ひさしぶりに本の感想を書きたいと思います。
とてもとても面白い本で、読み終えてすぐに再読しました。
理科が苦手で苦労した私にもとても分かりやすく面白く書かれています。
タイトルの通り植物のことが書かれています。
地面に根を張って、動物のように動き回ることができない植物。
かれらはそこで与えられた条件や環境にただ身を任せているわけではないというのです。
動き回れないからこそ、いろいろな戦略を駆使して生存競争に打ち勝ち、そこに咲いているというのです。
冒頭で紹介される話のなかに、セイタカアワダチソウのことがありました。
私が子供のころセイタカアワダチソウはとても勢力があり、その花粉が喘息の原因だとか言われていました。
うちの母親が成人してから重い喘息持ちだったので、しばらくはセイタカアワダチソウのせいだと思い込んでいたのです。
どこをみても大きなセイタカアワダチソウは一面に咲いていました。
それが近頃以前のようには見かけないなと思っていたのです。
その原因が本書には書かれていました。
植物には元来他者との生存競争に勝つために、他者を攻撃する化学物質を出しているのだそうです。
セイタカアワダチソウはそもそも外来種だから、在来植物たちはその化学物質に抵抗感がなさ過ぎて(在来種同士だと抵抗力も一緒に育ってくる)、セイタカアワダチソウが在来種を駆逐したのだそうです。
それであんなにも背の高い奴らが我が物顔ではびこっていたのですね。
ところが、あまりにもセイタカアワダチソウだらけになって、やつらは自分が出すその化学物質で自家中毒を起こしたのだということです。そのため、以前のような勢いがなくなったのだとか。
このように植物が自分を守るために化学物質を出しているというのも驚きでしたが、それだけではなく、
病原菌とたたかい、昆虫とたたかい、動物とたたかうなどなど、
動けない植物には動ける動物や昆虫以上に外敵が多く、それらと目に見えないたたかいを繰り広げていたのです。
それも太古の大昔から!!恐竜ともたたかっていましたよ!
植物には動物のように意思がないように思っていましたが、間違いなく意思はあります。
生きよう、生き残ろうとする意志、種族保存しようとする意志。
そのためにあらゆる知恵を絞り、工夫をこらして今まで生き残ってきたのでした。
驚くことがいっぱい書かれていて興奮の読書タイムでした。
また、よくそんなことがわかるね!!
と、(笑)
そこもまた驚きでしたし、感心するというか、研究者たちの成果にはいつもながら頭が下がります。
本書を読んで外の景色を見渡せば、そこここに立っている木々や咲いている花、そして雑草のひとつひとつが愛しく見えてしまいます。きみたちは生存競争に勝って、そこにいるんだね、と。いまもたたかっているんかい??と。
そして、知識って大事だなと思いました。
小さな子供や孫といて、その子がススキの葉っぱで指を切ったとしましょう。
そのとき優しく手当てしてあげるのも大事だけど、そこで
「ね、なんでこの葉っぱはこんなにギザギザしていると思う?」
と、問いかけてみる。
知識があればできますが、なければできませんものね。
その子供の知的好奇心が育つ一助になるかもしれません。
「どうして果物は甘くなると思う?」
「どうしてこのナンテンの実は赤いと思う?」
「玉ねぎを切ると涙が出るのはなぜだと思う?」
「なんでピーマンは苦いんだろうね?」(この質問は藪蛇かも?)
などなど。
私にそんな知識があったら、子供が幼いころにこんな会話をできたのにな(^_^;)
無知なお母さんでごめんよ、と謝りたいです。
そして、今更だけど改めて思いました。
ものごとにはすべて理由があるよね、と。
ススキの葉っぱがギザギザなのも、サボテンがとげとげなのにも、花が香るのも。
郵便ポストが赤いのも電信柱が高いのも、すべて理由があるのです。
この本を読もうと思ったのは、たんに?Amazonのおすすめに出てきたからですが、本書と出会てよかったです。
あとがきに「人間はたった一日で100種を絶滅させている」とあるのが大変心苦しい。
もともと酸素がなかった地球。
植物の出現で、植物の廃棄する酸素によって劇的に変化した。
酸素はオゾン層を作り紫外線をカットしてくれる。
そのためにまた環境は激変し私たちが住める環境になった。
いま人間はオゾン層を破壊し、植物を全滅に追いやりかねない勢いで文明を発展させている。
いつか地球は植物が地上に出現したとき以前の状態に戻るかもしれない
ということを読み、たいへん考えさせられました。