2007'09.28
![]() | ルポ正社員になりたい―娘・息子の悲惨な職場 小林 美希 影書房 2007-05 by G-Tools |
今日は、朝から『民間企業で働く会社員やパート労働者の昨年1年間の平均給与は435万円で、前年に比べて2万円少なく、9年連続で減少したことが国税庁の民間給与実態統計調査で分かった。年収別でみると、200万円以下の人は前年に比べて42万人増え、1023万人と21年ぶりに1000万人を超えた。一方、年収が1000万円を超えた人は9万5000人増加して224万人となり、格差の広がりを示す結果となった。(asahi.comから抜粋)』と言うニュースを何度もテレビでも見ました。
この「ルポ正社員になりたい―娘・息子の悲惨な職場」と言う本書の内容は、この事態に深く関連していると思います。
著者は2000年の3月に大学を卒業。当時は超・就職氷河期と呼ばれた時代で新卒の就職率は60パーセント未満、著者の周囲にも労働環境が悲惨な同世代の若者が多かった、週刊「エコノミスト」の契約社員(記者)として働きながら、自身や周囲の友人たちの労働環境に疑念を抱き、統計や過去の労働法の移ろいなどから、今現在の非正規、低賃金、重労働を鋭く分析、問題提起する一冊です。
最近景気は回復しているとの事ですが、要は大幅な人件費の削減の上に成り立つ景気回復と言えると言う事を丁寧に解説してくれてます。株価が大暴落→構造改革→リストラ→人件費削減→株価回復。このからくりは「株価対策にはリストラを」と言う図式があり、しかもそれを経済アナリストやら政府やらが奨励していると。企業や政財界は「コスト削減」と「人件費削減」と同じ扱いをしている、ということは労働力、労働者は企業にとって捨て駒であるとはばかりなく言っていると同じこと。企業に都合の良いのは派遣労働者で、彼らを保護していた派遣労働法を次々と改定し、派遣労働の規制緩和を進めていった。そのことで景気は回復して潤っているのが、今日のニュースにもあったように企業や一部の高額所得者で、働きたくても非正規雇用しか道がない若者たちは、苦しい生活を強いられていると言うのです。
若者たちは「フリーター=パラサイトシングル」と呼ばれているけれど、それが決して若者たちの怠慢だとか、無気力だけのせいではないと諄々と訴えてあるのが本書で、読めば読むほど人間よりも利益が大事、営利優先のために人をどんどん切り捨てていく社会(企業や政治)のあり方に、怒りがこみ上げる。
特に「ホームヘルパーと請負の実態」が描かれている第5章は、言葉もないほど読んでいて辛かった。介護の問題は、働く側だけじゃなく受ける側としても興味深い所です。
雇用改善が言われているそうですが、実態はどんなものなのかと言う事がよくわかり、この本書を読んでやるせない気持ちになりました。「新卒採用が改善」とか「転職市場にも明るい兆し」と言ううたい文句が、まったく別の色で見えてきました。一体日本はどうなるのか・・。
「基本的人権の尊重」って?














