした嬉しさと、集まってくる奇人変人の可笑しさが群を抜いていて、目が離せないと言うか、一気に読み上げてしまいました。本書のなかにもそういう記述があるけど、「めぞん一刻」みたいでもあり、「ハチクロ」みたいでもあり、貧乏生活が楽しそうにさえ見えてくるから不思議です。でも、一度はこう言う生活をするのも、人生経験として大事な気がする・・。
特に印象的なのは、この大家さんの朗らかさや大らかさですね。大家さんの大きな懐に抱かれるように、心地よく自由で気ままな生活を楽しんだ著者が、やっと「成長」してこの野々宮荘を離れていくまで・・・。
著者を野々宮荘から連れ出したものの正体が分かるとき、そこにほろ苦い別離の寂しさとともに、人と人が結ばれる「機縁」のようなものを見せ付けられ、圧倒されてしまいます。こんなにあけすけに、自分の愛情を世間にさらせるっていうのは、高野さんがすごく大らかで男気がある証拠であるような気がします。なかなか言えないですよ、ここまでは。
最後はもう、なんだか胸が詰まって泣けて泣けて仕方がありませんでした。

個人的には「米騒動」の犯人と言うか真相は?というのが気になります。守銭奴さんのその後も。

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私の男 /桜庭 一樹

4163264302私の男
桜庭 一樹
文藝春秋 2007-10-30

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内容に触れています。未読の方、ご注意下さい。

結婚直前の花にとって「私の男」とは、花婿ではなく15年間一緒に暮らした養父の淳悟のことだった。物語は、結婚式当時から、数年ずつさかのぼり二人の過去を掘り起こして行く。

第一章で提起された謎が、各章時間をさかのぼる事で次第に明らかにされていくと言う設定です。そのなかで、花と淳悟ふたりの濃密な生活ぶりを浮き彫りにするのです。閉塞感と安心感が奇妙に同居する人生のなかで溺れるように生きているふたり。そして、明らかになる事実とは・・・!!

ものすごい問題作だと思うのだけど、文体などの雰囲気でかなり内容から目をそらされてしまう。でも、根底に描いてあることは、とうてい受け入れられないのです。それを問題視する物語ではないので、余計に嫌悪感が沸いてしまいました。
各章ごとに、「その後」が気になる展開なのですが、「その後」にはあまり触れられておらず、なんとなく数年たったみたいな展開なので、その点もすこし消化不良。たとえば→ネタバレ 婚約者の男はふたりの睦まじい姿を目の当たりにして「このふたりはデキてる」と思わなかったのか、思ってもなお花と結婚しようと思ったのか、不思議です。この場合、何もかもわかってのことだと思うのだけど(何年も付き合っていて気付かないはずがないので)そのうえで花と結婚しようとする、この婚約者の倒錯した内面こそ、もっと覗いてみたかった。
ほかにも、隠した死体との同居生活はどんなものだったのか、とか。。。田岡は捜索されなかったんだろうか。においなど異変に周囲は気付かなかったのか。
そしてなによりも思うのは、何故淳悟は花の母親とそういう関係になったのか、また、実の娘に対してそういう行為をするようになった背景はなんだったんだろう?すべて自分の母親が、父亡き後に厳しい母親になったからだとしても、それが何故たった9歳の少女の性的虐待につながるのか、
とういように、主人公たちをこう言う行動に駆り立てたその根源は何かなとが、もうちょっと説得力があったら読後感は違ったのかもしれません。
唯一良かったと思ったのは、震災にあった一家の中で、ひとりだけ難を逃れられる花に向かって、父親が愛情深く「生きろ」と伝える場面です。花に別の親戚の所に行けと、花を心配した大塩さんのふたりがこの物語の救いです。
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