【本】その女アレックス

その女アレックス (文春文庫)
その女アレックス (文春文庫)ピエール ルメートル 橘 明美

文藝春秋 2014-09-02
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悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)
悲しみのイレーヌ (文春文庫 ル 6-3)ピエール・ルメートル

文藝春秋 2015-10-09
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3月の読書は、ただ1冊、この「その女アレックス」を読んでいました。
一度読んでとても気に入ったので、すぐさまリピートしました。
そして、第3部をもう一度読みました。

こちら辺境ブログですが、もしもこの人気本の情報を求めてお越しの方がおられましたら、言いたいことがあります。
「悲しみのイレーヌ」を先に読んでください。
個人的な実感に過ぎませんが、その順番で読んだほうがいいと思いました。

さいわい私はその順番「悲しみのイレーヌ」→「その女アレックス」で読みました。

どちらも事件としてはものすごく残虐です。
残虐だからこそ、犯人に対する警察官たちの動きに、より感情移入できたし、応援する気持ちが沸いたし、事件が防げるのか犯人を逮捕できるのか、ハラハラさせられました。
とくに主人公含めて、キャラクターが立っています。
どの人物も好きになってしまい、事件の本筋とは違うところでも読みごたえがありました。



以下、内容に触れた感想です。



「悲しみのイレーヌ」と言うのは、ネタバレタイトルですね。
途中まで読んでいくと、このタイトルから結末が想像できました。
これがかなりのヘヴィ級。こんな結末は滅多にありませんよね。映画「セブン」を思いだす人も多いんじゃないかな。今回、あの衝撃を上回るラストの絵面ですね。
イレーヌ(主人公刑事カミーユの妻)は殺され十字に貼りつけに。イレーヌの胎児もお腹から取り出され貼り付けにされていた

「その女アレックス」は、その数年後から始まります。
カミーユはもちろん、最愛の妻と、生まれるはずの我が子を一度に虐殺され、廃人のようになってしまいます。
その後警察官として復職するんだけど、以前のように第一線で殺人事件を追うこともなく、以前の仲間たち、ルイやアルマンと組むこともなく、ゆるゆるとした仕事ぶりのようです。
殺人事件を扱うと言っても、すでに殺人が行われた事件しか、扱わない。これから殺人が起きるかもしれない、たとえば誘拐事件などは論外です。
でも、そこに、おぞましい誘拐事件が起き、いやおうなく事件に関わっていかねばならないカミーユ。
チームはもちろん、ルイとアルマンたちと一緒です。
代役としての投入で、数日だけ、いやいや参加していたカミーユは、やがて事件にのめり込んでいくのです。
イレーヌとアレックスを重ね合わせたりもしながら、当時のことを思いだしながらも果敢に犯人像に迫っていくカミーユ。
その事件を通して、カミーユは自分の過去と対峙して、克服し立ち直っていくのです。

事件もかなり特異だし、アレックスと言う被害者のイメージが二転三転変わっていくのも鮮やかだったし、事件の核心はそれはそれはひどいもので、結末は納得できるものでした。

が、それよりも私は、アレックスとルイ、アルマンとの関係性にとても魅力を感じました。
お互いを尊敬し合い、尊重し合い、頼りにし合い、阿吽の呼吸で進められる。
全部言わなくても分かってる。
そんなチームなのに、「イレーヌ」の事件で空中分解してしまったのです。
それがこの「アレックス」の事件を通してまた、再びチームとして息を吹き返していく。
その成り行きがとても鮮やかに描かれていて釣り込まれました。

カミーユは西洋人の大人の男性なのに身長が140センチ。
それは画家である母親の重度のニコチン中毒のせいらしいです。
カミーユは低身長のせいで、人には想像もできない子ども時代を送ってきました。
それもあり、母親にとても複雑な思いを抱いています。
「アレックス」ではすでに父親が死んでおり、遺産相続した母の絵画を売ることになりますが、カミーユのトラウマの克服がここにもう一つ描かれます。

すべての絵を売り払ったカミーユ。
だけどその手元に売ったはずの母の自画像が届きます。
いったい誰の計らいなのか。

あるときカミーユは「唐突に」気付きます。
アルマンだと。アルマンが、どけちのアルマンが、本当の本当にしみったれのアルマンが、カミーユのために絵を買い、贈ってくれたのでした。
カミーユは代金を支払おうとしますがアルマンは断ります。
「贈り物だから」と。
そこでカミーユはアルマンに、以前からあげようと思っていた同じ自画像のカードをあげます。
(アルマンはカミーユの母の大ファンなのです。)

この部分だけこんな風に書いても伝わらないと思うけど、読んだ人には分かってもらえると思います。
私はこのエピソードが大好きです。
このラストが読みたいがために、第3章を読み返し、そしてまた最初からもう一度読みました。

カミーユも
アルマンも
ルイも大好きです。

映画化もされるんだそうで。
イレーヌ事件のラストは映像化できるのか、疑問ですが(^-^;
映像化するなら、ルイは本当にイケメン俳優にしてもらいたいですね。





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【本】シンクロニシティ 法医昆虫学捜査官/川瀬七緒

4062182866シンクロニシティ 法医昆虫学捜査官
川瀬 七緒
講談社 2013-04-19

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法医昆虫学捜査官シリーズの第2弾。
第一弾の「147ヘルツの警鐘」の感想はこちらに。

今回第2弾の本書を読み、第1弾の感想を読み返したら、結構かぶっていて笑ってしまった(^_^;)。
虫トリビア、知的好奇心、昆虫博士の赤堀の変人っぷり、だけど、虫への愛情と尊敬、あるいは岩楯刑事との連携。しかも、前作でタッグを組んだ刑事、鰐川についても「次作も読みたい」なんて書いてて。でも、今回コンビを組んだのは若くてイケメンの月縞刑事で、次回作もぜひとも月縞とコンビを・・なんて思ってしまっている自分にあきれてしまう(^_^;)。
でも今作も間違いなく面白かった。
ただ、斬新さに対する驚きはなく慣れてしまっているので、その点すこし高揚感がないのが残念。シリーズもののサガと言えるのかもしれないですね。

今回は、コンテナハウスの中殺人遺体が見つかり、前回同様いろんな虫の餌食となっている。
赤堀の助言を得て、犯人像に近づいていく・・という、お決まりのパターンだ。
今回活躍した虫は蟻とトンボ。だから、前回のウジほどの気色悪さがなかった。残念と言うべきか、ホッとしたと言うべきなのか(^_^;)
でも、蟻は巣の中にゴミ箱を作っていて、そのゴミを見て殺人の過程に肉薄していくんだけど、相変わらず赤堀の姿勢には驚かされるし、あきれるというか感心すると言うか。
でも、たとえばリンカーンライムシリーズも、本当に細かなチリあくたから、いろんなことを解析して真相に近づくけれど、それに似たワクワク感がある。




以下ネタバレ







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11:37 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】幸せの条件/誉田哲也

4120044157幸せの条件
誉田 哲也
中央公論新社 2012-08-24

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「ロスト・ケア」が現代日本の介護問題に切り込んだ小説なら、こちらは現代日本の農業問題に切り込んだ小説だった。会社のOLをしている梢恵は、社長の意向で長野の農家に「バイオエタノール」を作るための米の作付けを依頼するため、現地に行く。
しかしどの農家も、バイオエタノールのための作付けなど興味なく、けんもほろろで話も聞いてもらえない。
今は農家といっても、手広く米を作っている農家は少なく、減反のための休耕田が多い。
そんな中で、「あぐもぐ」と言う農場を営む安岡は、梢恵に「一度農場で働いてみろ」と言う。
そして梢恵は意に反して農場で働くことになったのだ・・・。
都会で大学へ行き、OLとして働く梢恵には何もかも初めてのことだし、知らないことだらけ。
そんな梢恵の視点で描かれるので、農業を知らない読者も、梢恵と一緒に農業のことを知っていく。
大変だけど、思っていたよりももっともっと大変なのが分かる。
性格的に、どことなくはっきりしないし覇気もない梢恵なのだけど、あぐもぐの人たちに囲まれ一緒に働くうちに、働くことの意義を見つけ生き生きした女の子に変わっていく。
安岡社長をはじめ妻の君江やその娘、あるいは従業員たち、みんな「良い人たち」で読んでいて気持ちが良い。ちょっと昔のドラマみたい・・と言う感じはしたけど・・。
そんな人々に囲まれて、成長する梢恵の姿がとても気持ちよく読めた。
農業の現状や、無農薬農業の意味など、学ぶところも多かった。

あと、3,11の東日本大震災が作中で起きる。
安岡の従弟が福島にいた。地震の直接被害は殆どなかったけれど、田んぼは作付け制限を出されてしまう。もちろん原発事故の影響だ。
それがたった300メートルのところで境界線を引かれ、作付け制限を受けてしまったのだ。
従弟一家はあぐもぐにやってくる。もちろん、快く迎える安岡一家。
普段遠いところで生活をしていると、こういう人たちがいることを忘れがちな自分にとって、とても耳が痛く感じられた。
原発と言うエネルギーとバイオエタノール。
そんな対比も含まれた小説だった。

18:14 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】しょうがない人/平安寿子

4120042340しょうがない人
平 安寿子
中央公論新社 2011-05

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とても平凡な、平凡すぎる主婦の本音がぎゅっと詰まった小説だ。
日向子は、高校時代の同級生が経営するネットショッピングでパートタイムをしている。
身勝手な従姉に手を焼き、仕事仲間とおしゃべりで憂さを晴らし(時にはそれがストレスにもなる)、顧客のグチを聞き、妹をちょっぴり見下しつつ、おたがい屈託なく近況やグチを打ち明けあったり、娘の反抗期に悩んだり、姑との同居の可能性におびえたり…そんな平凡な日常が描かれている。
ところどころで、「どうしよう?」と思うぐらい、私はリアルに共感を覚えた。
読書メーターなんかでは、「登場人物のグチっぽさにいらいらした」と言うコメントが多数見られて、私なんかはただ「わかるわかる~~!」と、読んでいたので、その読者コメントを見て「そうか。普通はいらいらするのか…」と、ちょっと落ち込んでしまった。
しかし、主婦目線としてはかなり的確に要所を突いていると思う。
特に私が共感したのは、思春期の娘の反抗期のこと。
日向子の娘は中学2年生なのだが、いま、ケータイが欲しいし、月の小遣いの値上げを要求している。
親子間のやりとりはそっくりそのまま、どこの家庭でもあるものじゃないんだろうか?
私は「うちのこと?」と思ったぐらいだ(笑)。
親がダメと言っても子どもは聞かない。そんな子どもに言うことを聞かせる苦労は並大抵じゃない。
育児はダメだしの連続である。そうしなければ子どもの周りは危険でいっぱい。子どもを安全に守りたい親心から、いろんなダメだしをしてしまう。それは親心なのだ。愛情なのだ。
でも、子どもには伝わらない。そして要求をはねつける親をただうっとおしがり、恨む。
親って、損。。首がもげる勢いで大きく頷く心境だった(笑)。
また日向子の実家では、老後に不安を感じた両親が、ゲストハウスを経営したいなんて言い出して、このまま大人しく平和に年を取って行ってほしい、と願ってやまない日向子の心を乱す。それが原因で、家族や妹とも険悪ムードになったりする。これはウチのパターンには当てはまらないけれど、ひとつ問題が起きると、ドミノ的にあちこちで齟齬が生じる、悩みが増す、疲れる…という流れが、真に迫って伝わってきて面白かった。
周囲の人たちを「しょうがない人」とあきれつつ、結局「しょうがない」と割り切る日向子。
主婦はパワフルでなければやってられないよなぁ…と、しみじみ思った。


11:33 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】白ゆき姫殺人事件/湊かなえ

4087714594白ゆき姫殺人事件
湊 かなえ
集英社 2012-07-26

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ヒットメーカー湊かなえさんの作品。
なにかと斬新なスタイルの小説を発表しておられるけれど、今作品もかなり斬新だった。
今の世の中、コレなしでは語れないだろうと言うツールである「ツイッター」などのネット情報、それを小説に上手に取り入れている。

事件は、白ゆきという人気化粧石鹸を発売している会社のOLが、惨殺されたもの。
美人で色白だった被害者と、勤務先の人気商品になぞらえて、白ゆき姫殺人事件と異名をとる。
犯人とその動機は何か。

というストーリーだけど、本書はほとんど「噂話」や「告げ口」で成り立っている。
だから最初はなんだか読むのもいやな感じだ。同僚が噂話で殺人事件の情報を知人に語ってるんだから。
こっちまでその噂話の仲間入りをしてる感覚になる。綺麗ごとは言わないけどあまりにも悪趣味。
しかし、そこにツイッターまがいのマンマローというコミュニティーサイトで「ネット炎上」する仕組みがあり、また、下世話な週刊誌の切り抜き記事があり、読者は犯人のヒントを与えられる。
それがなかなか斬新なアイデアだと思った。リアルである。

ネットの書き込み、知人の噂話、週刊誌の記事…どれもが真実に見えて、実は違う。
与えられた情報を鵜呑みにするべきではない。
何かと言うマスコミの情報に踊らされる私たち。匿名性があるからと思い、実際には言わないこともネットでは卑しく発言する人たち。そんな現代の私たちに厳しい警告がある作品だった。

ただ、最後に明らかになる動機と犯人は、あまり説得力がない。
こんなことであんな犯行はないだろう…と思うんだけど。
病んでたのか。。。


ラムちゃんにお借りしました。ありがとうございました(*^_^*)
11:31 : [本・タイトル]さ行トラックバック(1)  コメント(4)

【本】ソロモンの偽証/宮部みゆき

4103750103ソロモンの偽証 第I部 事件
宮部 みゆき
新潮社 2012-08-23

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4103750111ソロモンの偽証 第II部 決意
宮部 みゆき
新潮社 2012-09-20

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410375012Xソロモンの偽証 第III部 法廷
宮部 みゆき
新潮社 2012-10-11

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ものすごく面白かった!!一気に読んでしまった。久しぶりに寝不足になるほど夢中で読める本だった。

ある中学生の死に関連して、中学だけじゃなく町全体が大騒動になってしまう。
最初は自殺とされていたのに、謎の差出人から届いた告発状によって、殺人事件かもしれないという疑問が起きてきて、誰もが、自殺した中学生とトラブルのあった不良生徒に疑いの目を向けてしまったのだ。
関連して他にもいろいろと事件が起きてしまう。
そんな中で中学生たちは、自分たちで裁判を起こし、「真実」を明らかにしようとする物語である。

なんとも長い物語だ。
なにが書かれているんだろう。と思っていた。でも、読み始めると止まらないのだ。
宮部節というのだろうか、例によって、ひとりひとりに対する描写が丁寧すぎるほど丁寧。
電話ボックスで少年を見かけただけの、電気屋のおじさんさえ、懇切丁寧に語られている。
でも、それが宮部さんらしい。
どんな登場人物にも手間暇かけて、愛情を注いでいる感じがする。
死んだ中学生、柏木拓也は明らかに自殺のようだ。それなら何が問題になるのか。
その真実を見つけるだけのミステリーではない。その「事件」によって様々な人間模様が繰り広げられる。
中学生同士のかかわりはもちろん、彼らだけではない、家族の問題。中学生だからこそ、その家族が大事なんだと思う。だからそこに読み応えがある。
いろんな家族がある。信頼関係がしっかりとした理想のような家族もあれば、子どもに大きな傷を負わせたり負担をかけている家族もあるし、暴力で縛り付けている家族もある。
事件によってそれらが見事に、とてもリアルに浮かび上がるのだ。
中学生らしい子どもっぽさ、それに伴う正義感、あるいは反抗、ともすれば青臭い友情、逆に大人の入り口に立って持ち始める分別や駆け引き、深い考察。。。中学生だからこそ、大人でもない子どもでもない、そんなかけがえのない一時期だからこその物語だと思う。



最初、「真実は一目瞭然なのでは」と思っていたけれど、それがこの長い物語を読むうちに徐々に、その真実の裏側に隠されたものが見えてくる。
読み終えてみれば深い感動があるし、作者の、登場人物に対する愛情が見えて、感慨を覚えた。
この小説は、私も貸本で読んでいる小説新潮で約10年、連載していた。
早々に連載を読むのをリタイアしてしまったけど、その長さに驚いていた。まだ終わらないの?いつまでやってるの?っていう感じ。でも、本書を読めばその長期連載も納得。
宮部さんにはお疲れ様でした。面白い本を読ませていただいてありがとうございました。とお礼を言いたい気分です。本当にお疲れ様でした。



ちなみに、一番印象深いのは浅井松子ちゃんです。



マムさんにお借りしました。ありがとうございました(*^_^*)
(図書館では50~70人待ちの人気図書です。なかなか読めなかったでしょう。感謝です!)
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【本】彷徨い人/天野節子

4344022408彷徨い人
天野 節子
幻冬舎 2012-09-26

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内容紹介(Amazonから)
ベストセラー『氷の華』『目線』の著者が描く、慟哭のミステリー

高級住宅地で起きたひき逃げ事件、そして旅行先で起きた失踪事件。全く別の場所と時間で起きた2つの事件のつながりが、二人の刑事によって明かされる。 なぜ、母親想いの人間が、人を殺めたのかーー。その犯罪の裏に隠された悲痛な犯人の動機とは?


前半は物凄いリーダビリティー。
ある夫婦から始まり、妹や姑やら順繰りにリンクしているのが面白いし、ふたつの事件に関連はあるのか、など…先が気になってぐいぐい引っ張られた。
でも後半、事件の説明に終始してしまっていて失速した。
謎解きのための会話分ばかりで…。
それに、半年前の隣の家の訪問者、同行の連れがお土産をどこに直したか、そんな細かい事って覚えているものか?話に都合よく記憶が蘇るのがありがちだが解せない(私は昨日のことも忘れる←自分を基準にしてはいけないかもしれないけど)。
刑事の推理も…想像力が豊か過ぎませんか。
個人的には、美香子VS淳子という、女同士の間にある確執というか対決をもっと見たかった。いや、この二人が対決しなければならない理由はひとつもないんだけども…(^_^;)。
認知症の親をどうやってケアしていくか、などはとても興味深いテーマで、そのことが家庭や夫婦に及ぼす影響など、とても興味深く読んだ。
11:23 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(2)

【本】曾根崎心中/角田光代

4898153267曾根崎心中
角田 光代 近松 門左衛門
リトル・モア 2011-12-22

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曾根崎心中・・・・名前はもちろん知ってるけど、内容はぜんぜん知らなかった。
ふーん、こういう話だったんだ~~。
いやもう、面白かった!!
ともかく、女たちがみんなすごい!壮絶!と思った。
自分のテリトリーを守るために必死で、そのためにやることはえげつない。まぁこれは初の最初の勤務地の島原(島原って、九州じゃないのね。。京都にある「島原遊郭」らしいです。てっきり島原の乱、の島原かと思った)での出来事で、次の勤務地の堂島新地は、初にとって居心地がよかったというので、ちょっとはほっとしたんだけど。
でも、そこで面倒を見てくれた島という先輩遊女は、遊女としての心得を初に説いてくれた割に、自分ではそれを忘れて恋に身を焦がして死んでしまう。
テリトリー守って必死だったり、恋をして必死だったり。なんでも命がけだ。
命と引き換えに恋をする・・それがあのころの遊女の姿なんだろうか。
ほんと・・・女って恐ろしくて、哀しい生き物だなぁ。
そして・・バカだ。
ここで描かれる男は卑怯だし狭量。
だいたい、初の恋人の徳兵衛って、あれ、盗難&偽判騒動の真相はどうなの。
もしも徳兵衛の言うことが嘘だったら、初があまりにも哀れで浮かばれないけど、でも、どうも胡散臭く感じる。かといって九平治も信用できなさそうな輩ではある。
どっちが本当なんだろう。。。初の推理が当たってるような気がする。。。
いやでも、ラストは意外だった。
絶対に心中すると思ったが?
「曾根崎心中」やもん。
なのに、なのに・・・。
アレ絶対、徳兵衛は死なずに逃げたと思うな。自分でのどを掻っ切るほどの度胸があるとは全然思えない。腹も括ってなかったんじゃないの??
ただ、初を導いた人魂たち・・・姉さんたちの怨霊が、徳兵衛を逃がすことはしなかったかなと思う。
それだと話が怪談になってしまうか・・・(^_^;)

もっとほかの時代物も角田さんに邦訳してもらいたいなと思った。八百屋お七とか、四谷怪談とかね。ありきたりですけどね(^_^;)やっぱり切り口がいいですよね。。
14:35 : [本・タイトル]さ行トラックバック(1)  コメント(0)

【本】司法記者/由良 秀之

4062170132司法記者
由良 秀之
講談社 2011-10-28

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内容(「BOOK」データベースより)
「騙されるな。気合を入れて叩き割れ!」「…そんな供述のどこが真実なんだ」美貌の女性記者はなぜ殺されたのか?口を閉ざし続ける容疑者の守り通す秘密とは…。特捜検事が、巨大組織の壁の中で、孤独な闘いに挑む。

叫び声が聞こえたという通報があり、駆けつけた刑事たちは、その部屋の浴槽で女性の他殺体を発見。部屋の持ち主はその死体を見て自分と同じ司法記者だと驚く。しかし、彼は身に覚えが無いと言い張る。

実際に起きた事件を取り込みながら、ミステリーとして良く出来た物語だと思った。
特捜部の内情が良くわかり、びっくり!
大阪のほうで起きた例の改ざん事件で問題になったことが、本書を読めば良くわかる。
国民として司法の危機を感じた!
ほかにも政治家の収賄事件だとか、まったく日本の行く末が心配になる問題がうまく練りこまれている。
面白かったけど、少し物足りないのは、これだけの材料があって、著者の経歴(元検察官)から切り込めば、もっともっと面白い作品が出来たような気がする。
主人公の検事の人物造形、心理描写など、もっともっと練って読ませて欲しかった。
次回作にも大いに期待したい。

ちなみに、この作者、覆面作家としてペンネームを使っていたのに、自分でうっかりツイッターで暴露してしまったんだとか。なんか・・・ほほえましいです。でも、そんなうっかりさんは検察官には向かないかもね(^_^;)
11:00 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】新月譚/貫井徳郎

4163812903新月譚
貫井 徳郎
文藝春秋 2012-04

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謎の美人作家が断筆した理由を紐解く物語。

以下ネタばれ含みます。未読の方はご注意願います。
















後藤和子はとある小さな貿易会社に就職して、社長の木ノ内と恋人同士になる。
和子は自分の外見が、人並みはずれて不細工なのがコンプレックスだったが、木ノ内は人の価値を外観だけに求める男ではなく、和子の聡明さや内面の良さも見つけてくれて、和子は一時期とても幸せになった。
しかし、木ノ内は女性にモテるし不誠実でもあり、和子以外の女も愛してしまうのだ。
結局和子は親友の季子に木ノ内を奪われてしまうのだった。
そのことが原因で和子は美容整形によって、過去の自分を消してしまう・・ことにする。
絶世の美女と生まれ変わった和子に、幸せが訪れるのだろうか・・・。

女は美人になりたいと思う。不細工じゃなくても、誰でも「もっときれいだったらなぁ」と言う願望みたいなのは・・女なら誰でも少しは持ったことがあるんじゃないだろうか。
(私は「美人じゃなくてよかった」と思うことも多いのだ)
そういう心理描写がとても良く描かれていて、男性作家の作品とは思えないほどだった。
女性目線から見ても、ここに描かれた数々の、女性に対する男の態度の理不尽さなどは説得力があった。
しかし、美女になっても和子は決して幸せになっていない。
彼女は、ブスな時も美人の時も、どっちも変わらずに不幸なのだ。気の毒な人だ。
ところが、結局それが原動力となって小説家になり大成を収めるのだから、人生は分からない。

いつまでもいつまでも木ノ内に執着する和子。本来なら和子のそういう部分にイラっとしたり、反発したりするはずだけど、木ノ内の魅力により、和子の執着に納得してしまった。

実はどこまでも「他人事」と言う感覚が抜けなかった。
ひがもうが整形しようが、不倫しようが、小説を書こうが、(他人事だから)ご自由に。
多分私は主人公の和子が好きじゃなく、応援する気持ちにもなれず、共感も持てなかったんだろうと思う。

でも、それでも小説は面白く一気読み。
和子の書いた小説が読みたいと思った。
14:42 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(0)