夜明けの街で/東野圭吾

4048737880夜明けの街で
東野 圭吾
角川書店 2007-07

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東野さんは傑作が多いので、読者はみんな期待してしまう。
それがこんな不倫小説では読者もなかなか満足できないでしょう。
いきおい評価が低いレビューが多いのもうなづけます。
しかし、わたしは結構満足できた。
と言うのもやっぱり世間の風評から、期待せずに読んだからかな。
なんていうと、ひどい言い方だけど。。
でも、やっぱり文章の吸引力って言うのがハンパじゃなく強いし、不倫にハマってゆく男の気持ちが手に取るように感じ取れて、一気にサクサク読めたし、さすがは東野さん!って思います。
不倫相手に時効間際の殺人の容疑がかかってる、と言う設定の一応ミステリーなんだけど、読者は誰もこの女性(秋葉という名前。余談だけど東野作品に登場するヒロインって変わった名前が多い)が過去に殺人を犯したかどうかなんて、どうでも良いと思いながら読んだと思う。
結局、主人公とこの秋葉の関係はどうなるのか?
それに尽きる!
ひとことでこの話を説明するなら、この小説は「男に都合よい、男がのぞむ究極の不倫の形」を小説にしたものだと思う。
若くて綺麗で、そのうえミステリアスな女と不倫するも、最後は…ってやつです。読者の不評もやっぱりこの、あまりにも主人公にだけ都合の良い物語運びがカンに触るのじゃないでしょうか。
「不倫するやつなんて馬鹿だと思ってた…でも、どうしようもない時もある」って言う冒頭のフレーズからして、この主人公の男が「わ、成りきっとる、こいつ、浸っとる!!」と、面白い。
まぁまったくの「他人事」と思えば、結構面白い一冊ではないかと思います。もうちょっと最後になんか、主人公に鉄槌でも下ればね、もっと良かったんでしょうけど。(番外編みたいな)


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八日目の蝉/角田光代

4120038165八日目の蝉
角田 光代
中央公論新社 2007-03

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不倫相手の子どもを誘拐してしまい、そのまま自分の子どもとして育てた女の逃避行劇。日のあたる場所に出られないために、隠れるようにして、変な宗教団体みたいなところに身を寄せる。変な宗教団体だけど、彼女たちにとってはそれなりに世間から隠れるための「繭」のような安心感があった。しかし、世間の目を逃れ続けるために、住居を転々とせねばならず・・・そんな中で、「我が子薫」に寄せる愛情が切なく胸打ちます。子どもにとって一体何が幸せなのかと考えさせられてしまう。
だけど、やっぱりこの主人公がしたことを、同じ母の立場からして許すことはできない。母として未熟だったら、ほかの誰かにかどわかされても文句が言えないのかとか、ちょっと考えてしまった。
また子どもが、そういう幼少時代のトラウマから(というか、家族含めて呪縛にかかっている)逃れられないのが痛々しい。前半は逃げて逃げて、そして後半は逃げられないと言う対比が面白かった。

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四度目の氷河期/荻原 浩

4104689033四度目の氷河期
荻原 浩
新潮社 2006-09-28

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実はちらほらと、不評も耳にしましたが、わたしは面白く読めました。
主人公は、父親のいないワタルという少年。
母親が遺伝子の研究者であったり、自分の外見が一般的な日本人の友達とはどう見ても違っているのを、「自分の父親はクロマニヨン人だ」と思い込んでしまうワタルの少年期を描く作品です。
突拍子も無い「父親がクロマニヨン人」説・・・。
だけど、こう考える事でしか自分自身を保つ事ができず、この考えを生きる事のよすがとしなければ、片時もいられなかったワタルの寂しさ、孤独がひしひしと伝わり、わたしは胸が熱くなる思いでした。
「友達」と言う言葉への羨望、孤独を埋めてくれたイヌのクロやサチとの時間、母親を大事に思う気持ち、陸上を始めた理由など、ひとつひとつに胸打たれました。
後半の物語がちょっと普通っぽくなってしまったり、終わり方がどうもすっきりしなかったり、ちょっと粗は見えるような気がしますが(何様発言失礼)ワタルの気持ちがこんなにも切なく迫る作品、おぎりんならではの成長物語だと思いました。
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闇の底/薬丸 岳

4062135280闇の底
薬丸 岳
講談社 2006-09-08

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うちのブログでも異例の盛り上がりを見せた「天使のナイフ」の薬丸さんの第2冊目。
期待しましたが、正直に言えば前作には及ばない…。平凡な感じがしました。
だけども…。一読の価値あり…かな。ビミョーだけど。前作が良すぎたからなぁ…次に期待かなぁ…でも、確かに光るものがある!!(ナニサマ発言)

+++あらすじ+++

埼玉県警の長瀬、幼い少女が性犯罪の対象となり殺された事件を扱うことになったが、彼自身もまた犯罪被害者の一人であった。
時を同じくして、公園のゴミ箱から凄惨な殺人遺体が発見される。
ふたつの事件は奇妙なつながりを見せる。
殺したもの『サムソン』、そして刑事たち、視点を入れ替えながらやがて事件は劇場型犯罪へと発展してゆく。
犯人『サムソン』とは誰なのか?誰が犯人に辿り着けるのか?


+++感想+++

サクサク読めるけど、「天使のナイフ」の時のように後半に期待したスピード感もなく、特に引きつけられると感じることもなく、平坦な盛り上がりのまま終ってしまった感じ。
ラストの終り方も、なーんかキッパリしてなくて。読後感が悪いと言うか、納得できないと言うか。でも、読者がそう感じるのを著者は狙ったと思う。読者にこの手の犯罪への問題意識を高めるように提言していると感じた。
でも、好みではなかったです。
主人公の刑事、長瀬は過去に犯罪に遭っている。それが本書の一つのキーになっていて、長瀬の過去や心理状態には非常に興味が湧いたし、リアルな設定でひきつけられはしたけど、読者に肩入れさせるほどの魅力や痛みが伝わって来ないように感じた。ひょっとして先日読んだ「心にナイフをしのばせて」と知らないうちに比較していて、迫力負けしていると感じたかも。

ただ、犯人がなぜ犯行を思い至ったかと言うところが…すごく生々しくて怖かった。納得。この本で一番よかったのは「犯人の動機」です。これはちょっと唸らされてしまった。
それと、法治国家における私刑の是非。もちろん私刑はゆるしてはいけないこと。登場する刑事達の苦悩はそれを再認識するだけの説得力があった。



ネタバレ感想↓

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21:04 : [本・タイトル]や行トラックバック(0)  コメント(4)

四度目の氷河期 /荻原 浩

4104689033四度目の氷河期
荻原 浩
新潮社 2006-09-28

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予約開始ですよ。楽しみです。
でも、それよりもわたしはこれを買おうかと思案中。

4575510866僕たちの戦争
荻原 浩
双葉社 2006-08

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うーん、
でも、文庫で820円…。
悩ましい…。
19:58 : [本・タイトル]や行トラックバック(0)  コメント(0)

よその子/トリイ・ヘイデン

4152080833よその子―見放された子どもたちの物語
Torey L. Hayden トリイ・L. ヘイデン 入江 真佐子
早川書房 1997-05

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これもまた良かったです〜!
トリイ・ヘイデンのノンフィクションは、どれを読んでも新しい驚きがあります。よく似たテーマを扱ってはいても、全然同じじゃない。
事実は小説よりも複雑で奇なるもの。
もしもフィクションでこれだけの物語を作ろうとしても無理なんじゃないかな。ノンフィクションの迫力に圧倒されます。

さて、この「よその子」では、4人の子供たちの事が書かれています。
ひとりは、ブーと言う7歳の男の子。突然奇声を発したり、暴れたりじゅうたんをかぶって隠れてしまう自閉症の子供。母親はなんとか彼に「ママ」と呼んで貰いたいと切実に思ってる。
もうひとりはロリ。やはり7歳で双子の姉がいる。が、ロリは幼いころの親の虐待によって脳に損傷を受け、文字が識別できないという障害やてんかんを抱えていた。
そして、トマソ。スペイン系の男の子で10歳。とっても乱暴で排他的。両親を殺されたために憎しみの虜になっています。
最後に12歳のクローディア。彼女はなんと、妊娠していたのです。

こんな4人を抱えて、またしてもトリイの子供たちとの格闘が展開されます。
中でもとっても印象に残るのはロリ。
彼女は、文字が脳の損傷によって識別できず、当然簡単な絵本すら読めない。数字とアルファベットの区別もつかないのだ。彼女は午前中は同じ学校内の普通学級に通い、午後をトリイのクラスで過ごしていたのだけど、普通学級のほうの担任が保守的で枠にはまった教育しか出来ず、ロリのことを全然理解しようとしない。ロリは文字が読めないと言うだけで、それ以外はとても聡明な子供だったのだ。それでも読めないと言うことで担任に目の敵にされて、傷つけられ打ちのめされます。
しかし、この子、とってもとっても良い子なのだ。明るく前向きで愛情深く思いやりがあり、自分がひどい目に合わされても恨まず…。字が読めないと言うだけで、なぜロリがこんなにも辛い目に合わされないといけないのか、読みながら憤慨してしまった。
今までトリイのノンフィクションを読んできて、このロリの優しさは印象的で特別な感慨が出来た。
そのロリとの関わりも含めて、乱暴モノのトマソが変化していくところはいつもながら感動的である。トマソもかわいそうな過去があり、死んだ父親を求めてやまない姿には胸打たれる。誕生日を祝うエピソードでは、決してすばらしい思い出ということにならなかったのだけど、トマソの苦しみや悲しみ、そしてロリの優しさが胸に迫った。

それに、今回はトリイの恋人ジョクとの関係も含め、全編飽きることなく(いつものことだけど)もう、夢中になって読んでしまった。
なんちゅうか、トリイ中毒?
読まずにいられないわたしです。
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夜市/恒川光太郎

4048736515夜市
恒川 光太郎
角川書店 2005-10-26

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選考委員絶賛の12回目のホラー大賞受賞作。

物語は、ホラーというよりも不思議系ファンタジーという要素が強く、主人公がその昔に迷い込んだ「夜市」で、「自分の欲しい才能」と引き換えに弟を売ってしまった…。という、一見、え〜??悪魔との取引系?と思うようなストーリーである。
現実派にはちょっと受け入れられない展開だけど、これがなかなか、逸らさないというか、ひきつけられるというか、すっかりその世界観にはまり込んでしまいぐいぐいと読めてしまった。
主人公は弟を売ってしまったことを悔いているのだ。 で、再び夜市に入り込み、弟を取り戻そうというのだ。 そのために、GFを連れて行くのだ…。
不思議な夜市の中で戸惑うGF。そこで味わう数々の不思議な体験。そして物語は思わぬ展開へと読者を導く。 正直言って「ああなって、こうなるのだろうな」と思っていて、案外その「読み」は、的外れでもなかったが、もっと深かった!!
このストーリーの展開の絶妙さ。選考委員絶賛というお墨付きも、納得できると思う。 そして、もう一遍の「風の古道」 これも不思議系のお話で、この世の世界とは違う異次元の世界というか、別世界に迷い込んだ少年の物語である。 これもまた、現実派には「?」な設定でありながら、ぐっと読者意欲を鷲づかみにされるような良質のファンタジーで(あえて、ホラーといいません)しみじみ、じわじわ心に染み入るような話だった。
これはかなり印象に残る作品で、次作が待たれる。期待大の作家さんですよ!もっと他の賞をとってもいいぐらいかも♪
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容疑者Xの献身

4163238603容疑者Xの献身
東野 圭吾
文藝春秋 2005-08-25

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「さまよう刃」に続いて読んだけど、一気読み!!
あっという間に読み終えてしまった!!
「天才ガリレオ」の湯川シリーズ。と言っても前作はたしか、短編集だったと思うので、今回はスルーするつもりだったけど、長編と聞いて読みたい!と思いました。湯川のひととなりを知ってるかどうか、この作品にはあんまり関係がないように思うので、この作品だけ単発で読んでも全然かまわないと思う。実際、前作をそれほどは覚えてないわたしも、すっごく楽しめました。

「さまよう刃」「容疑者Xの献身」の2冊はpageoneのらむちゃんにお借りしました。ありがとう〜。

湯川は物理系の学者、今回犯行に手を染めたのは数学者(ほんとは高校の先生だけど)、物理vs数学ってところでしょうか。

物語は、主人公の数学の先生石神の隣に住む母娘の犯した殺人を、石神がかばうと言うもの。それを例の湯川が謎解きに挑戦すると言う感じです。最初に犯人がわかってるので、コロンボみたいでしたね。
もちろん、理数系のまったく理解不能なわたしにも、石神の生徒に語る数学の意味や、湯川との会話などわからないなりに、心地よく流れ込んできた感じ。このあたりの読ませ方はやはり「さすがに東野さん(こればっかりだけど)」
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四千万歩の男/井上ひさし

四千万歩の男〈1〉
井上 ひさし
4061852663


まずは蝦夷編、ということで、図書館にはこれしかなかったのでとりあえず読んでみた。
画像は文庫だけど、読んだのは「日本歴史文学館」の22.23巻。

当時の風物、活躍した人物、歴史的なできごと…いろいろと、面白おかしく登場して飽きないで読めた。
なんせ、行く先々でいろんな事件が起こり巻き込まれ、時にはホームズ張りの推理や洞察力を働かせて見たり、時には「ワルモノ」をギャフンと言わせたり。水戸黄門?と思うような部分もあった。面白かったことは面白かったけど、期待していたよりも脚色が多かったかな?
伊能忠敬が日本を歩き回ったのは17年間にも及ぶのに、蝦夷編(一年間)だけで600ページ。しかも蝦夷には一度ならずこのあとも行くし、このままで行くと作者いわくすべて描くのには80年以上かかるとのこと。
私としては600ページ…1000ページくらいは行ってもいいから、一生をまとめたものを読ませて欲しいかも。

四千万歩の男〈2〉
井上 ひさし
4061852671

四千万歩の男〈3〉
井上 ひさし
4061852922

四千万歩の男〈4〉
井上 ひさし
4061852930

四千万歩の男〈5〉
井上 ひさし
4061853406

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