【説】新聞連載「マイストーリー」

朝日新聞で連載中の、「マイストーリー」とても面白く読ませていただいています。
林真理子さんの作品です。
あいかわらず冒頭からの掴みもオッケー。
韓ドラにハマって以来小説をほとんど読まなくなったけど、以前は面倒で読めないことがほとんどだった新聞小説が、ちょうどいい感じなのかな。毎日ちまちま読めるという・・・(笑)
中日新聞では角田光代さんの「拳の光」。
角田さんは大好きな作家さんだけど、ボクシングと言う素材がイマイチそそらず、読んでいません。。。(^^;

「マイストーリー」は、自費出版の会社に勤める男が主人公。
いろんな人物が自分史を出版しようとしていて、その分野では繁盛しているみたい。
ただ、出版業界全体が低迷していて、編集者や作家が集まっても、以前のような華やかさがない。
「本を読む人はどんどん減っているのに、本を出したい人が増える一方」とのこと、今はこうしてド素人がブログなんかで駄文を書き散らしてますしね・・・(^-^; そういう意味でも世間に向けて本を出すってことのハードルが下がってるのかも。
問題は資金でしょうけど。
出版業界なので作者の林さんの身内の話でもあるわけで。
その辺がかなりリアルに迫ってきて面白いです。
東野さんの作家シリーズなんかも大好きなんだけど、すこし似た空気があるかも??(ないかも・・)

さて、今の段階では。
この編集者のところに、それほど有名でもない芥川賞作家が、自分の母親が本を出すので・・・と、訪ねています。
その母と娘(作家)の関係がなにやら、ややこしそう。
いわゆる「毒親」ってほどでもない感じですが、娘は母になにかいろいろ思うところがありそう。

毎日楽しみに読んでいます。今後の展開も楽しみです。
林さん、これからもがんばってくささい!!(笑)
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【本】夢幻花/東野圭吾

456981154X夢幻花(むげんばな)
東野 圭吾
PHP研究所 2013-04-18

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独り暮らしをしていた老人・秋山周治が何者かに殺された。遺体の第一発見者は孫娘の梨乃。梨乃は祖父の死後、庭から消えた黄色い花のことが気にかかり、ブログにアップする。ブログを見て近づいてきたのが、警察庁に勤務する蒲生要介。その弟・蒼太と知り合った梨乃は、蒼太とともに、事件の真相と黄色い花の謎解明に向けて動き出す。西荻窪署の刑事・早瀬らも、事件の謎を追うが、そこには別の思いもあった。

「こんなに時間をかけ、考えた作品は他にない」と著者自らが語る長編ミステリ。
出版社の紹介文http://www.php.co.jp/mugenbana/#story)


面白かった!吸引力はさすが。実はそんなに期待しないで読み始めたため(ゴメンナサイ!)意外にも面白くってハマった。
まず二人の主人公たち、蒼太と梨乃に好感が持てて共感できた。
なくなった鉢植えは何の花なのか?
あとになりすべて読んでから思うと、植物がそこまで謎めいている場合、結論はそう多くないはずで、自分でもその正体が分かってよかったはずなのだけど、読書中は何も思い当たらなかったので、すごくミステリアスな感じがして釣り込まれた。
ミステリー部分だけじゃなく、梨乃や蒼太の若者たちの生き方なんかも、読み応えがあったし、ふたりがこの先仲良くしたらいいなと思わされたりして、サイドストーリーも面白かった。
刑事の親子の物語もしかり。
たくさん物語が含まれていたけど、散漫にならず、最後はちゃんと風呂敷がたたまれてスッキリした。
東野さんが理系の人なので、こういう解説はとても説得力があり、花についての解説も面白かった。
黄色い朝顔が昔には存在していて、今は存在しないっていうのは、本当のことなのだろうか?
だとすれば、いま、何気なく見ている道端の花も、何百年後かには消滅してしまう花かもしれないと思ったりした。たしかに、外来種に押されて在来種は絶滅の憂き目に会ったりしてるから・・。本筋とは関係ないけど、そんなことも思いながら読めた。
もうひとつ、理系の東野さんならではの描写が、蒼太の「決意」だ。
蒼太は原子力を専攻していて、東日本大震災での原発事故でその分野生きていくことが難しいと思いながらも、「負の遺産を引き受ける人間も必要だ」と言う決意で、研究を続けることにしたのだ。
東野さんの気持ちが込められているんだろうと思うと、ファンとしてうれしい気持ちになった。

結構当りが続いてる東野さん、今後も楽しみですヽ(^o^)丿


15:37 : [本・タイトル]ま行トラックバック(2)  コメント(4)

【本】冥土めぐり/鹿島田真希

4309021220冥土めぐり
鹿島田 真希
河出書房新社 2012-07-07

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裕福だった過去に執着する母と弟。家族から逃れたはずの奈津子だが、突然、夫が不治の病にかかる。だがそれは、奇跡のような幸運だった。夫とめぐる失われた過去への旅を描く著者最高傑作。(河出書房新社HPより)

芥川賞の受賞作で、文藝春秋で読んだ。初めての作家さん。
読みづらい文体だったかな。
内容的にも、短い物語なので、ん?そんで終わり?みたいな。
あっさりと終わってしまった。
面白く読んだような気もするけど、感想が書きにくい。何を書いたらいいか・・。
っていうことは、私にはこの小説のよさがわからなかったって言うことになるのかな。

ちかごろ私のアンテナに激しく引っかかってくる言葉があって、それは「ポイズンママ」という言葉だ。
「毒親」とも言う(そのまんまやけど)。
今年になって私が読んだ本で、その「ポイズンママ」関連の本は、
村山由佳「放蕩記」
水村早苗「母の遺産」
田房永子「母がしんどい」
窪美澄「晴天の迷いクジラ」
小川 雅代「ポイズン・ママ―母・小川真由美との40年戦争」
と、こんなにある。
(熊谷早智子「母を棄ててもいいですか? 支配する母親、縛られる娘」なんてのも予約中)

で、本書の「冥土めぐり」もその分類に出来るのではと私は思った。
主人公が母親(この物語では、それに弟もくっついてくる)に苦しめられていて・・とは言っても、よく聞くタイプの虐待ではなく、自分たちが裕福だったころの生活を維持したい気持ちを、主人公におっかぶせてそれを当然としてはばからない。結婚すれば逃れられるかというとそうじゃなく、結婚相手に対してもそれを求めて当然と思っている。この母と弟の人格には人間性を疑うしイライラさせられるし・・・でも、いろんなポイズンママものを読んで来たら、案外リアル。こういう親は実際にいるんだろうと思う。
群ようこさんのファンでよくエッセイを読んだけど、以前から、お母さんと弟さんの話がインパクトが強かった。それを思い出したのだけど。むろん、群さんのエッセイはもっとユーモラスに描かれてるんだけど。
10:28 : [本・タイトル]ま行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】未来国家ブータン/高野秀行

4087714438未来国家ブータン
高野 秀行
集英社 2012-03-26

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さあ、文章的心の恋人(文章に惚れ込んでます)高野さんの新刊。やっと読んだ(*^_^*)。
今回は、先日国王が来日して話題を集めたブータンへ。
しかしきっかけは、ご友人の二村聡という企業家に依頼されたものだった。
二村氏はブータン政府と共同プロジェクトを開始、その現地の下調べを高野さんに頼んだのだ。
なんでもプロジェクトと言うのが「生物多様性」「生物資源の開発」と言うもの。
乗り気ではなかった高野さんは、二村氏の「ブータンにはイエティがいるんです」と言う言葉に乗っかって、ブータン行きを決定。
例によって現地の言葉を勉強して習得し(このあたりいつも尊敬と言うか憧れの元)、旅立ったのである。
ブータンは現在も半鎖国状態で、旅行や調査での滞在も、かなり限られた時間や範囲しか許可されないらしい。
そんなタイトな日程の中高野さんは、現地のエリート、ツェンチョ君をパートナーに、一ヶ月に渡りブータンに滞在。
激しい高山病や下痢に苦しみ、ルンタ・ギュップ(運勢下降)に悩まされながら続く相変わらずの珍道中。
果たしてイエティはいるのか?
そして肝心の「仕事」である生物多様性、生物資源については、調べられるのだろうか??


実は高野さんが依頼された「生物多様性」とか「生物資源」とか、あまり私には良くわからず、二村さんなるひとが高野さんに何を求めて、ブータンに派遣したのかも、よくわからなかった。
目的がわからないので、全編すこし靄がかかった感じではあったけど、高野さんにとって主目的は「UMA」「イエティ」なので…。
中盤登場するイエティは、ブータンでは「ミゲ」と呼ばれ、ある地方では「チュレイ」などと言う未知生物も登場し…。
実際に私自身は、夢がないようだけど「精霊」「物の怪」の類は一切信じられない。
だから高野信者ではあっても、その辺は申し訳ないけどさらーっと読んでしまう…(^_^;)。

今回印象的だったのは、ブータンという国家そのものだった。
ブータンは人口70万人弱。(八王子市や熊本市と同じ規模)国家と言うより、国家のミニチュア版だそうだ。
切り立った崖や、深い山々、壮大な自然の中で小さな国家が、GNH(国民総幸福量)世界一を誇る。
そもそも、国民総幸福量ってなんだろう?
たしかに以前ブータン国王が来日したとき話題になったけど、そんなの国王が勝手に言ってるだけじゃないのか?情報がいきわたらない未開国家で、世界を知らずに(井の中の蛙状態で)自分は幸せだと言ってるだけじゃないか?
なんて、ひねくれモノの私はちょっと思ってた。
でも、本書を読んで、自分の考えの浅はかさに恥じ入った。
ブータンの国王はすばらしいのだ。高野さんが推察するに、おそらくダライ・ラマの精神を受け継いで、環境立国を推進しているらしいけど、今の世の中では最先端の思想だという。
(高野さんが感動したという、ダライラマ・・私も読んでみたくなった)
国の先頭に立つ人物がこうであれば、国民は信頼して付いて行けるだろうと思わせられる。そして、ブータンではエリートが本当に謙虚で気配りの行き届いた人だというところに、心底感銘を受けた。
要するに、長年鎖国状態にあり、今は、先進国の見習うべき部分、見習ってはいけない部分を吟味して国家を運営しているようで、「いい所取り」をした挙句、今のブータンがあるとか…。
世界全体がこんな風になれば、それこそ世界中がGNHが高くなって、人類みな幸せ!なんじゃないか・・と思わせられた。

いつもながら高野さんによる、ブータンやチベットの歴史など薀蓄はとってもわかりやすくて勉強になったし、それから、冒頭では二村氏が目指しているものがイマイチわからなかった私も、終盤で高野さんが解説してある「お香」の例でやっとわかったのだった。うん、生物資源ってすごい!!(笑)

そうそう、ブータンの中でもとりわけ秘境とされる、メラ・サクテンに居住する部族、プロクバ(ブータンはこうした民族の伝統を守るためにも旅行者を規制しているらしい)の葬式には驚いた!
死んだら、体を108に切り刻み川に流すという。
鳥に食べさせるのは鳥葬だけど、川に流して魚のえさにするこの葬儀は「魚葬」だそう。
今も行われているそうで、度肝を抜かれた・・・。

※ブータンでは難民問題っていうのもあるらしい。
先日読んだ「秘境国」と言う写真集にもチラッと書かれていた。
またこれも、詳しく知りたいと思う。
4756241247秘境国  -まだ見たことのない絶景-
アマナイメ-ジズ ゲッティイメ-ジズジャパン株式会社
パイインターナショナル 2011-08-15

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【本】無菌病棟より愛をこめて/加納朋子

4163750304無菌病棟より愛をこめて
加納 朋子
文藝春秋 2012-03

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突然にして「急性白血病」というシビアな病気になってしまった作家の加納朋子さんの、闘病記である。
「あなたの病気は急性白血病です」なんて言われたら、一般的なイメージとしてはやっぱり「死の宣告」を受けたに等しいダメージを受けるものではないだろうか。きっと著者もそうだったと思う。ものすごくショッキングで立ち直れないほどの衝撃を受けたと思う。
でも、この本から伝わるのは、そんな中にもまずは、ユーモア。
夫の貫井徳郎さんと、「レアだよね」と言い合ったり「遺影はアレにしてね」と言ってみたり、歯肉炎になれば夫も「なったことないから後で見せて」と作家魂を常時チラつかせたり・・。
病状がもっと過酷になっても「放射線ピーリング」とか・・・(苦笑)そこここにクスリと笑えるユーモアが満載。
漫画やアニメの話題や(私も読んでる漫画が沢山登場)病気で痩せても「ナイスバディ」への希求心を忘れなかったり、闘病記としてはなかなか異例の明るさではないだろうか?
そして、全編にあふれるのは、ご家族や医療関係者への感謝の気持ちと深い愛情。
子どもさんを愛しく思うのはもちろん当然のことと思うけど、だんなさん好き好きー・・・という気持ちがあからさまに伝わってきて、加納さんって可愛い人なんだなぁ・・と思った。
そんな加納さんだからご家族からも同じように愛情のレスポンスがあって、献身的なご家族の姿に感動する。
特に貫井さんがカッコよくて・・!!
最初の入院で特別室しかあいてなくて、一日23850円もする高額な病室代・・それを聞いて著者ご本人はたじろぐのだけど、夫の貫井さんは「大丈夫です。払えます」と即答する。うわーカッコいい!!
そのほかにも会話や様子の端々からご夫婦のあったかい関係が目に浮かんだ。
素敵な夫婦関係なんだなぁ。。。
作家なので、やっぱり文章力表現力が卓越しているため、とても読み応えのある闘病記になっている。
骨髄液移植の前後のエピソードや体調や病状なども、すごく興味深く参考になった。
そして、HLAフルマッチの弟さんの「ドナー日記」もまた読ませる。
淡々としているけれど、姉の病気がわかってから、ドナーになるかもしれないと、即日禁酒実行など、頭が下がるばかりだった。そして、著者本人とはまた違う視点で著者を見れば、やっぱり相当に辛かったんだということも、よくわかる。
加納さんは、闘病中のすべての人に「絶望しないで。過去のイメージや数字に惑わされないで。まずは自分が前向きに病気と闘う気持ちになって・・」というメッセージを送っておられる。
加納さんは、2011年3月11日の震災の被災者の方や犠牲者の苦しみ哀しみを持ち出して、胸を痛めつつ、自分の病気などはなんとささやかな苦しみなのかと恥じる部分がある。
それを言うなら、日々、自分のもっと小さな・・命に関わるような悩みでもない些細な・・微小な悩みにグダグダと言ってしまう自分が、さらに恥ずかしくなってしまった。(これからも言うだろうけど)
加納さんが、早く全快されますように・・と念じて止みません。

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【本】モンスターU子の嘘/越智月子

4093863202モンスターU子の嘘
越智 月子
小学館 2012-01-25

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一気に読みました。
賭博の罪で刑務所に入ったU子=詩子。
彼女に入れあげて体を壊して死んでしまった親友のために、詩子に近づくフリーライターの蒲田は、詩子を知れば知るほど真実が分からなくなり翻弄されてしまいます。
それは蒲田だけではなく、刑務所で同室になった幸恵も同じ。
詩子はどこにいても独特の雰囲気で人をひきつけてしまい、刑務所の中においても女王然と構えているのです。
蒲田が調べる詩子の過去、刑務所の中で幸恵が聞かされる詩子の過去・・・。
いったい詩子の真の正体は?
・・・・と言う感じの物語だけど、物語の中で幸恵や蒲田が詩子に翻弄され、反発心を抱きつつも、女郎蜘蛛に絡めとられた獲物のように身動きが出来なくなるように、読者も同じように翻弄されてしまいます。
詩子の本当の姿は?
詩子の本当の過去は?
知りたいことが煙に巻かれてさっぱり分からない。
物語り全体が「嘘」なのか・・・・。
私としては、この物語の「前後」の話が知りたかった。
これまで詩子がどんな風に生きてきて、どんな罪を重ねてきたのか。
そして、これから詩子がどう生きていくのか、また、蒲田や幸恵、そして死んでしまった蒲田の親友の妻はどう関わっていくのか。それこそが知りたくて、読後感はちょっと中途半端だったかもしれません。

13:19 : [本・タイトル]ま行トラックバック(0)  コメント(2)

【本】マスカレード・ホテル/東野圭吾

4087714144マスカレード・ホテル
東野 圭吾
集英社 2011-09-09

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【STORY】

一見、なんのつながりもない殺人事件が、実は連続殺人事件だった。
その決め手となったのは、現場に必ず残された謎の数字。
その暗号を解いてみると、次の殺人現場はとあるホテルになるはず・・。
超一流ホテル・コルテシア・・刑事たちはホテルマンとなり潜入することになった。
そこでホテルマンとして働く山岸尚美は新田刑事のサポートにつくことに。
ホテルマンとして、いかなるときも「お客様」優先の姿勢を崩さず、新田にもそれを求める。
刑事としての職務優先の新田とは何かにつけ反目しあう尚美だったが、二人はお互いの仕事を理解し始め、尊重しあうようになっていく。

【感想】

まあまあ面白いんだけど、ミステリーとしての面白みはあんまり感じなかった。
どこが面白いかと言うと、ホテルで働く側の内実の描写とか・・・。
感想を書いてらっしゃる方のご意見に、石ノ森章太郎「HOTEL」を思い出す・・と言うご意見が多かったけど、私が思い出したのは、森村誠一氏の作品たち。森村氏は、実際にホテルで働いた経験があっての創作だったから、すごくリアルだった。
尚美のホテルマンとしての姿勢は、たしかに読んでいてとても気持ちがいい。前向きだし真摯だし。
でも、ホテルでの仕事はかなり過酷な部分もあるらしく、この物語の尚美のような姿を見ていると「きれいごと」と思う気持ちもあったのは事実。
で、新田刑事・・最初はホテルマンとしての仕事に全然なじめなかったんだけど、尚美の姿を見ているうちに、だんだんと学ぶべきことを学び、成長していく。それはホテルマンとしての成長だけにとどまらず、人間としての幅が広くなっていく成長でもあった。
お互いを尊重しあう姿は、見ていても気持ちがいい。

と言う点で、読み応えがあったとも思うし、面白く読んだのだけど・・・・。
やっぱり東野さんにはもっと上を望んでしまう。
きっと作家には残酷なことなんでしょうね・・・。




↓ 森村誠一「鍵のかかる棺」
おもしろかったですよ~~。
4198914745鍵のかかる棺〈上〉 (徳間文庫)
森村 誠一
徳間書店 2001-03

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4198914753鍵のかかる棺〈下〉 (徳間文庫)
森村 誠一
徳間書店 2001-03

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【本】緑の毒/桐野夏生

4048742353緑の毒
桐野 夏生
角川書店(角川グループパブリッシング) 2011-09-01

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川辺康之は開業医。
しかし、患者よりも自分の都合優先で、温かみのまるでない診察をして、同病院の看護師達にも疎まれていた。
そんな川辺にはある秘密があった。
水曜の夜には、あることをするのだ。
ある事とは・・・。


読んでいて、とんでもなこの川辺の所業に、慄いた。なんという下種なんだろう。人間として最低だ。ましてや医者としてこんな人間がいていいのか。。。。
慄き、呆れ、怒りながらも、こんなとんでもなく悪いやつには、きっととんでもなくひどい報いがあるのではないか・・と、どんな結末が待つのかと思いながら読んだ。
被害にあった人たちも「復讐」ということを考えている。
これは被害者達の、川辺に対する復習劇だろうか・・・・と思ったのだけど、被害者達だけではなく、川辺の妻とその浮気相手、川辺のもと共同経営者の野崎や、その家族などなど、それぞれにドラマが語られる。
その根底には「川辺は邪悪だ」という事があるんだけど、特に「弥生先生」っていうのは一体なんだったの?みたいな、横道に逸れすぎな感じも否めない。
何よりも不満なのは、あれほど期待した川辺に対する鉄槌が、消化不良気味だったこと。
期待しような形ではなかった。
ではどんなものを期待したのか・・と言われたら、それも答えに詰まるけど・・・(^_^;)。
思うに、ページ数が全然足りてない。
それぞれの登場人物にドラマを語らせてもらっても大いに結構、むしろ物語に深みが加わる気がして歓迎するけど、それを収めるためにはそれなりのページ数がいるんじゃないかなーと思う。
今回のこの本、分量不足と感じた。
下種男と言えば、前作「ポリティコン」。あの作品で著者は下種男を描くのに快感を覚えたとかじゃないかな?
で、今回もその流れで、もっとひどい下種な男を描こうとしたんじゃないか、と私は感じた。
少なくとも、この素材がたいへん面白そうだっただけに残念だった。
13:31 : [本・タイトル]ま行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】マザーズ/金原ひとみ

4103045329マザーズ
金原 ひとみ
新潮社 2011-07

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3人の主婦の子育て中の悩みや苦しみ、喜びを描いた物語・・・。
というと、あっさりしすぎだけど。内容はもっとどろどろでグチャグチャです。
子育ての辛いいやな部分だけを掘り起こしているといっても良いぐらい。
正直言って読んでいて疲れたし、そのしんどさが伝わってきて辛い。
最初はともかく読みづらい。
3人が3人とも理屈っぽいので、人物の見分けが付くまでにかなりかかったし、いまいち共感できなくて。

読んでるこっちは、その時代はとっくの昔に過ぎ去ってしまい、苦労したなぁ・・とか、大変だったなぁ・・というのは、私にとっては「思い出」でしかない。それよりも、今、たった今現在も継続中の子育て(というよりも子どもとの対峙?)のほうが問題も大きいし深刻なので(これもきっと過ぎてみたらただの思い出になるんだろうけど)彼女たちが抱えている閉塞感や孤独感みたいなのは、今の私にはそれほどに共感できなかった。
逆に、今まさに小さい子どもを育てている母親なら、恐ろしいほど共感できるのかもなやみをm

それと、登場人物にあまり好感が持てない。
特に作家のユカ。こういう人は友達にしたくないなーと思う。作家ならではの洞察力で、本人にも気づかないところまで分析されて勝手に納得されて・・・ちょっとご遠慮願いたいなーと思った。もちろん、ドラッグ中毒と言う点でも。
キレるときも尋常じゃないキレ方で、そんな風にキレている人間を見た事ないので、嫌悪感がいっぱい。
爽快な気分にさせてくれるキレ方というのもあると思うが、この人のキレ方にそれはない。ただ不愉快だった。

涼子は3人の中で唯一、ごく普通の主婦だから、彼女に一番共感を覚えた。
子どもが一番幼いせいもあり、子育てに行き詰まりを感じている。他の二人が子育て以外のところでも問題を抱えているのに対して、涼子は子育てが一番の悩みであり苦しみになってしまっている。
本人は自覚がないようだったけど、明らかに育児ノイローゼだと思う。彼女には救いの手が差し伸べられるべきだと思ったし、一般的にもこういう悩みを持つ母親は多いんじゃないかと思う。

モデルの五月は、3人の中で、育児と言う点ではかなり理想的なのだけど(我慢強く子どもに優しい育児で感心した)不倫しているから・・好きじゃない。嫌いでもなかったけど。

次第に物語りに釣り込まれたのは、やっぱりその心理描写の巧さのせい。

そして、最終章が圧巻だった。
これはフィクションなのか。だとしたら、良くぞここまでその当人の気持ちがわかること!と驚いてしまった。
自分は幸いそう言う経験がないので、信憑性は計れないんだけど、同じ体験をしたらきっとこうやって苦しむんだろう・・こうやって過ごしていくんだろう・・と言うのがはっきりと分かる気がした。

読むのに6日もかかりてこずったけど、共感できるとか出来ないとか以前に、最後は本当に「すごい!!」と思った作品だった。


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【本】真夏の方程式/東野圭吾

416380580X真夏の方程式
東野 圭吾
文藝春秋 2011-06-06

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内容(「BOOK」データベースより)
夏休みを伯母一家が経営する旅館で過ごすことになった少年・恭平。仕事で訪れた湯川も、その宿に滞在することを決めた。翌朝、もう一人の宿泊客が変死体で見つかった。その男は定年退職した元警視庁の刑事だという。彼はなぜ、この美しい海を誇る町にやって来たのか…。これは事故か、殺人か。湯川が気づいてしまった真相とは―。

今回はまぁまぁ楽しめました。
まず、湯川と恭平少年とのやりとりが面白い。
まずこんな理屈っぽい少年はそうそういないとは思うけど、湯川に臆せず立ち向かう恭平少年を応援してしまったし、またそんな恭平を可愛く思っている湯川の気持ちにも、ほっこりさせられて、二人のやり取りは楽しかった。
勉強の部分も、こちらも勉強させてもらったし。。
舞台となった玻璃ヶ浦はかつては観光で栄えた美しい海。今は観光客も激減し衰退してしまっている。そこにわいて出た地下資源。自然を守るか、地下資源をとるか、そのへんの社会問題的な部分も興味深く読めた。
相変わらず何を考えているのか、何が分かっているのか分からない・・けど、何かつかんでいそうな湯川の言動も気になって、興味をグイグイと引かれ、久しぶりにじっくりと丁寧に読む気にさせてくれた、読んでいる間も「楽しい」作品だった。

ただ、着地点はどうだったろう?それはアリなのか??
もやっとしたものが残る。

しかし、近頃の人情に傾いている作品よりも、こちらのほうが面白かったし好み。

ラムちゃんにお借りしました。ありがとうございました(*^_^*)
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