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【本】海がきこえる/氷室冴子

海がきこえる (徳間文庫)
海がきこえる (徳間文庫)氷室 冴子

徳間書店 1999-06-01
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海がきこえる〈2〉アイがあるから (徳間文庫)
海がきこえる〈2〉アイがあるから (徳間文庫)氷室 冴子

徳間書店 1999-06-01
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なんだか唐突に氷室冴子さんの「海がきこえる」を読みたくなるときがありまして
いままでも何度か読み返しています。
今回きっかけとなったのは
↓ このニュースを見たからかな?

氷室冴子: 没後10年記念特集 私たちが愛した永遠の青春小説作家 (文藝別冊)
氷室冴子: 没後10年記念特集 私たちが愛した永遠の青春小説作家 (文藝別冊)氷室冴子 新井素子 飯田晴子 伊藤亜由美 榎木洋子 榎村寛之 荻原規子 菊地秀行 木村朗子 久美沙織 近藤勝也 嵯峨景子 須賀しのぶ 菅原弘文 高殿円 田中二郎 俵万智 辻村深月 ひかわ玲子 藤田和子 堀井さや夏 三浦佑之 三村美衣 群ようこ 山内直実 柚木麻子 夢枕獏

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こちらもすごく興味を引かれますが、でも読みたかったのは「海がきこえる」でした。
夏だしねぇ(^^;
(この記事を書き始めたときは真夏だったんです!)

でも、最後に読み返してから本が行方不明になってしまって(^^;
私が持っていたのは単行本だったんだけど、今回文庫本を購入。
加筆修正されているみたい。
どこが違うのか確かめてみたくて、単行本をもう一度さがしたけど
やっぱり出てこなかった(^^;

私はコバルト世代と言ってもいいのかわからないけど、読んだのはすごく初期ですの。
中学に入ったとき新しく同級生となったひとが、コバルト文庫をいっぱい持っていて
貸してもらって読んでいました。
そのひとは、吉田としさんとか、佐伯千秋さん、清川妙さんなどが好きだったようで
そのひとたちの作品を読ませてもらった記憶がありますが
2年生になってクラスが別れてからは読まなくなりましたっけ。
そんな風にそれほど仲が良くもなかったけど、本を貸してくれるという、
気前のいい、気持ちのいい同級生だったなぁ…。


ちなみに私の中学時代は、近所に本屋はおろか
図書館も電車に乗っていかないと行けなかったし、
本はけっこう遠い存在でしたっけ。
学校の図書館には読みたい本は無いって言う感じだったし。

閑話休題

そんな私は、氷室冴子さんはコバルト文庫では読んでなくて、
「海がきこえる」もアニメを見たから原作を読んだのだと思います。
読書メモによれば、1997年に読んでまして
それが氷室冴子さんの作品を読んだ初めてだったのです。

それから(大人になっていたので)図書館にある本をちょくちょくと読んでいたけど
膨大なコバルト文庫等の作品をほとんど読んでいなくて
ネットを始めて、ネットを通してお友達になった方に
たくさん、コバルト文庫を貸していただきました。
それでも、氷室作品のほんの少ししか読んでいませんね(^^;
「ジャパネスクシリーズ」
「ザ・チェンジ」
「多恵子ガール」のシリーズ
などなど
エッセイもおもしろいですよね!!


だから氷室冴子さんのファンです
とは、言いにくいのです。
青春時代にコバルト文庫で氷室さんの作品を読んだ人たちには
少し引け目を感じてしまいます(苦笑)

青春時代にコバルト文庫で氷室作品を読みたかったな…(^-^;



前書きが長くなったけど(長すぎ~~)『海がきこえる』は、高知での高校生活と、進学した東京での大学生活を舞台に、わがままな美少女(たち)に振り回される主人公たちの青春物語、という感じでしょうか。
そんな簡単な物語じゃないんだけど(^^;

主人公杜崎拓は松野という親友がいて、成績もそこそこで、先生たちに媚びを売ることもなくプライドを持って、それなりに充実した学校生活を営んでいた。そこに突如東京から、里伽子という美人で成績もよくてスポーツもできる、まぶしすぎる転校生が来ます。
なぜか転校生とかかわり合いを持ってしまう拓。
やがて里伽子を好きになった親友松野との友情にひびが入り…

順調だった学校生活は望まずとも里伽子の出現によって波乱を強いられてしまいました。
そんなほろ苦い思い出を抱えての上京。
拓はそこで偶然里伽子に再会します。

拓の学生生活もみずみずしく描かれ、里伽子のほかにも年上の美女に絡まれてしまい、飽きることがないいろいろな出来事が次々起きる…と言っても突拍子のないことでもなく、等身大の若者の姿が描かれ、なんだか学生時代に戻りたいなぁと思わせられる作品です。

拓は、当時はその言葉はなかったけれども『草食系男子』です。
恋愛小説という側面がありながら、その手の部分はほとんど描かれていません。
だいたい、いつの間に拓と里伽子は、おたがいに名前を呼び捨てし合う仲になったんか??(^^;
友達以上、恋人未満(懐かしい?)そんな感じの関係が、物足りない人もいるかもしれないけど、私は心地よく読めました。

小説は雑誌アニメージュに連載されたそうです。
1993年 単行本化
1999年 文庫化
そのつど加筆修正がなされているようですね。
Wikipediaに
【1993年の単行本化の際には、作者による編集が加えられ、拓と里伽子が高知城前でキスするシーン、拓と里伽子、松野と知沙が四万十川へ泳ぎに行くシーンなどが省かれた。1999年の文庫本化の際には、時の流れによるヒット曲などの変遷(例えばWinkから安室奈美恵へ)により現実と小説にギャップが生じたため、当時の状況に合わせて作者による修正が加えられた。】
キスシーンがもとはあったのか!!
今初めて知ったぞ(^^;
私はないほうで読んでたから、キスの一つもなくて潔い小説だなぁと思ってた。
削ったのか~~。なんでやろ?でも、ないほうがいいな。(^^;
ふたりのそういうシーンは今となっては想像もできない。
カラオケのシーンも文庫で「アムロ」になってるから驚いた。
アニメージュだけに「ガンダム」のことかと思ってしまった(笑)
あと、文庫版のあとがきにマンションの値段を変えたとありましたね。
バブルのころのとんでもない値段をそのまま使えなかったとのことでした。

懐かしい。
ノスタルジーな小説です。
単行本、出て来たらいいのにな(^^;







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【本】あん/ドリアン助川

4591144895([と]1-2)あん (ポプラ文庫)
ドリアン助川
ポプラ社 2015-04-03

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どうしてこの本を読もうと思ったのかな?
何らかのきっかけがあったはずなんだけど思いだせません(^-^;
表紙は女子生徒。でも女子生徒の物語ではありません。
だいじな登場人物ではありますが。
どら焼きを持っています。
どら焼きは重要アイテムでした。

じつは映画の「あん」の存在は知っていました。
そのころ私のポンコツになった読書向きのアンテナにも「和菓子のアン」という本が引っかかっていて、映画の「あん」は「和菓子のアン」の映画化作品だと思い込んでいました。作者も全然違うんですよね(^^;
でも、こちらの「あん」もたしかにどら焼きという和菓子の話だし、ややこしいと思うのは私だけでしょうか?(^^;

話を戻しまして(閑話休題ってやつ)

内容を全然知らずに読んだのですがとてもよかったです。
人生に挫折して(と一言では言ってはいけないと思いますがあらすじとして)どら焼き屋をやっている主人公の仙太郎。
あるとき見知らぬ老女がやってきて、どら焼きの餡を作って、自分をここで働かせてくれと言います。
そんなつもりのなかった仙太郎も、その老女徳江が作る餡子にうなり、いつしか彼女をやとい、その餡を伝授されます。
しだいにお店は繁盛してゆくのですが、とあるきっかけで客足がぱたりと途絶えてしまう。
どら焼き屋をやめ、ほかの店を始めろという店主に、どうしても納得できない仙太郎は、かつての常連のひとりであった女子高生とともに、徳江を訪ねます。
徳江の住んでいる所は…。



ネタバレになりますが…



徳江はハンセン病だったのですね。
ハンセン病とネタばらしになりますが、それを言わないと感想も書けないし、そもそもだいたいがあらすじでそれを言ってしまっていますね(^^;

ハンセン病はほんの少し学習したことがありますが、それはそれはつらい病気だったのですね。
辛いのは世間の差別です。
ハンセン病患者が出たと判明すると、その家は一家離散もありえたぐらい、家族中が差別されたのです。
北条民雄の「いのちの初夜」でもわかりますが(その北条民雄の人生を描いた高山文彦「火花」にも描かれていますが)
ハンセン病と判明すると強制隔離です。
どんな幼い子どもでも、家族からはなされ療養所という名の強制収容所に隔離されます。
その後の扱いは、本書「あん」でも徳江の人生として描かれていますのでここでは言いませんが、ほんとうに壮絶で過酷な人生が待っていました。
どなたであれその体験談を聞くなり読むなりすれば、それはそれは涙なくしては聞けないのですが、その苦しみのもとである「差別」をしてきたのは間違いなく「私たち」なのですよね。
そしてここがまたすごく惨いことなのですが、ハンセン病に対する一般の知識や認識は間違っていたのです。
ハンセン病は感染率も低く、ほとんど感染しないそうです。
遺伝もしません。
発病しても抗生物質で完治します。
19 9 6年に「らい予防法」が廃止されるまで、国の誤った政策は改善されませんでした。
しかし「らい予防法」が廃止されても人々の無理解は続き、患者(完治しているのだから元患者と言うべきですね)の苦しみは続きました。
間違った知識、間違った国策によって苦しめられた人たち。
今もその苦しみが続いています。
徳江もそういう苦しみを背負って生きた人です。
それは惨いと思いますが、さて、自分だったらどうでしょうか。

先日遠藤周作氏の「沈黙」の感想を書きまして、それで思いだしたのですが、遠藤氏の書物の中に(どの本だったか覚えてないのですが)若いころの体験談(だったかな?)として、ハンセン病療養所の慰問に行った時のエピソードが挿入されていました。
慰問チームと療養所チームとで野球をしたというのです。
筆者は1塁を守っていました。
療養所チームが打ち、塁に出ます。
守りのメンバーがボールをとり、一塁に送球。
キャッチして走者にタッチ…が、一瞬ためらってしまったというのです。
触ったら感染する。と言う恐怖に一瞬でも駆られてしまったのです。
その一瞬の恐怖を、そのランナーは見逃しませんでした。
「タッチしたことにしてあげます」みたいなことを言われたとかなんとか。
その若い日の体験が遠藤氏のなかでずっと残っている…うろ覚えですが、そんな内容だったと思います。
それが私たちの姿なんだと思います。

「あん」の中でも、徳江がハンセン病だったと知って敬遠する客たちや、やめさせろと言う店主がいます。
彼らを薄情だと責められません。
自分がその立場ならそうしたのではないでしょうか?

差別は、自分には関係ないと思っているうちはなくなりません。
誰にも差別心があります。
そこに気付かないと何も始まりません。

この「あん」という小説はそれを教えてくれています。

仙太郎は優しい誠実な人物です。気弱な一面があって徳江に押し切られバイトに雇ったり、女子高生に店で騒がれても何も言えず、店主と徳江の板挟みになって困ってしまう、そんな仙太郎が好ましいです。
その仙太郎が徳江との出会いによって再生していく姿も感動的です。
押し付けがましくなく自然体で、ハンセン病に対する思いを表現してあるので、ハンセン病のことを知らない人たちにも良い入門書みたいな役割もあると思いました。

なによりも人生そのものに対する優しさが描かれていると思います。
どんな病気でも、どんな失敗をしても、どんな人間にも、生きていく権利がある。
どんな人にも命は尊いとつたえてくれる、そんな物語です。
仙太郎にエールを送りたくなりますが、それは自分へのエールにもなるような気がしました。

読んでよかった。
ありがとう。









01:11 : [本・タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(4)

【美】酒粕パック

先日から、酒粕パックを試してます。
酒粕を精製水で溶いて滑らかにして、洗顔後にパックするだけ。
いろんなサイトを見て、テキトーに作って、テキトーにパックしてます。
しっとりと滑らかな肌になる・・ような気がします。

情報はたくさんあって、中には
・米ぬか
・ヨーグルト
・はちみつ
なんかもお肌に良いとか。
だから全部混ぜてパックしてます。
分量はもちろん、テキトーです。

しかし、昨日のこと。
とんでもないことが起きました。
きいてください!

そもそも、このパックで気を付けないといけないのは、パックの時間だそう。
パックが乾燥してしまうと、肌の水分を奪って逆効果になるんだって。
それで乾燥する前に落とさないといけないらしいです。

でも、湿気によって乾燥が遅れるのでお風呂でパックすると良いのだと、書いてあるところがありましたので、お風呂につかりながらパックしてました。
30分ほどパックしたままにしてまして、そのあとは洗い流し、お風呂を出たのです。

そして、私は鏡を見て愕然としました!

Σ( ̄ロ ̄lll) 
シワが・・・・
シワが・・・・・・!!!!

くっきりはっきり、深く深く!!刻まれていたのです!!

ええ、それはもう、とんでもないほどに。

新しいシワっていうわけじゃなかったんだけど、
もともとあるシワでしたけど
それでも、それが深くなるのと浅くなるのは、全然、ぜんっっっ・・・・ぜん!!
違います!!!
なんで??
お風呂でパックしてたので、乾燥はしてませんでした。
油断した・・・!!!
痛恨の極み!!!

一瞬絶望した私ですが、すぐに化粧水やら乳液やらナイトクリームを塗り込み、パックシートをあてて15分ほど置き、その夜は寝ました。

朝になったら、深く刻まれたシワは、元の段階まで回復しておりまして、ほっと安堵しました。

酒粕のパック、確かに肌がしっとりとなると思います。(たぶん)
でも、使用方法を誤っては元も子もないと、痛感した次第です。

みなさんも、試してみようと思われたら、パックする時間だけはご注意ください!

現場からは以上です!(笑)



14:52 : [本・タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(3)

3月の読書

3月は2冊・・・・(^-^;
そのうちの1冊は再読。
感想を書くために再読したんだけど、書けないままにお友達に返してしまいました。
お友達、ありがとうございました(*^-^*)






2014年3月の読書メーター
読んだ本の数:2冊
読んだページ数:706ページ
ナイス数:43ナイス

なぎさ (単行本)なぎさ (単行本)
読了日:3月29日 著者:山本文緒
殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件感想
警察の捜査、DNA鑑定、マスコミの報道・・全て信用できない感じがした。今リアルタイムで騒がれている事件も「本当にそうなの?」と疑ってしまう。真犯人を追及しようとする著者の姿勢には(桶川のときもそう感じたが)ひたすら敬服する。警察もこの人ほど頑張って欲しい。一介の記者のほうが有能だなんて推理小説じゃないんだから・・警察組織として恥ずかしくないんだろうか。警察の都合で真実が隠蔽されるなんて市民にはこんな怖いことはない。著者の文体は最初は暑さに引いてしまうが(御免)最後はその熱さが感動を呼ぶ。深く共感した。
読了日:3月4日 著者:清水潔

読書メーター
08:00 : [本・タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】冤罪死刑/緒川怜

4062181673冤罪死刑
緒川 怜
講談社 2013-01-30

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内容(「BOOK」データベースより抜粋)
三年前に発生し、犯人逮捕で終結したはずの少女誘拐殺人事件。だが、その裏側にはあまりにも多くの嘘や裏切り、腐敗や汚職があふれていた。死期を迎えた刑事の告白、目撃証言に挟み込まれた意図、被害者の母の衝撃的告発、そして埋葬された記念品…。事件を洗い直すべく動き出した通信社記者と女性弁護士は、次々と意外な事実に突き当たる。ともに東京拘置所に収監されている死刑確定者と、勾留中の刑事被告人の間には、いかなる接点があったのか。


感想
ぎゅ~~~っとたくさんの事が詰め込まれていて、正直、途中でお腹がいっぱいになってしまい、胃もたれしそうになった。けれど、最後に綺麗に消化できたと言う感じで、かなり良くまとまったミステリーだと思う。
ただ、読み終えてしまうと、余韻がない。。。私は登場人物に魅力を感じることが出来ず、そこにあるドラマにもあまり感動を得られなかった。
テーマはとても重いし、考えさせられることがたくさん含まれていて、社会的にも真剣な問題提起がなされていると思う。なにか・・・惜しい!と言う気がしてしまう。
でも、一読の価値はあると思う。
10:47 : [本・タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】俺は駄目じゃない/山本甲士

4575238228俺は駄目じゃない
山本 甲士
双葉社 2013-05-21

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巻き込まれ3部作と「ぱちもん」が大好きだったけど、「わらの人」を最後にご無沙汰していた山本さん。
このたび久しぶりに手にとって見た。
面白かった!
以前のような毒っ気は抜けてたけれど、主人公の性格をユーモアたっぷりに「見せる」あたりは、さすがの手腕。心の呟きのひとつひとつが面白くて、随所でくすくすと笑えた。

主人公は名井等(ない ひとし)。「余計なことには関わらない」「余計なことはしない」が、生きるモットーだ。それゆえ、平凡に地味に生きてきた。時には理不尽な仕打ちに合いながらも、耐え忍んできたのだ。
ところがあるときふとした拍子に、警察に誤認逮捕されてしまう。
そのことがきっかけで、あらぬ方向にあれよあれよと、望みもしないのに巻き込まれてしまった主人公の顛末が描かれた物語。
「どろ」「かび」「とげ」の巻き込まれ3部作とは、逆の意味での巻き込まれ系の物語と言っていいと思う。

面白いのは主人公等の性格だ。本当に事なかれ主義で、無気力と言うのではないけれど、極力無駄なパワーを使わないようにセーブしている感じ。余計な揉め事を避けるために、嫌なことでも引き受けたり。いいように利用されているのが見え見えなのに、女と別れられなかったり・・少々イライラさせられる場面もあった。

そんな等のところに、ある市民団体(と言っても3~4人の小さな規模)が接近してきて、ブログを立ち上げよと
言う。例によって断れない等は、言われるがままにブロガーとなり、事の顛末をネット上にアップするのだ。
するといろいろな人が訪れ、コメントを残し、管理人(等)とやり取りをし・・やがて、等のブログは大きな波紋を広げていく。ネットの持つ力は確かに巨大だ。

自分の意思とは関係なく社会が沸いて、動いていく。警察にまで大きな影響を与えるとなれば、普通の人間なら多少なりとも功名心が働いたり、いろんな欲が出てきたりすると思うんだけど、この性格の等だからこそ、あくまでも控えめ。そこが等らしくもあり面白い。すぐにキレる若者とは一線を隔している。
こういったドラマでは、弱い男がたくましく成長していくケースが殆どだと思う。
でも、等はいつまで経ってもあまり変わらない。あくまでも「事なかれ主義」で・・・そこがまた面白かったんだと思う。
それに、激変はないけれどほんの少し変わっていくところも良かった。

象徴的なのが表紙のイラストである。サラリーマンのボクシング。
じつは等もボクシングを習っていたが、その性格ゆえに、防御は出来ても攻撃が出来ずに、結局ボクシングをやめてしまった。
だけどそのとき、会長が「ここで積み重ねたことは、いつか役に立つから」と言う。
その言葉は、なにもボクシングの技術だけの話ではないと思う。等の人生そのものが「それまで積み重ねたことがムダではなかった」と言える人生になっているのじゃないか。結局、弱虫だヘタレだと思ってたけど等は、折れにくいしなやかな柳そのもの。


素晴らしい、よく出来た人間でなくてもいい。
駄目じゃない、それだけで十分だよ・・
そして、自分を「駄目じゃない」と思えることが大切なんだ・・・
そんなメッセージを受け取った。
とても清々しい気持ちになれた一冊。オススメ。



ちなみに、主人公の等は、中学のときに「など」「ら」とあだ名をつけられからかわれたと言うけれど、私も読むときついつい「など」と読んでしまっていたことを・・反省・・(^_^;)
21:45 : [本・タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】アトロシティー/前川裕

4334928730アトロシティー
前川 裕
光文社 2013-02-16

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タイトルの意味「アトロシティー」とは、「アトロ」な「街」ではなくて・・・(^_^;)
atrocity→
1【不可算名詞】 暴虐,非道,残虐.
2【可算名詞】 [通例複数形で] 残虐行為,凶行.
3【可算名詞】 《口語》 ひどいもの,悪趣味なもの.
だそうです。(Weblioより

「クリーピー」が面白かったので、こちらも手に取った。「クリーピー」は面白かった割りに内容をあまり覚えてなくて・・・。自分の感想を見返してみても、いまいち内容が分からない・・(^_^;)
ネタバレ回避で感想を書いていると、私みたいな文才のない人間には、ちゃんとした文が書けません。とほほ。。。


「私」は一こまだけ大学で講師として教えている、本業はフリーランスのライターだ。
依頼を受けて記事にしたのは、母親と幼子の孤独死。生活苦の末に水道まで止められて餓死してしまったという。同時に、自分の住むアパートの隣室では、悪質な訪問販売に居座られ困っていて、「私」は助けを求められた。
隣の住人の伝で知り合った刑事に、ある事件について極秘に協力をすることになった「私」は、世間を震撼させたある事件に近づいていく。

いくつもの事件が交錯する。中でも印象的なのは、実際にあった事件をモデルにしたもので、若い男女数人のグループがあるアベックを拉致し、酷い虐待の末二人ともを惨殺したというもの。
その昔の事件が、本書の中でどう絡んでくるかは読んでいただくとして、主人公がその犯行グループのメンバーに接触してインタビューするくだりなどは、とてもリアルで印象深かった。
親子の孤独死にしても、悪質な訪問販売にしても、現代社会が抱える重篤な闇の部分と言え、とても興味深いテーマであり、上手く小説に取り込んでいるなと思った。
かなりの吸引力で(文体も私の好み)ぐいぐいと読まされた。

がしかし・・。

中盤以降がつまらない。はっきりと言いすぎかもしれないけど言う、あえて。
あまりにも普通のミステリーになってしまって平凡極まりない。
気になっていた事件のほうも、あれ?と思っている間に終わってしまい、いつのまにか「主役」が変わってしまった様な、目をそらされたような、なんだかうやむやなイメージになってしまった。
犯人の行動も腑に落ちないと思う。犯人なれば発覚しないように出来るだけ距離をとろうとするはずなのに、なぜにわざわざ余計なことをしたのかと言う感じ。それをしなかったら見つからなかったんじゃないのかな、と思う。

でも、全体としては好みなので、また次も読ませていただきたいと思う。
期待しています。

17:50 : [本・タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】アニバーサリー/窪 美澄

410325923Xアニバーサリー
窪 美澄
新潮社 2013-03-22

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内容紹介(Amazon)
子どもは育つ。こんな、終わりかけた世界でも。七十代にして現役、マタニティスイミング教師の晶子。家族愛から遠ざかって育ち、望まぬ子を宿したカメラマンの真菜。全く違う人生が震災の夜に交差したなら、それは二人の記念日になる。食べる、働く、育てる、生きぬく――戦前から現代まで、女性たちの生きかたを丹念に追うことで、大切なものを教えてくれる感動長編。

感想
晶子と真菜、二人の人生の交錯。最初はまるで無関係なその人生を、それぞれじっくり丹念に描く・・・というパターンは「晴天の迷い鯨」を思い出させた。そして、「晴天の迷い鯨」では、過干渉の毒母が登場したが、今回は放任の毒母が登場。種類の違いはあれど、同じく毒親と言う点で、これも良く似た印象を受けた。
ひょっとして著者も同じように親との間に何かがあって苦しんでるのかな?
うがち過ぎかもしれないけど・・。
そしてこのひとはR18の人だったと思い出した。
後半部の真菜の話が印象深く、それを読んでいるときには晶子の人生は薄れてしまった。
しかし、それぞれをきちんと描いたから二つの人生が交差するときに説得力があった。
11:19 : [本・タイトル]あ行トラックバック(1)  コメント(0)

【本】美しい家/新野剛志

4062181800美しい家
新野 剛志
講談社 2013-02-06

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作家の中谷が出会った女、亜樹は、子供のころスパイ養成学校にいたと言う。
中谷と編集の小島が調べていくと、それは過去に世間を騒がせた、とある「集団」に行き着いた。
やはり「集団」で育った友幸は、「教授」と一緒に、「黄金の里」に行きたいと願って、当時の集団のメンバーを探して歩く。
はたして「スパイ養成学校」とは?「黄金の国」とは?



スパイ養成学校なるものが、本当にあったんだろうか、と、とてもミステリアスで一気に物語りに釣り込まれた。
作家の中谷が拾った亜樹が、すごく癇性な感じ(笑い方からして)それもなんとなくミステリアスな雰囲気で、仏壇の写真の段では、思わず背筋が寒くなった。
また中谷自身の過去、姉が巻き込まれた事件のことや、中谷の家庭事情、娘とその友達とのやりとりなどが挟まれて、それもまた興味がわいた。
いろんなことがてんこ盛り状態で書かれているのに、散漫にならず、どこをとっても、それぞれが面白く感じた。
ある点までは・・・。

以下ネタばれです。











中谷がまさか、あのような結末になるとは、本当にびっくりした。まさか!!だった。そういう点では確かに、意表をつく展開だったと言えるだろうけれど、個人的にはガッカリしてしまった。とても残念で、脱力感が強かった。
どうして、そんな運命をこの作家に与えたのか。せっかく、作家として再び小説を書く意欲がわいてきたというのに・・・。小島の喜びようにも胸が温かくなる感じがしたのに・・・。
思えばそれが死亡フラグだったと言うことか。
だいたい、自分の姉も事件で行方不明、おそらく死んでいると。姉と事件当夜一緒にいた友達も、事件で死亡。事件で死ぬ人間ばかりで、偶然にも程があるだろうと思った。
「スパイ養成学校」の実態も、分かってみれば案外平凡で(実際に巻き込まれたら平凡なんて言っていられないが)な~~んだ・・・みたいな、期待したほどの衝撃的な真相じゃなかった。まぁ、本当にスパイ養成学校があったとなると、小説の趣が違ってしまうわね(^_^;)SFっぽくなってしまうからね。こちらのほうがリアルと言えばリアルなのかもしれないけれど・・。
中谷の娘などは、中谷の死後、何をどう感じたんだろう。何も触れられてなかったけれど、気になった。
ともかく、中谷が死んでからは、イマイチ物語に魅力を感じず、「スパイ養成学校」で起きた殺人事件の真相が、どうでも良くなってしまった(^_^;)


23:02 : [本・タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】海のイカロス/大門剛明

海のイカロス
海のイカロス大門 剛明

光文社 2013-04-18
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内容(「BOOK」データベースより)
東日本大震災と原発クライシスをきっかけに、クリーンエネルギーへの注目が高まっている日本。海流を利用する「潮流発電」も、世界に先駆けて、実用化が近づきつつあった。第一人者である正岡周平は、真摯に愚直に、研究と実験に没頭している。しかし、彼の心には、資金難による研究の行き詰まりで自ら命を絶った、ひとりの女性の面影が棲み続けていた。彼女の死の本当の原因がわかったとき、哀しみと怒りが塗り込められた、驚くべき犯罪計画が動き始める…。


読むたびに違うジャンルに挑戦されてて、本当に幅広くて飽きさせないなぁと思う。
最初のころには読み辛く感じた文章も、今はすっかり読みやすい。
社会派ミステリーと言うジャンルにこだわる心意気も伝わる。
今回のテーマは「自然エネルギー」だ。
潮力電力って、この小説を読むまで知らなかった。

その潮力発電の実用化に向けて研究開発、実験の末に、実用化を現実のものにしていくのが主人公。
主人公には、ずっと心ひそかに思いを寄せていた女性がいたが、彼女は数年前に自殺してしまった。彼女もやはりこの研究にまい進していたのだ。彼女のためにも、主人公は潮力発電の実験にのめりこんでいた。
しかし、彼女の自殺の原因を知ってしまった主人公は、復讐の殺人を企てる。
はたして、それは完全犯罪になるのだろうか。

実は、読み終えた本を図書館に返してしまい、手元に本がない・・!!(^_^;)
まいどながら、買わずに図書館本でゴメンナサイ・・。

読んでるとき、主人公の「復讐してやる!」と言う気持ちに、とても共感した。
ぜひとも復讐を果たさせてあげたいと言う気持ちになった。誰にも邪魔させたくない。誰にも見つかって欲しくない、追求させたくない・・と思いながら読んだ。
だからこそ、主人公の計画が穴だらけに思えてガッカリしてしまった。
ただし、オチには納得・・・かな?

ネタばれです→「これ、殺人?未必の故意ってことはないんだろうか?





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