【本】ナオミとカナコ/奥田英朗

ナオミとカナコ
ナオミとカナコ奥田 英朗

幻冬舎 2014-11-11
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うっふっふ。
久しぶりに本を読みましたよ。。。
思えば昨年末に黒川博行さんの「後妻業」(感想なし)を読んでから、5か月目です!!
去年よりもさらにさらに読書量が激減しています!(^-^;

しかし、この本は無理してでも読んでよかった~。
すごく面白かったです。
まさに「ページをめくる手が止まらない!」でした。
もともと、奥田さんは大好きな作家さんですし。
「後妻業」は感想も書かず仕舞いだったけど、今回は久しぶりに感想を書こう!と思います。
それぐらい面白かったんですってば(笑)。

タイトルのナオミとカナコ、ふたりは「親友」です。
第一部はナオミの章で、第二部がカナコの章になっていますが、物語は一つです。
ふたりはある事件を起こします。
その一部始終と顛末が描かれているのです。
・・・って言うとザックリ言いすぎですが(^-^;
興味がある方はここで私の記事を読むのをやめて、この本を読まれた方がよろしいかと存じます(^-^;

しかし、流れだけでも・・と言う方は、次も読んでください。

第一部の主人公のナオミ、百貨店の外商部門勤務です。
まるで「執事」のように、個人的な相談事や頼まれごとに奔走することもあり、本来は学芸員希望の直美にとっては不本意な仕事ながら、元来の生真面目さから、とても熱心に仕事に従事しています。
あるとき、華僑相手の商談会で「万引き」騒動があり、直美は肝の座った対処ができた。
それを縁としてチャイナタウンの中国食料品店の李朱美社長と懇意になります。

本作ではこのチャイナタウンでのエピソードが頻出しますが、中国人とのやり取りや関わり方など、中国人と日本人の性格や生活性の違いも含めて、とても興味深く、これだけでも奥田さんなら一つの作品を作ってしまいそうです。
そこで生き生きと働く直美の姿が読者の好感度を上げていきます。

直美には大学生のころからの親友がいて、実はこの親友、加奈子が夫のDVに苦しめられているんです。
あまりにひどい暴力に、ついに直美は、加奈子の夫を「排除」することにします。

さてその方法や、結末は・・・??


以下は完全にネタバレ感想です。


話の流れ的には、そう思うのも仕方がないかな・・と思う一方で、やっぱり人を殺すという行為の恐ろしさに、「無理無理無理!!!」と思う気持ちが強く、しかしコトを進めていくこの二人にハラハラさせられっぱなしでした。
物語と主人公二人の行動力に勢いがあるので、上手くいきそう(完全犯罪)に見えなくもなかったですが、あちこちで綻びがあったのです。
それが、第二章の「カナコの章」で次々に露見して、ふたりは追い詰められていきます。
第二章は第一章以上にハラハラの連続で、心臓に悪いぐらいです。
夫の排除を決めたとき、どうして「正当防衛」を装った殺人にしなかったのかと。。。
カナコのひどい状態を見れば警察も突発的に身を守るために殺してしまった・・と、正当防衛の過失致死にしたのではないかと思うんだけど。
それでは少し平凡になってしまいますかね。。。
自分でも、ひょっとして突発的に殺人を犯してしまう可能性と言うのは、完全には否定できない私ですが(^-^;計画を立てて冷静に、人を殺すと言うのは、考えただけでも本当に恐ろしいのです。
しかも、完全犯罪なんてあり得ないでしょ。
防犯カメラ
通話記録
Nシステム
素人にだってわかることすら、分かってない二人。。
と言うのが、どんどんと、出るわ出るわ。
あれもこれも、あまりにも考えなし、杜撰、雑!
でも、こっちも勢いにのまれて「良く出来た犯罪かも」なんて思ってしまった。
第二章を読むと、読みの甘さの大きさにあきれ返ってしまいます。

加奈子の夫には手ごわい味方がいました。
妹の陽子です。
切れ者で行動力がある。彼女がどんどん真相に迫っていくのです。それが怖いんです。
ホントのラストでは行く先々に陽子が現れたりして、まるでターミネーター並みの存在感でした。。
お~こわ(^-^;

ふたりの犯した犯罪は、許されることではないのですが、心情的にはまったく同情してしまっていて、うまく逃げてほしいと・・そればかりを念じていました。

第一章で得た人脈が終盤で生きてくるなど、物語の構成的にも良く出来ていると感じたし、「よっしゃ!」と言いたくなるような快挙があったり、終盤のスリリングなことと言ったら、読み終わるまで本から離れられませんでした。

奥田さんはこの二人にどんな結末を用意しているのか?
やっぱり「天網恢恢」なのか?
それとも、逃がしてやってくれるのか?
ページをめくりながら「奥田さん、どっちなの!!」って気持ち(笑)

結論は・・・奥田さん、ありがとう!!
と言う感じでした。
結末にも、そしてこの面白い本を書いていただいたことにも。


最後に、DV被害者がこの世からなくなりますように。念じてやみません。
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【本】七帝柔道記/増田俊也

4041103428七帝柔道記
増田 俊也
角川書店(角川グループパブリッシング) 2013-03-01

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著者の「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」(感想こちら)がとてもよかったので、こちらの本も読んでみた。
うんうん、とってもとっても面白かった!
主人公は著者の実名なので、実録なのかと思ったけど、虚実入り混ぜてあるらしい。
でも、大まかなところは実際の出来事だったんだろうとおもう。

著者は名古屋の名門高校を卒業のあと二浪して、高校の柔道部在籍中に出会った寝技中心の七帝柔道をやるために、七帝大(北海道大学、東北大学、東大、名大、京大、阪大、九大)の一つである北海道大学へ進学した。

大学生としての2年間ほどを描いた著者の青春記と言っていいと思うんだけど、「青春」と言う言葉とは程遠い過酷な生活が描かれていて、読み手としては唖然とするばかり。とにもかくにも、柔道柔道の毎日。凄まじいのである。
文中に繰り返されるのは、悲壮とさえ言えるほどの練習風景。繰り広げられるのは阿鼻叫喚の地獄絵図。締め落としで悶絶の末に気絶したり失禁したり、それが毎日どころか一日に何度もあったり。。まさに想像も言語も絶する風景だ。
柔道って、スポーツじゃないの?やってる人たちはみんな大学生じゃないの?大学って勉強するところじゃないの?なんでこんな「地獄」「業火」「煉獄」「阿鼻叫喚」なんて言葉が出て来るようなことに?どうしてこんな辛い思いをしてまで柔道をするの?練習のキツさに(キツイなんて言葉じゃ全然足りない!)鬱病にさえなりかけているのに、どうして辞めないの?そして、そんなにもそんなにも練習しているのに・・・・勝てないの??
と、思いながらも読む手が止まらない。
大学時代と言えば、人生で一番楽しい時間と言っても過言じゃないのではなかろうか。でも彼らには柔道しかないのだ。おしゃれにも女の子にも縁が無く、週に一度の休みには泥のように眠るだけ。寝ては柔道の夢を見る。それも苦しい夢を見る。起きたらまた練習に行く。寝ても覚めても柔道しかない生活。それはもうすでに滑稽ですらあった。

・・・しかし、よりによって、七帝柔道最下位の北海道大学に・・。
よりによって、極寒の北海道大学に・・・。
なんで入るかなぁ・・・(^_^;)。

それでも実は「どうして辞めないの?」と言う気持ちよりも「辞めないで頑張って!!」と言う気持ちを強くして読んでいた。授業には出ず、出たとしても教授に難癖つけたりして、とんでもない学生だし、親や大人の目から見たらけしからんのである。自分の息子がこんな風ではきっと腹も立とうと思う。
でも、泣きながら・・小学校4年のとき以来初めて泣いてしまってからは、著者たちはしょっちゅう泣いているんだけど・・・死にそうになりながらも←大げさじゃなく・・・柔道をやめない著者たちは、この過酷な練習生活に真摯に向き合う著者たちはとっても天晴れで感動的。
柔道しかやってないようでいて、柔道によって人との絆を深めたり、精神的にも強くなったりして、ちゃんと青春記してたのも良かった。
この人たちが大好きになってしまった。
沢田さんはどうなったんだろう。一緒に北大優勝に向けて頑張って欲しかったな。。それが切なかった。

井上靖の「北の海」の続編とも言える作品とのことで、私も「北の海」が読みたくなった。
北の海〈上〉 (新潮文庫)
北の海〈上〉 (新潮文庫)井上 靖

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北の海〈下〉 (新潮文庫)
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【本】ねじれた文字、ねじれた路/トム フランクリン

4150018510ねじれた文字、ねじれた路 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
トム フランクリン Tom Franklin
早川書房 2011-09-09

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とある失踪事件の(誘拐殺人の)犯人として疑いを持たれているラリーが、侵入者によって撃たれてしまう。その捜査に入った治安官のサイラスは、ラリーのもと「ともだち」だった。しかし、彼はそれを公にしなかった。
それはなぜか。
25年前にも、少女の失踪事件があり、その犯人としてラリーが疑われたのだけれど、証拠不十分で逮捕されなかった。しかしラリーは街のみんなからは犯人と確信され、のけ者にされてしまったのだった。

25年を孤独の中で生きてきた(途中軍隊に入ったが)ラリー。彼は果たして殺人犯なのか。
でもそれは冒頭彼自身が否定していることで、読者はラリーの無実を信じることになる。
そうした上で読み進めると、ラリーが陥ったこの孤独な地獄の辛さに、哀れみを覚えずにいられない。

徐々にラリー自身の辛抱強さや心の広さも分かってくる。
実直に毎日を丁寧に暮らしているラリーの姿からは、嫌悪感は少しも感じられなかった。
むしろなぜこの青年がこんな理不尽な仕打ちを受けているのかが、不思議で仕方がない。
やがてそれは明らかになる。
少年時代の友情が、哀しいきっかけで崩壊する瞬間。
彼の父親はなぜそんなことをさせたんだろうか。だってこの二人は・・。
幼さと、そのときの状況の切迫感がさせてしまったことだったと思う。
でも、そのために二人の友情はもろくも崩れ、その後の30年近くを、たったひとりで暮らしていかねばならない人間が・・・必要だったんだろうか?

真実を知ったとき、私はサイラスを許せないと思った。
いくらあの少年の日の出来事があったからといって、ラリーの人生をこうも踏みにじるような事をするのか?
私がラリーなら、サイラスを許さず、ほかの誰も信用せず、ただ怒り、憎み、拒絶する人生を送ったことだろう。
ラリー、許さなくっても良いよ。そんなひどい奴!!そんな風に思ってしまう。

だけど、サイラスやアンジーがラリーのためにしたことを知り、そこにラリーが帰ってゆくラストシーンは泣けて泣けて仕方がなかった。

憎み続け、拒絶しあう人生よりも、許しあい求め合う人生のほうが豊かに生きられる。
やっとラリーにも幸せが来る。
あんなに求めた友達が出来る。家族も。
読み終わっても、ラリーのその後の人生を思いやると感無量になってしまった。
どうかせめてこの後は幸せにと願ってやまない。



16:56 : [本・タイトル]な行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】ニュータウンは黄昏て/垣谷美雨

4103333715ニュータウンは黄昏れて
垣谷 美雨
新潮社 2013-01-22

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一軒家かマンションか、分譲か、賃貸か・・・。
いずれにせよ、住居について考えるのは大変だ。
バブルのころ中古の公団住宅4LDKを五千二百万円で買った頼子は、その後のバブル崩壊、資産価値の急落、夫の会社の退職金制度の廃止、年金支給額の繰上げなどなど、思いもよらぬ事態ばかりに見舞われて、十数年のローンを残し苦境にあえいでいる。夫が会社では冷遇されているようだし、自分にはマンションの理事役が回ってくるし、その上マンションは老朽化し、修繕か立替かで揺れている。
片や頼子の娘、琴里は就職活動に失敗しバイト生活。あるとき、久しぶりに会うことになった中学時代の友達から彼氏を紹介されたのだが、その後友達は行方をくらまし、紹介された彼氏と琴里はいつの間にか親密に。
彼氏は富豪の御曹司だったのだが・・・。
二人の親子に焦点を当てて、家、と言うものについて考えさせられる。
ローン地獄で苦しい頼子は理事になったことで、マンションに住むことのデメリットをイヤと言うほど突きつけられてしまう。私はマンション住まいではないので、いわば他人事だと割り切れるはずだったけど、簡単に割り切れず、読んでいて陰気になってしまった。
あまりにもリアルだったからだと思う。
(このマンションの理事会を定年制にするという案が挙がり、50歳代の頼子は受け入れがたく感じているけど、私が住民だとして、80とか85歳になって理事なんて大変なことをしたくないし、やれるかどうかも分からないよな~と思った。しかし、定年制にすると理事が若い人たちだけに当たり、それがゆえに新規入居者もなくなるということで、理事の問題ひとつだけでも考えただけでしんどい・・・と言うように、)
いろいろと大変なことが目の前に提示されたようで、気分が沈んでしまった。
以前「全壊判定」と言う小説を読んだが、そのときも解決の糸口がない問題を前に、「なんて大変なのだ」とため息をつくしかなかったのだけど、今回も同じ状況だった。
ともかく、マンションと言うか団地と言うか、集合住宅と言うのは色んな人が住んでいる。人が100人いれば考え方も100通りあるのと同じだ。どこで妥協するのか、どこまでは自分の意志を貫くのか・・物事をひとつ決めるのに、問題が大きいほど意見が分かれるし揉める。それで住まいは「ひとつ」なんだから厄介なのだろう。
物語の核のひとつは、このマンションの住民たちの人間ウォッチングだろう。
色んな人がいて色んなことを言う。その点は面白かったが、家を持つということが、本当に幸せにつながるのか?と疑問を感じてしまった。
現に、琴里の友達は自分たちの家を持ち、ニュータウンを出て行ったけれど、けっして幸せそうには見えないのだ。かと言って、残っている琴里、頼子の家が幸せかと言うとそうでもない。
ではいったいどうすれば人は家のことで満足できるのか?
やっぱり最終的にはお金なの?
で、琴里の彼氏の登場である。
決してお金があることが幸せには繋がらない。(金=幸せと言われても困るが)
山積の問題は、すべてがきれいにクリアされたわけではないので、とっても爽快なハッピーエンド!!と言うわけには行かないのだけど、少しだけ爽快な気分を味わうことができる結末にほっとした。

でも、やっぱり、琴里にしても、三起子にしても、友達に対してなんてひどいことをするんだろう、としか思えない。私が友達なら絶交だ・・・と思う。その点ではもやもやは払拭されなかったかな。。。
14:07 : [本・タイトル]な行トラックバック(1)  コメント(0)

【本】冬の旅/辻原登

4087714829冬の旅
辻原 登
集英社 2013-01-25

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思ったよりも読みやすい文体(初辻原本、前に何かを挫折した)。
ある時点から転げ落ちるようにして果ては収監され、満期出所となった主人公の人生を、それに関わる人々の群像劇を交えて描く。
どのキャラの人生も結構な悲惨さで悲惨のリンクの末、主人公がさらに悲惨になるという・・・。
途中で阪神淡路大震災の描写がありとても生々しくてその部分が一番読むのが辛かった。
まぁ物語としては、だから何?と思ってしまいそうな筋立てだけど、一気読みしてしまった。
こういう本を読むとついつい吉村昭の「仮釈放」を思い出してしまうなぁ。暗さでは「仮釈放」に軍配。
10:40 : [本・タイトル]な行トラックバック(2)  コメント(2)

【本】七つの会議/池井戸潤

4532171164七つの会議
池井戸 潤
日本経済新聞出版社 2012-11-02

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空飛ぶタイヤ」から「鉄の骨」「民王」「下町ロケット」「ルーズヴェルト・ゲーム」「ロスジェネの逆襲」・・・その他・・・と読んできたけど、どれも「空飛ぶタイヤ」よりも面白いと思える作品は正直言ってなかった。なんとなくマンネリでよく似たテーマに良く似た展開。今回はタイトルからして短編集かと思って期待しなかった。
が!!
これがまぁ私的には「空飛ぶタイヤ」に次いで、と言うより遜色ないほど面白く感じた!
舞台は、東京建電というメーカー。大手電機メーカーのソニックの下請けのひとつである。
タイトルのとおり、各章それぞれいろんな会議があり、連作短編の形を取っている。
第一話は「居眠り八角」。八角というお荷物社員が上司をパワハラで訴え、それが会議に発展する。
第二話は「ねじ六奮戦記」。東京建電よりもうひとつ下請けの町工場だ。兄と妹のふたりが工場の経営について論じれば、いつでもそれが「会議」になる。
第三話は「コトブキ退社」。不倫の末に会社を辞めることになったOLが、自分の仕事を残そうと、会社に軽食コーナーを作ろうと会議に諮る。
と言う風に、一見すればそれぞれがどう繋がるのか分らない。
が、第一話の「居眠り八角」のラストでどうにも腑に落ちない、疑問が解明されないまま物語が続いていて、なんとな~~く、2話3話を読むと、その疑問の答えに近づいているのが分ってくる。
やがて現れてきたのは、池井戸さんお得意の、企業の・・いや、世の中の収益至上主義に対する反感。嫌な上司、嫌な企業を描かせればお手の物なのだろう。
第2話に登場するねじが発端のひとつである。
ねじ、小さな小さな「部品」だ。
その小さな部品がやがては巨大なトラブルを引き起こしていく、その過程がとてもスリリングに描かれていて釣り込まれた。
また、東京建電では、徹底したコストの削減を目指し、それはもう阿漕なほどなのだけど、そのために社員に対する思いやりがない。社員はまるで使い捨ての「部品」扱いだ。社員は会社の一本のねじにすぎない、そう言っているように思えた。
ねじも社員も、ちっぽけなひとつの部品が反乱を起こしているようでもあり、その符号が面白く感じたし、爽快な気分にさえなった。
「空飛ぶタイヤ」などのほかの作品にも共通するのだけれど、客に対して誠実さのない企業は、客、人のためじゃなくひたすら儲けのためにある企業は、本当に恐ろしいと思える。
「仕事は儲けのためにするのではない。人の助けになるのだ。客を大事にしない商売は滅びる」
作中人物の言葉だけれど、ずっしりと心に残った。
ラストは決してハッピーエンドと一口に言えるものではないだろう。
でも、そのほろ苦さと、やっぱり池井戸作品らしい爽快感と、絶妙のバランスだったと思う。
とても面白かった。オススメ!!


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【本】鳴いて血を吐く/遠田 潤子

4041102642鳴いて血を吐く
遠田 潤子
角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-09-01

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内容紹介
離婚して経済的に困窮しているギタリスト・多聞のもとに、人気歌手・実菓子のロングインタビューの仕事が舞い込んだ。多聞と実菓子は幼いころ同じ家で育ち、しかも多聞の亡父と亡兄はともに実菓子の夫であった――。 Amazonの紹介文より。


アンチェルの蝶」が面白かったので、本書も読んだ。
絶世の美女、実菓子。その不遜な態度から、「別に」の女優を彷彿としながら読んだ。
「アンチェルの蝶」のようにミステリアスな雰囲気。過去に何があったのか、すごく気になりながら、知りたくて一気読みさせられる。
多聞と実菓子、そして多門の兄、不動の3人に何があったのか、回想によって子ども時代が甦る。
回想の中と今とでは、実菓子はあまりにもイメージが違う。
こんなにも実菓子が変わってしまったものは、なぜ?多聞との仲がこじれたのは何故だったのか。回想の中のふたりはあんなにも親密だったのに。
まるで昭和初期と錯覚しそうな旧家のどろどろした愛憎劇が現代に違和感なく繰り広げられており一気に読んだ。


11:57 : [本・タイトル]な行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】秘密は日記に隠すもの/永井 するみ

4575237795秘密は日記に隠すもの
永井 するみ
双葉社 2012-07-18

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永井さんの遺作となった本書。皮肉が利いていて面白かった。
収録は「トロフィー」「道化師」「サムシング・ブルー」「夫婦」の4篇。
日記という媒体を上手に使って読者を翻弄している。なるほど…と思う面白さがあった。
中にはあまり取りとめが無く、正直面白くないなぁ…なんて思いながら読んでいたら、最後にガーン…って言うのもあったりして。
もうちょっと詳しくご紹介したいけれど、いろいろ障りがあるので(^^ゞあんまり書けません。
ぜひご一読を。
もうちょっと続くはずだったんだろう。本当のオチまで読みたかった。残念です。
11:13 : [本・タイトル]な行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】ナミヤ雑貨店の奇跡/東野圭吾

4041101360ナミヤ雑貨店の奇蹟
東野 圭吾
角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-03-28

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東野作品、「歪笑小説」に続き「当たり!」だった。
実はなんとなく雰囲気からして、好みじゃないなぁ~と思っていた。読み始めてからも、なんとなくファンタジー??(イルマーレって言う映画を見たばかりだけど、そっくりじゃないか?)とか、またしても人情物??(そういうのは別の作家に任せておけば??)と思いながら読んでいたのだけど、読み終えた後には満足感があった!(*^_^*)

ある夜、3人の若者がおんぼろの廃墟で一晩を過ごすことになった。この3人はなにやらいわくありげの様子だ。
その3人が偶然見つけてあったこの雑貨屋の廃墟に入り込み、夜を過ごそうとしているのだが、そこへ一通の悩み相談の手紙が舞い込んでくる。
なぜ?
まったく分からぬままに、相談に対して返事を書く3人。
するとまたその返事が返ってくる。
ますます分からないまま、またその返事を・・・。
そうして、3人に分かってきたことは、この悩み相談は「過去」からやってきたものだと言うこと。
このナミヤ雑貨店はどうかして、過去と現在がつながってるようだと知れる。

悩み相談はその後も続くのだけど、視点を相談者のほうに変えることで、どうやってこの雑貨店が悩み相談所になったか、今のような方法が取られるようになったか、そして相談者の悩みを通して彼らの立場や人生が分かってくる。
不思議なことに、悩み相談を重ねているうちに、ひとつの事実に突き当たる。
それは、どの相談者もあることに関係していると言うことだ。
偶然にしては出来すぎていると思いながら「またこの人も○○○の人か・・・・都合が良すぎじゃね?」なんて思いながら読んでいたんだけど、実は・・・。

すべてのことが最終章に向けて徐々に明らかになって行き、「もしかして!」とひらめきながら読む読む読む。
読み終えたときには「なるほど~♪」と、何もかも腑に落ちる設定になってた。なかなかスマートで、気の利いた物語。これはさすが、東野さんだ~~と嬉しくなる(*^_^*)。
やっぱり「白夜行」「幻夜」なみの、超ド級のおもしろいミステリーを所望したいけど、これはこれで深く満足させえてもらった。
(でも、イルマーレのほかにバック・トゥ・ザ・フューチャーも入ってるよね?)
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【本】嘆きの美女/柚木麻子

4022508930嘆きの美女
柚木麻子
朝日新聞出版 2011-12-20

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内容(「BOOK」データベースより)
生まれつき顔も性格もブスな耶居子は、会社を辞めほぼ引きこもり。顔のにきびをつぶすことと、美人専用悩み相談サイト「嘆きの美女」を荒らすことが最大の楽しみだった。ところが、ある出来事をきっかけに「嘆きの美女」の管理人のいる、お屋敷で同居するハメに…。美しくても、美しくなくても、たくましく生きる女性たちの姿を描く。外見、趣味、食べ物、男性からの視線―。生きてきた環境があまりにも違う彼女たちが、いつの間にか繋がっていく。女の人たちの物語。


なかなか面白かった!
ブスの僻みというか、悩みというか・・・ブスにそれがあれば、美人には美人としての悩みがある。
お互いの観点から相手を観察し、結果的にお互いに良い影響を与えていく。
コメディタッチで「なんでいきなり同居になる?」など、突っ込みどころもあるけど、全体的に楽しく一気に読んだ。
主人公が、知らないうちに自分が磨かれ、成長していくさまと、ちょっとしたサクセスストーリー的展開は、読んでいて気分爽快になる。
作中で「愛しのローズマリー」という映画を見ているのだけど(登場人物の美女たちがこの映画が大好き)この映画では、美人=性格が悪い、ブス=性格がいい という決め付けがひどいので抵抗があったのを思い出した。
だけど、本書は、耶居子は見た目もブスだけど性格も悪いっていうのが徹底していて面白かった。
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