【映】THIS IS IT

余計な言葉は要らない。
カッコいいの一言、それだけあれば感想に足りる。
★★★★★
とは言え、言いたいことがたくさん。
それでも一言で言うなら(笑)、迫力に圧倒されました。
スリラーとかビリー・ジーンとか、有名な歌は私も知ってるけど、特にマイケルジャクソンのファンじゃなく、どちらかと言うと「奇矯(エキセントリック)」と言うイメージを持っていました。今回の突然の死亡も「ひょっとして自殺?」と思ったほど。
でも、この映画を見たらほんと、すごい人だったんだなぁ・・と。
ダンスはyoutubeで見てましたが、改めて大画面で見ると迫力が違う〜。
頭の頂上から一本の糸か棒が出て、宙からその糸か棒で支えられているように、軸のぶれないダンス。何気ない一挙一動が「ピシ!」「パキ!」とすべてキマっている・・・・と、きっと改めて書かなくてもいいんだろうけど。声、ダンスとも、その美しさに泣けてくるほどでした。
また周囲のダンサーやミュージシャンたちの中でのマイケルの圧倒的な存在感、カリスマ性も垣間見られて、人をこんなに惹き付けるその人物の大きさや魅力を改めて再認識。奇矯・・などと言ってゴメンね(^^ゞ
リハーサルの中でもとことん細部にこだわり、妥協しない様子からは、ステージに掛ける意気込みやファンへのサービス精神も見えました。
「怒ってるんじゃないよ、これは愛なんだ」と言っていました。スタッフなど周囲の、マイケルへの気の遣いかたは半端じゃなく、腫れ物に触るように「こっちの言うことを聞いてくれてありがとう」連発だったので、いつ怒り出すのか?ちょっとしたことで、へそ曲げちゃうのか?と言う感じはしましたけど、実際にへそ曲げてるところは見えず、怒る場面はほとんどなくて、寛大な感じにも見受けました。
コンサート、あそこまで舞台装置や映像やダンサーたちとのリハーサルも出来ていて、それなのにその直前で死んでしまったんですね。改めて、気の毒でたまりませんでした。すごく無念だったろうな〜。キャストや周囲の人たちの落胆も想像に余りありましょう。
あそこまでかかったお金も半端じゃなかっただろうに・・と下世話なことまで考えてしまう。費用は回収できるの?と余計なお世話ですが本気で心配になりました。映画を見てそのお代金が微々たりとも一部になるんでしょうか?(~_~;)。うまいこと出来ていて私なんぞが心配しなくても良いんでしょうけど、チラッと思えてしまいました。
ともかく感動的。
ブロードウェイ・ブロードウェイ」と言う「コーラスライン」のオーディションから練習風景を扱ったドキュメンタリーがあるのですが、他の人も言ってるけど髣髴としました。見てよかったです。もう一度見たいぐらい素晴らしかった。。。

thisisit

11:57 : [映画タイトル]英数トラックバック(0)  コメント(2)

【映】私の中のあなた

うーん、泣ける!と聞いて出掛けましたが、やっぱり泣けました。(この場合、泣けるというのは、可能動詞じゃなく自発動詞で・・)
★★★★
アナは、白血病の姉、ケイトのドナーとなる為に遺伝子操作で人工授精して生まれた子ども。11歳になるまで、臍帯血移植に始まり、自身も感染症にかかるほど過酷な治療を受けてきたが、いよいよ腎臓移植と言う段階に来て、拒否する為に親を訴える。
と言う物語。で、本当に具合の悪くなったケイトの回想シーンを含め、ともかく14歳で過酷な病気と闘っている少女の姿に涙涙。自分にも同じ年頃の娘がいて余計に。
自分だったらどうするだろうなー、と考えながら見ました。親として、姉妹として、ドナーとして、レシピエントとして・・・色んな立場から考えさせられましたが、やっぱり母と娘の関係にぐっと来た。
と言っても、母親に共感できたわけではありませんが。。。。共感できなかったからと言って反感を持ったのかというと、そうは単純な話ではなく、想像の範囲外でしかないのだから共感も反感もないと言うか気軽に言えない感じです。
その中で一番考えさせられたのは妹の立場。
姉への臓器移植を強要される、断っても後悔し、受けても後悔しそう。どちらにしても幸せになりそうにない・・生まれてくる以前にそういうことが決められているなんて・・・断わろうが受けようが残酷な選択ではないのだろうか。。と思って、グルグルとこの妹の気持ちを考えていました。
ちょっと帚木さんの「エンブリオ」を思い出したんだけど・・。やっぱり今後は救命第一ということで、こういった治療も一般化していくのでは?と思ってしまいます。技術があるのなら、そして、命が助かるのなら・・ひとはきっとどこまでもやると思う。果たしてそれは正しいのか否か。自分には答えが出せないとても深く難しい問題。
だから、この映画はどんな結果で終わるんだろう?と、ものすごく期待した。自分に出せない答えを出してくれるんだろうか?と。
しかし、上手くはぐらかされてしまいました。
でも、映画だからこれでいいんだろうなと言うことで。
幼い恋心、相手のテイラーくん、ターミネーターのテレビ版?で、ジョン・コナーの役をやってるんだそうで。映画の中であの風貌なので、実際はどんな顔なのかすごく気になりました。ちょっと好みとは違った。でも、「ターミネーター3」のジョンよりは・・・(笑)。
watasinonakanoanata
11:47 : [映画タイトル]わ行トラックバック(0)  コメント(1)

【本】無理/奥田英朗

無理
無理
文藝春秋 2009-09-29
売り上げランキング : 135

おすすめ平均 star
star奥田ワールドのダークサイドが来ました。
starラストが秀逸
star確かに面白かったが・・・

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3つの町が合併してでできた人口12万人のゆめの市。
古くからある商店街はさびれ、国道沿いの「ドリームタウン」が唯一の盛り場だ。この街で暮らす5人――県庁職員だが社会福祉事務所に出向し、生活保護支給業務などを担当する相原友則、東京生活を夢見る女子高生の久保史恵、詐欺まがいの商品を売りつけるセールスマンの加藤裕也、スーパーの保安員をしながら新興宗教に救いを求める堀部妙子、県議会に打って出る腹積もりの市議会議員・山本順一――が鬱屈を抱えたまま日々を送り、やがて思いがけない事態に陥っていく。奥田ファン待望、『最悪』『邪魔』以来となる渾身の群像劇です! (文藝春秋社公式サイトより)

私が暮らす町は、ゆめの市ほどは田舎じゃないと思うけれど・・まぁまぁ似たようなもんだろう。だからこの小説のあちこちで「わかるー!」と何度も共感しました。とてもリアルにそのあたりのことが書かれていて、奥田さんさすがだと思います。ゆめの市の現状は、小説の中だけと楽観できるものじゃなく、いつかはわが市にもやってくる未来・・のような気がする。重苦しい気持ちになりながら読みました。特に「介護」がテーマのある登場人物。年齢的にも彼女が一番目を引いたような気がします。
Amazonのレビューでは、評価がかなり分かれているようだけど、それも分かる。一気に読まされるだけの吸引力があるのは本当だけど、その登場人物たちがどうやって物語りに「オチ」を付けていくのか・・と言う部分で、少々期待はずれだったかも。そこに「無理」を感じた次第。
21:01 : [本・タイトル]ま行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女/スティーグ・ラーソン

4152089830ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上
ヘレンハルメ美穂
早川書房 2008-12-11

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4152089849ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 下
ヘレンハルメ美穂
早川書房 2008-12-11

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巷で「メッチャ面白い!」と話題のミステリー。読んでみました。
すっごく面白かったです!感想って言ったら「面白かった!」としか言えないぐらい面白かったです(笑)。
主人公は、ミカエル・ブルムクヴィスト。雑誌「ミレニアム」のジャーナリスト。宿敵ヴェンネルストレム(大物実業家)の記事を書き、名誉毀損で訴えられ有罪に。その折、ヴァンゲル・グループ前会長のヘンリックがミカエルの立場と人物を見込んで、36年前に死んだ(行方不明になった)自分の姪ハリエットを探してくれと言う依頼をする。
ヘンリックに依頼され、ミカエルの身辺調査をしたのは、ドラゴン・タトゥーの女、リスベット・サランデル。彼女の人並みはずれた優秀さを見込んで、ミカエルは彼女を「仲間」に加える。
果たして、ヘンリックの依頼は成就されるのか。

・・・ともかく、最初はやっぱり読みづらくて、読むのをやめようかと思いましたが、リスベットの登場あたりから、あるいはミカエルにヘンリック側が接触してきたときから、俄然面白くなってきて一気読み!これから読む人には、万が一最初面白く感じなくても、どうかその辺まで我慢して読んでみてと、言いたいです。
ミカエルと言う人物も好感が持てるんだけど、やっぱり何と言ってもリスベットですね。男の上司に女の部下・・みたいな形で、「ライムシリーズ」を思い出すんだけど、こちらは頭が断然回るのが女性で部下の立場のリスベットなんです。頼もしいことこの上ない。彼女の活躍を見るにつけ、胸がすく感じがします。
しかも、彼女はとても複雑な背景を抱えていて、ただ頼もしいなどと胸がすく活躍を楽しむだけではなく、アンバランスな危うさに目が離せません。
二人のコンビがともかく、いいです。
ミステリーとしてもとても面白く、まぁ正直に言えば、そこまでビックリするほどのオチでもないんだけど・・・でも、ドキドキハラハラ、一体真実は?と、ミステリーを読むときには大事な部分がキッチリ押さえられていて、大変に楽しませてもらいました。
難点は、人物名が難しいことかな(笑)。スウェーデンのミステリーだそうで、だから耳馴染みのない変な名前が多いのかな?まぁ慣れれば問題なし。
今から、第二部を読みます。楽しみ♪

20:44 : [本・タイトル]ま行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】怪魚ウモッカ格闘記―インドへの道/高野秀行

怪魚ウモッカ格闘記―インドへの道 (集英社文庫)
怪魚ウモッカ格闘記―インドへの道 (集英社文庫)
集英社 2007-09-20
売り上げランキング : 62180

おすすめ平均 star
star最低の詐欺本
star凄いです、これ
star冒険家の末期

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ネタバレ注意!

Amazonの評価を見ると、★がひとつなんていう辛口もあり「詐欺」と言う言葉も見られますが、それはありていに言うと、この本では高野さんがインドまで行っていないからです。インドまで行くと思って本を手に取ったら、ガッカリする気持ちは分かります。私は前もってそれを知っておいて読んだので、ショックはなかったし面白く読むことが出来ました。
どうしてインドまで行けなかったのか・・ということは本書を読んでいただくとして、私としては今までUMAを探してきた高野さんの本を数冊読んだけど、これが一番「未知生物発見」「新種発見」に近いのではないかと思いました。だからいま、この本の続きが出るのやら出ないのやら、高野さんがインドに行ったのやら行ってないのやら、その後の事は分かりませんが、ともかく続きが楽しみです。
絶対にいる、ウモッカ。ガンバレー!!
それと、多分「西南シルクロードは密林に消える」あたりを読んでいれば、なぜ高野さんがインドに行かれないのか、もっとはっきりとした成り行きが分かるのじゃないかな?と思います。
これ、文庫落ちして今月講談社文庫から発売予定だそうです。
高野さんご本人のあと書きも加わってるみたいで・・。
楽しみ〜〜♪

4062112329西南シルクロードは密林に消える
講談社 2003-03

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20:17 : [本・タイトル]か行トラックバック(0)  コメント(0)

【映】ボビーZ

B0013LF1WMボビーZ [DVD]
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 2008-04-23

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そろそろ、ポール・ウォーカーもネタが尽きてきました。これがラストか?

ポール・ウォーカーの演じるティムと言う男は、運も悪いが喧嘩っ早く素行悪く、いつもいつも塀のうちで暮らしている身分。もう外に出られそうもないところ、麻薬捜査官クルーズ(ローレンス・フィッシュバーン)の誘いに応じてある役目を果たす事に。それはカリフォルニアで伝説になっている麻薬王の「ボビーZ」に成りすまし、メキシコの麻薬王、ドン・ワテロと人質交換の取引をすることだった。しかし、実はその裏では、クルーズがある姦計をめぐらせていたのだった・・・。

★★★
感想としては、もっとハードボイルドなカッコいい作品かと期待していたんだけど(たとえば、「ワイルド・バレット」のような)・・・なんとも、軽いコメディータッチの明るいサスペンスアクションで、少々拍子抜け。だいたい、麻薬王のボビーZに成りすますとか言う設定が違和感。敵地に乗り込むとそこには、自分の元恋人がいたり、自分の仕事上のパートナーに電話してそれでもばれないとか設定がお粗末過ぎる感じ。
しかし、ポール・ウォーカーを見ると言う目的でなら、とても満足。やはりカッコよかったです。ライフルが乱射される中でも当たらず逃げ延びるとか、強面屈強な用心棒よりも強かったりとか、首を傾げる場面も多かったけど、それはもう「そういうこと」にして楽しみました。
あと、ラブシーンが無駄にないのも良い。ベッドシーンがあるかと身構えたけど、なかった。その点上品な感じに受け止めました。グッド。子どもが出てたからかも。その子があんまり可愛くなくて(性格も)でも、ラスト、小気味の良い終わり方だったので見終えたときの気持ちはとても良かったです。ま、いいかー!見たいな感じ。



今回、まとめてポール・ウォーカーを見まくりましたが、映画「ワイルドスピードMAX」を含めても、わたしの中で作品の順位を付けるなら

1:ワイルド・バレット
2:イントゥ・ザ・ブルー
3:ワイルド・スピード×2
4:南極物語
5:ノエル

と言うところですかね。「ワイルド・スピード」シリーズは、1を見たのがずいぶん前だし、新作の「MAX」は映画館で大半寝てしまったし汗、自分としては2が一番面白く感じました。
その他の出演作品は以下の通り。「シーズ・オール・ザット」と「タイムライン」は見たことあります。
「父親たちの星条旗」なぜか見る気にならずスルーしていたけれど、また機会があれば見てみようかな・・・。「ロードキラー」「ザ・スカルズ/髑髏(ドクロ)の誓い 」も、またいつか借りてみようと思います。
ところで、「ワイルドスピードMAX」を一緒に劇場で見た夫が、ポールの事、定岡正二氏に似ていると言うの。。。定岡さんもカッコいいけどさー・・・なんだかなぁ(笑)。
ま、次作も楽しみにしています。定岡さんじゃなくポールのね(笑)。


ワイルド・スピード MAX (2009)
ボビーZ (2007)
南極物語 (2006)
父親たちの星条旗 (2006)
ワイルド・バレット (2006)
イントゥ・ザ・ブルー (2005)
NOEL ノエル (2004)
ワイルド・スピードX2 (2003)
タイムライン (2003)
ワイルド・スピード (2001)
ロードキラー (2001)
ザ・スカルズ/髑髏(ドクロ)の誓い (2000)
バーシティ・ブルース (1999)
シーズ・オール・ザット (1999)
カラー・オブ・ハート (1998)
ディードル・ブラザーズ/悪ノリ双子の大作戦 (1998)
殺人サイボーグ/リタリエーター (1987)
モンスター・イン・ザ・クローゼット/暗闇の悪魔 (1987)

allcinemaより)
17:26 : [映画タイトル]は行トラックバック(0)  コメント(0)

【本】悪党/薬丸岳

4048739743悪党
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-07-31

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主人公の佐伯修一は元警察官だけど不祥事を起こして退職し、今は探偵事務所に勤めている。
その探偵事務所にあるときひとつの依頼が来た。自分の息子を11年前に殺した男、坂上が今、どうしているのかを調べて欲しいと言うものだった。当時少年だった坂上は、2年間少年院に収容されて出院している。いまだに坂上の罪が贖われたと思えない依頼主は、坂上を赦すか赦さないかを「知りたい」と言う。。。。

実は主人公の佐伯修一も、過去に肉親を犯罪でなくすという過去を持っています。過去とは言っても修一にとってはその苦しみや悔しさなど、あらゆる感情はそのままであり、まだまだ「過去」の話ではない。この探偵事務所に来るそういう依頼「犯罪者のその後を追う」と言う依頼に答えつつ、自分のいまだに癒えない苦しみや憎しみと向き合って行く修一の姿をとおして「贖罪とは」「赦すとは」など、考えさせられる物語でした。
赦す・・・とは、一体どう言うことだろう?
たとえば、裁判を受け量刑にあった刑を執行される。
5年間の実刑判決を受けるとすると、その5年が過ぎたら社会的には赦されているわけでしょうか?だけど、この本の中で被害者の肉親たちは、5年過ぎても犯人を赦す事ができない。それならば、犯人は赦されていないのか?誰が赦せば犯人は赦されるのか?社会が赦すとき?被害者遺族が赦すとき?ひょっとして神が許せば贖罪は終わるのか。(韓国映画の「シークレット・サンシャイン」はそんなところを深く問題提起していたので、本書を読みながら思い出した)そんなことをグルグルと考えながら読みました。
人の命を奪ってしまう、それは殺人事件だけじゃなく、事故でもあるし、殺意がなくて致死に至る場合もある、この本では「犯罪」に限られていたけれど、命を奪われて「赦せない」と思っている人たちは沢山いると思います。赦せないというか・・・家族を亡くした悲しみなんかは、どうやっても癒されないのじゃないかと思いますね。たとえば交通事故・・・まだ先のある人生を奪われた本人も、あるいはその事故で母を喪った子どもたちの悲しみは・・・いったい、赦される事か?
私はやはり、赦される事はないのではないか・・その罪は一生背負っていくべきじゃないか?と思っています。だけど、それは一体どう言うことなのだろうな、どう言う状態が逆に「赦されていない状態」なのだろうな・・・。
本書はそんな深いところに訴えてきた感じがしました。
修一は、本書の冒頭にあるように、肉親を犯罪で喪います。その苦しみ悲しみが読んでいて辛くて、かなりリアルに迫ってきました。
修一と坂上、そして修一の探偵事務所の所長である小暮、またキャバクラ嬢の冬美など、自分を取り巻く人たちとの関係のなかで、答えを見つけ出していく修一の姿に胸を打たれました。
事務所への依頼ごとの連作短編の形を取りながら、ひとつのテーマの答えを見つけていくという形ですが、とても心に残る一冊になりました。
ミステリーとは言えないのじゃないかと思いますが、一貫してこう言うテーマ・・・「少年犯罪と、その後」と言うものを扱い続ける著者の姿勢にも好感が持てます。また次作も期待しています。
10:26 : [本・タイトル]あ行トラックバック(0)  コメント(1)

【本】新参者/東野圭吾

4062157713新参者
講談社 2009-09-18

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日本橋。江戸の匂いも残るこの町の一角で発見された、ひとり暮らしの四十代女性の絞殺死体。「どうして、あんなにいい人が…」周囲がこう声を重ねる彼女の身に何が起きていたのか。着任したばかりの刑事・加賀恭一郎は、事件の謎を解き明かすため、未知の土地を歩き回る。 (「BOOK」データベースより)
日本橋署に配属になった加賀刑事が、下町情緒あふれるその町で地道に聞き取り調査をして、土地の人と触れ合いながら事件の真実に近付いていく連作短編集です。
一話一話の落とし方が人情味にあふれていて、ホロリとさせられる物語ばかりで、後味のいい作品です。
ただ、ミステリーとしては甘口。事件解決までがじれったく思えました。
もうすこしパンチが欲しいな・・・東野さんはやっぱりハードルが高い。
14:15 : [本・タイトル]さ行トラックバック(0)  コメント(2)

【本】預けたお金を返してください!―/矢吹紀人

4871540855預けたお金を返してください!―ドキュメント・銀行の預貯金過誤払い責任を問う
ひまわり草の会(被害者の会)預貯金過誤払被害対策弁護団
あけび書房 2009-07

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ある日銀行でいつものように記帳しようとする。はて、通帳が見当たらない。
とりあえずキャッシュカードで残高を確認する。その金額をみると不思議な事に残額が「0」と表示される。何かの間違いかと思い窓口に尋ねる。
窓口の行員は言う。「昨日、全額お引き出しになられました」と・・・。
そんなはずはないと食い下がると、行員は「お客様相談室」に案内した。
そこで言われたのは「ご家族の誰かがお金に困って黙って引き出されたんじゃないですか。納得いかないのなら警察に行って下さい」・・・と言う信じがたい一言だった。
打ちのめされながら警察に行くと、「またあそこの銀行か!」と呆れた様子。
どうやらこの手の被害が多発しているもよう。それなのに、銀行員は易々とお金を渡してしまったのか。印鑑は貸し金庫に預けてあり、安全だと思っていたが・・・。
その後の銀行の態度も、警察の態度もとても被害者に親身になっているとは言いがたく、意外にも盗まれた通帳から引き落とされたお金は、銀行側に落ち度がなければ返金の義務がないそうだ。
そのようにうたわれている民法487条が存在する為に。
被害者は泣き寝入りするしかないのだろうか。

と言う、冒頭のショッキングなケースを読んで、背筋が凍る思いがしました。
そして読み進めるうちにもっと恐ろしくなりました。
二つの意味で恐ろしいです。
ひとつは、もちろん、知らないうちに通帳やカードを盗まれ貯金を引出されてしまうと言う犯罪被害に対する恐怖。ドアをピッキングで開ける、物色して易々と通帳を盗む。印鑑をスキャンなどして簡単に偽造する、カードは3分あればスキミングして、暗証番号も分かってしまう。これらは自分が知らないうちに行われる・・・。と言う恐怖。
もうひとつは、「被害者」でありながらも、誰からも守ってもらえず、あまつさえ銀行警察両機関に不誠実極まりない態度で傷つけられてしまうという恐怖。
被害者の「安全だと思って銀行に預けているのに・・・!」と言う悲痛な叫びが胸に痛いです。
たとえば、預金者が60歳とか65歳なのに、窓口で現金を引き出したのは30代の男。(防犯カメラで確認)なのに、窓口行員は本人確認もせず大金を渡している・・とか、自分の誕生日や住所を書き間違えても渡している場合もあるし、不審に思って深く追求しようとして、その「犯人」に逃げられても、通帳の持ち主に何の連絡もしないとか・・・杜撰なことが書かれていて、言葉もありません。
被害を訴えても
「本当に盗まれたの?落としたんじゃないの?」とか
「アルツハイマーってこともある」とか
「あんた、若い娘なのに1000万円も良く貯めたね」とか
・・・銀行さん、その態度はないでしょう?と、言いたくなるような話が満載で、空恐ろしいです。
ちなみに、「預貯金過誤払い問題」と言います。

そして、薬害エイズの訴訟に関わった弁護士たちを中心に、(じつはこの弁護士さんたちも被害にあっており、数少ない原告勝訴を勝ち取っている)2002年「預貯金被害110番」が立ち上げられました。
被害者が一縷の望みを託してここに接触して、(その数の多さに驚く。電話が鳴り止む事がなかったようです)被害者のつながりができ、その輪が広がり、集団訴訟へと発展していきます。
被害者の人たちは、「ちゃんと通帳やカードを管理していなかったから悪いんだ」と言う中傷を受けることもあったようですが、被害者が訴えなければ世の中は変わらないと、その一心で奮起しされたようです。
それまでの裁判の判例から、原告が勝訴するという事はとても稀有なことであり難しい事だったそうですが、弁護士さんたちの知恵と働きで、法律を変えることに成功するまで、被害者の人たちの戦いを本書の後半で書いてあり、ドラマよりもドラマティックで手に汗を握る展開。真実は小説よりも感動的です。それにしても、その甚大な苦労と言うかパワーと言うか・・・。頭が下がると同時に、ここまでしないと、保護されないなんて変だろう・・と言う疑問が。
たとえば、クレジットカード会社などは、カードの盗難の場合には全額補償するそうで、通帳よりもキャッシュカードに対してはもっと頑なに被害を認めない銀行って・・いったいなんだろう?と思ってしまいます。
憎むべきはたしかに、「泥棒」なんですけどね。
「預金者保護法」が法制化されたといっても、今後も被害は後をたたないだろうし、明日は我が身かもしれません。一読の価値ある一冊です。

ホームページ「ひまわり草の会」盗難・偽造キャッシュカード被害者の会
預けたお金を返してください!―ドキュメント・銀行の預貯金過誤払い責任を問う
/矢吹紀人 ひまわり草の会(被害者の会)預貯金過誤払被害対策弁護団

キャッシュカードがあぶない
キャッシュカードがあぶない
文藝春秋 2004-12
売り上げランキング : 398951

おすすめ平均 star
star自己管理の重要さ学ぶ
star具体的被害が、分かりやすいです
star新聞報道だけでは分からない部分が明白に

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【本】IN/桐野夏生

4087712982IN
集英社 2009-05-26

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今は亡き純文学作家緑川未来男の私小説「無垢人」の中に登場するある女性(○子、と表記され、この作家との不倫で作家の家庭を破綻させた)をモデルにして、自分も「淫」と言う小説を書こうとしているタマキ。○子の人物像が自分の書こうとしている小説のキィになると考えから、当時を知る人たちを訪ね歩き、○子の正体を探ろうとする。緑川の小説や、緑川を知る人の回顧録をはさみながら、清算したはずの自身の不倫を引きずっているタマキの懊悩が描かれていく。○子の正体はわかるのか、タマキの気持ちに決着は付くのか。。。。。

タマキと不倫相手の青司の恋愛もよう、ドロドロとした深い内部の絡み合が夏野さんらしく見事な心理描写で描かれていて釣りこまれてしまいましたが、私の中でリアリティを感じなかったのは、あまりにもタマキの「家庭」が描かれていなかったから。
不倫相手とこれだけの修羅場を演じてきたのなら、きっと家庭内の葛藤もすごかったはずなのだけど、意図的にとは思うけどサクっと削除されている。家庭人から見れば、それは有り得ないのです。それをすっ飛ばして物語が成り立つとは思えない。
逆に、緑川なる作家が書いた「無垢人」の中にそれが「これでもかー!」と言う程に描かれているので、多分タマキのほうは書かなかったのかなと邪推しています。
でも、それによって、どこか「夢物語」のような感じがしていると思いました。
最後までとても面白く(興味深く鷲掴みされ)読みましたが、終わってみればまたしても桐野さんらしく、ぽいっと荷物を預けられたように、え?このあとこれをどうするの?と言う戸惑いが残ります。
いつもそうなんですよね。


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