【本】共震/相場英雄

409386358X共震
相場 英雄
小学館 2013-07-23

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内容紹介
鎮魂と慟哭のミステリー!

大和新聞東京本社の遊軍記者である宮沢賢一郎は、東日本大震災後、志願して仙台総局に異動する。沿岸被災地の現状を全国の読者に届けるため、「ここで生きる」というコラムを立ち上げた。そんななか、宮沢とも面識のある県職員が、東松島の仮設住宅で殺害された。被害者の早坂順也は、県職員という枠を越えて、復興のために力を尽くしてきた人物だった。早坂は亡くなる直前まで、被災地の避難所の名簿を調べていたという。
(Amazon紹介文)

【感想】


ひたすら胸が痛い。
著者独特のスタイルにより、センセーショナルに社会問題を切り取り、それをミステリと言う形で読者に届けてくれる。今回は東日本大震災であり、復興に関わる予算などの利権に群がる「悪いやつら」のことを告発している。
ミステリーとしては、そこそこかなぁと言う印象だけど、それよりも圧倒されるのは、丁寧な取材によって描かれた震災の有様。著者はシリーズものでみちのくに縁があり、思いをこめた取材をしたようで、それが伝わり胸に迫る描写となっている。
それをまざまざと見せ付けられ、そのとき自分がどうしていたか、その後何をしたか、いま、何をしているか・・と突きつけられてひたすら胸が痛くなり、小さくなるしかない。
こういう本によって私みたいなぼーっとした人間にも「忘れるな、今も続いている、終わってないんだ、忘れるな!」と叱咤激励してくれる。
それにしても、人間って醜いなと思ってしまう。
ニュースでは「日本人はこういう震災の非常時にも、暴動も起きず略奪も無い稀有な人種」・・みたいな美談が取り上げられていたけど、やっぱり実際にはたくさんの泥棒が横行したようだし、復興予算を当て込んで一儲けたくらむ輩もおおぜいいるみたい。
本書のテーマにもなっているんだけど、NPOの中には不届きな団体もあるようだ。
もちろん一部だろうが・・・と信じたい。
でも何よりもやっぱり、ひとりひとりが忘れないこと。地域的にも時間的にも「遠い物語」にしてしまわないことが大事だと思う。
渇を入れられたような気持ちになった。オススメ。
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【本】切り裂きジャックの告白/中山七里

4041104408切り裂きジャックの告白
中山 七里
角川書店 2013-04-27

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内臓をまるごと持ち去られると言う猟奇殺人遺体が発見された。
そして、切り裂きジャックを名乗る犯人から、声明文がテレビ局に届けられた。
似たような手口の犯行が続く。
犯人とその動機に迫る。


目を背けたくなるような猟奇事件で、私は小説として好みだけれど、それでもかなりエグいと感じた。
いったい、この犯人は何を考えているんだろうか・・・と、その特殊性に期待して読み進める。。
そんな事件を担当する二人の刑事。
犬養刑事と古手川刑事、この二人の刑事がとても良い。特に古手川刑事が好きになってしまった。
彼は前作に登場済みとのことで、それもぜひとも読みたいと思っています。楽しみ~。

事件に関しては、猟奇殺人の被害者に、ある共通点があることが分かり、そこから少し平凡になった感じがした。
ラストは冒頭の事件の奇抜さから見たら、あまりにも平凡な「真実」だと思う。すこし肩透かしを食らった気がした。
でも、やっぱり古手川刑事が良かったので、読んでよかったと思えた。

以下、内容に触れます。










本書は「臓器移植」に対して、鋭く切り込んでいる。
鋭いのかどうか本とは良く分からないけど、素人目には、バランスよく多方面から問題提起していて、考えさせられる内容だった。
ドナーの脳死問題、法律のあり方、患者や遺族やコーディネーターの気持ち、レシピエントのその後の生き方など。どこまで人間の「医療」として踏み込み、どこから「神の領域」になるのか。
でも、いったん知ってしまったら、知らないときに戻ることは出来ないし、患者側の気持ちとすれば、どんなことをしても、そして、たとえどんな後遺症があろうと、「生きて」欲しいと思うものだろう。

結末として、犯人の動機などは、先にも書いたけど「普通のミステリー」になってしまって残念。
だいたい、死体の状態から見て、メス捌きが特上級の医療関係者だということは分かるんだから。
その結末じゃ、意外性がないでしょ~。ちょっとしたどんでん返しがあったけど、それも含めて少々物足りない種明かしであった。。。。

ただ、自分の息子がドナーとなった母の「その後」の物語はホロリとさせられた。





17:18 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】巨鯨の海/伊東 潤

4334928781巨鯨の海
伊東 潤
光文社 2013-04-18

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良い本を読んだ満足感!!


少し前に「ザ・コーヴ」という映画が世間の耳目を集めたけれど、その舞台となったのが、この作品の舞台でもある太地町である。本書は、鯨漁で生きる太地の人々を描いた作品。
彼らが捕鯨(と言うよりも鯨漁と言いたい)によって、生活の糧を得ている様子が、とても臨場感豊かに描かれている。鯨漁の方法や、そのむらの暮らしぶりなどもとても興味深かった。


確かに、賢く罪もない鯨を殺して食べるなんて・・・と、思わないでもない。
特に子持ちの親鯨は、とても愛情深くそれゆえに凶暴になり、必死で子どもを守ろうとする。そんな親子を狩らんでも・・と言う気持ちも沸いて来そうになったけれど、本書に描かれた人々の姿は、そんな通り一遍の赤の他人の生っちょろい同情を跳ね除けてしまう。

狩るものと狩られるもの、殺すものと殺されるもの、鯨と人との命のやり取りがここにある。
生活の糧として、鯨を捕っている彼らの姿は読者に「残酷だ」などと言わさない。彼らは鯨を夷様とあがめ「命をいただく」ことに、とても真摯に向き合っている。
人間だって、危険極まりない鯨漁で命を懸けている。
殺生を残酷と思わされるよりも、人間と鯨が真剣に「命」をかけた闘いに、厳粛な気持ちになった。

人間同士もまた、厳しい掟に縛られている。が、そんな中で厳しくも愛情豊かな人間ドラマが繰り広げられ、何度か泣けてしまった。連作短編と言う形により、鯨漁の隆盛から衰退へと転じる様、時代ごとで変わる鯨漁のあり方、様々な人間関係が描かれていて、これは短編集だからこそと思った。

滅多に居つくことのない、流れ者の旅刃刺(刃刺とは、鯨組のなかの役割の一つで、鯨に銛を打ち込む勢子船の頭のこと)を慕う地元の若者との物語「旅刃刺の仁吉」や、病弱な妻と母思いの息子を持つ刃刺一家の「恨み鯨」などは、涙に暮れてしまった。
太地の人々の中にも、鯨漁以外で生計を立てるものもいて、あるいは、耳が聞こえないものは当然船に乗れず、そんな子どもが大きくなって、やがて仲間同士も離れてしまうという切なさを描いた「物言わぬ海」、当然、恐ろしい事故に出会い怪我をすることもあるし、あるいは太地に生まれながらも、鯨漁を忌み嫌う人間も、中にはいて・・という「訣別の時」・・・
そして、圧巻だったのは「弥惣平の鐘」。太地の鯨漁のことを少しでも調べたら、必ず出てくるのが「大背美流れ」と言う言葉だ。その一部始終がここに再現されている・・・と言っても過言ではないほど、リアルに描いてある。この出来事により鯨組は壊滅的な被害を受けたらしい。
そもそも、当時(明治の初め)の鯨漁の不漁は、アメリカが日本近海で鯨を捕っていたからだという。時代の流れと言うにはあまりに残酷で哀しい出来事だと思う。
しかし、物悲しくも、大きな背美鯨と人間との戦いは迫力があった。

心からオススメしたい1冊です。



旅刃刺の仁吉
恨み鯨
物言わぬ海
比丘尼殺し
訣別の時
弥惣平の鐘
15:52 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】コリーニ事件/フェルディナント・フォン・シーラッハ

4488010008コリーニ事件
フェルディナント・フォン・シーラッハ 酒寄 進一
東京創元社 2013-04-11

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この作者は「犯罪」と「罪悪」の2冊でブレイクしたらしいけど、短編嫌いの私はスルーしました。
今回社会派ミステリーと聞いたので読んでみました。

内容(「BOOK」データベースより)
2001年5月、ベルリン。67歳のイタリア人、コリーニが殺人容疑で逮捕された。被害者は大金持ちの実業家で、新米弁護士のライネンは気軽に国選弁護人を買ってでてしまう。だが、コリーニはどうしても殺害動機を話そうとしない。さらにライネンは被害者が少年時代の親友の祖父であることを知り…。公職と私情の狭間で苦悩するライネンと、被害者遺族の依頼で公訴参加代理人になり裁判に臨む辣腕弁護士マッティンガーが、法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。コリーニを凶行に駆りたてた秘めた想い。そして、ドイツで本当にあった驚くべき“法律の落とし穴”とは。刑事事件専門の著名な弁護士が研ぎ澄まされた筆で描く、圧巻の法廷劇。

そう分厚い本じゃない。却って「薄い」ぐらいの本だと思う。
でも描かれている内容は、とても濃い。
上記のあらすじのとおり、殺人事件があり、新米弁護士ライネンが国選弁護を買って出る。でも、殺人犯は犯行を認めはするも、動機に関しては一切しゃべらない。
偶然にも、殺された人物は主人公弁護士にゆかりのある人物だった。この辺は日本人ではありえないんだけど、読み方が国によって違うんだとかで、弁護士はそれに気づかなかったらしい。
弁護を引き受けたライネン、その子ども時代の描写がはさまれる。
なぜ主人公の過去が詳しく描かれるんだろう?無駄な描写じゃないのか?と思った。
それに、第二次世界大戦、ドイツ・・ときたら・・・物語が進むにつれわかってくる真実の一部には「よくある話ではないか」とも思った。
しかし、想像を超える真実がかくされていたのだ。驚かされた。
小説としてと言うよりも歴史の事実に驚いたと言うべきかも。
実在の人物の生涯も含めて、驚かずにいられない「法律の落とし穴」だった。
誰が法律の本を書いているって?それが現在でも裁判の指針になってるって??
信じられない思いがした。
唐突に終わってしまうラストも印象的だけど、あとがきで知る事実にまた唸らされる。
語弊があるけれど面白かった。
一気読みした。

おススメ。
17:43 : [本・タイトル]か行トラックバック(1)  コメント(0)

【本】キリング・フロアー/リー チャイルド

4062649314キリング・フロアー〈上〉 (講談社文庫)
リー チャイルド Lee Child
講談社 2000-07

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4062649322キリング・フロアー〈下〉 (講談社文庫)
リー チャイルド Lee Child
講談社 2000-07

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映画「アウトロー」が面白かったので、原作の第1弾「キリングフロアー」を読んでみた。
とても面白かった。映画では主人公ジャック・リーチャーはトムクルーズが演じている。トムさんは黒髪だし身長も低い、でも原作の設定は長身で金髪碧眼だ。年齢も若い!
まぁその違いは置いておいて。
物語は、流れ者のリーチャー(軍の警察部署の精鋭だったが円満退職して今は年金暮らし!)が、ジョージアの田舎町マーグレイブで何気なしにバスを降りたことから、そこで起きた凄惨な殺人事件の犯人にされてしまう。
殺人事件の背後にはとてつもなく大掛かりな犯罪が絡んでおり、でも、リーチャーは最初あくまでも関わる気持ちはなかったのだけど、たったひとりの肉親である兄が、事件に絡んでいることが分かり、事件の解決にまい進する。
リーチャーは軍部で徹底的に訓練されていて、ものすごく強い。映画ではけっこう間抜けな面があるなぁと思ったけど、原作のほうが隙がなく完璧だ。かっこいい。洞察力や瞬時の判断力なども秀でていてシャーロック並の推理を働かせるあたりで、しびれてしまう。こういう男が大好きなのです私は。
またもや映画と比べるが、映画ではリーチャーは女とは懇意にならない。でも、ここではなかなかに甘いロマンス(甘いと言うよりも激しいと言うべきか)があり、その点でも面白かった。
犯罪の凄惨さや規模の大きさなども、敵として申し分がなく、たとえば兄への気持ちなどもじんとさせられる部分もあり、とても読み応えがあった。
欲を言えば最後の対決シーンで、リーチャーに匹敵するほどの「強い男」がいたらよかったなぁ。
ほろ苦いラストもよかったと思う。好みの小説だった。
13:06 : [本・タイトル]か行トラックバック(1)  コメント(0)

【本】狭小邸宅/新庄耕

4087714942狭小邸宅
新庄 耕
集英社 2013-02-05

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図らずも、垣谷美雨「ニュータウンは黄昏て」に続いての「家」物になった。
しかし今回は「売る側」の物語だ。
主人公の「ぼく(松尾)」は不動産会社に勤めていて、家を売るのが仕事だ。
でも、なかなか売れない。
そんな社員に会社上層部は完膚なきまでに面罵したり貶めたり、徹底的に扱下ろす。
また、家を「売る」ことを「殺す」などと言うそうで、この業界の裏の顔に慄いてしまうのだ。
ただでさえ、物を売ると言う仕事は楽ではない(仕事なんてどれも楽ではないと思うが)うえに、売るものが「家」とあってはその過酷さも想像を絶する。
都心では、ペンシルハウスと呼ばれる、小さな家(表紙絵の家だ)でさえも5000万円以上するらしく、条件がよければ価格も驚くほど上がってしまう。
そんな業界の裏話に震えながら、こんなにも理不尽に(思える)ひどい扱いを受けながら、主人公はなぜこの会社を辞めないんだろう?と疑問だった。もう辞めたらいいのに、すぐに辞めたらいいのに・・と言う気持ちがずっと消えない。じれったいぐらいだった。
だがやがて、主人公は変わっていく。ふとしたきっかけがあって、成長する姿を見せられる。
けれど、それでハッピーエンドになるかと言うと、そんな単純じゃなかった。
辞めずに、あきらめずに頑張ったことに、えらかったね・・とほめてやりたい気持ちと、やっぱり辞めたらよかったんじゃないのか・・と言う気持ち、複雑な気持ちで本を閉じる。
決して爽快な読後感ではないけど、一気に読まされた。
14:20 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】歓喜の仔/天童荒太

4344022874歓喜の仔 上巻
天童 荒太
幻冬舎 2012-11-22

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歓喜の仔 下巻
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父親に失踪され、母親は意識不明で寝たきりの状態…そんな家庭で生きる3人の兄弟達の物語。
誠は17歳。父親が残した借金を返済するために、やくざたちの仕事を請け負っている。
それは覚せい剤を、別の薬を入れて水増しする仕事だ。
弟の正二(小学校6年生)と一緒に毎夜2時過ぎまでかかってノルマをこなす。
朝は早朝から市場の仕事、夕方はやくざの命令で中華料理店で働いている。
正二は学校で酷くいじめられながらも、なるべく穏便に目立たないように生きている。
母親の介護は一身に引き受け、昼休みにも世話をするためにいったん家に戻る。
園児の妹、香は、死んだ人間が見えるといったり、日によって怪我をしたフリをしてあちこちの手足を引きずったりする。在日海外人の友達が多く、寡黙な子どもだ。
こんな風にちょっと紹介しただけでも、なんと暗澹とした物語だろうと思う。
こんなにも辛い思いをして生きる子ども達が、日本にいるなんて思いたくない。
小説だから…と割り切れない何かがあった。
子ども達は彼らなりに、日々の生活、生きていくことに必死だ。
そこでたくましく成長していく彼らの姿に頭が下がる思いがした。
ただ、あまりにも救いがなさ過ぎて・・だろうか?現実感に乏しく感じてしまった。
それは、長男誠が想像の中で育んでいるリートという少年の物語が挿入されるせいもあっただろう。
そのため、夢と現実の境界があいまいな、無国籍の映画を見ているような、なんだか現実とはかけ離れた幹事がいてしまった。
20:50 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】禁断の魔術/東野圭吾

4163816909禁断の魔術 ガリレオ8
東野 圭吾
文藝春秋 2012-10-13

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今回のガリレオはよかった~。
書き下ろしだからでしょうか?
「容疑者X」に並んで、印象に残るガリレオシリーズとなりました。
タイトルもいつもよく出来てますね!

「透視す(みとおす)」
ホステスに自分の仕事や名前を透視された湯川。そのホステスが後日殺されてしまう。
残された家族と、透視のからくりの切ない関係。

「曲球る(まがる)」
妻を殺されてしまった野球選手。クルマの塗装が剥げて妻の不審な行動が浮かび上がる。
妻が夫に求めていたことは・・・。

「念派る(おくる)」
双子の姉が殺された。妹にはそれが「わかった」のだ。双子の不思議なテレパシーによって。
テレパシーは存在するのか。湯川がその問題に挑む。

「猛射つ(うつ)」
政治部記者が殺された。足跡を追ううちに湯川と出身高校が同じ少年が浮かび上がってきた。湯川と接点もあると言う。いきなり壁に穴があく、いきなりバイクが炎上する。なにか湯川に関係があるのか。。



どれも力作でした。
というのは、今回、特に謎解きには重点が置かれておらず、犯人の発見逮捕の描写はあっさりしたもの。
物取りの犯行だったり、思ったとおり怪しい人物の犯行だったりと、ストレート。
でもたとえば、「透視す(みとおす)」では、死んだホステスの家庭の事情にドラマがあり読み応えがある。
ホステスは義理の母親との折り合いが悪くて、家を飛び出したのだ。
お互いに憎んでいると思わされた母子の気持ちが明らかになったとき、彼女の死が心から切なくなった。
「曲球す(まがる)」でも、野球をあきらめようとしている夫に対する妻の気持ちが分ると、そこに深く感動する。どちらも、死んでしまった被害者が、生きているものに送る「気持ち」がとても印象深い。
短編ながらも人間ドラマが濃厚に描かれていて読ませられた。
そして「猛射つ(うつ)」では、湯川が珍しく後輩に当たる少年に入れ込んでしまう。その少年のために、あわや犯罪を犯すか・・!!というところまで追い込まれるのだ。
冷静沈着な湯川が、珍しくあたふたしているようで、湯川にここまでさせる少年に拍手喝采である(笑)。
焦ってる湯川に、シリーズ中初めて「萌え」を感じた!!
とてもよかった。

今回もガリレオシリーズはラムちゃんにお借りしました。ありがとうございました(*^_^*)
18:17 : [本・タイトル]か行トラックバック(1)  コメント(2)

【本】虚構の道化師/東野圭吾

4163815708虚像の道化師 ガリレオ 7
東野 圭吾
文藝春秋 2012-08-10

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「幻惑す(まどわす)」
クアイの会というカルト教団の取材に行ったライターが目の前で信者の飛び降り自殺を見る。
草薙たち警察は、自殺を不審と感じ、殺人では?と疑うが、教祖は自殺した信者に触れてもないのだった。
そのからくりを湯川が見破る。

「心聴る(きこえる)」
幻聴が引き起こす自殺や事件。草薙危機一髪。湯川に草薙の姉さんが見合いを勧めているのが可笑しかった。

「偽装う(よそおう)」
湯川と草薙が友達の披露宴に行って事件に遭遇。それは、作詞家夫婦の殺人事件。発見者は娘で、湯川たちは道中ほんの少し関わりがあった「アウディの女」だった。
死んだ順番が大事、という話。

「演技る(えんじる)」
舞台演出家が殺された。ケータイの発信着信がカギになるのか。
私が同じ状態のとき、ケータイで誰かに電話するなら、アドレス帳の一番の登録者じゃなくて、たぶん、着信記録とか発信記録とかで、同じ相手にかけると思う。それが一番早いから。
この犯人の動機もまったく共感できず、後味の悪い話だったと思う。
17:39 : [本・タイトル]か行トラックバック(1)  コメント(2)

【本】クローバー・レイン /大崎梢

4591129667クローバー・レイン (一般書)
大崎梢
ポプラ社 2012-06-07

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とっても面白かった~~!!(*^_^*)

大手出版社で編集として勤めて7年、工藤彰彦はとある作家に、原稿の「ボツ」を伝えている。
作家が小説を作り上げるのはとても困難なことだと思わされる。
双方にも読者にも気が滅入るこの冒頭シーンだけれど、対応する(ボツを言い渡す)主人公の誠実さが伝わって、のっけから釣り込まれてしまう。
そんな主人公が一目で心を鷲掴みにされたのは、落ち目で過去の作家、家永の「シロツメクサの頃」と言う小説だった。彰彦はこの小説の読者第一号になった。そして、自社から出版したいと強く思う。
ところが、彰彦の一途な思いと裏腹に、出版は困難を極めるのだ。
サスペンスやミステリーでもないのに、先が急がされて仕方がない。どうなるのか、本になるのかならないのか・・・結末は予想できるものの、ひたむきな彰彦に共感して、祈るような気持ちで一気に読まされてしまった。
ひとつの小説が本になるまでの段階が、リアルに描かれていて、本が一冊出るのに大変な労力があるのだなぁと改めて実感させられるし、出版社の裏事情がわかってとても興味深い。
本と言うのは、出版するのが最終目的ではない・・というのも、改めて実感した。
他社の編集との駆け引きや攻防、社内でも部署が違うと(編集部と営業部など)仕事が全然違ったりなど、そういう、本造りに関するあれやこれや面白く読んだ。(東野圭吾さんの「歪笑小説」を思い出したりもした!!)
家永をはじめ各作家たち、編集の国木戸や営業部の若王子など、脇役たちも魅力的だ。
大御所作家の芝山などは、作中エッセイがとても感動的だった。
冒頭で釣り込まれてからも、随所に本好きならではのシーンがあって、その点でも楽しく読める。
(オールといえば、オールナイト・・とか(笑)。本屋大賞らしきものが出来るまでの過程とか)
そして本書は、本が出来上がるまでの過程を描いてあるだけではなく、作家家永とギクシャクしている娘との物語があり、もうひとつの軸になっている。
本を出すまでのネックのひとつを彼女が握っているのだ。
二重三重にも本の出版は困難だけれど、彰彦の熱い思いが、やがては人を動かし、状況を変え、人の心も動かす。「出版」と言うひとつの目的に向かって、人の気持ちが寄り添うさまは、爽快で感動的だった。
家永親子に物語があるように、彰彦の家庭にもひとつのドラマがあって、その点でも大いに感動した。
最後は泣いた。素敵な物語だった。おススメ!










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